ヒーズ株式会社の岩井徹朗です。
会社の業務を行う上でコントロールを効かせるためには、事前のチェックが大切です。
振込を行う際、担当者の人が作成した書類を社長が事前に確認し、決裁してから、お金を振込むということは会社でもよく行われています。
実際、事前にチェックしないと間違いを発見できませんし、間違いが起きてからでは遅いというのは事実。
内部統制の観点から言えば、コントロールの強さは「事前のチェック>事後のチェック」です。
一方、少人数でやっている会社の場合、事前のチェックを完璧に実行するのは難しいという事情があります。
・社長は日中ほとんど外出しているので事務所にいない
・いくつかの仕事を掛け持ちでやっているので、すべてを細かくチェックできない
・システムを導入して機械的に確認するほどの件数はない
など会社によって状況はいろいろです。
このため、担当者が上司などのチェックを受けず、全て一人でやってしまうというケースも多いのではないでしょうか。
先日ご相談いただいた会社では、
・経理業務を一人の担当者に任せきりにしていた
・社長も忙しいので、振込前の最終チェックを行っていなかった
ために
・振込先を間違えて送金していた
・振込金額を間違えて送金していた
というミスが起こっていました。
こういった場合、どうすれば会社としてのリスクを減らすことができるでしょうか。
少ない人数で運営している会社に私がお薦めしているのは、「少なくとも事後のチェックをやりましょう」です。
もちろん、事後なので間違いがあった場合は、お客様に迷惑がかかったり、トラブルが起こったりすることを未然に防ぐという点では効果はゼロです。
しかしながら、少なくとも以下のようなメリットがあります。
・事後であってもチェックを受けるので、担当者に対しては牽制となる。
・担当者は事前には上司のチェックなしで実行し、間違った時の言い訳ができないため、より正確に業務をやろうとするインセンティブが働く。
・会社としては最終的にチェックして対処するため、トラブルを比較的早期に解決できる可能性がある。
時々何億円というお金の不正流用の事件が報道されますが、多くの場合、この事後のチェックが甘かったのではないかと推測しています。
事前のチェックを受けていたとしても、業務に熟知した人なら、実際に実行する時にいろいろと操作することは可能です。
したがって、理想は「事前のチェック+事後のチェック」です。しかしながら、もし事前のチェックが物理的、時間的にできない場合は、「可及的速やかに事後のチェックを行う」ことが肝要です。
仕事を任せることは大切ですが、仕事の丸投げは管理者の仕事の放棄。
事後であってもきちんと最後は確認することが、結果的には社員全員にとってハッピーな状態を作ります。
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問題を解決する際の鉄則は「正確な事実に基づいて対策を立てる」こと。
もし、データが間違っていたら、その事実と向き合って修正し、正しいデータに沿って対策を立てましょう。