P.15 「ルシウス、おまえの杖だ。俺様はおまえの杖を御所望なのだ。」


些末なことだが、「御所望なのだ」って・・・。バカボンのパパかと思った。にひひ

ヴォルデモートが、ルシウスに絶対の服従を要求する、かなりシリアスなシーンなのに、

笑ってしまった。


UK版P.14 'Your wand, Lucius. I require your wand.'


というシンプルな文。


そもそも、英語には「 I 」しかない一人称を、日本語に訳すのは難しいと思う。しかし!

最初から、俺様(ヴォルデモート)と我輩(スネイプ)だけは、どうにも気になってしかたない。

最も人々から恐れられている魔法使いなのに、コメディっぽいというか。


いまどき、俺様なんていうのはジャイアンぐらいだし、我輩なんていうのは猫ぐらい

なものである。ちなみに、猫の方は「吾輩」でした。


だから、肝心なシーンになって、スネイプの「Look at me」が「僕を見てくれ」になるのだ。

(このシーンについては後でまた触れたい。)


なにか参考になるものがないかと思って、指輪物語をパラパラめくってみたが、

「わたし」「わたくし」「わし」「我ら」ぐらいしかなかった。ほとんどの登場人物が「わたし」と

言ってても、キャラクターは損なわれてなかったように思う。そもそもセリフの中の一人称は

省略されていることが多かった。なので・・・


試訳:おまえの杖だ、ルシウス。おまえの杖が必要なのだ。

もし脚色するのであれば、この私がおまえの杖を求めているのだが・・・。とか?



「 I 」をあえて、様々なパターンにしているのならば、ハリーとロンは「僕」と「俺」を場合

によって使い分けて欲しかった。年上と接する時は「僕」と言ったとしても、17歳のちょっと

やんちゃな二人が仲間内でも「僕」と言い続けるとは思えない。やっぱり「俺」だと思うなー。



ハートスペードダイヤクラブ


P.51 あのマッチョな暴れん坊のダドリーも「僕」。ま、父親の前なんで、猫かぶってるのかも。


P.57 ダドリー 「おまえはおれの命を救った」 ハリーに対しては「おれ」。でもなぜひらがな?

後半の方で、アルビノ(白)の孔雀が出てくる。そういえば、どこかに孔雀が出てきたなぁと

思い出し冒頭まで戻ったら、小さな間違いに気付いた。


P.7 音の正体は単なる孔雀で、生垣の上を気位高く歩いていた。


UK版P.9 the sourse of the noise proved to be nothing more than a pure white

peacock, strutting majestically along the top of the hedge.


pure には単なるという意味もあるが、a pure white peacock となれば、真っ白な孔雀では

ないだろうか。日本でもよく携帯のカラーとかに、ピュアホワイトって使うし。しかも、白い孔雀

なんて高そうなもの、マルフォイ家の趣味を表していると思うし。


私個人としては、気位高く歩くというのも日本語として、微妙な印象を受けた。

意味は伝わるし間違ってもいないとも思うけれど、「気位が高い」は「彼女は気位が高い」の

ように、性格とか状態であって動作を形容するものではないような・・・。


majesticallyだし、「堂々と」とか「威厳を持って」とか「上品に」とかの方が自然な気がした。


試訳:音の正体は、生垣の上を堂々と歩く(一羽の)真っ白な孔雀だった。

ハートスペードダイヤクラブ 


この項目でいいのかってぐらいの間違いです。


P.51 骨董品の時計


UK版P.35 the carriage clock


試訳:置き時計


もしかしたら骨董品の値打ちものなのかもしれないが・・・。


日本の英和辞典などでは旅行用携帯時計と書かれている。これは、時計が大きなものだった時代

に、持ち手をつけ運びやすくした事に由来する。現在では置き時計の一つとして、様々な場所に

置ける大きさやデザインになり、時計屋で最も多く売られているごく一般的なもの。現在のイギリス

では、かつて旅行用時計だったから carriage clock と呼ばれている事を知らない人も多いとか。


※ carriage 馬車、乗り物、客車



ハートスペードダイヤクラブ


P.79 騎士団のメンバーは、その真っただ中に飛び込んできたのだ


UK版P.52 At least thirty hooded figures, suspended in the mid-air, formed

a vast circle in the midst of which the Order menbers had risen, oblivious-


細かいことだけど、飛び込んで行っただと思う。



ハートスペードダイヤクラブ


P.87 やっとのことで両膝に落下するバイクを押さえながら、


UK版P.56 Barely gripping the plummeting bike with his knees,


日本語おかしいっす。バイクが膝の上に落ちてきてる・・・。


試訳: かろうじて両膝だけで(挟んで)落下するバイクにつかまりながら、



ハートスペードダイヤクラブ


P.138 ダンブルドアの葬儀のあとで、君たちは僕と一緒に来たいと言ってくれたね。


UK版P.83 I know you said, after Dumbledore's funeral, you wanted to come

with me.


来たいでも間違いないと思うけど、この場合行きたいなのでは?その後のほとんどの台詞

では、一緒に行くとしているのだし。



ハートスペードダイヤクラブ


P.236 胃に酸っぱいものが込み上げるように、不安が湧き上がってきた。


UK版P.136 and fear bubbled like acid in his stomach.


直訳すると胃の中の酸のようにだから、翻訳的には間違ってないのかもしれないが(?)

日本語的には、胃から酸っぱいものじゃないかな?


試訳:胃から酸っぱいものが込み上げるように、不安が湧き上がってきた。











今年の夏、「ハリーポッターと死の秘宝」日本語版を読んで、とても哀しくなった。原書を読んだ

直後に読んだのだが、同じ本とは思えないほど受ける印象が違ったのだ。

「のどびこ」「整理箪笥」「厨房」「猿股」「敷居」etc...。いつの時代のどこの何の話だろう?


友達に話したら、「去年も全く同じこと言ってた」と言われた。

そうだった!去年は人生初の富士登山に挑戦し、その道中ずっと「ハリーポッターと謎のプリンス」

の翻訳についてぼやいていたのである。

その友達が覚えているだけでも「おったまげ」「茶さじ」「下手人」などガーン


「だったら、読まなきゃいいじゃん!」と、私の主人。そうなんだけど・・・。

ハリー・ポッターは、私がイギリスに留学していた時に、ホストファミリーの息子さん(当時11歳!)

が「英語の勉強になるよ」と貸してくれた大事な思い出の本なのだ。


あれから9年。帰国してからも原書で読み続け、辞書を引きながらでさえもおもしろいと思ったこの

本が、日本語になったとたんに魅力が半減する・・・。哀しいし、もったいない。

もちろん日本語版を読んで、おもしろいという読者の方はたくさんいるわけだから、全面的に

否定するわけではないが、「なんとかしたい」と思うが強くなる一方だ。私が大好きなお話を

友達にすら自信をもってすすめられない。大人が読んでもおもしろいはずなのに。

物語がぶれてしまっていること、表記の統一感のなさ、キャラクター設定への疑問、時代錯誤の

表現。日本語として疑問を覚える部分も多く、すらすらと読めない。


「死の秘宝」に関しては、

 1) 日本語版を読む。「あれ?こんなこと書いてあったっけ?」と気になり、再び原書を読む

 2) 「うーん。どこに書いてあるんだろう?私の英語、間違ってた?」と、英和辞書を引く。

 3) 再び日本語版に戻るが、今度は「のどびこ」って何?と日本語の辞書を引く。

 4) 最近は、留学時代に現地で買った英英辞典まで引っ張り出してきている。

 

翻訳って途中でみんなで読み合わせたりしないんですかね?

そうすれば、少なくとも今よりはよいものになっていたに違いないのに。


私は本職ではないにしても、翻訳作業をしたことがある。ニュースや契約書なので、物語とは

全く毛色が違うが、それでも翻訳の根底にあるものは変わらないと思っている。誤訳はもっての

ほか、華美に装飾することなく、相手の表現を忠実に再現しなければならない。文面には

書かれていないことを補うことも必要もある。それには、相手の国の背景や文化だけでなく、

何よりも日本語をよく理解していることが大事だと思う。


私の会社では表に出すまでに、何重ものチェックがあった。

自分の文章ではないのだから、その責任たるや自分の物語を書く時よりも重大ではないか。


もう出版されちゃったものだし、どうしようもない・・・と思っていたが、検索してみたら、様々なサイト

を拝見させて頂くことができた。多くの方の努力を目の当たりにして、自分も一歩踏みだしてみよう

と思った。何の役に立つのか、さっぱり自信はないけれど。

今後は、今読んでいる「死の秘宝」をはじめとして、自分が気になった箇所をピックアップ。

最初はランダムになるけれど、ある程度まで進んだら、うまく分類できればいいと思っている。


もしこのブログをのぞきに来られたら、ぜひアドバイスを頂ければと思います!!!