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前TM. Walikin’ Blues「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band
-R.Johnson- Rhino 8122 798434 0
N アサー、2023年7月29日、「幻」モーニン・ブルーズが始まります。
わたしの怠慢が原因で、いつもの午前3時に更新が叶わない所があるかもし
れません。こちらの責任です。詳しい事情は・・・、個人的にならばお伝え
しますので何処かで見かけたらば、お尋ね下さい。
さて先週、近所の音楽喫茶で行われたレコード・コンサートに出かけ、そこでデビュ
ー期のフリートウド・マックの姿を、少し知る事が出来ました。
わたしは16歳の時に彼らがシカーゴのチェス・ステューディオに乗り込んで現地のブルー
ズ演奏家たちと行ったセッションの録音、邦題『ブルーズ・ジャム・アット・チェス』LPを
手に入れました。これを買ったのは、わたしがフリートウド・マックのファンだったので
はなく、そこで付き合っているシカーゴの音楽家たちが、それまで活字でしか知
らなかった「ホンモノ」の「黒人」ブルーズ・メンだったからです。ピアノのオーティス・スパ
ンでしょ、ベイスのウィリー・ディクスン、ハモニカはビッグ・ヲルター・ホートンなどなど。たぶん
正式には呼ばれていない人たちもたくさん居たはずですが、1970年当時、彼
らの演奏を田舎の貧乏少年が聞く事なんかは絶対に不可能でしたから、わた
しは飛びつくようにして手に入れたのです。このジャム盤は本来2枚組の廉価
盤でしたが、国内では第1集、第2集として別々に洋楽の定価で発売されて
いました。
わ たしが始めに手に入れたのは『ブルーズ・ジャム・アット・チェス・ヴォリウム・トゥ』
と銘打たれた第2集。たまたまレコード店にその盤があったからで、他意はあり
ません。これがきっかけとなって、一生このブルーズの悪魔と付き合う運命に
なったのです。
M01.My Heart Beat Like A Hammer(3’00”)Fleetwood Mac
-unkown- SONY 31-474612-10
M02.Long Grey Mare(2’17”)Fleetwood Mac P.G./hca.
-unkown- SONY 31-474612-10
N フリートウド・マックで「マイ・ハート・ビーツ・ライク・ア・ハマー」、これには「高鳴る鼓動」
という邦題が付いていたかな、そして「ロング・グレイ・メア」でした。ピーター・グ
リーンは、ハモニカもイケますね。でもやっぱりギターでしょう、これです。
リル・ウイリー・ジョンの「アニージョ・ラヴィン・ソバッド」。
M03.I Need Your Loin’ So Bad(3’45”)Fleetwood Mac
-unkown- SONY 31-474612-10
N この「アニージョ・ラヴィン・ソバッド」はお腹に子供を身籠った尼さんがジャケットの
邦題『聖なる鳥』だったかな、そんなLPに入っていました。レコード店頭で試
聴し、冒頭のギター・ピックアップ・フレイズで「これだよ」と叫んだら、すぐ弦が入
ってきたので「あれえ」と頭を掻いたのを今もはっきりと覚えています。
先にお話しした『ブルーズ・ジャム・アット・チェス』では、ジェレミー・スペンサーの弾き
唄うエルモ・ジェイムズ・スタイルの楽曲が、やたらと多い印象がありました。その頃
はエルモ・ジェイムズ自体を未経験だったので、「何故この形なんだろう」と不思議
でした。その疑問はその年の8月に京都のロック喫茶で大きなスピーカーから出た本
物のエルモ・ジェイムズの音楽で氷解し、年末の国内盤『ザ・ベスト・オーヴ・エルモ・ジ
ェイムズ』購入につながりました。
当時アメリカのコロムビア・レコードは、日本コロムビアに任せていた日本の発売権を解消
してCBSソニーという新会社を発足させたばかり。北米本国でも遅れていた新
しいロック音楽への対応を必死で回復しようと必死でした。その結果、フリートウド・
マックも「ヌー・ロック」の旗手として「ミスタ・ワンダフォー」や「英吉利の薔薇」など
のアヴァンギャルドな部分が誇張されて紹介されていました、これにはわたしも大
いに幻惑されましたね。田舎の貧乏少年にとっては、それまでこのフリートウド・
マックはただのブルーズ・バンドだったのです。
M04.Need Your Love Tonight (3’28”)Fleetwood Mac
-J.Spencer- SONY 31-474612-10
M05.Get Your Back Into It(4’06”)The Nick Moss Band feat. D. G. 3
-unknown- BSMF 2834
N フリートウド・マックが1970年当時のオハコを思い切り演った感のある「ニージョ・ラーヴ・
トゥナイト」に続けたのは、2023年の新譜、ザ・ニック・モス・バンド・フィーチュアリング・
デニス・グルーンリングで「ゲッチョ・バック・イントゥ・イト」、2023年の新譜です。世紀を
超えた不変のエルモ・ジェイムズ・スタイルですね。こうやって聞きますと、音楽はこ
の50年間で何も変わっていない、と気付かされます。ザ・ニック・モス・バンド・
フィーチュアリング・デニス・グルーンリングで「ゲッチョ・バック・イントゥ・イト」でした。
こういうのを聞くと、60年代中期以降、あのイギリスの港町から出てきた4
人組以降それこそ雨後の筍のように出てきたビート・グループは、それ以前にな
かった若者という世代の主張を代弁していたのではないか、とも思えます。
とにかく「ほっとけば爆発して、違法な行為に及ぶ生命力が漲ってんだよ、
この体には」という熱い表現のひとつがロケンローだったのではないでしょうか。
その好例がこれです。
M06ウーリー・ブーリー(2’21”)サム・ザ・シャム & ザ・ファラオズ
-D.Samudio- ユニバーサル UICZ1435/6
N 「ウーリー・ブーリー」、サム・ザ・シャム & ザ・ファラオズです。「ワン、トゥ、スリー、クワトロ」
と掛けられる頭の拍子出しから、既にヤケになってる感じですね。たぶん優柔
不断な現場仕切りのお陰で、相当数のテイクを重ねさせられたんでしょう。もう
自暴自棄です。「どうでもいいよ。早く終わろうぜ」、分かるなあ、この気持
ち。
アメリカの60年代のビートグループ、サム・ザ・シャム & ザ・ファラオズのこれしかない
ヒット曲「ウーリー・ブーリー」でした。ヒットしたのは1965年です。
わたしに、「ラジオ放送はこうやるんだよ」と教えてくれた、矢口清治が中心
になってまとめたçという連作CDがあります。先週から出したままになっ
ていて、手許にありました。ザ・ニック・モス・バンドの「ゲッチョ・バック・イントゥ・イト」
からの伝播でお届けしたファラオズの「ウーリー・ブーリー」もここからです。
そのデニス・グルーンリングの中には、こんな歌も入っていました。
M07.からかわないで(2’13”)アン・マーグレット
-J.Tanner- ユニバーサル UICZ1435/6
N 映画「夜の大捜査線」を見るために登録したサイトでスティーヴ・マックイ—ンの主演作
が何本かありまして、J.ガイルズバンドのピーター・ヲーフと結婚していたフェイ・ダナウェ
イと出てくる「華麗なる賭け」を観ました。昔テレビで見た覚えがありましたが、
今回はフルサイズだった訳です。これが酷くてね。スティーヴ・マックイ—ンはナムパな役は
ダメだなあ、と改めて分かりました。「華麗なる賭け」の他は「シンシナティ・キド」
もあったんで、次にそちらに跳びました。これは良かった。八百長を拒否し
「絶対に勝つ」と、自信満々で臨んだキドがポーカー博奕で最後に負けるところ
がとても良かった。しかも相手はロイヤル・ストレイト・フラッシュという国士無双級の役
だったオマケも良かった。
この「シンシナティ・キド」に八百長ディーラーの女房役で出ていたのがアン・マー グレット
でした。彼女は帝王エルヴィス・プレズリと本当にデキていた、と萩原健太に聞いた
事があります。わたしも噂は耳にしていましたが、その頃の女優さんたちは
はエルヴィスとすれ違っただけで結婚話が出されちゃうくらいでしたからねえ。
映画でのアン・マーグレットは、別にスティーヴ・マックイ—ンの相手として大きな役を務め
る訳ではないのですが、「白痴美の象徴」的に捉えられていた彼女、なかなか
の演技でしたよ。ちょうど手許にあった『僕たちの洋楽ヒット』にも彼女の
歌が入っていました。今お聞きいただいた「からかわないで」がそれです。
先週のグレン・キャムベルの唄ったのと同じようなC調ノヴェルティ歌謡ですね。アン・マ
ーグレットには、「白痴美の象徴」的に商品化されなかった部分で深い魅力があっ
たんじゃないか、わたしにはこんな勝手な思い込みが昔からありまして、こ
の「からかわないで」を聞いて更にその考えが強くなったのですよ。
では同じ『僕たちの洋楽ヒット』に収められていたこの歌をどうぞ。
先週まででしたか、地上波テレビの番組宣伝で耳にしていました、これです。
ザ・ホリーズの「バスストップ」。
M08.バスストップ(2’54”)ザ・ホリーズ
-G.Gouldman- ユニバーサル UICZ1435/6
M09.Spooky(3’07”)パーシー・スレッチ
-Shapiro, H.Middlebrooks Jr,- BSMF 7704
N 同じく60年代の懐メロ「スプーキー」、共作盤とかで、大勢の人たちが唄ってい
ました。今のはそれよりだいぶ後にカヴァされたパーシー・スレッヂの仕様です。御
大、なかなかに上手く唄っていました。8月に彼のベスト盤的なアルバムが出ます。
但し、いわゆる往年のヒット曲は再録音です。でもね、彼の場合はあの声が全て
ですから、それほどの違和感はありません。当然ながら「男が女を愛する時」
で始まります。瞬間的に「イントロの音が違うなあ」と分かりますが、あの暖か
いハイトーンには変わりがなく、聞いているとあのパーシー・スレッヂが蘇って来るので
す。
M10.Warm & Tender Love(1980 version)(3’02”)パーシー・スレッチ
- B.B.Ida, R.Bobby, M.Vera, P.Elvis- BSMF 7704
M11.I’ve Been Loving You Too Long(3’01”)パーシー・スレッチ
-oO.Redding- BSMF 7704
N これは「1980仕様」と断りのある「ヲーム・アンド・テンダ・ラーヴ」。オリヂナルと比
較しても引けを取らない出来ですね。女声の合唱はこちらの方が解釈に優れ
ているんじゃないか、とまで思いました。
その次にお届したのはご存知「愛しすぎて」、オーティス・レディングの作品です。
パーシー・スレッヂはお葬式でオーティスの棺を担いでいますから、活動した領域は別で
も尊敬の念は絶える事なかったようです。
M12.Tell It Like It Is(2’38”)パーシー・スレッジ
-G.Davis,L.Diamond- BSMF 7704
N これも好カヴァですね。「ありのままを教えてくれよ」、エアロン・ネヴォーの重要な
持ち歌です。ハイトーン同士ですからこちらにも違和感はありません。ビッグ・モータ
ーの社長、副社長バカ息子サン、誤魔化さないで「ありのままを教えてくれよ」。
そして、オーティス・レディングの秘蔵っ子アーサー・コンリーの虎の子ソウル・ミュージック賛歌
「スウィート・ソウル・ミュージック」、これが大変に宜しい出来なのです。バック演奏にも
メリハリがありまして、これまたオリディナルを凌ぐ勢いでした。ではお聞き下さい。
パーシー・スレッヂで「スウィート・ソウル・ミュージック」です。
M13.Sweet Soul Music(2’50”)パーシー・スレッチ
-O.Redding- BSMF 7704
N 如何でしたか、パーシー・スレッヂの「スウィート・ソウル・ミュージック」、歌詞もこちら
の方が、はっきりと聞き取れました。若干手も加えてあるようです。とにか
く珍しく躍動感のあるパーシー・スレッヂ、この盤『オネスト・アズ・デイライト ヒズ・レア
リティーズ』はよくある再録モノとは違った趣があります。
ではここで永遠の名曲「男が女を愛する時」、これはオリヂナル仕様でどうぞ。
M14.男が女を愛する時(2’52”)パーシー・スレッジ
-C.Lewis, A.Wright- ワーナー 20P2-2368
M15.Good Morning(6’08”)ブラッデスト・サキソフォン
-C.Thomas- ソウルツイスト STRE-006
N 永遠の名曲「男が女を愛する時」、1966年発表のオリヂナル仕様でした。これに
は沢山のカヴァがありますね。きっと誰もが唄いたい歌なんでしょう。珍しい
ところではウエス・モンゴメリの器楽曲もあります。近いうちに、またお届けしまし
ょう。
それに続けましたのは、これも新譜です。ブラッデスト・サクスフォンのクリスタル・トーマス
をヴォーカルに据えての新作表題曲「グド・モーニング」、クリスタルの自作曲でした。伸
太郎のテナー・サクスフォンが詩情豊かで良かったですね。この辺りは成長かも。
メムバ変更を乗り越えてテキサスに乗り込んでの実演、そしてアルバム録音制作、よ
く演りました。もちろん現地で何人か助っ人を使ってますが、ブラサキの音です。
次もその新作から「オー、ベイビ」。
M16.Oh Baby(3’ 56”)ブラッデスト・サキソフォン
-C.Thomas, S.Koda- ソウルツイスト STRE-006
N 今朝はじめの方でお話しした『ブルーズ・ジャム・アット・チェス』には、今の「オー、
ベイビ」によく似たハウリン・ヲーフ・スタイルの「ヲッチ・アウト」という楽曲が入ってまし
た。こういう附点の付かないビートは簡単なようでいて結構難しいモンです。ブラ
サキの実力は生実演で確認させて貰いましょう。
さてブラッデスト・サクスフォンの新作『グド・モーニング』、最初から流していて「おや」
とひっかかったトラックがあります。盤を確かめたらブラサキじゃアーリマセンカ。「演るな」、
でした。
ではその楽曲「アイ・ドント・ニード・ユー・エニ・モ」を聞いて下さい。
M17.I Don’t Need You No More(3’03”)ブラッデスト・サキソフォン
-C,Mayfield- ソウルツイスト STRE-006
N 先週は極めて地味に済ませたつもりなんですが、意外な反応もありました。
おなじみのち冷えさんですが、ケニー・バレルを喜んでくれるなんて、嬉しい事だ。
確か先程のブラサキのギタリストは、かつてケニー・バレルが使っていたというエレキ・ギター
をいま使っているはずです。
ではそのケニー・バレル、今朝は「サタ デイ・ナイト・ブルーズ」です。
M18.Sturday Night Blues(6’16”)Kenny Burrell
-K.Burrell- 東芝 TOCJ-6409
N 皆さんの今日の土曜日の夜が素晴らしくなるように願ってお届けした「サタ
デイ・ナイト・ブルーズ」、ケニー・バレルのギター、テナー・サクスフォンはスタンリ・タレンタインでした。
さて先々週はソウルの大姉御、デニ -ス・ラサールの唄声を聞いて頂きましたが、如
何でしたでしょう。人によっては「怖い女だ」とお感じの方もいらっしゃっ
たでしょうね。そうです、女性は怖いのです、特に南部の大姉御は。
わたしがデニ -ス・ラサールに本気で惚れ込んだのは、それほど古くからではあり
ません。赤坂のムゲンで観てもその後すぐにイカれたわけでもありませんでした。
R&B、ソウル音楽に一時期の勢いが無くなって来て、全体が沈みかけていた頃で
す。それでも彼女のMCAからの新譜にはいつも躍動感が漲っていたので、楽
しみでした。理解者がいたのでしょうか、毎回国内も発売されてましたしね。
「このヒトは本当に凄いな」と改めて認識を新たにしたのは、1979年発表の
『恋の罠』のB面を聞いた時でした。ここには彼女のフツーの演目として、15
分にも及ぶ長さの三連ビート・メドリーが収められています。その出来が恐ろしい
程の深みを湛えていたのです。そこには南部の黒人社会の反映がありました。
ただ残念な事にこの盤はCDになってないようなんです。何故かなあ・・・、
そんなに悪い出来ではないだろうにね。
それで、わたしの持っていた古いアナログ盤で、その「三連ビート・メドリー」を
今朝はお届けしましょう。スティーリオ・カートリヂの針がだいぶ減っていますので、
盤の内側、つまり最後の方になると、音、特にデニースの声が歪んで来ます。
どうか、お許しを。
では15分あまり続きます、デニース・ラサールです。
M19.メドレー(14’56”)デニス・ラ・セール
メイク・ミー・ユアーズ〜プレシャス・プレシャス〜トラップド・バイ・ア・シング・コールト・ラーヴ
-B.J. Champion, D.Crawford,J.Moore, D. La Salle- ビクターVIM-6205
後TM Born Ind Chicago 「アサー」入り / Paul Butterfield Blues Band
-N.Gravenites- Rhino 8122 798434 0
N 久しぶりに聞いたデニース・ラサールの「メドリ」やっぱ凄い、恐ろしい出来です。
お客さんたち、それも女性の反応が直接的で素晴らしいですね。こういうの
はヒップホップが台頭するまで、黒人音楽の実演では当たり前の出し物だったん
ですね。それも凄い事です。本当に恐ろしい。
今朝の特別付録は、以下の隠し場所です。ご自由にお楽しみ下さい。
https://54.gigafile.nu/0801-b1b5ee120657489ae46ee9afe85e82ee2
ダウンロード・パスワードは、いつものようにありません。
使用音楽素材図絵は、こちら。
https://32.gigafile.nu/0802-c138f1512b2f3bf14985dbaa90ff8c359
ダウンロード・パスワードは、同じく「なし」です。
さて今朝もちょうど時間となりました。しかし、暑い。死にそうだ。
こちらは、https://ameblo.jp/djsawada 改めてよろしくお願い致します。
どんなコメントでも受け付けています。どうぞご自由にご投稿下さい。
ツイターのhttps://twitter.com/hashtag/blues761?f=live も便利です。お好き
な方でどうぞ。
「幻」モーニン・ブルーズ、鷲巣功でした。来年も首都圏で9人のあなただけに。
そして全国で9500万人のあなたにも、アサー。東京は、2023年7月最終土
曜日のアサーなのです。
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