部長が鞄から取り出したものは、高級そうな布にくるまれている
ゆっくりと慎重に包みをほどき、現れたものは木箱だった
作りのクオリティの良さを表わすように
部長が箱を開けると、密閉された箱の中にズオオオっと空気が流れ込む
箱の中の緩衝材を取り除くと
その物体がギラリと鈍い光を放つ
「おおおおおお!!」「きゃっ!!」
ミコシさんが歓声をあげ、なんさんが悲鳴をあげる
そう、それは
「ジョジョの奇妙な冒険 一分の一 吸血鬼の石仮面フィギュア」だった
「おおおおおおっ!!」もう一度ミコシさんが叫ぶ
「これ、ミコシさんにあげるよ」
「えええええ?いいんですか?たしかこれ、限定50個しか発売されてない超レアものですよね?」
「うん、ここにシリアルナンバーが入ってるよ、ぼら23/50って」
「でも、これってドクロっちにあげるごほうびじゃなあい?」
なんさんが石仮面を部長から取り上げる
「なんでさっき、渡さなかったの?」
部長は石仮面を気遣いながら
「うん、今回ミコシさんに事前に電話で依頼してたんだけど、ほらミコシさん忙しいから
なかなか此処に来れないでしょ?」
「今回も来てくれるとは思わなかったから、ちょうどいいし、さきに渡しとこうとおもってさ」
「ミコシさんも天使を見にいくの?」
「ええ、部長から事情を聴いたときは驚きましたが、及ばずながらお手伝いさせてもらおうと思いまして」
「くわしく話を聞くためと、ドクロっちの様子を見に来たんですよ」
豪快に石仮面をかぶりながら、なんさん
「今回の件、裏があるの?危険なことありそうなの?」
腕をワタワタさせながら部長
「ちょっ!ああ、うん」
「ミコシさんにもドクロさんにも悪いと思うけど、力を貸してもらいたくてね」
「今回僕は動くわけにいかないんだ」
「ミコシさん、ほんとうにすまないね、ドクロさんを守ってください」
「でもいいんですか?これ、もらっちゃって・・・」
「ドクロっちにあげるんじゃ?」
「ドクロさんには観賞用に買ったのをあげるよ」
「え?じゃあこれは?」
「それは保存用」
「何個もってるんですか?」
「遊ぶ用をあわせて三個」
「・・・・はははっ・・・・」
なんさんは石仮面をかぶり両手を振りかぶりながら
「オタク仮面参上!」とさけび、オブジェの鳥かごに頭をぶつける
「ひっ!50個限定の!!」
部長は青ざめながら
つづく