歴史のことば劇場93 

 経済の主役は、人間の創造力 



  

JICAの発表した「ホームタウン」構想は、「アフリカ移民が押し寄せる」などとSNSで炎上し、事実上、廃止となったそうですが、

しかし、今後世界で人口増加をみるのはアフリカとされます。

世界人口の増加率は、2005~10年の1.16%から21世紀末までにゼロへと低下し、100億人前後で頭打ちになる(阿藤誠ら『世界の人口開発問題』)。

開発途上地域もこれに並行し、2100年で87億9千万人、先進国の増加率はほぼゼロで2100年で13億3500万人と、世界の9割近くが途上国側の人口となる。 


しかし、中国やインドなどアジアや、ラテンアメリカも21世紀半ばから急激にマイナスに転じ、アフリカは2100年の上位30か国に、ナイジェリアが3位、タンザニア5位、コンゴ8位など14ヶ国も入る。

一方、日本は2010年に10位だったのが、27位の9133万人に転落する… 

 だが、シュンペーターは、人口減少は「投資機会の枯渇」ではなく「別の投資機会を生みだす」と予言しました(1942)。

曰く、総人口が伸び悩めば、需要が伸びず、生産が伸びず、投資も伸びないと言われるが、欲望と有効需要は別物だ。

もし欲望が有効需要であれば、最貧国の需要が最も旺盛なはずだが、実際は富裕国の出生率の低下で自由に使える所得が他のルートへ向かう。 

 また、マルクス主義やケインズ経済学の言う「投資機会消滅論」は成立しない。

失業者の規模、出生率の低下で生産的な仕事に就く女性の増加、死亡率の低下による働ける期間の延長、次々登場する省力化装置、質の劣る生産要素が避けられる(収穫逓減の法則が働かない)可能性―これらを考えれば、次世代の一人当たりの生産効率は上がるだろう。 

 しかも、資本主義の大量生産には低所得層を実質的に豊かにする構造がある。

入手の労力を減らし、仕事から解放される余暇を生み、社会立法、フェニミズム、平和主義、少子化も、資本主義の現象だ。資本主義は、連続的で進化的な過程であり、政府の積極介入がなければ停滞するとのケインズの衰退論では革新(イノベーション)の実質は見失われる、と。

 レーガノミクスの理論家G・ギルダーも、

ケインズ流の需要理論や財政・金融論はインフレ政策の一種とし、企業家の創造的活動を中核に据えなおした。

「経済学の重大な誤りは…この創造的活動という高レベルの問題を計測や交換、物質的産物と生産要素といった低レベルのものの下位に置いたことだ。

それは精神の自由なはたらきを一定の物質的反応に、思考を神経化学に還元しようとする科学者の誤りにひとしい」(1986)

 

近年でも

「テクノロジーを進歩させるには…決定的論的な数学の論理を超越しなければならない」。 

コンピュータは「決定論的」だが、人間の脳は「創造的」だ。AIは脳の代わりではなく、脳を再現する方向へ向かう。

「意識が思考から”生まれる”わけではない…逆に、意識から思考が生まれる」(2018)と。

 

要するに、何を持っているかではなく、何をするのか(シュンペーター)、

「決定論的」な財政・金融論よりも人間の創造力や企業家精神を主役とするドラマを描くことが、資本主義の本領の発揮につながるのではないでしょうか。