「みんな~アヤさんが気がついたよ!」
なんさんがよぶ
ボクチンたちは、かけつけた
たまねぎさんだけ ゼータさんをゆっくりと床におろし
ゼータさんが投げ捨てた帽子をひろうと ゼータさんの顔がかくれるように
ふかぶかとかぶせた
アヤさんは、ヒーローたちやガンダムとの戦闘で
体中にダメージを負っていた
しかし なにより精神的なキズのほうが深かったのかもしれない
なんさんに抱えられ、痛みを押し殺すように目をふせていた
「アヤさん・・・だいじょうぶですか?」
部長が気づかう
「・・・ハイ・・・・私は・・・・」
「私は・・・大丈夫です・・・」
「あの・・・ゼータさんは・・・?」
たまねぎさんが答える
「ゼータさんは、だいじょうぶよ 今ちょっと気をうしなって寝てるの」
「おきたら、アヤさんにあやまってくれるそうよ」
「そ!そうなんですか!?」
アヤさんの声色に、明らかな安堵と喜色がうかがえる
たまねぎさんは、こくりとうなづき
皆にむけてウィンクをした
それをうけ なんさんが提案した
「アヤさんとゼータさんを急いで病院に運ばないといけないんだけど~」
・・・・・?
ん?
ボクチンは疑問に思ったことを、つい
なんさんをさえぎって、聞いてしまった
「あの・・・ケガとかなら たまねぎさんが持ってた、仙たまねぎを食べたら回復するんじゃ?」
玉ねぎさんが、頭をぼりぼりかきながら答えた
「あの仙玉ねぎは、収穫した分 全部たべちゃったのよね~」
「ドクロっちが食べたのが、最後だったのよ~」
「次の収穫まで、あと2~3週間かかるよのね~」
ええ~~~・・・・・
なんて都合よく品切れになること・・
まるでどこかの少年誌の「なんとかボール」じゃないか・・・
アヤさんは
「あの・・・私、まだ闘えます」
「この程度のキズ・・・イタッッ!!!」
なんさんは、アヤさんをさえぎり アヤさんの体をつっついた
「ほら~ アナタ重症なんだから! ダメよ~~!」
「そ、そんな!いま、なんさんが・・・」
「イタイッ!」
なんさんは容赦なくアヤさんをグリグリした
「ダーメー 病院いかないとゆるさないー!!」なんさんの目がつりあがる
「ヒィッ!!」
アヤさんが、やや大げさなアクションで悲鳴をあげる
・・・・なんか、なんさんに対してトラウマでもあるのか?
「そいじゃ フーちゃん アヤさんとゼータさんをつつんで~」
「あ はーい」
比較的壊れていないゼータさんのヒーローフィギュアをさがしていた
フロシキさんは、なんさんにしたがい
まず、ゼータさんにフロシキをかぶせた
ゼータさんの姿が、手品のように消えた
つぎにアヤさんをつつもうと、近づいたとき
アヤさんはボクチンを呼んだ
「ドクロさん・・・」
「これを・・・」
と、アヤさんは聞き取りにくい、小さい声で言うと
身に着けていたゴスロリスカートを外し
ボクチンに渡した
スカートの裏には、武器や秘密の道具がどっさりと仕込まれていた
「使ってください」
アヤさんの申し出を受け、ボクチンは素直にうなずく
「気をつけて・・・」と
最後に言い残し アヤさんは、フロシキにつつまれ消えた
「それじゃ、ふーちゃん キノコの人たちを集めたら、そのまま病院に直行でよろしく~」
「あ・・・やっぱり?たまさんやアヤさんのすごいとこ見て」
「私もメラメラきちゃってるんですけど・・・」
部長がわざとらしく、倒れているキノコ人間たちを見回す
「ハハハッ・・・ですよね~」
「キノコさんたちも、連れて行かないとだし~」
「じゃあ、まあ 分かりました 残念だけど」
「うん、おねがいね ふーちゃん」
なんさんは、フロシキさんにお願いした後
たまねぎさんを見て
「たまちゃんは、どう?」
「ケガしてない?」
「うん、私は大丈夫!ケガしてないし・・・?」
「ドクロッチ・・・何をしとるの?」
「・・・ヘンタイ?」
はっ・・・気付かれた
ボクチンはアヤさんからもらった、スカートをどうしたらいいか悩んでいた
腰につけられないので
ポンチョ風に着てみようと、スカートをかぶろうとしていた
「って いやいや!ちがいますよ!」
ボクチンは、あわててスカートをドチャリ!と床に置き
ひとつだけ、これは!という武器を取ってポケットにねじ込んだ
「じゃあ、そろそろ行こうか 急がないといけないようだし・・・」
「フロシキさん、キノコの人たちとアヤさん ゼータさんをよろしく頼みますね」
部長の言葉に
「は~い、さっそく!」と
フロシキさんは、キノコ人間の回収を再開した
「じゃあ、みんな・・・・いこうか!」
ボクチンたちは、エントランスホールの激戦を突破し
いよいよ
ごりっぺやクッキー にじさんが待ち受ける
物語の最深部に向かう
メインホールのドアに手をかけた
つづく
小説「機械」決戦・破 終章
次回より 物語は、いよいよ最終章に!
お楽しみに!!