関東に大型台風が接近している。
21日の月曜日はほとんど一日中暴風雨圏内に入るとの予報を受け、午後から外出する予定だった用件を事前に日程変更しておいた。
本日はずっと家に籠って、別のタスクに専念するつもりである。
・・・・・・。
さて、最近「短編」「掌編」づいている。
レビュー投稿はしていないが、ここ2ヶ月ほどで初読再読含め、短編集を何冊か読んだ。
近藤史恵の『タルト・タタンの夢』(創元推理文庫)
(所収は「タルト・タタンの夢」「ロニョン・ド・ヴォーの決意」「ガレット・デ・ロワの秘密」「オッソ・イラティをめぐる不和」「理不尽な酔っぱらい」「ぬけがらのカスレ」「割り切れないチョコレート」)
山田風太郎 自選恐怖小説集『跫音』(角川ホラー文庫)
(所収は「三十人の三時間」「さようなら」「女死刑囚」「跫音(あしおと)」「双頭の人」「黒檜姉妹」「雪女」「笑う道化師」「最後の晩餐」「呪恋の女」)
オスカー・ワイルド 童話全集『幸福な王子』(新潮文庫/西村孝次訳)
(所収は「幸福な王子」「ナイチンゲールとばらの花」「わがままな大男」「忠実な友達」「すばらしいロケット」「若い王」「王女の誕生日」「漁師とその魂」「星の子」)
このように、短編集をまるまる一冊読了することもあるのだが、さまざまな短編集から一編だけを“拾い読み”することも少なくない。(これはほとんどが再読だ)
最近だと、
芥川龍之介「羅生門」「鼻」、中島敦「山月記」、梶井基次郎「檸檬」、稲垣足穂「一千一秒物語」、
などなど・・・。
最近、冒頭から順番に読み進めている短編集は、城昌幸の『みすてりぃ』だ。これは期待にたがわず面白い。Z・Z氏殺人事件の謎に迫る「艶隠者」から始まり、『現代怪談集成』でも取り上げた「波の音」を経て、現在「幻想唐艸」まで読み了えたところである。
その合間に読んだ長編は、櫛木理宇の『灰いろの鴉』『業火の地』『凶獣の村』の鳥越恭一郎シリーズや、「美男子主人公列伝」を書いたのを機に再読した『ドリアン・グレイの肖像』くらいのものだ。
さらに、10年ほど前に読了した島田荘司『アルカトラズ幻想』も再読しはじめている。これなどは「第二章」の「重力論文」だけを読もうとして読んだのだが、最初の第一章からあらためて読み直しているところである。
このように、近年稀に見るほど小説ばかりを読んでいるのだが、久々に読んだ小説以外の著作が、
馬渕睦夫著
『馬渕睦夫が読み解く! 世界の真実』(2026年7月25日発行)
である。
副題に『世界中で非難囂々!「トランプの深意」とは』とある。
かつて一目を置いていた渡辺惣樹やジェイソン・モーガンが残念ながら「闇」に陥落してしまったなかで、馬渕睦夫は一貫して「トランプ支持」を表明している。
これはもちろん、トランプ「だから」味方しているのではない。よく言われるような「おまえはどっちの味方なんだよ!」という類の幼稚な“仕分け”ではなく、全体を俯瞰したなかで、「トランプの政策を(引きつづき)支持している」という意味である。
本書では例によって、トランプ(陣営)によるDS(ディープ・ステート)潰しの実態が克明に解説されている。
このDS(≒カバール)潰しという見地から世界情勢を(正しく)分析しているのは、紙媒体で著作を出版している識者のなかでは、馬渕睦夫と西森マリーくらいのものである。
渡辺惣樹などは、自身のYouTubeのチャンネルで、あいかわらず「イラン戦争」「アメリカ劣勢」「アメリカ軍敗退」「トランプ支持率低下」と主張しつづけている。本当に残念だ。
本書では冒頭から、現在いかにトランプに「逆風」が吹いているかを列挙している。
「トランプ関税」から始まった批判は、「イラン戦争」を機にますます激化し、従来の民主党・左派は当然のこととして、「共和党員や保守系知識人、熱烈なトランプ支持者といわれるMAGAまで」が「トランプ大統領およびトランプ政権に対し」て「猛烈な批判を繰り出してい」る様が記されている。(P1 「はじめに」より)
著者はこれに対していちいち反論・解説はしない。
言いたい放題にトランプ批判が繰り返されている“惨状”を、まずは洗いざらい挙げていく。
そうした上で、最後にぎゅっと一網打尽にするがごとく、正鵠を射た批評をツボに打ちこむ、というスタイルを取っている。
手始めは第1章の「イラン」である。
それまで熱烈なトランプ支持者だった渡辺惣樹すら「反トランプ」に傾かせた「イラン戦争」にしても、各メディアやジャーナリストからどのような批判が噴き出ていたかを縷々と列記した末に、2023年10月7日に開始された「ハマス戦争」から中東情勢を振り返り、DS潰しの構造を浮き彫りに描いている。
(さらに根本的な構図として、「旧約聖書創世記」のエピソードである、「セム」「ハム」「ヤペテ」の分類にも言及している。セムはユダヤ人やアラブ人の祖先、ハムはエジプトや北アフリカ人の祖先、ヤペテは「帰属不明の諸族=欧米人、ロシア人、ペルシャ人、インド人など」の祖先)
ちなみにネタニヤフはヤペテの子孫であるアシュケナージであり、つまりは、セム族=ユダヤ人ではなく、グローバリスト=DSの手先がイスラエルのトップに就いているということである。
一方、「分かっている」人にとってはすでに“常識”だが、日本のマスメディアでは一切報道されない基本的な事実として、まずイランの「革命防衛隊」がハメネイ師の指示で動く“正統な”部隊などではなく、DSの手先の暴力装置であるということを踏まえなければならない。
イランとイスラエル双方にDSの手先が君臨し、常態的に中東に「火種」を撒いているのだ。
(DSは「火事」が大好物で、いわばマッチポンプで肥え太っているのである)
これが分かっていないと、諸悪の元凶を攻撃しているトランプを「戦争犯罪者」として永遠に批判しつづけるという大愚を犯すことになる。
著者は言う。
(前略)私は「イラン戦争」という名称自体、プロパガンダと捉えています。アメリカが核施設と軍事施設を攻撃しただけで、とても戦争と呼べるものではない。戦争なら双方が雌雄を決すべく地上戦を伴うものだが、今回はそんなレベルの戦いではない。これはまたぞろDSが中東に火種をまき散らし、第3次世界大戦が起きると、国際世論を煽っているだけだとみています。
この手口はウクライナでも行われました。プーチンにとっては「軍事作戦」にすぎないものを「ウクライナ戦争」だとさんざん煽ったのと同じ方法です。
だからこそ断言したいのですが、中東第3次大戦など起こるはずがない。世界大戦は米露両国が参加しなければ起きず、トランプとプーチンが戦うはずがないからです。(P33)
繰り返しになるが、渡辺惣樹は2026年9月現在もまだ「イラン戦争」と言いつづけている。まことに残念だ。
誤解にまみれたイラン軍事作戦の実態を紐解いたあとは、「トランプ関税」、FRB潰し、反DEI(多様性、公平性、包摂性)政策、USAID(米国際開発庁)廃止、CIA・FBI改革、EV車義務化の廃止、WHOからの脱退など、DSの機能を不全にするための政策や、ケネディ暗殺といったDSによる歴史的犯罪の解明についても言及している。
第3章で述べられている「ビットコイン」「デジタル金」に対するトランプの姿勢や、第4章で解説されている「テクノリバタリアン=巨大IT企業のトップ」とトランプの関係性についても教えられるところが多かったが、より耳目を惹くのは第2章の「エプスタイン文書」に関するものだ。
トランプとエプスタインとの関係性は、トランプ批判を目論む者たちにとって絶好のネタだったのだが、著者の馬渕睦夫は、巷に流布している誤解の数々を、まさに「痒いところに手が届く」明瞭さで斬り捨てていく。「そうそう、あえて誤解しようとしている分からず屋たちに対しては、そういう反論が効果的だよね!」と感嘆したくなる。
西森マリーも、トランプがエプスタインと懇意にしているという説を真っ向から否定している点で共通しているが、馬渕睦夫の解説はこれ以上ないほど理路整然としている。
引用を混じえてその経緯を紹介したい。
トランプは2025年の11月に「エプスタイン文書透明化法案」に署名した。
これについてすら批判が出た。
①「トランプはエプスタイン文書の公開を公約にしていたのに、いざ政権についたら公開を渋り、国会に全会一致(賛成427、反対1)で法律を作られて追い詰められてから渋々署名した」という猛烈な怒りとバッシングが、リベラルはもちろん、トランプを熱狂的に支持していたMAGAの一部からも噴出した。
署名に基づき、それまで門外不出だった2000本以上のビデオ、18万枚の画像を含む捜査資料「エプスタイン捜査文書」が一般公開された。
②その後、司法省が2026年1月30日の第5弾の公開(300万ページ)をもって「すべての義務を果たした」と発表したのに対し、被害者弁護団や国会議員たちは、「政府は元々600万ページあると言っていたのに、残りの半分が隠されているのはトランプが身内を庇うためのカバーアップ(隠蔽工作)だ」という批判が出る。
③公開された文書には、ビル・クリントン元大統領、英国のアンディ王子、大富豪、学者、そしてトランプの過去の交友関係も明示されていた。
公開されたキャッシュの中には、過去に撮影された「トランプとエプスタインが一緒に写った未公開写真」や、エプスタインの50歳の誕生日アルバムに寄せられたトランプ直筆とされる「性的な冗談が含まれたお祝いメッセージ」が含まれており、メディアは盛んに取り上げました。(P90)
これらについて、馬渕睦夫は以下のように反論する。
第1に、法案への署名は「追い詰められた結果」ではなく「公約の実現」だということです。(P92)
賛成427、反対1で可決され、 → トランプが署名した。
たしかにこの順序自体は正しいのだが、「→」に、「国会に追い詰められて」という機序を当て嵌める手法には、いかにもDSお得意の、いかにも偏向メディアらしい「欺瞞」があるのだ。
そもそも「賛成427、反対1という圧倒的多数の賛成≒全会一致の可決」には「前段」が存在する。
メディアはその点を無視し、代わりに「追い詰められて」という感情的な解釈を捻じこんでいるわけである。
427対1という圧倒的多数で可決されたということは、トランプを支持する共和党の保守派議員も含め、政権与党が一体となってこの法案を強力に推進したことを意味します。もしトランプが本気で隠蔽を望んでいたなら、議会の共和党指導部に働きかけて法案を否決、または廃案に持ち込む政治工作ができたはずです。(中略)これは「追い詰められた」からではなく、自身が掲げた「エプスタイン関連文書の公開」という公約を、議会と足並みを揃えて果たしたと見るのが自然です。(P92-93)
次の「隠蔽(カバーアップ)」非難についても同様だ。
第2に、「300万ページの黒塗り」は隠蔽ではなく、法に基づく機密保持にすぎません。(P93)
600万ページの中には内容的な重複もあるだろうし、いくら公開するといっても、プライバシー保護の観点などから公開できない情報もある。
エプスタイン事件の捜査資料には、被害に遭った未成年者の実名、事件に全く関係のない第三者の個人情報、現在も進行中の別件捜査に関する国家機密(FBIの捜査手法など)が含まれています。これらを無修正で出すことは法律上不可能です。
捜査資料には、同じメールのツリー、同じ書類のコピーが大量に含まれるため、数百万ページ単位で重複が発生するのは行政文書の世界では日常茶飯事です。(P93-94)
トランプとエプスタインとの関係性については、こうである。
第3に、トランプ自身が「最初の告発者」に近い立場だったという事実です。(P94)
エプスタインが2000年代に最初に逮捕・訴追された際、多くのパームビーチのセレブだちが協力を拒む中、トランプは検察側に対して自発的に情報提供を申し出た数少ない人物の1人でした。(P同)
トランプはエプスタインの奇行や疑惑を察知した後、2000年代半ばにに自身のクラブ(マー・ア・ラゴ)からエプスタインを永久追放し、関係を完全に断絶しています。(P同)
西森マリーなども指摘しているが、多数のお金持ちが集まるようなパーティに、エプスタインや大富豪であるトランプが出席し、会場で社交辞令的な挨拶を交わしたり、一緒に写真に収まったりすることもあっただろう。だが、それだけで二人に親交があった・繋がりがあったという証拠にはならない。
また、エプスタインの捜査資料にトランプの名前があったことも、エプスタインと親交があり、エプスタイン島に遊びにいったことを意味しない。
告発者や情報提供者として載っているにもかかわらず、「とにかく、そこに名前が載っていたら黒!」とする乱暴な思考に与する必要はないだろう。(※注)
最後に第5章では、日本の現状を憂い、高市政策の方向性について強く批判している。
馬渕睦夫はかつて高市早苗を、安倍元首相の後継者になり得るとして高評価していたのだが、現在はとくに対ロシア外交面で強く懸念を表している。
(これこそが、馬渕睦夫が「誰々だから」といって身贔屓するのではなく、現実の政策をもって政治家を評価している証左である)
たしかに「防衛」や「経済安全保障」などの面では、安倍元総理が提唱した政策をアップデートする方向で強化しているものの、それはあくまで「アメリカ追従」の枠内で、トランプの優等生になっているきらいがある。
トランプというより、DSに支配されていたころのアメリカ=西側の要求を汲んでいると言ってもよい。
現状、トランプとプーチンが共闘してDS潰しを進めている稀有な「蜜月関係」にあることは、「日本にとって国益を取り戻し、長年の国難を解決する『最大のチャンス』をもたら(P200)」しているのに、いまだにウクライナへ巨額な財政支援をしたり、西側のプロパガンダである「民主主義国家群=西側=善 vs専制主義国家群=ロシア=悪」の二元論に惑わされてロシアに強行姿勢をとったりしている。
このまま高市政権が「これまでの親米・対ロ強行路線にしがみつき続ければ、トランプ政権から完全に梯子を外され、国際社会で孤立する致命的なリスクもはらんでい(P同)」ると説く。
だが、このあたりについては、おれ個人はさほど心配していない。
世界の潮目が脱グローバリズム=多極化にむかっている今、日本としても「本当に」ロシアと対立することが国益に反することは充分承知のはずである。
トランプとプーチンが「蜜月関係」にあるならば、トランプをバックに持つ高市とロシア(プーチン)が根本的に対立しているとは、逆に考え難い。
以下は私見だが、DSの洗脳が未だ未だ解け切っていない日本国内においては、「イラン戦争を起こしたトランプ」よりも、「ウクライナ戦争を起こしたプーチン」のほうが、圧倒的に悪印象を持たれている。
親トランプはまだ許されても、親プーチンはとても恕されない状況下にある。
いま、高市政権がプーチン=ロシアと親密な関係となる姿は、日本国内に混乱をもたらすにちがいない。
だから水面下で、極秘裏に。
表面的には「反ロシア」を装いながら・・・。
ロシアとの繋がりが「公開」されるのは、もう少し日本人の「覚醒」が進んでからかもしれない。
※注:この巻末対談のなかで「いや、西森さん、名前が出てくるだけでも悪いことなんですよ。」と発言しているのは副島隆彦だ。だがこれは、副島が西森マリーの見解を補強するため、反トランプや愚民だったらこう言うだろうという意見をわざと口にしているのかもしれない。



