前回の安倍元首相暗殺テロ事件と今回の岸田首相襲撃テロ事件とはちょっと異なるようだ。
安倍元首相暗殺テロ事件は多くの疑惑があり、犯人山上の単独犯行とは思えない胡散臭さがあったが、今回のテロは素人臭くてまさに単独犯だろう。
安倍元首相暗殺テロ事件の疑惑は、ケネディ大統領暗殺事件と異なり政府が事件の徹底追及を指示しなかったことにある。
つまり、体内に入った疑惑の銃弾が未発見なことや司法解剖結果の杜撰さ、改造銃による散弾が何故か安倍元首相のみに当たった（神業か！）こと、その他の銃弾が見つからないこと、改造銃の命中度への疑問（改造銃の発射実験をしていない可能性）、奈良県警の警備への疑惑（わざと警備を手薄にした疑い）、安倍元首相が銃弾に倒れたあと周りで救助活動した者への調査結果が全く出てこないこと（介抱していた二人の女は何処に消えたのか！マスコミはなぜかスルーした。にもかかわらず今回の木村逮捕に協力した漁師には記者会見までしたというのに）、捜査全般を田舎県警の奈良県警に任せ、いい加減な捜査で済ませたこと、早々と安倍元首相を荼毘に付してしまったこと
銃撃された安倍元首相を介抱する怪しい二人の女、どこに消えた！
等々ジャーナリスト山口敬之氏がYoutubeで徹底追及していたが（といっても私はなぜか空しい思いが募って見ていないのだが）、それらは政府権力によって早々と封印されてしまった。
まさに現在も新しい証拠が出てくるケネディ大統領暗殺事件の追及とは大違いである。それが安倍元首相暗殺テロ事件は山上の単独犯行ではない可能性を強く示唆している。
しかし、今回の木村容疑者の犯行はいかにも素人っぽい。山上は改造銃を何回も試射して威力を確かめたとのことであるが（といってもその事実さえ単独犯に見せかけた胡散臭いものであるが）、今回の手製爆弾は爆破実験をしていないようで、爆発威力は弱く、発煙筒如きの役割しか果たさなかった。
つまり、この手製爆弾で本気で岸田首相を暗殺しようという企図はなかったようだ。単なる脅し？
木村容疑者が口を閉ざしているから、犯行意図がわからないので、左翼なのか右翼なのかわからないが、現在の政治に不満があったことは確かである。
不満をぶつけるだけが目的なら、手製爆弾は大げさだった。それは人生を賭けてしまったことになる。
未遂であってももう彼の人生は止まってしまった。その割に計画性が感じられない。爆弾作りだけは執念深いようなので、そちらのオタクだったのかもしれない。
政治的なインパクトなら、フランスマクロン大統領に卵を投げつけたり、ブッシュ大統領に靴を投げつけたりといったパフォーマンスだけでよかったのである。漁港だけに、板に乗ったかまぼこを投げるとか…。
しかし、日本でテロが２度も発生したことが世界を驚かせている。
今の世界はそれぞれの国で内外が混とんとしている。国内政治も国際政治も新自由主義的政策とグローバリズム政治により、秩序が安易に破壊され、生活を直撃している。欧州ではそういう政治にアンチを唱える手段として、大規模デモが頻発している。そして多くの市民も賛同している。特にフランス！
翻って日本は、３０年も続く不況下にあって、高インフレのもと、少子化対策と称して子育て世代の票のみを狙った政策が安易に立案され、それが増税又は社会保険料の増という形で結局は国民から回収されて、さらに格差が広がろうとしているのに、それに反対する政治勢力は全く（希望がみえるのは参政党ぐらいか）なく、閉塞感のみ広がっている。何の希望も国民に与えられず、ウクライナには１兆円近い金を財源のことなど全く論ずることなくアメリカの言いなりで支払うのに、国内の政策には子ども政策を除き、常に「財源はどうするの」と足を引っ張ることを続けている。
そんな政治の貧困にうんざりしながら、これで日本はいいのかと鬱屈させる若者が数多くいてもおかしくはない。
そんな中、「表現者クライテリオン」の最新号（５月号）が１４日発売された。
その表題は「岸田文雄は日本人の象徴（依存症のなれの果て）である」とされている。
そして元自民党政治家亀井静香氏といつもの藤井聡、浜崎洋介両氏との座談が「岸田文雄とは何者か？」というテーマで特集座談会として載っている。
そこで亀井氏は奇しくも岸田首相のテロ事件を予言する如く次のように発言していた。（この座談はおそらく３月中のことだろう）
亀井▼…アメリカのポチじゃないことも示さないと。Ｇ７サミットでバイデンが広島に来るのだから、ポチじゃないことを証明するいい機会だろう。大統領が「誠に申し訳ないことをした。日本に対してやってはならないことをした。万死に値する」というお詫びをしない限り、広島には行かせないと伝えればいいんだよ。それで「分かりました」と言うのなら案内すればいい。
藤井▼本当にそうですね。ところが岸田さんサイドからは、広島だけじゃなく長崎にまでご案内するという話も出ています……。誠に残念です。
亀井▼あの原爆は人体実験だよ。広島と長崎では種類が違うんだから。そうした所に、バイデンが謝罪の気持ちもなく足を踏み入れるようなことを岸田はさせたらいかんよ。そんなことやったら普通の国ならテロが起きるよ。
テロの時代がやって来る？
亀井▼これからは、下手をしたらテロの時代に入るよ。議会とか労働組合とかの集団が世の中を正す力を持たなくなってきたからね。今の連合なんて、労働者の利益を代表して経営者と交渉していますか。ストもしていないでしょう。（中略）労働組合の幹部が本当に社員のために経営者と交渉しようと思うなら、スト権を確立しなきゃならんでしょう。そのうえで勝負に行かないと、すべてを持っている経営者にはかなわないよ。
藤井▼そうですね。パブリックな暴力装置を使えないなら、プライベートな暴力装置を各人が使わざるを得ない。
亀井▼社会集団が集団の力でもって世の中を正すことができないと思うようになったらそうなるね。選挙で投票に行ったって、政党が議会で正してくれるか？ 野党なんて今や存在しないも同然じゃないか。国会で政府に対して国民の利益を代表してやり合う政党があれば、国民は託すんだよ。だけど、そうでなくなったらテロが出てくる。予言するよ。
藤井▼本当にそうですね。現在国民の中に、「岸田文雄」を熱狂的に支持はしないけれど是認する態度がありますが、その一方で、「岸田文雄」に対する憤りや苛立ちも一部において激しく拡大しているのではないかと思います。
亀井▼テロは四〇％の支持も要らないんだよ。一人いればいいわけだから。
藤井▼そうです。ですから、他人を苛立たせるあの「岸田文雄」という存在は、むしろテロを誘発する契機となり得るのではないかと思います。
亀井▼安倍晋三だって殺されちゃったもんな。彼は熱血漢なところがあったのに、あんな玉突き事故みたいな形で殺されるのはかなわんな。思想信条に基づいて殺されるなら政治家の本望だけれど、そうじゃないでしょう。統一教会と仲がよかったと誤解してやっちゃったわけだから。あの山上という奴はけしからんね。
（引用終わり）
つまり、「テロを断じて許さない」とか「言論を暴力で封じ込めるようなことは、決して許せない」「卑劣なテロや脅迫行為を許してはならない」とかいくら当たり前なことを言っても、テロを防ぐことなど出来やしないのである。
テロがなぜ起きたのか、亀井氏がいう「社会集団が集団の力でもって世の中を正すことができないと思うようになったらそうなるね」は、政治が信頼を失えば行きつく果ては「テロ」しかないと警告しているのである。大人しいとされる日本人ですら暴発してしまう危険がある。政治家はそのことを発言しないといけないのだ。マスコミもしかりではないか。