先日1月23日に、あの佐藤優が、なんとNHKの「クローズアップ現代」に出演し、「ロングインタビュー」に答えていた。
おれは朝、テレビを観る際もNHKはほとんど見ないのだが、他の「民法」がどこもかしこも、あまりにもしつこくスポーツ情報ばかりを流しているのに辟易し、どんなフェイクニューズを流しているのかをたしかめる意味もあって、たまたま当日の朝にNHKを観ていた。
そこで番組の予告(宣伝)をしていたので、録画予約をし、翌日の24日に視聴した。
当ブログで内容に触れる際は、番組内での発言をメモする必要があると思っていたのだが、NHKのホームページに「文字起こし」されたものが載っていたので、助かった。
というか、1月23日の19:30から地上波で放送されていた内容以上のことが載っている。
佐藤優ロングインタビュー スクープの舞台裏、混迷する世界・新時代への思い
佐藤 優さん
その人(イリイン氏)とはずっと付き合い続けるんだけど、ある時にだいぶウォッカを飲んだ時に聞いたの。
「資本主義国の外交官である私に言えば、本国に報告するのはわかっているでしょう。何であの時、あんな重要な情報を僕に教えてくれたのですか」と。
そうしたら、彼はこういうことを言っていた。
「人間には2通りのタイプがある。自分の仕事というのを建前でやっている人と、本気でやっている人がいる。あなたは本気でやっている人だと思った」と。
「人間はね、本当の窮地に陥ると本当のことをしゃべりたくなる、誰かに伝えたくなるという欲望があるんだよ。僕の周りを見渡したら、君しかいなかった。だから君に話すことにした」と。
本当のことがどういうふうになっているか、本当にしゃべりたくなる時ってあるんだよね、と。それで笑っていましたね。それでこう言っていた。
「ソ連は崩壊するだろう。そしてその後、しばらくは混乱して、いわゆる民主的な政権ができるんだけども、必ず揺り返しがある。強力な指導者が出てきて、また西側との関係は緊張して。それがロシアなんだ、強い指導者のもとで」と。
たとえば、上の引用のうち、橙文字の部分は放送ではカットされている。
放送では、「・・・ウオトカ(佐藤優はロシア語の発音で言っていた)を飲んだ時に/こう言っていた」という連なりだった。(「/」のところで画面も切替わっている)
NHKにかぎらず「編集」というものの一端が窺える。
番組を観る前、いくら佐藤優とはいえ、まともに、本当のことを歯に衣着せずに発言したら、その発言がDeep・Sの放送コードに触れて歪曲されるか、削除されるのではないかと心配していた(とくに歪曲されることを)。
佐藤優にしても、サイオプ機関の親玉であるNHKに出演するにあたって、自分の発言が編集によって下手をすると正反対のイメージに操作されてしまうことを懸念していたと思うのだ。
そのあたりを、佐藤優がどうコントロールしていくのか。
おれは、不安2割、楽しみ8割で視聴した。
実際、ぎりぎりのところで攻めてくれていた。
たとえば、優秀な外交官であったことを紹介されたあとのこの発言。
「私はちょっと、ほかの人と違う視点から見える」
外交官という特殊な職業に就いていたので、あなたが聞き慣れている一般的な”識者”の意見とは視点が違うかもしれないけど、そこんとこよろしく、というわけだ。
この伏線・予防線とも思えるこの「ことわり」によって、多少はみ出している「見立て」も発言可能になった。
さらに、インタビューで出てきたのは、佐藤優の著作の多くでも頻出する「内在的論理」というキーワード。
これは、おれが他人を理解しようとする際にも骨子としている思考だ。
過剰な歩きスマホはジャンキーの所業だが、当人のなかには、たとえば「ただ歩いているだけでは時間の無駄。歩きながらスマホで情報を得ている自分は時間を有効活用していて賢いよね~」という内在的論理が存在しているかもしれない。
そんなジャンク情報を得るために危険を冒し、あまつさえ他人の行動や感情を損ねている弊害に気づいていない(あるいは軽く見ている)というのがジャンキーたる所以であったとしても、事実とは別に、そのような理屈は存在するのだ。
とにかく、このキーワードを出すことによって、かなりきわどい意見も口にできる。
「プーチンさんの論理というのは、意外とロシア人が支持しちゃっている。だからプーチンの圧政のもとでみんな苦しんでいると見ると、ある意味では独裁者のプーチンを追い出せば、すべてハッピーエンドということになるんですけども、また別のプーチンさんが出てくるだけだと私は思っているんですよ」
佐藤優に「ロシア人はそういう国民性だ」と言われたら、反論はむずかしいだろう。だが、この発言の骨子は、「プーチンの論理を多くのロシア人が支持している」という事実なのだ。「みんな苦しんでいると見ると」という表現にトリックが仕込まれている。ロシア人がプーチンという個人を追い出そうとするのは、「圧制で苦しんでいる」のが事実と仮定した場合である(実際は苦しんでなどいない)。
「ロシア人もウクライナ人を皆殺しにするということは考えていないです。ウクライナ人もロシア人を皆殺しにするということは考えていない」
まったくの事実だろう。ロシア人とウクライナ人をMINA-GOROSHIにしようとしているのは、ユダヤ系のネオコンなのだから。
(中国の台湾侵攻の可能性にからめて)
「ロシアは今回こういった侵攻をすることによって国際的に孤立しましたよね。こういうような孤立というのは果たして中国にとって得かどうか」
ロシアは西側のプロパガンダによって孤立した(ように見える)。その事実はどうあれ、本当に侵攻したら孤立するのだ、と中国が考えるのはたしかだろう。
「ウクライナ戦争は既存の国際法に反する侵略行為」
表層的にはそのとおりなので、そう表現するしかないだろう。「国際法上の侵略行為ではない」と言うわけにはいかない。
だが、ウクライナを実効支配しているネオコン・ネオナチがウクライナ国民にしていることは、「ホロ○ースト」に等しく、たとえ国際法に反してでもロシアはそれを阻止しようとしている・・・とは、NHKでは言えないだろう。
「バイデンさんから見るとプーチンさんは悪魔なんです。プーチンさんから見るとゼレンスキーさんとバイデンさんは悪魔なんです」
これもそのとおりだろう。
ネオコンから見るとプーチンはグローバリズムを阻止しようとしている「悪魔」だろうし、プーチンから見ただけではなく、ネオコンは人道に悖る悪魔である。
このインタビューで触れているのはロシア・ウクライナ問題だけではないのだが、佐藤優は放送コードに抵触しないように苦心しながら、多くのメッセージを送ってくれた。
プーチンを否定しないために活用しているのが、「内在的論理」という(まっとうな)概念だ。
ホームページに掲載されている「全文」が実際に話した内容だとしたら、佐藤優が岸田総理大臣を高評価しているのは意外だった。(岸田総理のことは放送では一切流れていない)
日本人を覚醒させるための「破壊工作」をあえてしながら、外国との交渉も首尾よくやっているという、将来的な観点から評価しているのだろうか。
インタビュー全体として、暴走する西側の意向を牽制する発言はあっても、擁護する発言はなかったように思う。
まあ、「顔のない男」の話といい、ひさしぶりにインテリジェンスの話を、しかも佐藤優本人の音声として聴けたのはよかった。(体はかなりしんどそうに見えた。それが心配だ)
かなり以前のブログで、斎藤充功の『陸軍中野学校極秘計画』をレビューした際、佐藤優についても触れ、著作の引用を載せたりしている。
一時期、インテリジェンスには憧れたな~。
最後に、おれの想像(といいながら充分にあり得る話)なんだけど、NHKの職員たちも決して「一枚岩」などではなく、局がDeep・Sの傀儡機関となっていることに忸怩たる思いを重ね、「真実を報道する機会」を画策している職員もいるのではないかと想う。現在、理不尽なDeep・Sコードと闘っている職員(プロフェッショナル)たちだけで独立して、近い将来、新たな放送機関を立ち上げてくれたら良いと思う。
北方領土をめぐる「鈴木宗男事件」における逮捕・起訴と、その後の勾留の顛末を描いた怪著。
インテリジェンスの実際を描いた傑作。