バー「なんと」を後にしたボクチンは、電車に乗って帰路につく
電車のすべすべしたシートをさすりながら、ジャイアントカプリコ(いちご味)をかじるのが
最近のマイブームだ
カプリコの絶妙な歯ごたえと優しい甘さ、シートのすべすべ感がマッチして心地いい
マナー違反だが、やめられない
カプリコいちご味は世界で2番目にうまいお菓子だと思う
しかしダメだ
カプリコの心地よさで、バーをでてから湧き上がってきたイライラを抑えようとしたがダメだ
たまに、こういうことがある
なぜかは分からないが、バー「なんと」の中で部長と話をすると
自分の気持ちや感情を自分でコントロールできないような
なにか、心をあやつられるような気分になる
たしかに・・・たしかにけっこうな額の謝礼も
ほしかったフィギュアものどから手がでるほど魅力的だ
だがしかし、ぼくちんの本来の性格をかんがえると、部長の依頼を受けるはずがない
「天使を呼ぶ機械」がくすぐる好奇心も
昔、あこがれたロック歌手に会えるかもというドキドキも
それをこえて余りあるのが、ボクチンの人見知りネガティブマインドではなかったか?
部長の話を聞くといつも、なにか自分の心とは関係のないほうに誘導されているような感触がある
今はやりのメンタリズムか?
あったこともないインテリのところへ行き、脳科学なんて、とんでもない研究の手伝いに行く
しかも、信頼ある人だから呼ばれた・・・という部長のかわりに・・・
そんなプレッシャー甚大な役目からはスタコラ逃げ出す、それがボクチンのアイデンティティではなかったか?
だいたい今考えると部長の話はおかしい
あとからあとからとってつけたような展開で一貫性がない
ああ!もう!!
物につられた自分と
重大なプレッシャーをともなう仕事をおしつけてきた部長に、またまたグラグラと怒りがわきあがる
そんなことを考えながら鞄の中から
世界で1番目にウマイお菓子「ロールちゃんチョコ味」をボクチンがとりだしたころ
バー「なんと」でも
部長が鞄の中から奇妙な物体をとりだしていた
それは・・・・
つづく