正常仕損費・正常減損費の処理
この記事には改訂版がございます。改訂版は総合原価計算における仕損と減損の会計処理をご覧下さい。
正常仕損費・正常減損費の処理についてお伝えします。
正常仕損費・正常減損費の処理
正常仕損費・正常減損費は、完成品と月末仕掛品に負担させます。
ただし、いつも完成品と月末仕掛品の両方に負担させるわけではありません。
完成品にのみに負担させることもあります。
つまり以下の2つの処理方法があるということになります。
- 完成品にのみ負担させる場合
- 完成品と月末仕掛品の両方に負担させる場合
以下詳しくお伝えします。
完成品にのみ負担させる場合
正常仕損・正常減損が月末仕掛品の加工進捗度よりも後の時点で発生した場合には、正常仕損費・正常減損費は月末仕掛品には負担させず、完成品にのみに負担させます。
「月末仕掛品の加工進捗度<仕損・減損の発生点」…完成品のみ負担
ということになります。
月末仕掛品の進捗度よりも仕損・減損の発生点が後だということは、月末仕掛品の完成度の時点では仕損・減損は発生していないということになります。
具体的に考えてみるとよく分かります。
月末仕掛品の加工進捗度が40%で、仕損・減損の発生点が70%だとしましょう。
月末仕掛品の時点ではまだ仕損・減損は発生していません。
月末仕掛品の加工がさらにあと30%進み、70%まで加工が進んだ時点で仕損・減損が発生するからです。
ということは仕損費・減損費は完成品のみに負担させるのが合理的です。
完成品と月末仕掛品の両方に負担させる場合
正常減損・正常仕損が月末仕掛品の加工進捗度よりも前または同じ時点で発生した場合には、正常仕損費・正常減損費は完成品と月末仕掛品の両方に負担させます。
「仕損・減損の発生点≦月末仕掛品の加工進捗度」…完成品と月末仕掛品の両者負担
ということになります。
仕損・減損の発生点よりも月末仕掛品の進捗度が後だということは、月末仕掛品は仕損・減損が発生したあとの仕掛品だということになります。
具体的に考えてみるとよく分かります。
仕損・減損の発生点が40%で、月末仕掛品の加工進捗度が70%だとしましょう。
月末仕掛品は仕損・減損が発生したあと、さらに30%の加工を行った仕掛品だということになります。
ということは、仕損費・減損費は月末仕掛品にも負担させるのが合理的です。
このように加工進捗度と仕損・減損の発生点との関係で2つの処理方法を使い分けることになります。
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通常発生する仕損や減損についてお伝えします。
通常発生する仕損や減損とは…
正常仕損や正常減損とは通常発生する仕損や減損です。
しかし、通常発生する仕損や減損とは何でしょうか。
仕損や減損というのは一言で言ってしまえば「無駄」です。
どちらも費用がかかってしまうことに変わりはありません。
無駄をなくせば原価はその分低くなるのだから、企業としては仕損や減損を0にしようとするはずです。
全ての仕損や減損を無駄なものとしてなくそうとするのであれば、通常発生する仕損や減損などはそもそもありえないといえます。
しかし、正常な仕損や減損は現実に存在します。
この「正常」とはどういうことなのでしょうか。
「正常」な仕損や減損
仕損や減損には、大してお金や労力をかけずになくせるものと、なくそうとすると膨大なお金や労力がかかるものがあります。
例えば、料理を作る工場があった場合を考えてみましょう。
材料がマヨネーズだとします。
マヨネーズは残り少なくなると出が悪くなります。
普通に握って出し切ったと思っても、まだ中にはマヨネーズが残っています。
これを捨ててしまえば、残っている分が減損となります。
この減損を減らそうと思えば、マヨネーズの容器をはさみなどで切り、スプーンですくって使います。
これで減損をかなり減らせます。
ここまでは大してお金も労力もかからないので、実際に行っている工場も多いでしょう。
しかし、まだ減損は0ではありません。
ほんのわずかですが、容器の中にマヨネーズが残っているはずです。
この減損をなくすには「専用の器具を買う」「マヨネーズを無駄なくすくいだす熟練工を雇う」などといった対策が必要になるでしょう。
これにはそれなりのお金がかかります。
そのかかったお金に対して得られるものはごくわずかのマヨネーズです。
それならこのマヨネーズを捨ててしまった方がはるかに合理的だということになります。
このように、仕損や減損をなくすためにかかる費用が仕損や減損をなくすことで得られる利益よりも大きい場合は仕損や減損をそのままにしておくことが企業としては適切な決定ということになります。
このような仕損や減損が正常仕損・正常減損となります。
逆に、仕損や減損をなくすことで得られる利益が仕損や減損をなくすためにかかる費用より大きい場合は、その仕損や減損はなくす努力をすでにしているはずです。
よってこのような仕損や減損は理論上は発生しません。
しかし、ミスによる発生や天災による発生はありえます。
この仕損や減損は異常なものとして、異常仕損や異常減損として処理することになります。
これが正常仕損・正常減損と異常仕損・異常減損の違いになります。
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総合原価計算における仕損と減損の処理についてお伝えします。
仕損と減損の処理
仕損や減損が発生した場合、原価計算上どのように処理するのかは、その仕損や減損が正常なものか異常なものかによります。
正常な発生額の処理
製造を行うと必ずといっていいほど発生し、避けることができない仕損や減損のことを正常仕損・正常減損といいます。
これらは通常発生する費用なので原価に算入します。
よって、正常仕損や正常減損は完成品や月末仕掛品に負担させることになります。
異常な発生額の処理
通常発生する程度を超えて大量に発生する仕損や減損を異常仕損・異常減損といいます。
これらは異常なものなので原価には算入しません。
非原価項目として処理します。
ちなみに、簿記2級では正常仕損や正常減損しか出題されないので、これからは正常仕損や正常減損に絞ってお伝えしていきます。
仕損と減損の処理方法の違い
仕損品に利用価値がある場合のみ計算が若干異なります(減損には価値がありません)が、それ以外は仕損も減損も、原価計算における処理方法は同じです。
本質的には仕損も減損も同じなので、同じように考えてかまいません。
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総合原価計算における仕損と減損についてお伝えします。
総合原価計算における仕損と減損
仕損
製品の製造中になんらかの原因で加工に失敗することがあります。
失敗してしまうと、製品としては不合格となってしまう(その製品の基準を満たせない)ので、通常の製品と同じに売ることはできません。
このような不合格品の発生を仕損といいます。
また、仕損の発生による損失のことを仕損費といいます。
個別原価計算でも仕損が出てきましたが、仕損そのものの意味は個別原価計算での仕損と同じです。
違うのは処理方法になります。
減損
製品を製造するときに材料などを投入しますが、製品を加工するときにこれらの材料が蒸発したり流れていったりすることで減ってしまうことがあります。
このように材料が減ってしまうことを減損といいます。
また、減損の発生による損失のことを減損費といいます。
仕損と減損の違い
仕損は、通常の製品と同じには売ることができないとはいえ、形がきちんとあります。
そのため、材料として再利用したり、手直しをして規格外品として通常より安く売ったりすることもできます。
それに対して減損は形がありません。
そのため、材料として再利用することも手直しをして規格外品として通常より安く売ることもできません。
これが仕損と減損の違いになります。
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等級別総合原価計算の具体例についてお伝えします。
資料
- 生産データ(完成品:1級品…100個,2級品…200個)
- 原価データ(完成品総合原価:1,600,000円)
- 等価係数(1級品:1.2,2級品:1.0)
- 期首仕掛品及び期末仕掛品はないものとする
これらの資料をもとに下の等級別総合原価計算表を作ってみましょう。
考え方
まずは積数の欄から埋めましょう。
積数とは等価係数に各等価級数の生産量をかけて求めた数のことで、完成品原価をどのような比率で配分するのかを表します。
- 1級品の積数(120)=等価係数(1.2)×生産量(100個)
- 2級品の積数(200)=等価係数(1.0)×生産量(200個)
次に完成品総合原価を積数の比で配分します。
- 1級品の完成品原価(600,000円)=完成品総合原価(1,600,000円)÷積数の合計(320)×1級品の積数(120)
- 2級品の完成品原価(1,000,000円)=完成品総合原価(1,600,000円)÷積数の合計(320)×2級品の積数(200)
あとは、それぞれの完成品原価を生産量で割って単価を求めます。
- 1級品の完成品単価(6,000円)=1級品の完成品原価(600,000円)÷1級品の生産量(100個)
- 2級品の完成品単価(5,000円)=2級品の完成品原価(1,000,000円)÷2級品の生産量(200個)
これらの数値を等級別総合原価計算表に記入すれば解答になります。
解答

1級品の完成品単価と2級品の完成品単価の比は等価係数の比と同じになります。
- 6,000円:5,000円=1.2:1.0
これは、そもそも等価係数が完成品単価の比を表すものだからです。
等級別総合原価計算は完成品単価の比が等価係数と同じになるように完成品総合原価を各製品に配分する方法だといえます。
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等級別総合原価計算についてお伝えします。
等級別総合原価計算
同じ種類だけど大きさや規格が違う製品を同一工程で製造する場合に適用する総合原価計算を等級別総合原価計算といいます。
SサイズとMサイズとLサイズの服を作っている場合などが等級別総合原価計算にあてはまります。
等級別原価計算は、同じ工程で同じ材料を使用して同じ種類の製品を大量生産しています。
しかし、その製品の「形」「大きさ」「重さ」「階級」などによって等級に区別できる製品(等級品)を製造する企業で使う総合原価計算です。
できる製品そのものが違う場合に使う組別原価計算とはこの点が異なります。
等級別総合原価計算では、各等級品について等価係数というものを決めます。
等価係数とは、等級が違う製品の生産量の単位をそろえるためのものです。
月末仕掛品を完成品に換算する場合に使用する加工進捗度と考え方は似ています。
等価係数に各等級品の生産量をかけて求めた数の比で原価計算期間の完成品総合原価を配分することで各等級品の完成品原価を求めます。
等級別総合原価計算の勘定連絡図
等級別総合原価計算の勘定連絡図は下のようになります。
仕掛品勘定までは同じで、そこから等級別に分かれるのが特徴です。
製品完成後に分かれることになります。
それに対して組別総合原価計算では仕掛品勘定の時点で組別に分かれます。
原価の流れをイメージしておくことが大切です。
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組別総合原価計算の具体例についてお伝えします。
資料
- 組間接費は300,000円であり、組直接加工費を基準として配賦する。
- 材料は全て製造着手のときに投入される(始点投入)。
- 生産データ
- 当月完成品数量 A組:450個,B組:300個
- 月末仕掛品数量 A組:50個(40%),B組:50個(60%)
- カッコ内の数値は完成度(加工進捗度)を表している。
- 月末仕掛品の評価は平均法による。
これらの資料をもとに、下の組別総合原価計算表を作成してみましょう。
考え方
まずは組間接費の配賦です。
組間接費300,000円を組直接加工費(A組400,000円、B組200,000円)を基準として配賦します。
よって、それぞれの組の組間接費は、
- A組の組間接費(200,000円)=組間接費(300,000円)÷組直接加工費全体(400,000円+200,000円)×A組直接加工費(400,000円)
- B組の組間接費(100,000円)=組間接費(300,000円)÷組直接加工費全体(400,000円+200,000円)×B組直接加工費(200,000円)
となります。
製造間接費の配賦と考え方は全く同じです。
次に、これまでの金額の合計を上から2つめの計の段まで埋めると下のようになります。
ここからが少々大変です。
月末仕掛品の評価は「A組の材料費」「A組の加工費」「B組の材料費」「B組の加工費」の4つを計算しなければなりません。
一つずつ計算していきます。
- A組の材料費(100,000円)=A組の全ての材料費の金額(800,000円+200,000円)÷A組の全ての材料費の数量(450個+50個)×月末仕掛品数量(50個)
- A組の加工費(32,000円)=A組の全ての加工費の金額(400,000円+200,000円+152,000円)÷A組の全ての加工費の完成品換算数量(450個+50個×40%)×月末仕掛品数量(50個×40%)
- B組の材料費(100,000円)=B組の全ての材料費の金額(600,000円+100,000円)÷B組の全ての材料費の数量(300個+50個)×月末仕掛品数量(50個)
- B組の加工費(30,000円)=B組の全ての加工費の金額(200,000円+100,000円+30,000円)÷B組の全ての加工費の完成品換算数量(300個+50個×60%)×月末仕掛品数量(50個×60%)
組間接費配賦高は加工費に含めて計算します。
材料費は直接材料費、加工費は直接材料費以外の原価要素(補助材料費も含みます)という形で材料費と加工費を分けているからです。
次に完成品原価と完成品単価を求めます。
- A組の完成品原価(1,620,000円)=A組の月初仕掛品と当月投入の合計(1,752,000円)-月末仕掛品(100,000円+32,000円)
- B組の完成品原価(900,000円)=B組の月初仕掛品と当月投入の合計(1,030,000円)-月末仕掛品(100,000円+30,000円)
- A組の完成品単価(3,600円/個)=A組の完成品原価(1,620,000円)÷A組の完成品数量(450個)
- B組の完成品単価(3,000円/個)=B組の完成品原価(900,000円)÷A組の完成品数量(300個)
ここまで分かればあとは組別総合原価計算表を埋めるだけです。
解答

この問題は月初仕掛品数量と当期投入量が書かれていませんが、平均法の場合は月初仕掛品数量と当期投入量を分ける必要はないので、完成品数量と月末仕掛品数量さえ分かっていれば解答できます。
ボックス図の右側の数量だけで解答できるということです。
なお、ここではボックス図は作っていません。
組別総合原価計算表はボックス図を形を変えて書いたものなので、慣れてくれば組別総合原価計算表のみで解答できます。
慣れるまではボックス図を描いてもいいと思います。
ちなみに、ボックス図は下のようになります。
ボックス図の左側の数量が空欄なのは、問題文の資料からは分からないからです。
平均法の場合は月初仕掛品原価と当月製造原価を区別しないため、この部分が分からなくても解答できます。
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組別総合原価計算についてお伝えします。
組別総合原価計算
組別総合原価計算は異なる製品を大量に製造する場合に適用する総合原価計算です。
トラックと乗用車を製造している場合などが組別総合原価計算にあてはまります。
組別総合原価計算では、原価計算期間の原価要素を組直接費と組間接費とに分け、組直接費は各製品に賦課、組間接費は各製品に配賦します。
組間接費の配賦は製造間接費と同じように配賦します(組別総合原価計算は組間接費の配賦がポイントになります)。
組直接費の賦課と組間接費の配賦を行うと各組に原価が集計されます。
集計されたあとは、単純総合原価計算と同じように各組ごとに月末仕掛品の評価を行います。
組別総合原価計算の勘定連絡図
組別総合原価計算の勘定連絡図は下のようになります。
組別総合原価計算の原価の流れをしっかりとイメージしておいてください。
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工程別総合原価計算の具体例についてお伝えします。
資料
1.生産データ
第1工程 第2工程
月初仕掛品 600個 (50%) 1,000個(30%)
当月投入量 5,400個 5,000個
合計 6,000個 6,000個
月末仕掛品 1,000個(80%) 800個(50%)
完成品 5,000個 5,200個
- 第1工程の材料は始点投入である。
- カッコ内は加工進捗度を表す。
- 原価配分方法は平均法である。
- 工程別総合原価計算の計算方法は累加法とする。
- 工程に集計される原価の範囲は全原価要素とする。
2.原価データ
- 第1工程月初仕掛品:材料費…400,000円、加工費…150,000円
- 第2工程月初仕掛品:前工程費…800,000円、加工費…180,000円
- 当月製造費用:材料費…2,600,000円、第1工程加工費1,590,000円、第2工程加工費…2,620,000円
この資料をもとに、完成品原価と第1工程仕掛品と第2工程仕掛品を求めてみましょう。
考え方
まずボックス図を作っていきましょう。
工程別総合原価計算のボックス図は全てを一気に作ってもいいのですが、ここでは第1工程から順番に作っていきます。
この資料から分かる数字を記入した第1工程のボックス図は下のようになります。
ここまでは単純総合原価計算と同じです。
次に、第1工程の完成品原価4,000,000円を第2工程の前工程費に振り替えます。
その上で第2工程費のボックス図を作ると下のようになります。
作り方、考え方は第1工程のボックス図と変わりません。
材料費が前工程費と名前が変わっているだけです。
当月投入の前工程費の金額と数量が第1工程の完成品から振り替えられてきているというところだけが新しい考え方です。
ここではこの考え方さえ身につければきちんと解答できます。
解答
- 完成品原価(6,760,000円)=完成品前工程費(4,160,000円)+完成品加工費(2,600,000円)
- 第1工程仕掛品(740,000円)=第1工程仕掛品材料費(500,000円)+第1工程仕掛品加工費(240,000円)
- 第2工程仕掛品(840,000円)=第2工程仕掛品前工程費(640,000円)+第2工程仕掛品加工費(200,000円)
ここでは平均法での具体例となりましたが、先入先出法でも工程別総合原価計算の考え方は変わりません。
仕訳
上のボックス図に関する仕訳を示すと下のようになります。
材料費と加工費を第1工程仕掛品勘定に振り替える
(借)第1工程仕掛品 4,190,000/(貸)材料費 2,600,000
/(貸)加工費 1,590,000
第1工程の完成品原価を第2工程に振り替える
(借)第2工程仕掛品 4,000,000/(貸)第1工程仕掛品 4,000,000
材料費と加工費を第2工程仕掛品勘定に振り替える
(借)第2工程仕掛品 2,620,000/(貸)加工費 2,620,000
完成品原価を第2工程仕掛品勘定から製品勘定に振り替える
(借)製品 6,7600,000/(貸)第2工程仕掛品 6,760,000
月末第1工程仕掛品原価である740,000円と月末第2工程仕掛品原価である840,000円に関しては特に仕訳は切りません。
そのまま次月に繰り越されます。
工業簿記で仕訳の問題はあまり出題されませんが、仕訳は簿記では重要です。
学習するときにはときどき仕訳を確認するといいです。
ボックス図をしっかりと書ければ仕訳は切ることができます。
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工程別総合原価計算についてお伝えします。
工程別総合原価計算
工程別総合原価計算は、製品が2つ以上の製造工程で大量生産されるような企業で使われる総合原価計算です。
工程とは、個別原価計算の部門別計算で出てきた「切削部門」「組立部門」のような部門と似たようなものです。
ただし、個別原価計算と総合原価計算では、計算対象となる原価が違います。
計算対象となる原価
個別原価計算の部門別計算と総合原価計算の工程別計算は似てはいるのですが、計算対象となる原価が違います。
個別原価計算では、製造間接費のみを部門別に計算します(直接労務費と製造間接費を分けられない場合には直接労務費と製造間接費を部門別に計算しますが、例外です)。
総合原価計算では、全ての原価要素を工程別に計算します(加工費のみを工程別に計算する場合もありますが、簿記1級での学習内容です)。
表でまとめると下のようになります。
| 部門(工程)に集計される原価の範囲 | |
|---|---|
| 個別原価計算 | 製造間接費のみ(例外:直接労務費+製造間接費) |
| 総合原価計算 | 全ての原価要素(例外:加工費のみ) |
工程別総合原価計算の計算手順
工程別総合原価計算の計算手順は下のようになります。
- 各工程の原価要素を集計する
- 第1工程の原価計算を行い、完成品原価を計算する
- 第1工程の完成品原価を第2工程に振り替える
- 振り替えられた第1工程の完成品原価を第2工程で前工程費として第2工程の原価計算を行う
ちなみにこの計算手順は第1工程の完成品原価を第2工程に振り替えることで原価が積み重なっていくことから累加法と呼ばれています。
非累加法という方法もありますが、簿記1級の範囲なので割愛します。
工程別総合原価計算のイメージ
工程別総合原価計算を図で表すと下のようになります。
前工程費は第1工程で100%の加工が完了しています。
よって、第2工程では計算上、始点投入の材料と同じになります。
前工程費の計算においては加工進捗度は全く考えないということです。
ちなみに単純総合原価計算は下のようになります。
違いをしっかりと理解しておくことが重要です。
工程別総合原価計算の勘定連絡図
工程別総合原価計算の勘定連絡図は下のようになります。
原価の流れをきちんとイメージしておくことが重要です。