食事、栄養療法に関する個人的な感想 | 人生を豊かにする本物の医療を目指して。 Dr.SHUTOのブログ 「Wellness&Happiness」

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心と体に優しい医療により、縁ある方々が悔いのない健康で幸せな人生を送るきっかけになりますように。

今まで生活習慣病やがん患者さんなどを診てきた経験から、食事や栄養療法に関して個人的な感想を記述します。

あくまで個人体験談レベルの話ですので、科学的エビデンスがどうとかは無関係であることをお断りしておきます。

 

・炭水化物を制限すると短期間で体重は減る。しかしながらそれは体内の水分が減るだけ。

 

・炭水化物制限を長期でしすぎると体内の保持水分が減り、お肌がパサパサになる。

 

・炭水化物制限をある程度の期間続けると、1日のトータルカロリーが減少して、いずれはエネルギー不足になるので、まずは脂肪よりも筋肉が減って不健康にやせてくる。やり過ぎると、ボディラインが崩れ、変な痩せ方、かっこ悪い体型になる。ただし、炭水化物制限をしても、たんぱく質と脂質でそれまでと同等の十分なカロリーを摂取していればそこまで痩せるわけではない。

 

・そのため、極端な炭水化物制限をするのは、1ヶ月か、せいぜい3ヶ月以内でやめた方がよい。

 

・筋肉の減少を防ぎ、健康的にやせるには、適度な運動は必須である。

 

・運動して筋肉をつけるにはタンパク質が大切だと言われるが、十分で適度な炭水化物も摂らないと運動によるエネルギー産生のために筋肉が減ってしまうので、たんぱく質(プロテイン)ばかり摂取しても筋肉量はある程度以上は増えない。

 

・炭水化物制限をし過ぎると、便秘になりやすい。理由は、食物繊維が不足しやすいから。十分な食物繊維の摂取は常におこなうべき。

 

・タンパク質を摂ることに重点を置き過ぎると炭水化物が不足しやすく、そのため便秘になりやすい。また、タンパク質の摂り過ぎは消化不良を起こしやすいので、胃腸が弱い人、消化力が弱い人は注意が必要。

 

・現代の食卓において、「普通の食事」をすると過剰になりやすいのは炭水化物(糖)と油である。その場合、油は、身体に悪い飽和脂肪酸が過多になりやすい。それが現代において生活習慣病が多くなってしまっている一因と考えられる。

 

・「質の悪い油」をいかに減らすかが生活習慣病対策のポイントだが、一方で質の良い油(必須脂肪酸、オメガ3などの不飽和脂肪酸)は必要量とることが大切である。質の悪い油は、揚げ物や化学合成された植物油脂、トランス脂肪酸などのこと。油には注意が必要。

 

・ダイエットをしたいなら、質の良い油は必要量とること。油を制限しすぎると、お肌がパサパサになる。油を制限しすぎるとホルモンバランスが崩れて不健康になり、精神不安定にもなる。

 

・極端なカロリー制限を継続していると、ホメオスタシス機能が働き、新陳代謝が悪くなり冷え症になりやすくなる。つまり、適度なカロリーを摂らないと低体温になりやすい。

 

・適度な減塩、食事改善、適度な運動で、高血圧と高脂血症は減薬または断薬できる。

 

●<がんの食事療法の場合>

私はこれまで、たくさんのがん患者さんを診てきました。その感想と個人的見解です。

これも科学的エビデンスがあるわけではなく、過去の診療の経験に基づく個人的な偏見です。

 

・がん細胞は、タンパク質をどんどん消耗するので、十分なタンパク質を食べる必要がある。

 

・極端な炭水化物制限を推奨する食事療法があるが、上記の理由で、気をつけておかないとエネルギー不足になって筋肉量が減少してしまい、体調悪化につながる。便秘にもなりやすくなる。

 

・断食が良いという考えがあるが、がんの場合は、断食やり方や断食の適応があるかについても要検討。

 

・極端な減塩を続けると、元気がなくなり、生活自体がつらくなり、食事すること自体が苦痛、ストレスになってしまう。

 

・にんじんりんごジュースばかり飲んで身体が冷えてしまっている。

 

・玄米は健康によいということで、がんの食事療養で用いられることがよくある。

しかしながら玄米は消化力が必要もしくはデトックスする力が強すぎて、がん患者さんには胃腸に負担がかかりすぎる。もしくは食欲がわかなくなってしまうので白米が良い場合が割と多い。実際、玄米食を続けられない患者さんが多くいた。

 

・あらゆるサプリに高額なお金をかけてしまっている患者さんも多い。しかしながら、がん自体による強化吸収力の低下、またがんの治療により肝臓や腎臓や胃腸が弱っていることも多いので、むやみにサプリを大量に飲んでも体はサプリを消化吸収したり利用できないのではないか?サプリは使用したとしても、胃腸の負担も考えても必要最低限にした方が良い。

 

・がん患者本人よりもまわりの家族の方が食事療法に熱心で、家族からあれダメこれダメ、あれ食べろこれ食べろと強要されてストレスが溜まっている患者さんによく遭遇する。

 

・医学的な治療と、食事療法や生活習慣の改善、栄養療法の併用でうまくいくこともあるが、がんになってからライフスタイルを変えていくのはストレスが多く大変。予防医学が大切と思うし、結局は元気なうちから「自分の健康は自分で創る」という意識をもった方がかなり楽だし、人生が充実する。

 

・どんな時でも、悔いなく生きることを考えて行動すること。死ぬ瞬間に満足できていればその人の人生は成功であり勝利である。