P.545 たぶん、ナギニと数日前に出会ったことで、それに気づいたのだ。


意味は違わないけども。ナギニとはヴォルデモートの蛇。ハリーを待ち伏せていたのだが。

そういう対象を出会ったというのは…変な気がした。せめて出くわしたとかでは。


UK版P.304 perhaps it had taken his recent encounter with Nagini to make him

realise it.


encounterには敵と交戦するという意味もあるしね。


試訳:たぶん数日前のナギニとの遭遇が、そのことに気付かせてくれたのだ。



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P.545 ハリーは、緑色に光る石で象嵌された、蛇のようにくねったSの字を見た。


※以前、このロケットをアンブリッジがしていた時に、「エスの文字はセルウィンのエス」(P.378)

と書かれていて、Sではなくエスと書かれているようにも見えるし(笑)不親切と指摘した。

でも、ここではちゃんとSの字ってなっている…。


また勉強にはなるかもしれないが、象嵌という言葉は大人でも知らない人が多い言葉では。

普通にはめ込んだとかじゃダメなのかな?


UK版P.305 He looked at the serpentine 'S', inlaid with glittering green stone:


試訳:ハリーは輝く緑の石がはめ込まれた蛇のような’S’の文字を見た。



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P.546 そしてカチッと小さな音とともに、ロケットの金色の蓋が二つ、パッと開いた。


想像して下さい。些細なことだけど、これではロケットには二つの蓋があるように思えませんか?


UK版P.305 and the golden doors of the locket swung wide with a little click.


なんてことはない。ロケットがパカッと開いただけです。確かにロケットは二つに開いている

からどちらも蓋と判断すれば、この表現でもいいのかもしれないけど。変な感じ。


試訳:そして、金色のロケットはカチッと小さな音をたて大きく開いた。


ぶーぶー


P.546 二つに分かれたガラスケースの裏側で、生きた目が一つずつ瞬いていた。


~略~


P.547 空っぽになった二つの窓から流れ出す血を早くも想像して


ちょっとこの抜粋では分かりにくいのだが、一連の流れの中で、言葉が変わってしまっていて

不親切だなと思った。ガラスケースと窓は同じ部分を指しているはず。

要は、ロケットの中のガラスの面ってことだと思うんだけど。写真とか入れたりもする…。


UK版P.305 Behind both of the glass windows within blinked a living eye,


UK版P.306 already imagining blood pouring from the empty windows.


と、原書ではどちらもwindowsなんだな。窓でもガラスでも、そろえてほしいと思う。


ぶーぶー


続くページでは…

P.548 ロケットの二つの窓

P.550 二つの窓のガラス



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P.552 しっかり抱きしめた。

「さあ、それじゃ――」

互いに相手を離しながら、


UK版P.308 and hugged.....

' And, now, ' said Harry, as they broke apart.


別にいいんだけど。互いに相手を離しながらって…。体を離しながらでいいじゃんね。



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P.552 興奮で小躍りしながら、ハリーはテントに入った。


どこかでも出てきた小躍り。間違ってないけど…。


UK版P.308 and it was with quickening excitement that he entered the tent,


試訳:高まる興奮とともにハリーはテントへ入った。

興奮をいっそう高めながら



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P,553 リンドウ色の炎


UK版P.309 the bluebell flames


bluebell はリンドウではありません。ベルのような形をした薄紫の花です。リンドウは濃い青

だよね?P.531でハーマイオニーの作る炎をリンドウ色(UKP.297 bright blue)としたからだね。



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P,553 テント布地の背景に溶け込もうとした。


UK版P.309 and attempted to blend in with the canvas.


ハーマイオニーとロンの再会を邪魔しないように…というハリーの配慮。テント布地って

言葉、強引だよね。キャンバス地ではだめなのか?せめてテントの布地とかさ。


試訳:(テントの)キャンバス地に溶け込もうとした。

          キャンバス地に溶け込んで背景になろうとした。


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P.554 「この――底抜けの――おたんちんの――ロナルド――ウィーズリー!」

UK版P.309 ' You - complete - arse - Ronald - Weasley ! '


7巻ではハリーたちが18歳になり、悪い言葉(?)も出てくる。ここでハーマイオニーが

使った arse もその一つ。尻(ass)の意味でも知られるが、ここでは「最低」「大馬鹿」みたいな

感じでは。対する日本語の「おたんちん」は死語だと思うし、いわゆる短いお○ん○んという

意味だから子供が読むものに使ってほしくない。


試訳:「あんたは――最低の――大バカ野郎よ――ロナルド――ウィーズリー!」



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さらにその続き。ぶち切れたハーマイオニー同様、翻訳もとっちらかっている。


P.555 「指図しないでちょうだい、ハリー・ポッター!」
ハーマイオニーが甲高く叫んだ。
「指図なんか! さあ、すぐ返して!それに、
!」
ハーマイオニーは世にも恐ろしい非難の形相で、ロンを指差した。



UK版P.310 ' Don't you tell me what to do, Harry Potter ! ' she screeched. 'Don't you dare !

Give it back now ! And YOU ! '
She was pointing at Ron in dire accusation:


「指図なんか!」っておかしいよね。原書の  'Don't you dare ! ' は、「承知しないぞ!」

という強い怒気を含んだ言葉。さらに最後の「君!」はロンのこと。怒りのあまり名前は呼びた

くないという感じなので「ロン!」とすべきじゃないが、女子がいきなり「君」は不自然では。


試訳:「あなたの指図は受けないわよ、ハリー!」ハーマイオニーが金切り声で叫んだ。
「ふざけないで! さあ、返しなさいよ! それに あなた!」 (そこの人!)

ハーマイオニーは激しい非難をこめてロンを指さした。



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P.565 ハーマイオニーは滅亡した分霊箱をビーズバッグに入れ、

UK版P.314 Hermione put the vanquished Horcrux into the beaded bag,


壊れたモノを「滅亡した」とは言わない。


試訳:ハーマイオニーは破壊したホークラックスをビーズバッグに入れ、...


P.534 罠かもしれない。危ない誘いかもしれない。慎重さが囁きかけた。


UK版P.298 Caution murmured: it could be a trick, a lure, a trap.


trick lure trap は似たような言葉だけど、一応三つあるんですけど。二つしか訳さなくて

いいのかな。


試訳:警告がささやく:何かの策略では?あるいは、おとり、罠―。



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P.535 ハリーは、ほとんど息を止めて剣を覗き込んだ。


UK版P.299 Barely breathing, he stared down at it.


これ、間違いでもなんでもないけど。ようやくグリフィンドールの剣を見つけた瞬間。

ほとんど息を止めてって変じゃない?


試訳:ハリーはほとんど呼吸もせずに、息もつげずに、やっとのことで息をしながら、


とかってした方がよくないだろうか。好みの問題か。



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P.536 それでもやはりハリーは、凍った池の底に横たわる剣にもう一度目を向け

ながら、高揚した気持の中に一抹の恐怖が膨れ上がってくるのを感じた。


UK版P.300 All the same, a little more fear leavened his exhilaration as he

returned his attention to the sword reposing upon the bottom of the frozen

pool.


試訳:それにもかかわらず、凍った池の底に横たわる剣に目を戻すと、

ハリーの高揚した気持ちの中にかすかな恐怖が膨れ上がってきた。


あれ?何が気になったんだっけ?



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P.537 最後の一枚を残して裸足で雪に立つところまで脱ぎ続けた。


ん?少し変じゃない?


UK版P.301 and yet he continued to strip off until at last he stood there in

his underwear, barefooted in the snow.


試訳:(ハリーは)脱ぎ続け、最後は下着姿で裸足で雪の中に立っていた。

試訳:下着一枚になるまで脱ぎ続け、最後には裸足で雪に立っていた。



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P.541 一瞬、沈黙があった。その間に、ロンの去っていったことが、二人の間に壁の

ように立ちはだかるように思われた。


なんかぎこちない。


UK版P.303 There was a pause, in which the subject of Ron's departure

seemed to rise like a wall between them.


試訳:一瞬の沈黙があった。ロンの離脱という問題が二人の間に壁となって立ちはだか

るように思われた。



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また「俺様」問題。


P.547 「おまえの心を見たぞ。おまえの心は俺様のものだ」


ホークラックスを破壊しようとするロンに囁きかける声。もちろん、結果的にはヴォルデモート

なんだけど。その直前にこのような表記がある。「細い瞳孔が縦に刻まれた、真っ赤な眼に

なる前のトム・リドルの目のように、ハンサムな黒い両眼だ。」※この文章もひどいな。

ってことは、このホークラックスが作られたのはトムの時では。ヴォルはトムの時代も自分自身

を俺様って呼んでたんだっけか?

滑稽すぎる。


UK版P.306 ' I have seen your heart, and it is mine.'


※P.548 で声がヴォルデモートになるので、せめてこれ以降に俺様使ってるならば…



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P.549 毒々しい


なぜか毒だけ字が大きくなってますよ?原書がイタリックなのかと思ったら、何にもなってませんが。



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P.551 「ハーマイオニーは、妹みたいな人なんだ」ハリーは続けた。「妹のような気持で

愛しているし、ハーマイオニーの僕に対する気持も同じだと思う。


UK版P.308 'She's like my sister, ' he went on. 'I love her like a sister and I

reckon she feels the same way about me.


日本語の場合sister を「姉」「妹」と分けてしまうので、この場合どちらに訳すか判断するのは

翻訳者によるのだと思う。間違いではないのかも。でも、これまでのハーマイオニーとハリーの

関係を考えると、妹より姉でないかな。

実際、生年月日は…。ハリーは1980年7月30日で、ハーマイオニーは1979年9月19日。

姉弟できょうだいってルビふるとか?


試訳:「ハーマイオニーは姉さんみたいな存在なんだ」ハリーは続けた。「姉のように

愛してるし、ハーマイオニーだって同じように感じてると思うよ。


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P.552 ロンは暗闇を見回した。どこかから自分を罵倒する言葉が襲ってくれないか、

その言葉が自分の口を突いて出てきてくれないか、と願っているようだった。


UK版P.308 He looked around at the darkness, as if hoping a bad enough

word would swoop down upon him and claim him.


なんか変な文章だな…。確かにswoopには急襲するという意味もあるけど、フクロウの描写

とかでも出てくるよね。急降下とか。


試訳:ロンは暗闇を見回した。どこからか自分を罵倒するのにふさわしい悪い言葉が

降りてきて、主張してくれないかと願っているようだった。


P.480 刺すように冷たい夜気を深く吸い込んで


UK版P.269 now taking deep, sharp gulps of the night air


重箱の隅をつついているような感じなんだけど。夜気を深く鋭く吸い込んでかと思った。

deep と sharp はともに gulps にかかっているのでは?



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P.482 まだアボット某(なにがしとルビ)の墓のところまでしか


UK版P.270 the unknown Abbott


なにがしって。まちがいではないのだろうけど、違和感。見知らぬアボット家じゃだめなのかな?



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P.496 化粧台が尾の一撃を受けた。ハリーは横に転がって辛くも身をかわしたが、

いまのいま倒れていた場所が打たれ、粉々になった化粧台のガラスが床に転がる

ハリーに降りかかった。


まどろっこしい…。


UK版P.278 He rolled sideways, narrowly avoinding the snake's tail, which

thrashed down upon the table where he had been a second earlier: flagments

of glass surface rained upon him as he hit the floor.


試訳:ハリーは横に転がって、尾の一撃をかろうじてかわした。一瞬前までハリーが

いた鏡台を尾が強打する。ガラスの破片が床に倒れこんだハリーに降りかかった。


ハリーって3回も出てきちゃった。



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P.499 からハリーの意識がヴォルデモートの意識と重なり、そのまま回想へ入る。

そのシーンはヴォルデモートがハリーの両親を襲った日なので、ヴォルデモートの回想でしか

ありえない。しかし、その主語が「あの人」となっている。原書はHe。「あの人」とは、その存在を

恐れた一般の魔法使いたちが使っていた呼称。この場の主語にはふさわしくないのでは?

「彼」を使いたくなかったのかもしれないが。


さらに、P.503には地の文にモノローグのように「こいつは、俺様がジェームズでないのがわかった

のだ」とある。ここだけ、俺様?


また、このシーンでは古印体のようなフォントに変わっている。それは、日本語訳では

ヴォルデモートのセリフに使われているもの。ところが、回想中のヴォルデモート以外の

セリフは通常の字体に戻るのだ。これが全て回想なのに、違和感。だったら本文も変えなくて

いいのでは?原書はイタリック。



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P.518 「サメの脳みそ」


UK版P.290 ' She's nutty as squirrel poo. '


リータの文章の中の表現。バチルダに関する表記なのだが、分かりにくくなっている・・・。この

前後の表現が全然意味不明でした。

特にここは、直訳すれば「彼女はリスのうんちのようにおかしい」ってなる。なのに、サメ?

サメは体の割に脳が小さいってことからきているのだろうが。ここまで変えてもいいものか。

サメの脳みそが、もっと有名な慣用句とかならいいんだけど・・・。かつて森・元総理がこうのの

しられたらしいよ。



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P.521 ダンブルドアこそマグル生まれの最も偉大な闘士であると、常にそのイメージを

描いた人々にとっては、なんたる打撃!


UK版P.292 What a blow, for those who have always portrayed Dumbledore as

the Muggle-borns' greatest champion !


champion は、主義や主張の代弁者、擁護者という意味。闘士には、主義のために戦う

人という意味はあるのだが、分かりにくくないか?


試訳:ダンブルドアこそマグル出身者の最も偉大な擁護者であると…



ハートスペードダイヤクラブ


P.527 真っ白な何もない空間で、二人は立ったまま見つめあっていた。この広い空の

下で、ハリーは自分たちが虫けらのように取るに足らない存在だと感じていた。


これは個人的な趣味の違いかも。なんで急に真っ白な何もない空間?と思ってしまった。

魔法の世界のことだから、また別空間にいったの?とも思えるし。

原書を見てみると


UK版P.295 and they stood looking at each other in the whiteness nd emptiness,

and Harry felt they were as insignificant as insects beneath that wide sky.


そのまま訳してあるから間違いではないのかな。この白って雪のことなんだよね。足したら

だめなのかな>

で、今度は空の下・・・のかかりかたが気になる。この広い空の下の虫なのでは?


試訳:(雪で囲まれた)真っ白な何もない空間で、二人は立ったまま見つめあっていた。

自分たちはこの広い空の下の虫のように取るに足らない存在だと、ハリーは感じていた。



ハートスペードダイヤクラブ


すごい些細なことなんだけど。雪面って言葉、ありそうだけどなじみがないよね。こういう風に

変な省略言葉多い。雪の地面とすればいいのに。


P.531 ハリーの両足は雪面を離れたかと思ううちに固い地面を打った。木の葉に覆わ

れた凍結した地面のようだった。


UK版P.296 Harry's feet parted company with the snowy ground then slammed

hard on to what felt like frozen earth covered with leaves.


試訳:ハリーの両足は雪の積もった地面から離れると、激しくたたきつけられた。

木の葉で覆われた凍った地面のようだった。



ハートスペードダイヤクラブ


上に同じ。


P.533 新雪の粉雪に


意味かぶってるっていうか。まぁ、こういう言い方もありかもしれないけど。


UK版P.298 in the fine powdering of snow.


試訳:積もったばかり粉雪の上に、きれいな粉雪の上に、新しい粉雪の上に、



ハートスペードダイヤクラブ


P.533 ハリーは呆然として牝鹿を見つめた。見知らぬ生き物だからではない。なぜか

この牝鹿を知っているような気がしたからだ。この牝鹿と会う約束をして、ずっと来る

のを待っていたのに、いままでそのことを忘れていたような気がした。


好みの問題ですが。


UK版P.298 Harry stared at the creature, filled with wonder, not at her

strangeness, but at her inexplicable familiarity. He felt that he had been

waiting for her to come, but that he had forgotten, until this moment,

that they had arranged to meet.


試訳:ハリーはじっとその牝鹿をじっと見つめた。見知らぬものではなく、むしろ妙に

親しみを感じて不思議な気持ちでいっぱいだった。ずっとその牝鹿が来るのを

待ち続けていたのに、それを今の今まで忘れていたのだと思った。そして、もともと会う

予定だったのだと。