【幻】モーニン・ブルーズ 2023/08/26 | 澤田修ブログ

澤田修ブログ

ラジオDJ、ナレーター、音楽ライター、肉好き男、
澤田修のブログ

mb230826

 

TM. Walikin’ Blues「アサー」入り /  Paul Butterfield Blues Band

-R.Johnson-  Rhino 8122 798434 0

 

N  アサー、です。8月も今朝が最終回。8月は「暑い、暑い」と言っているうち 

 に過ぎて行った感じです。でもまだ5日間残っています。

  八月の最後というのには、わたし自身として美しい思い出がありません。

 昔はこんなに暑くなかったので、晩夏らしく涼しくなるんです。夕方になる

 とヒグラシが鳴いたりして、それはもう寂しいモンでした。そこでひとり感傷にふ

 けったりもしてたな。

  そんな風情も何処へやら、夕食の後には母親が夏休みの宿題を確認するん

 です。これがキョーフでした。わたしは日記をまとめて書いたり、工作に取り組

 んだりで大車輪。なのに面白い企画を考えるとそれに没頭してしまい、9月1

 日からの新学期に間に合わせるだけで精一杯でした。加えて、父親の誕生日

 が8月31日なのです。もちろんこの日はそれどころではなくて朝から晩まで 

 家の中は大騒ぎ。このように夜遅くまで締め付けられた、子供の晩夏でした。

  月が新しくなって9月1日の始業式に出ます。すると、宿題をやって来な

 いで提出しない奴もいる。学級担任もひとりで全てを第一日に検られる訳で

 はないので、冷静に考えれば夏休みの宿題提出には1週間ほどの猶予があり

 ました。そこんとこを読んでおけば、糊や絵の具が乾ききらないまま工作を

 仕上げる必要もなかった、この時期になると決まって思い出す教訓です。

 

M01.4%パントマイム(4’33”)ザ・バンド

東芝 TOCP-xxxxx

 

N  この間、ザ・バンドの仕切り役だった真面目男ロビー・ロバートスンが亡くなりまし

 た。わたしはそれが新聞の訃報欄に掲載されたことが驚きでした。確かにこ

 のグループは偉大だった。ロックバンドのお手本とも言えたでしょう。残された録

 音も沢山あります。ただね、それはあくまでも音楽好きの間での評価で、端

 から見ればただのロックバンドですよ。新聞にメムバの死が載るような存在だった

 のか、と暫く考えさせらたのです。

 

  それとは直接の関係もなく、今週の夜に訪れた場所で偶然耳にしたのが今

 お聞き頂いた「4%パントマイム」でした。ザ・バンドのアルバム『カフーツ』からお届けし

 ました。

 

M02.Come And Stay With Me(3’09”)Jackie DeShanon

-J.DeShanon-  Verse Sarabande  302 066 6122

 

N  その「4%パントマイム」を聞いた帰り道は激しい通り雨になりまして、慌てて側

 のロック・バーに飛び込んだら、流れていたのがジャッキー・デシャノンでした。極めて

 ヌー・オーリンズ風で「ダクタ・ジョンかな」と想像していました。どのアルバムだろう。

  雨をやり過ごして家に戻り、「ジャッキー・デシャノン」を調べたら、なんと女性だ

 ったのです。名前だけは知っていましたが、向き合うのは初めて。弱起いや

  ジャッキー吉川は確か男の筈ですが、女性の自作自演者として、かなりの業績を 

 持っていました。作詞作曲者での功績の方が、大きいかな。わたしは、一瞬

 キャロル・キングを連想しました。

  「ピンと針」や「ベティ・デイヴィスの瞳」など、誰でも知っているヒット曲を沢山

 書いています。ところが彼女自身の唄で、となるとわたしも覚束ない。探し

 たら持っていたのが、今お聞き頂いた「カーム・アンド・ステイ・ウィズ・ミー」でした。

 

M03.Nagasaki(3’02”)Barney Kessel

-Warren, Dixon-  Ubiversal 00025218615624 comtemporary

 

N  ギター、バーニー・ケソー、それとレイ・ブラウンのベイス、そしてシェリー・マンがドラムズとい

 う豪華な顔振れで「ナガサキ」、アルバム『ザ・ポール・ウイナーズ』からでした。以前お

 話したカレー屋、あそこの店内音楽はやっぱり有線放送ではなくて店主が選んだ

 皿を回しているそうです。この間行った時にやはりギターのジャズが流れていた

 ので、尋ねてみました。その時は忙しそうに動いていたので聞けなかったの

 ですけれど、あの時期いたのがケニー・バレルかバーニー・ケソーであった可能性は大き 

 いですね。この次、暇そうな時を見計らって、尋ねてみたいですね。

  長崎というのは鎖国時代にも海外貿易の基地として開港していましたから、

 外国人にも知られています。確かスリム・ゲイラードのリパトゥワにも「ナガサキ」という

 名前の楽曲があった筈です。完全収録曲集で調べてみましょう。

  今「ナガサキ」は世界にふたつしかない原爆被災地のひとつとして有名です。

 この間の長崎市長の発言は気持ち良かったですね。直前の広島宣言を「核兵

 器を容認している。そんな事よりも世界中からこの狂気を拭い去れ」と木っ

 端微塵に吹き飛ばしてくれました。その通りです。「米国の核兵器のお陰で日

 本は守られている」と公言して憚らないプーチンと同等の岸田文雄バカ首相は、

 相当に恥ずかしくて居られなかったんじゃないでしょうか。

  あ、そんな事ないか。あの無神経男にはもう何も聞こえていないようです。

 でなければ明文化されている「大切な」「国民の命に関わる」約束を破れる訳

 が無い。東北の漁師たちは皆んな泣いているんだよ。何が「何十年後に亘っ

 て責任を取る」だよ。あと何年生きられるつもりなんだ、ずっとソーリダイジンに

 居座るつもりなのかよ。漁師たちは泣いているんだよ、思いをまともに受け

 止められず、テキトーに誤魔化されたのが心から悲しくて。

  こういうのは「嘘つき」という、新しい民族性に充分なり得る。海外へ出

 た時に「信用」されなくなる。いいのかな。子供たちは社会の出来事からい

 ろいろ学んで行きます。強く大きな影響は無視出来ません。

  晶文社から「8月15日の子供たち」という1冊が出ていました。1987年

 の初版発行で、わたしが手にしてからも、少なくとも30年は経ちます。長い

 間読んでなくて、毎年の敗戦日が来るとその存在を思い出してました。この

 前、片付けの時にまた出会いました。ただ、後ろの方にも付箋を貼った頁が

 あるところから判断するに、以前に一念発起して通読したようです。

  内容は「神国日本は絶対に負けない」という大ボラを信じ込まされていた

 国民学校生だった人たちの実体験が殆どで、説得力のあるお話ばかりです。

 でもね、「『戦争に負ける』という事がどういう状況なのか、誰も知らなかっ

 た」こういう表記には読んで行くと何度も出会います。恐ろしい。それと、

 非常に優れた思想統一のお陰でしょうか、「神国日本は絶対に負けない」と言

 い張った、国家中枢を操る政府高官に対する鋭い批判的な観点も欠如してい

 る点にも恐怖を覚えます。「神」だったテンノー・ヒロヒトは敗戦後「人間」になって

 しまったのですよ。ナーニが「神国日本」だ。

  「忖度」に象徴される「ゴマ擦り」文化でこの国は存えてきましたが、為政

 者の動向には、もう少し敏感になっても宜しいのではないか、と感じる事し

 きりな2023年の暑い暑い晩夏であります。

 

 

M04.Gris-Gris Gambo Ya Ya(5’36”)Dr. John, Night Tripper   

-trd.arr.by M.rebennack-  ATCO / Rhino 8122 79836 7

 

N こういうのは何という音楽でしょうか。サイケとも違うな・・・やはりブードゥー

 音楽になるのかな、ダクタ・ジョンとナイト・トリッパーの「グリグリ〜ガムボ・ヤヤ」でし

 た。ダクタ・ジョンが登場して来た時には、月刊誌ニュー・ミュージック・マガジーンの中間

 部にある「ニュー・スター登場」とか言う新人紹介欄で紹介されていたのを、読ん

 だ記憶があります。その頃はヌー・オーリンズといえば型通りのディキシー・ランド音楽

 だけで、まだカリブやケイジャンとの絡みが誰も分かってなかったのでしょう。そ

 の紹介記事も非常に難解で、オドロオドロしい文章でした。読んでいて、何かし 

 ら怖くなりましたね。

  制作元のアトランティックでも扱いに困って、準サイケ的カリブ民族音楽として手を打っ

 たようです。今の「グリグリ〜ガムボ・ヤヤ」でも、終了間際のマルチ・テイプ処理の

 辺りに関係者の悩み、葛藤が感じ取れます。

  彼が一般的に受け入れられるのは1972年の『ガムボ』アルバム以降でして、そ

 こではこんな親しみ易い音楽を披露しています。

 

M05.Huey Smith Medley   

:High Blood Pressure~Don’t You Just Know It~Well I’ll Be John Brown

(3’18”)Dr. John  -H.Smith-  ATCO / Rhino 8122 79836 7  

 

N  ダクタ・ジョンで「ヒューイ・スミス・メドリー」でした。「高血圧」「あんた、それ知らな

 いの」そして「分かった、俺がジョン・ブラウンになるよ」の3曲。楽しい原曲に

 は感じられない、部分的な気持ち悪さはこの人ダクタ・ジョンの個性でしょうか。

  そのダクタ・ジョンが1981年にピアノ・ソロのアルバムを出していまして、その時の

 録音が今回追加トラックを含む2枚組CDで出ます。81年当時わたしはLPでこ

 の作品を持っていました。発売直後に南青山のパイド・パイパー・ハウスで買った

 筈です。それまでの作品は全て初回プレスのみで廃盤でしたから、新譜で買え

 るダクタ・ジョンのレコードは、これしかなかったのであります。

 

M06.Memories Of Professor Longhair(3’51”)Dr. John

-trd.arr.by M.rebennack-  BSMF 7706  

 

N  それを40年も経ってまた聞いていますが、今の「プロフェッサ・ロン毛の思い出」

 には記憶がないなあ。その頃、しっかり聞いていなかったのではないんでし

 ょうね。

  今回の2枚組にはパイントップ・パーキンズへの「熱い想い」も  収録されていま

 す。

 

M07.Pinetop(3’11”)Dr. John

-trd.arr.by M.rebennack-  BSMF 7706  

 

N  ダクタ・ジョンで「パイントップ」でした。表題になっている「マイク・レベナック」とい

 うのは彼の本名ですね。ですから、これは逆でして、『マイク・レベナック・プレイズ・

 ダクタ・ジョン』ではないか、とわたしは1982年から考えていました。

  さてここまでは、ヒューイ・ピアノ・スミス、プロフェッサ・ロングヘア、パイントップ・パーキンズ

 とダクタ・ジョンが、尊敬するピアノ弾きたちを紹介して来ましたが、ようやく御

 大の登場です。

  何と「ビッグ・マック」、どうぞお召し上がりを。

 

M08.Big Mac(5’07”)

-M.Rebenneck-  BSMF 7706  

 

M09.Misty(7’16”)山本 

-E.Harner-  スリー・ブラインド・マイス TBM CD 1830   

 

N  ダクタ・ジョンの「ビッグ・マック」に続いたピアノ演奏は、この国の山本剛の「ミステ

 ィ」でした。これも真夏の片付けの際に出て来た1枚です。久し振りに聞きま

 した。「スリー・ブラインド・マイス」というレイベルは、この国の独立系レコード会社の祖

 とも言うべき存在で、アクースティクの保守的な作品を多く発表していた。それなり

 に評価は高かったレイベルです。レイベル名は古いジャズの佳曲から採られていて、 

 「マイス」とちゃんと複数形になっているところが、ひねくれ者ワツシイサヲの心を

 クスグったのであります。

 

M10.Lean On Love(4’41”)テレサ・ジエームス 

-unknown-  BSMF 2837

 

N  これはテレサ・ジェイムズの「リーン・オン・ラーヴ」、新譜『ローズ・カラード・グラセズ』か

 らです。「絶対的な歌唱力」とありますが、この人は「声」で損をしているん

 じゃないでしょうか。この発声と唄い方は古いカントリーの女性歌手によく似てい 

 るような気がします。少なくとも、黒人音楽を土台にしたロック的ではない、そ

 んな感じがしました。アルバム全体はよく出来ていますし、細かなアレンジも、ち

 ゃんと施されてはいますが、表現の「衝動」的な何かに欠けている、そんな

 印象でしたね。はい、いつもながらの余計なお世話、言いたい事を無責任に

 言いました。テレサ・ジェイムズとリズム・トラムプス、新譜アルバム『ローズ・カラード・グラセズ』

 の中でわたしが一番気に入った「リーン・オン・ラーヴ」お届けしました。

 

M11.Erasure(2’43”)コリーヌ・ベイリー・レイ 

-C.B.Rae-  BSMF REDN-0044

 

N  電気パンクとでも言いたくなるこの音楽はコリーヌ・ベイリー・レイというイギリスの黒人

 女性歌手の新譜からです。何でもこの新譜は、シカーゴのトーニー・アイランド・アーツ・

 バンクの展示を見て感動して作ったそうです。過激ですね、表現が。やっぱり

 白人世界での黒人の歴史に接すると、「怒り」がこみ上げてくるのでしょうか。

 今お届けしたのは「イレイジュア」、では表題曲「ブラック・レインボウ」続いて「レド・

 ホース」をどうぞ。

 

M12.Black Rainbows(1’59”)コリーヌ・ベイリー・レイ

-C.B.Rae-  BSMF REDN-0044

 

M13.Red Horse(5’43”)コリーヌ・ベイリー・レイ

-C.B.Rae-  BSMF REDN-0044

 

N  大いに思わせぶりですが、それでも普通の作品、「レド・ホース」でした。黒人

 の歴史に触れた怒りが淘汰されたら、こんなモチーフの歌をもっと唄ってほしい

 な、そんな気がしたコリーヌ・ベイリー・レイの新譜『ブラック・レインボウ』でした。

 

M14.追憶のハイウェイ61(5’00”)ジョニー・ウインター

-B.Dylan-   ソニー SICP 30550/1

 

N  あの賛否両論だった来日公演の時と同じように高周波のフィードバックが耳に付

 きましたが、それを凌ぐスライド・ギターの妙。ジョニー・ウインター「追憶のハイウェイ61」

 でした。これは「ボブ・ディラン30周年記念コンサート」という実演の時の録音です。

 音楽会自体は1992年10月にヌー・ヨークで開催されました。これはその実況録音

 盤の「デラクス・エディション」なのです。これも「灼熱下での片付け」時に出て来

 まして、わたしとしましては「へえ、こんな集まりがあったのか」という思

 いで聞きました。

  その日集まった人たちが凄い。ボブ・ディランという音楽家は、こんなにも大

 勢の人たちに影響を及ぼしたのか、と呆れてしまうほどです。

  次はリッチ・ヘヴンズの「女の如く〜ジャスト・ライク・ア・ヲーマン」。

 

M15.女の如く(5’40”)リッチ–・ヘヴンス 

-B.Dylan-   ソニー SICP 30550/1

 

N  1969年のウードストークで「フリーダム」を唄ったリッチ・ヘヴンズ、単純ながら激しいコ

 ード弾きは健在、「女の如く〜ジャスト・ライク・ア・ヲーマン」でした。そして・・・、

 

M16.マイ・バック・ペイジズ(4’39”)

ボブ・ディラン、ロジャー・マッギン、トム・ペティ、ニール・ヤング、

エリック・クラプトン&ジョージ・ハリスン

-B.Dylan-   ソニー SICP 30550/1

 

N  こうやって唄う人が変わる度に大きな拍手と歓声が浴びせられるのは、集ま

 ったお客さんたちも、しっかり分かっていらっしゃるという証拠ですね。お

 客さんがいなくちゃ実演は成立しません。今年の甲子園の決勝みたいです。

 限りなくとても美しい。

  さて次はまた新譜です。クロアチアのヴァーニァ・スカイという女性ギター弾きが唄いま

 す。ナントその歌はサム・アンド・デイヴの「アイ・テイク・ワット・アイ・ヲント」。

 

M17.I Take What I Want(3’30”)ヴァーニァ・スカイ 

-Hayes, Porter, Hodges-   BSMF 2836

 

M18.アイ・テイク・ホワット・アイ・ウォント(2’32”)サム・アンド・デイヴ  

-Hayes, Porter, Hodges-  ワーナー WPCR  13404

 

TM Born Ind Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band

-N.Gravenites-  Rhino 8122 798434 0

 

N  最後は本家本元のサムとデイヴで「アイ・テイク・ワット・アイ・ヲント」でした。もちろん

 スタクスの黄金リズム。このテイクは特にアル・ジャクスンが素晴らしかったですね。

  あ、もう時間かな。この「アイ・テイク・ワット・アイ・ヲント」につきましては、また

 来週お話をいたしましょう、お楽しみに。乞うご期待です。

 

    今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。どうぞお楽しみ下さい。

   https://14.gigafile.nu/0830-c95c4f73305e80a689e1e2e294f0f2737

   使用音楽素材図絵は、こちら。

   https://14.gigafile.nu/0830-c0ccf8ab93f3db85d96c7446890b5af60

   ダウンロード・パスワードは、ふたつとも「なし」で開けられます。

 

  今週もちょうど時間となりました。

  こちらは、https://ameblo.jp/djsawadaです。

  どんなコメントでも受け付けています。どうぞご自由にご投稿下さい。

  ツイターのhttps://twitter.com/search?q=%EF%BC%83blues761&src=typed_query&f=live  も便利です。

  お好きな方でどうぞ。

 

  「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来年も首都圏で9人のあなただけに。

   そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。東京はまだ暑いアサーです。

 

 

※【幻】告知専用Twitter アカウントがあります。 フォローお待ちしています。 
◆Twitter ➡ mornin_blues @BluesMornin

https://twitter.com/BluesMornin?s=20 )

◆Twitter ➡ 鷲巣功【本人]@Isao_Washizu