それはそうと・・・・だ
たまねぎさんは・・・
たまねぎさんはどこだ!?
どこにも姿が見えない
あの派手な道着?なので見逃すはずはない
なのに・・・
まさか、こっぱみじんに・・・・?
なんさんが結界を解く
ボクチンらが近づいた時
ぐらり・・・ガンダムは、音もなく倒れた
スローモーションのように、ゆっくりと
それに反して
床にぶちあたった音は、凄まじかった
ドッガアアアアアアアアン!!
こんな、とんでもないものとたまねぎさんは闘っていたのか・・・
ふと、顔をあげると
そこに、たまねぎさんがたっていた
「ぎゃあああああああああ!!」
「だっかっら!! なんで私の顔をみて悲鳴なのよ!ドクロッチ!」
「がんばったんだから、ねぎらいの言葉の一つも出ないのかなあ?」
たまねぎさんはホッペをふくらませる
「す、すいません」
よくみると
たまねぎさんの髪の毛は、爆風と熱でドリフのコントのようにチリチリで
自慢の道着もススで黒く汚れていた
が、どこにも怪我を負っては、いないようだ
右手に誰かを抱えている・・・・
ゼータさんだ!!
「びっくりしちゃった~」
「ロボットを投げて、壊したと思ったら まだ立ってくるんだもの・・・」
「そいで、中からゼータさんがポロッと落ちてきたのよ~」
ゼータさんは、額から血を流し、気を失っているのか
ダラリとうなだれていた
「たまさん 大丈夫?」
部長とミコシさんが駆けより声をかける
たまねぎさんは、ゼータさんをゆっくり床に下ろすと
着物の汚れを払い
「チョット予想外だったのよね~」
「こんな、すごく爆発するとは・・・思ってなかったから」
・・・そうだ!爆発だ!
ボクチンは疑問をぶつけてみた
「な、なんで大丈夫なんですか?あんなすごい爆発だったのに?」
たまねぎさんは、ふくれっつらで
「なによ~大丈夫じゃダメみたいじゃんか~ ひどいなあ」
「い、いや それはそうだけど・・・」
「そりゃあ、無事でよかったですけど」
たまねぎさんは、もう一度
深く長い呼吸をした
「コォォォォォォォ!!」
たまねぎさんの筋肉に体に「気」が
満ちあふれ
その強度は人間の限界を超えて増した
「これが『硬気功』 特別な呼吸とコントロールにより」
「体内の気を練り上げ 体を鋼鉄のように硬くする」
「たま仙流の奥義よ!」
たまねぎさんはドヤ顔できく
「もっかい、修業うけたくなった?ドクロッチ」
「い・・・いや それはべつに」
「なによーーーー!!もーーーー!」
部長がフォローする
「いやいや、すごかったよたまねぎさん、あんな大きなガンダムを
ぶん投げちゃうんだもの ねえ?ミコシさん」
「ええ、そうですよ~」
「私は入門したくなりましたよ?たま仙流」
二人は、あのデタラメな修行を知らないから・・・
ボクチンは思い出したくもない記憶を 押し込めようと苦笑いをした
部長は、ゼータさんを診て、まず いいきかせるように言った
「ゼータさんは・・・気をうしなっている」
「うん・・・致命傷になるような負傷はしてないようだ」
「一安心だ」
「・・・でも どうして彼は」
「ええ・・・」
部長の苦悶にミコシさんが、うなずく
たまねぎさんが言った
「ゼータさんはね」
「アヤさんを、これ以上闘わせたくなかったんだと思う」
「もともとは、それで力を求めたんだよ」
「でも・・・」
「ゼータさんは間違えちゃったのよ」
「ゼータさんが本当に勝とうとすべきなのは、私達やアヤさんではなく」
「・・・」
「自分自身だったのよ」
たまねぎさんは、つぶっていた目を開いた
そして
さっきの部長とおなじように だれかに言い聞かせるような口調でいった
「本当にゼータさんのスタンドは・・・ロボットは強かったよ」
「もしロボットだけだったら 私も勝てたかどうか わからなかった」
「ゼータさんが中に入って、いっしょに闘ったから」
「どんなに大きかろうが、パワーがつよかろうが」
「格闘の素人の 動きや息遣いをよんで投げるのは、カンタンだった」
「ゼータさんは、人形をいっぱいつくったり爆弾で牽制したりする前に」
「まず、自分自身の修行をするべきだったのよ・・・」
たまねぎさんは、とてもやさしい声でつづける
「ケガが治ったら、私がゼータさんを鍛えてあげるよ」
「すっごく強くなれるわよ」
部長がうなずく
「そうだね・・・これからも僕たちには、ゼータさんが必要だからね」
ミコシさんも賛成して
「ええ・・・はやく帰ってきてほしいですね」
たまねぎさんも
「うん・・・ちゃんとアヤさんにも、謝ってもらわないといけないしね!」
皆、ゼータさんの方をむいて ほほえみかけた
気絶しているはずの
ゼータさんの 硬くつぶられた目から
涙がひとしずく、こぼれおちた
つづく