バー「なんと」のドアをくぐるボクチン
どうやら、ボクチンが最後だったようだ
バー「なんと」は いつになくにぎわっていた
店内をみまわすと
いつもの席に いつもどうり静かにすわるアヤさん
おや?アヤさんの向かいの席に、あんまり見たことない男の人が相席している
彼氏か?
そのとなりのテーブルには たまねぎさんがニコニコとわらっている
たまねぎさんは たまねぎ研究家でたまねぎ料理家という不思議な肩書をもっている
たまねぎさんが作るたまねぎは 梨のように甘く 生でまるかじりできる
このバー「なんと」にも食材として卸しているそうだ
カウンターには部長 ミコシさん
なんさんがボクチンに気付いた
「いらっしゃいドクロッチー!」
つられてミコシさん 部長が「いらっしゃいー!」と手を振る
「どーもー」
「たまねぎさんも、ひさしぶりー どーもー」
「どもども~」
「たまさんも集合かけられたんですか?」
「うん?ううん 私は今日、お店でつかってもらう新しい種類のたまねぎを持ってきたの」
「ついでに一杯なの」
「それよりきいてきいて~」
今度 「トラサルディ」でも うちのたまねぎ使ってもらえることになったのよ」
「え・・・あの霊苑近くにあるイタリアンレストランの?」
「たしか・・・トニオさんだっけか コックさんが」
「そうそうアントニオさんの」
?・・・アントニオだっけか?
「へ~・・・すっごいねえ また食べにいってみよう」
「うんうん(^∇^)」
ぼくちんは上着を脱ぎコートかけにかけ
わざとらしく どっこいしょとカウンターのミコシさんと部長の間の席にむりやり座ると
「さあて・・・そんじゃあ聞かせてもらいましょうか~~?お二人さん?」
と二人の肩に手を置きプレッシャーをかけながら
つづく
