その昔お気に入りだったウォルター・ヒル監督。「エイリアン」シリーズの製作にも名を連ねていたが、「ザ・ドライバー」「ウォーリアーズ」「ロング・ライダーズ」「48時間」「ダブル・ボーダー」そして大好きな「ストリート・オブ・ファイアー」などなど、キリリとしたアクション演出、カッコいい語り口が好きで、作品を「監督名で選ぶ」一人であり、70年代末から80年代まで公開作はほとんど劇場で観たものだった。
そんな80年代絶好調だったウォルター・ヒル監督の当時唯一の未公開作のこいつを観た!
サザン・コンフォート/ブラボー小隊 恐怖の脱出(1981)
SOUTHERN COMFORT
監督・脚本:ウォルター・ヒル 製作・脚本 : デヴィッド・ガイラー 製作総指揮:ウィリアム・J・イマーマン 脚本:マイケル・ケーン 撮影:アンドリュー・ラズロ 音楽:ライ・クーダー出演:キース・キャラダイン、パワーズ・ブース、フレッド・ウォード、ピーター・コヨーテ、ブライオン・ジェームズ、フランクリン・シールズ、T・K・カーター、ルイス・スミス、レス・ラノム、アラン・オートリー、ソニー・ランダム
以前から観たいと思っていた本作、なんと、GYAO!で配信されていて、もうじき終了だってんで、仙台から呑んで終電新幹線で帰宅してから鑑賞したが、酒も眠気も醒める怖さ、面白さ!
ストーリーはシンプル。
時は1973年、行軍訓練中のルイジアナ州兵の一分隊、ブラボー小隊9名が湿地帯に迷い込む。現地民(ケイジャン)のカヌーを拝借し、目の前の川を渡ろうとするがそれが見つかる。ただ見ているだけの彼らに小隊の1人が訓練用の空砲で面白半分に威嚇射撃する。
これをきっかけに、小隊は彼らの土地に踏み込んだよそ者として、「人間狩り」の標的にされて行く。
ちなみに今回はテレビの深夜枠などで放送されたときの邦題そのまま『ブラボー小隊・恐怖の脱出』名で放映していたが、調べたらビデオタイトルは『ダーティアーミー/対決!悪魔のカルト集団』だそうで(笑)。内容に偽りありだし、これじゃ見落とすわいな。
ちなみにケイジャンとは、決してカルト集団でもなんでもなく、祖先がカナダ南東部の旧フランス植民地アカディアに入植していたものの、イギリス人によって追放され、最終的にルイジアナ州に永住したフランス人を祖先に持つ人を指すそうだ。言語も元のフランス語に様々な言語も混じり、アメリカに住みながらも独自の文化を持つ人々らしい。
ビデオ題名「ダーティーアーミー」そのものの、その態度は如何なものか…という、民兵に近い州兵の彼らの描写部分はわかるが「悪魔のカルト集団」は酷いよなあ(笑)。
という事で、彼らの土地に踏み込み、勝手に物を使うわ、空砲とは言え撃ってくるわで怒りを買い、まず、岸に着く前に小隊長のプール軍曹が撃たれ即死。
浮き足立ってカヌーは転覆、何とか岸にたどり着くものの、ブラボー小隊は指揮官のみならず、地図も磁石も失ってしまう。
その後は湿地帯を彷徨いながら、途中ケイジャンの片腕密猟者を捕らえる。
もちろん軍曹を撃った犯人か判然としないのに酷い扱いもして、さらに仲間のケイジャンの怒りを買うことにもなる。
この辺りから、姿を見せないケイジャンハンターたちの襲撃を受け続けるのだが、この状況の悪化に伴う「どんより湿った空気」が凄いのだ。
空も隠れるくらいの木々に、所々にケイジャンの縄張りであることを示すものがある閉塞感。
こちらの人数と同じ数の仕掛けられた罠があったり、腹を裂かれたウサギが吊るされていたり。
その恐怖からテンパっちまう奴が出るわ、罠にかかる犠牲者や相互不信から仲間内で殺し合いにもなるなど事態は悪化の一途。
一人また一人と仲間が減っていくのみならず、埋葬した仲間が掘り返されて吊るされているなど、心理的な圧迫感が嫌な感じで迫ってくる。
常に膝近くまでの水の中をジャブジャブと行軍して、さぞかし足もふやけようという、ほぼ湿地帯ばかりの文字通りの暗く湿っぽい画面に、どんよりしたライ・クーダーの音楽が重苦しさに拍車をかける。
最初に撃たれてしまうプール軍曹役のピーター・コヨーテを始め、
キース・キャラダイン(一瞬クラウス・キンスキーに見える(笑))が訓練後に娼婦を予約している軟派かと思えばリーダーシップを見せるスペンサーを、
パワーズ・ブースが、スペンサーと行動を共にする、小隊の新入りだが冷静で腕の立つハーディンを演じる。
フレッド・ウォードが、皆が訓練用の空胞しか持たない中、禁止されている実弾を携帯していたり、前述の密猟者を痛めつけるなど、一番好戦的なリースを、
その密猟者をブライオン・ジェームズが演じていて、俺的には何気にオールスターキャストなのが嬉しい。
他にも空砲の威嚇というそもそもの原因を行った、いつもリースとつるんでいるスタッキー、高校のアメフトコーチだが精神を病んでしまうボーデン、お調子者の黒人クリブス、気が弱いのに緊張感から突然暴力的になるシムズ、軍曹の副官ながら皆をまとめきれないキャスパーなど、いい感じの個性揃いの小隊が、残らず酷い目に合う。
凄いアクションは無く、むしろスリラー、ホラーとでも言える手触りだが、この「男たち」のドラマが、やはり「ウォルター・ヒル」印だなあと感じる。
田舎の得体の知れぬ連中との対立という意味ではジョン・ブアマンの「脱出」、姿の見えない敵との戦いという意味ではジョン・カーペンターの「要塞警察」を思い出したが、指揮官が早々死んでしまう「エイリアン」や危険地帯を抜けてホームに戻る「ウォーリアーズ」などと構成も似ているしね。
当時の世相を考えると、ベトナム戦争の影響でケイジャン=ベトコンとも見えるのが中々ミソだ。
ジャニス・ジョプリンも愛飲したというSouthern Comfort というリキュールがある。直訳すると「南部の安らぎ」や「南部の歓び」といった意味だが、この映画には全く歓びも安らぎもない。そんな皮肉なタイトルが秀逸だ。
湿った空気にライ・クーダーの音楽、緊迫感が支配する中の、男たちの不景気な顔また、顔。
若きキース・キャラダインとパワーズ・ブースの表情がまたいいのだ。
陽気な音楽なのに不安感がつきまとうケイジャンの村でのクライマックス。
そしてハッピーエンドにはとても見えないラストカットまで、一気に魅せてくれる。
機会があったら是非。オススメです。
ザ・ファブル(2019年)
監督:江口カン 原作:南勝久 脚本:渡辺雄介 エグゼクティブプロデューサー:高橋敏弘、伊藤響 企画・プロデュース:吉田繁暁、藤村直人 プロデューサー:宇高武志、佐藤満 撮影:田中一成 編集:和田剛 音楽:グランドファンク 主題歌:レディー・ガガ ガンエフェクト:納富貴久男 ファイトコレオグラファー:アラン・フィグラルツ、岡田准一 スタントコーディネーター:富田稔
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理、木村了、井之脇海、藤森慎吾、宮川大輔、佐藤二朗、光石研、安田顕、佐藤浩市、南出凌嘉、六角精児、粟島瑞丸、モロ師岡、好井まさお、倉本美津留、藤原光博、木村了
原作漫画は未読で、その評判の高さも後から知ったくらいの予備知識無しで鑑賞。予告編よりチラシを見て観ようかなと思っていた一本だ。
で、どーだったのかというと、すこぶる面白かった!でも文句無しじゃないって感じ(笑)。
岡田准一が「動ける役者」であることはテレビの「SP」観て感心し、「図書館戦争」観て確信していたけど、まさかここまでとは思わなかった。
敵アジトに侵入する時の両手両足開いての壁登りなんか、もうジャッキー・チェン並み。身体の捌き、そのスピード、どれもビックリ。
銃やナイフの扱いも付け焼き刃ではない「殺しのプロ」の凄みを魅せてくれて痺れましたな。
もちろんアクションコーディネイター(フランスから参戦のアラン・フィグラレズ)の振り付けがいいのはもちろんだが、CGや編集の助けも無く、あれだけキリっとした「アクション」見せてくれたら、そりゃ満足でありますな。
ただね、何というか作劇と言うか売り方と言うか、全体の「スタンス」な微妙なものがついて回るのがもどかしかったのだ。
そもそもこの作品って「アクションコメディ」で売ってるのかな?
(以下ネタバレありです。すんません)
冒頭、ヤクザの宴会襲撃シーンがある。もちろん相手は大人数。そこに敵の身長や体重、利き腕や、敵との距離や武器の種類などを文字や数値入りの多数の矢印で同時に示し、殺し屋ファブルの察知力、判断力の凄さを見せる演出がある。
敵がいっぱいだから、その矢印や数値はもう画面が埋まるくらいと言っていい。それがワンカットのみならず襲撃シーンのあらゆるカットに続くのだ。
俺にはこれがうるさかった。
アクションが凄いだけに、浸りたいのに「こんなにする必要がある?」という疑問符と共に「これ、この後もずーっと続くのかな?」という、余分な心配をする羽目になっちまったのだ。
幸いこの演出は冒頭のみだったが、俺は「ああ、この映画はコメディーなんだな」と冒頭で認識したのだった。
その後も、猫舌と言う設定のファブル=アキラが熱い料理に極端な反応したり、あまり面白くない芸人のギャグに大笑いしたり、チンピラに絡まれ「素人らしく」わざと殴られる時も大袈裟に顔をしかめたりと「変な顔」するシーンがやたらあるのだ。
自分としては、凄腕の殺し屋、しかも「殺ししか知らない」男が、1年間仕事(殺し)をせず普通に暮らせと命じられて過ごす、と言う設定だけでもう充分面白いのに、いちいち岡田准一に変な顔させる必要があるのかいなって、そういうシーンがある度に都度思ってしまうのが何とも。
実は観た後にネットで原作立ち読みをした。売れない芸人ファンだったり猫舌設定は原作通りながら、チンピラに殴られるところなどはもう少しさらっとしていた。
何より岡田准一は原作キャラよりかなりハンサムだ。だから「変な顔」が必要と思ったのかな。だとしたら原作にも岡田君に失礼だと思うのだ。
物語が進むにつれ、一般人と接点を持てば持つほど「殺すこと」以外の一般常識の無さが生み出すギャップが笑えるのは充分わかるし、ある意味歪な性格となったファブルの壮絶な過去が明かされることでより納得もする。
何より決して「笑えない」状況がどんどん進行していくことで、わざわざ「変な顔」することも減っていくのだが、物語の面白さは全然変わらない、いやきちんと加速していくのは確かだ。
だから特に前半、余計な笑いの演出などせず原作そのままで良かったと思うのだ。
柳楽優弥の狂犬のようなチンピラと、原作とは雰囲気は違うが兄貴分の安田顕も良かったし、福士蒼汰と木村了のファブルを付け狙う今時の若者的なノリの殺し屋コンビの狂気も良かった。
ファブルの相棒の木村文乃も、思いの外良かった山本美月ら女優陣も悪くない。
何より6秒で敵を殺すことができるファブルが、決して殺すことなくヤクザから人質奪還に向かうラスト。それも「任務」ではなく「普通の人ならそうする」という理由で、自らの高い戦闘スキルで「人を助ける」という面白さ。この設定だけで充分ワクワクできる美味しさだ。
だから明らかに「笑わそう」としている前半が惜しいのだ。「アクションコメディー」ではなく、ユーモアが所々に顔を出す「ハードアクション」で良かったのになあ。
特にラストはこの通りの「ハードアクション」なので、前半に散見する色んな「笑いどころですよ〜」的演出が邪魔だったなと思ってしまったのだ。
と、まあ散々文句書いたけど、本当にアクションそのものは観て損は無しだ。
製作に「藤島ジェリーK」の名前があり「何でジャニーズが?」と思ったけど、岡田准一がそうでした(笑)。そのくらいの「アクション俳優」になっていた岡田君には素直に拍手だ。
でも、そう思うと岡田君目当ての女子にはあのくらいのコメディー演出は必要だったんだろなあとも思う(笑)。
俺にとってはこれが松竹ではなく東映や昔の東映セントラル、今ならVシネマあたりの「怖い雰囲気満載の中に脱力するようなユーモアがたまにあり」の作劇でやってくれたら本当に良かったのに…と思うのだが、流石にジャニーズはVシネマには出ないしな(笑)。
最近の邦画のアクション演出は以前とは格段に良くなっていると思う。
あとは役者だな。動けてなんぼ。岡田准一が昔の真田広之みたいな位置にいるのは頼もしいが、もっと動ける若い俳優が増えてくれたらいいのに。
福士蒼汰はじめ元仮面ライダーの人気者たちが、彼並みのアクションもできて、さらに演技も磨き「凄み」をつけてくれる日を楽しみに待ちたいと思う。
アクション目当ての方にも、コメディ目当ての方にも満足いただけるのは確かだけど、俺的にはコメディ要素排除しても、もっと殺伐とした世界の中で展開して欲しかったという(ストーリー的には充分成立すると思う)欲をかきたくなる一本でした。
先週は中盤広い福島県内を3日かけてぐるぐる周り、戻ってからは内勤で毎日日付変わる直前まで仕事だったりとハードな一週間だった。
締めの金曜夜は、お世話になった現所長を囲んで最期のアンオフィシャル飲み会で、帰宅は日付変わった午前2時とヘロヘロなれど久々の土日は完全オフ。昨日は全く予定していなかったけどこれ観てきました!
スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム
SPIDER-MAN: FAR FROM HOME (2019)
監督:ジョン・ワッツ 製作:ケヴィン・ファイギ、エイミー・パスカ 原作:スタン・リー、スティーヴ・ディッコ 脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ 撮影監督 : マシュー・J・ロイド 編集 : ダン・レーベンタール 視覚効果監修 : ジャネク・サーズ 音楽 : マイケル・ジアッキノ
出演:トム・ホランド、ジェイク・ギレンホール、サミュエル・L・ジャクソン、コビー・スマルターズ、ゼンデイヤ、ジェイコブ・バタロン、アンガリー・ライズ、レミー・ハイ、トニー・レヴォロリ、ザッカリー・リン、ヌーマン・アチャル、マリサ・トメイ、ジョン・ファヴロー
大団円の「エンドゲーム」から2ヶ月。MCU不勉強で早くも次の段階か!と思っていたら、これが所謂「フェイズⅣ」の最後の一作となるんですな。
白状すると前作の「ホーム・カミング」さえ未見、更に白状すればライミ版の3作も映画館で観たのは3のみ、「アメイジング〜」は2作目をテレビでチラり観たような観ないような…程度なんで(笑)、熱心なスパイダーマンファンからは叱られそうだけど、本作、面白かったなあ。
(以下ネタバレありです。すみません)
そんな自分でも、予告に出ていた「ミステリオ」って原作じゃ敵じゃなかったっけ?やっぱ新たな展開?それとも…と、思っていたら、案の定(笑)。
宇宙まで広がった大風呂敷に今度は異次元からのキャラクターかいなと思っていたら、本来の「親愛なる隣人」の敵に相応しいスケールで(でも大掛かり)、その騙しの手法は凝ったものながら、若いピーターの心を弄ぶやり方はなかなかの悪。
「アベンジャーズ」でも唯一まだ少年の若さを見せていたトム・ホランドのピーター・パーカー。少年らしく自由を奪われそうな強面ニック・フューリーからは逃げ回っていたのに、ギレンホール演じるところの「ミステリオ」=クウェンティン・ベックとの共闘で心を許す。
父のように慕っていたトニー・スタークを失い、「次のアイアンマン」への期待の重圧に戸惑い、ヒーローとしての拠り所を失ったピーターの心の隙間にすっと入り込んだミステリオのズルさ、ピーターの純粋さの対比は際立ってましたな。
特にトニーからピーターに贈られたサングラスをかけたベックの顔は、ピーターでなくともトニーの面影と重なって見えたからねえ。
でもその次の瞬間に…というネタバラしは、なかなかの展開でした。
アベンジャーズシリーズで何度か顔は見ていた親友ネッド他クラスメートたちとのシーンはまるで青春映画。
少年ピーターが、普通の日常を精一杯楽しみながら、愛しいMJやネッドたち友人を何とか守りたいと奮闘しながら、スーパーヒーローとして目覚めていく語り口も凄く良かった。
特にライミ版では「なぜこの子に惹かれるのか全然わからんぞ」だったMJ(笑)が、今回演じているゼンデイヤが凄く魅力的なので、説得力充分だったのが何よりだったなあ。
頭が良くてツンデレ系、逃げ回るばかりじゃなく、行動力も持ち合わせて、純粋な白人じゃないところも含め現代的だよね。思えば「グレーテスト・ショーマン」のあの娘だったんすね。
さて、ラストのエンドロール前のポストクレジットで、よもやのあんぐり展開、「エンドゲーム」では無かったエンドロール後のお約束もまた「ありゃ〜」な展開。前者は特に「アベンジャーズ」の次の展開に、後者はスパイディの次なる新作に絡んでいくのかな。
一度しっかり終わらせたMCU、このように雰囲気を変えての単体がいくつもできるんだろなあ。それはそれで新たな世界が広がりそうで期待大。
前作含め見逃し作品を見返して、こらからも付き合っていきますかな(笑)
金曜は23時半くらいに「もう後は明日!」と土曜出社することにして帰ろうとしたら、同じく遅くまで残って仕事していた中途入社の女子社員に「少しいいですか」と質問され足止め。
どうやら目の前の仕事に手一杯&社内システム不慣れで、後回しにしていた伝票処理が全然できていないことがわかり、涙目の姿を捨て置けず、月末処理も近いこともあり、日にちをまたいで1時半までお手伝い(苦笑)。
ああ、女子社員と言っても年齢が若いわけでもない人妻だし、女性で無くても同じ状況なら男性社員でも手伝っていたぞと、一応声を大にして言っておくぞ(笑)。
手伝い仕事終えて、いつの間にか降り出した雨に「何だかなあ」の気分で傘さして帰宅。深夜に酒飲みながら飯食べて寝入ったのだった。
昨日は、朝はゆっくり起きて、届く予定の荷物を待って午後から出社。
メイデンやらレインボーやらラウドネスなどのハードロック/メタル系をガンガンかけながら、平日とは違って電話一本かかってこないので、仕事自体ははかどったものの、仕上がりは19時半くらいまでかかってしまった。
何でもいいから映画観て帰ろうと思っていたレイトショーにも間に合わず、おまけに前日置いていった自転車に乗って帰るつもりが、肝心の鍵を忘れてまた歩いて帰宅。
そんなわけで何だか前日に続いて荒んだ気持ちのまま、タイトルで選んだのがこれ(笑)
皆殺しのジャンゴ
Preparati la bara! /Viva Django (1968)
監督・脚本:フェルディナンド・バルディ 製作:マノロ・ボロニーニ 原案・脚本:フランコ・ロゼッティ 撮影:エンツォ・バルボーニ 音楽:ジャンフランコ・レヴェルベリ 主題歌 : ニコラ・デ・バリ
出演:テレンス・ヒル、ホルスト・フランク、ジョージ・イーストマン、ホセ・トーレス、バーバラ・サイモン、ピヌッチョ・アルディア、リー・バートン、エドワード・G・ロス、ジャンニ・ブレッザ
ご存知フランコ・ネロ主演、セルジオ・コルブッチ監督のマカロニウエスタンの傑作「続 荒野の用心棒」の主人公ジャンゴが登場する正統続編は20年後の「ジャンゴ 灼熱の戦場」だけなのだが、このニヒルなダークヒーロー「Django」は当時も大人気だったのだ。
以前なんかの記事にも書いたが、ドイツではネロ主演の映画は全て「Django」の名前がつけられて公開されたり(セガール作品がみんな「沈黙」付だったり、カンフー映画の「ドラゴン」みたいなもんですな(笑))、原題でも彼の名を冠した作品が雨後の筍のごとく(その数50本とも言われている)作られたりと、自分も含め、パチモンジャンゴが数多く存在しているのだが(笑)、この作品は、アンソニー・ステファンあたりのパチモンジャンゴとは一線を画す一本だ。
もちろん生みの親コルブッチは、監督はおろかスタッフとしては一切関わっておらず、制作会社も違うものの、原案・脚本には「続・荒野の用心棒」のフランコ・ロゼッティが参加しているところなど、「ナイト・オブ・リビング・デッド」の後、ロメロは参加してないけど、脚本のジョン・ルッソが参加した「バタリアン」みたいな「正統に近いスピンオフ」と言ってもいいのかもしれないのだ。
って我ながらわかりづらい例えだな(笑)。
まあ、それはともかく、何と言っても黒のインバネスコートに身を包んだ、ネロにそっくりなテレンス・ヒルが、まずいいのだ。
後の「風来坊」や「ミスターノーボディ」で見せる「ハンサムなのにすっとぼけた愛嬌」は封印しているものの、鳥にに話しかけたり、愛する妻にジョークを言う柔和な顔など「続 荒野の〜」のネロより若く見えることもあり、あのジャンゴの「若き日」の雰囲気を醸し出しているのだ。
もともとフランコ・ネロ主演の予定が、彼の人気が高まりアメリカ進出となってしまい、出演できなかった裏事情もあっての起用とのことだが、ネロと見紛う表情が本当に良い。
その昔、ポスターアート見ても、例のガトリング銃構えているからまったく別人とは思わず、ずっと正統な続編と思っていたくらいだし。
ネロ版ジャンゴにある陰鬱さは多少後退しているが、かつて友人であった権力者の裏切りにあい、妻を殺され、自分も死んだことになる冒頭から、「首吊り人(絞首刑執行人)」としての立場を利用しての復讐計画の仲間集めまでなかなか話も面白い。
これに金塊強奪が絡んだり、壮絶なリンチにあったする辺りも「続」との関連性を強く感じられて実に良いのだ。
合間に、集めた仲間の裏切りやその事情も良い具合に語られ、さらにガンファイトが配されて飽きさせない。特に敵に銃を渡すふりをしての逆襲などは最高にカッコ良かったなあ。
そして何より前作のようなラストの「墓場での決闘」だ。
ー誰の墓を掘っている?
ーテメエのさ。
このジャンゴの返しにジャンゴ(俺)悶絶(笑)
まだジャンゴと手を組みたい敵は金塊の半分をやろうと申し出る。
ー女房の命を安く見るな。
過去にとらわれず現実を見ろと、尚も続く説得にも…
ー5年前のことは忘れん。代償を払え。
ーお前に贈る言葉はただ一つだ。
ー祈れ。
くぅ〜!堪らん!
確かに時系列考えると、撃たれたりリンチにあってもすぐに元気になっていたりと「あれれ?」という描写が多く、映画としては弱点も多い。
だがもう、このラストの決闘前のセリフで全て許す(笑)。
そして掘り出した棺桶には、機関銃が!
これはわかっちゃいるけど燃えますわな(笑)。
自分の持っているDVD以外についている「復讐の機関銃(ガトリングガン)」の副題の通り。
思えば「続」のジャンゴは「かつて愛した人」の墓の前で敵を倒し、自分と同じように希望を無くしていた、酒場の女マリアとの新しい明日のために、傷ついた身体で立ち上がっていた。
本作のジャンゴでは愛する妻を失い、憎き敵への復讐は遂げたが、一人旅立つその後は目的も無い人生が待っている。
前に「若き日の」と書いたが、本作のジャンゴは恐らくその後軍隊に入り、南北戦争を北軍として戦った後、ネロ版ジャンゴに繋がる…という「プリクエル」として観ると最高に盛り上がるのだ。
まあ、そうすると棺桶の機関銃をどうやって手に入れ、棺桶に隠したのか全く説明はつかないのだが(笑)。
そして、あれだけ蓮根のように穴が空いていた銃口が一つになっているのは話が前でも後ろでも、もっと説明がつかないのも確かなのである(笑)。
こちらは「本家」の蓮根型(笑)
まあ、本家のガトリング銃?もご覧の通り妙な代物だから、マカロニだしこの辺りは目くじらを立てず(笑)、前述の通り様々な「ジャンゴ」題名に騙された俺としてみれば、合格点どころかかなりの高得点を与えたい一作なのであった。
と言うわけで殺伐としたタイトルとは違う良作であり、トーマス・ミリアンのもっと殺伐とした「情無用のジャンゴ」や、これも良作の「血斗ジャンゴ」よりよほど〝あのジャンゴ〟に会える一作としてお勧めしておこう。
では孤独の旅を歌う、哀愁の主題歌をどうぞ!
このところ仕事が加速度つけて忙しくなり、毎日帰宅は遅いわ、帰省もあったりで自宅鑑賞の映画さえご無沙汰。
なんだかなあ…の気分なので昨日は仕事切り上げて飲みの誘いに乗ってしまって首を絞めているのが情けないところで(笑)。
ここはひとつ平日でも景気良いのを観ちゃおうかと今朝は思ってきたのだが、今俺のいる営業所長がこの7月で異動となる知らせがあった。
出張先で緊急のミーティング有りの社内ラインがあり、指定時間には戻れない旨を知らせたら、ミーティング前に直接所長から携帯に連絡があり、皆より先に知らされてしまい、思わず絶句してしまった。
正直、出向単身赴任生活2年の予定がこの夏で丸5年を迎えることになったのも、彼が自分を信頼して、毎回大変なことはあるものの、思いのままに気持ちよく仕事をさせてくれたのが大きかったのだ。
お互い4年前まで縁もゆかりもなかったのに、なんとも馬が合うと言うか、お互いの立場を踏まえた上で言いたいことを言い、気軽に相談もできる上司でいてくれたのは本当にありがたく、良き出会いだったと思う。
この所長よりも営業所在籍は自分が1年長いのだが、先月定年延長していた先輩社員も退職してしまったので、営業では営業所在籍が一番長くなってしまっているところにこの知らせで、参ってしまった。
所長異動まであと一週間しかないのがなんとも寂しいというか悔しいというか。
上の支店長と折り合いがあまりよろしくない事も透けて見えていただけに、何ともやりきれない思いが先に立ってしまうのだ。
俺の出向終了の来春まであと10ヶ月足らず、まだまだ彼の下で仕事をしたかったなあ。
まあもう会えないわけではないのだが、よもや自分が彼を見送ることになるとは。
明日のプレゼンは彼と行う最後のプレゼンとなるだろう。
彼への感謝の餞になるよう、何とか勝ち取りたい。精一杯やってこようと思うのだ。
勝ちたいな。うん、切に願うよ。
前の記事を書いた金曜夜はほんと気持ちがアッパーにならず、あのあと「ゴジラ ファイナルウォーズ」を、出来も含めて「あーあ…」と言う気分で観て寝入ったのだった(笑)。
(この「あーあ」感はまた別の機会に(笑))
昨日土曜は雨が強い荒天。寝坊もせず朝出勤の上の娘を車で送り、戻ってから今度は遅番で昼近く出勤の下の娘をかみさんと共に送り、そのまま珍しく2人で地元のスパゲティ専門店でランチをとった。
何を話すわけでもなく、風雨が強くなる中、なかなか盛況の店内を眺めながら、たわいもない会話をするだけだったが、こうして2人でゆっくり飯を食べるのも久々だった気がする。
思えば上の娘は土曜は必ず仕事だから、下の娘が土曜仕事の時は、土日休みのかみさんは一人で昼飯を食べているのだなあ。それを考えれば、たまにはこうして連れ出すのも悪くなかったろう。
腹一杯ながらまた出かけるのも面倒だとそのまま夕食の買い物も済ませて帰宅。
と、ここで駐車場所に下の娘のスマホが落ちているのをかみさんが発見!
送ってから2時間は経っていたから、その間雨ざらしだった計算だが、直ぐに拭いて確認したが、問題なく電源はつくようだ。
自分たちなら「ああ、忘れちゃった」で済むけど、娘は多分パニくってるだろうなと2人で見解も一致(笑)。帰宅して10分で職場である店舗までまた届けに行くことに。
売り場に着くと「実習生」のネームプレートをつけ、商品棚の前で年配の社員の話に真剣に頷きながらメモを取っている娘を見つけた。
話がひと段落したところで近づくと驚きながらも、スマホが無事あったことに大喜び。
スマホが無いことは出社してすぐに気づいたようで、車の中で落としたか、下車後、店舗の駐車場で落としたかと気を揉んでいたようだ。探しに行く時間も、自宅に電話する時間もなかったので不安が募っていたようで、かなり感謝されてしまった(笑)。
こちらにしてみれば思った以上に真剣な顔して仕事している娘の姿を授業参観さながらに見れたことが収穫で(笑)。
喜んでいた娘の姿に、帰ってきてから食べるだろうからと、かみさん、いきなりドーナツ買って行くとか言い出すし(笑)。
こちらは夕刻に上の娘を迎えに行きながら、妹の失敗をチクっておいた(笑)。
その夕刻。取り壊し予定のかみさんの実家に残っていたアルバムを義兄が持ってきてくれた。娘たちに過去を話したがらないかみさんの若い頃の記録を、上の娘が珍しく興奮しながら眺めていたのが面白かった。
アルバム以外にも様々なノート類もあり、当時よく一緒に行った夢の遊民社や第三舞台、オンシアター自由劇場やプロジェクトナビなど小劇場の芝居のチケットと共に、丁寧に記録ノートをつけていたマメさに感心。これがまた懐かしくて、眺めているだけでタイムスリップしてしまった。そう言えば芝居ももう随分観に行ってないなあ。
もっともかみさん、それ以外の当時の日記を見られまいと隠し場所を探して娘から逃げ回っているのが可笑しくて。
そんな姿を眺めながら、俺は娘たちの好きなハヤシライス作りに取り掛かった。イエモンの「9999」を流しながらノリノリで作った頃には昨夜のモヤモヤ気分も霧散(笑)。すっかり元通りであったのだ。
夕食後は21時半仕事上がりの下の娘を迎えに行き、遅い夕食を取らせゆっくりしていると、なんか娘たちがコソコソ動いている(笑)。
以前のかみさんの誕生日の記事と同様、我が家のアイドルのぬいぐるみたちが、またとんがり帽子を被って贈る体で(笑)
ずいぶん過ぎてしまった俺の誕生日と父の日を兼ねてプレゼントを持ってきてくれたのであった(笑)。
これがイベント仕事の時にあるといいなと思っていた、肩から下げられるミニバッグ!
聞けば二人が休みの時に静岡まで買いに行ってくれたそうで、欲しいと言った記憶はないのだが、ほんと凄いタイミングで、欲しいものをプレゼントされて嬉しいのなんの。
と言うわけでなんやかや賑やかな一日となったのだった。
今日も仕事の下の娘を送り、同居の親父に、かみさんが選んだ良さげなシャツなどプレゼントした後はゆっくり。
快晴ながら強風の静岡を後にして、夕刻には郡山アジトに帰ってきた。
クリーニング引き取りと買い出しを済ませ、飯を炊いて先週食べきれなかった残り物を調理、「いだてん」観ながら夕飯を食べるいつものペースに戻る。
こうして記録がてら書いてみると、不思議なのが金曜夜の重い気分(笑)。
あれはなんだったんだろう。
やることないのが落ち着かないなんて、俺らしくない(笑)。
実家に行く間、メールやら確認の電話やらが入ってばかりで、「仕事スイッチ」がオフになってなかったのかな(笑)。
まかり間違ってもワーカホリックなぞにはなるわけない怠け者であることは、自分が一番わかっているのだが、まあ、そんな心持ちのこともたまにはあるか。
俺が物凄く珍しく「可愛いキャラだなあ」と言ったことを覚えていた娘たちが、プレゼントと共におまけでくれた「もじじ」を眺め癒されている(笑)。
また明日から忙しい日々になる。
オンオフしっかり切り替えて乗り切るぞと(笑)。