「熊殺し」ウィリー・ウイリアムスが、亡くなった。
もちろん親交などなかったのだが、当時ブルース・リーに始まるカンフー映画ブームから派生した映画「地上最強のカラテPart2」でのグリズリーとの対戦で我々世代には知らない者はいないくらいの有名な空手家だった。
あの時代故とは言え無茶な企画だよなあ…。
ウィリーと言えば思い出すことがある。
その昔…調べたら1992年だったが、当時前田日明のリングスに参戦(業務提携)していた正道会館が、後のK-1を起こす前に「格闘技オリンピック」なる、今ではIOCからクレームが来そうなタイトルで格闘技イベントを開催した。
第2次UWFから試合を良く観て、その後分派したリングスや藤原組、Uインターも追いかけ会場に行っていた俺(&かみさん)はこれも喜んで観に行ったのだ。
佐竹雅昭を筆頭に、大道塾の市原海樹、慧舟會の西良典、当時はシュートボクシングだった平直行(「グラップラー刃牙」のモデルね)などの日本勢の他、キックボクシングのロブ・カーマンやモーリス・スミス、そして前田日明他リングス・オランダの、ピーター・スミットやヘルマン・レイティングなど、リングスルートがほとんどとは言え、当時の格闘技界のスターたちが試合ごとに違うルールで戦う当時としては画期的な格闘イベントだったのだが、これにウィリー・ウィリアムスも参戦していたのだ。
二階席の一番後ろの端の席だった俺たち。時間になり場内が暗くなり、入場式が始まった。
通常なら選手たちが花道を通ってリングに向かう入場式。それがこの日はコールと共に2階席にスポットライトがあたり、そこに選手が現れる演出だったのだ。
選手登場の度にどよめく場内。確かこちらの席から真正面の2階にはロブ・カーマンが登場した記憶がある。
そして次の「ウィリー・ウィリアムス選手!」のコールと共に俺にまばゆいスポットライトが当たった。
いや、もちろん俺では無い(笑)。
俺の席のすぐ後ろ。振り返れば距離にして60センチも無いくらいの場所に、白い胴着のズボンが、そのまま見上げると、正に天井に頭がつくくらい無茶苦茶でかいウィリーが仁王立ちしていたのだ!
大学生の時に自主映画のロケの途中で寄った喫茶店で、でかい紀州犬を連れたラッシャー木村に出くわした時も「でけえ〜怖ぇ〜!」と思ったものだが、今回は距離が違う。デカさも違う。
「うぉ〜〜〜ウィリ〜〜!!」
わけもなく興奮すると声は出るものですね。目の前にいるのに(笑)。
そのまま式が終わるまで、ウィリーは俺のすぐ後ろで仁王立ちして、その圧力を背中で感じていたものだった。
思えば席に着いた時に、すぐ後ろの通路の床にガムテープに「ウィリ」と書いたバッテンが貼ってあるのが見えていたのだ。
その時は何とも思っていなかったが、あれは彼の立ち位置を示すバミリだったのだと後から気づいたのであった。
この時のウィリーの試合は全く記憶がなく、調べたら空手とキックのミックスルールで、角田信明と戦い3ラウンド引き分けだったから、あまり盛り上がらなかったのだと思う(笑)。
当時ロブ・カーマンのファンだったかみさんが「ロブがこっちに立ってくれたらよかったのい〜」と悔しがっていたのを覚えているが、一瞬でもウィリーと、この至近距離にいれたことは未だに忘れられないのだ。
圧が凄くて、自分を含め周りもとても握手を求めるような雰囲気ではなかったことも付け加えておく。
当時好きだった俳優や監督、ミュージシャンなど、もう当時から30年40年たてば仕方のないことなのだが、あの頃大好きだった人たちが次々と亡くなって寂しい限りだ。
つい昨日も愛読ブロガーさんの記事で元VIPER、ANGRAのアンドレ・マトスが47歳の若さで亡くなったと知り、がっかりしたものだが、格闘技の選手は俳優やミュージシャン以上に早くピークを過ぎ、引退し、名前を聞くことも少なくなっている。
この記事を読んだ時に、当時の極真で「格闘マシーン」と呼ばれていた黒澤浩樹も2017年にすでに鬼籍に入っていたことを知って驚いた。
最近はすっかり格闘技をチェックすることも減ってしまったが、寂しいことである。
熊殺しの異名、試合以上にプロレスと空手の両陣営の面子争いで、リングサイドがピリピリしていた猪木との異種格闘技戦など、話題性には事欠かなかったが、俺自身はついぞ圧倒的な強さを見ることが無かったウィリー。
引退後の晩年は、木彫り職人として活動しながら後進の指導に当たっていたそうだ。
記憶に残る人がまた一人逝ってしまったのだな。寂しい限りである。RIP…
ああ、まだ書き足らないんで続き(笑)。
今回もネタバレ多数ありなのでごめんなさい!
まずは前の記事で肝心のゴジラのこと書き忘れていた(笑)。
今回のゴジラ、キング・オブ・モンスターズの名の通り「絶対王者感」は大変良かった。
これは自分の好みなんだが、ゴジラはやはり恐怖の対象で、「破壊神」であって欲しい俺にとっては「GMK大怪獣総攻撃」の白目ゴジラや「シン・ゴジラ」が大好きでして。
今回のゴジラ、人類の味方かどうかまだわからないとは言え、なんか前作以上に「平成ガメラ」の立ち位置に寄った感が強まったのが少し残念。
まあ、あのキングギドラとの頂上決戦する以上は、壊す事より、倒すことが優先されるのもわかるし、その「威厳」は凄かったから許すけどね。
造型は、前作でちょっと違和感があった背びれの形や、象みたいだった足も、かなり良くなったたのは花丸あげたいけど、やはりもう少し、もう少しだけ首が長いといいんだがなあ。
平成やミレニアムの造型は時々やりすぎ感はあったけど、どの作品もほんとカッコ良かったから、もう少しあっちに寄せてくれたら文句なかったのに。
あと前作ほど全体的な「熊感」は減ったけど、鼻が強調されて「確かに生きている巨大生物」感が増したのもちょっとね。
それでも、予告編にあるように、ズンズンと真っ直ぐ敵=キングギドラに向かって行く重量感や、ここぞというところの放射線に加え、ラストの全身熱放出の圧倒的パワーも良かったなあ。
もっともこの辺りも平成ガメラがちょっと頭よぎってしまうのは難点ではありましたな。
「シン・ゴジラ」の熱線放射の新解釈見た後では、オーソドックスな熱線放射に見えてしまうのは仕方のないところ。でも適材適所で良かった。ただ、ゴジラの熱線は放射能含まれてるはずなのに、前作含めそういう描写はないのは今回も不満ではあったのだ。
そう、何より「核」の扱い。これはどうしたってアメリカ人の感覚だよなあ。
原爆で父を失った設定の芹澤博士が、それでもゴジラを追い続け、ゴジラを信じ、自らその憎むべき「核」を彼のために使うってのは、ちょっと複雑ではあったものの、芹澤博士の最後の台詞で、納得はできたのだ。
だけど前作でも簡単に核兵器使うわ、今回も、こちらにとっては「最終兵器」の「オキシジェン・デストロイヤー」を早々使っちゃう軍の単純さはちょっとなあ。
やっぱりアメリカは、核も含め「生物殺戮兵器」としての武器の認識がなんか軽いのが気に入らないんだよな。
あと、科学者と軍の描写はあるけど、逃げ惑う群衆描写は前作より少なく、ラドンのシークエンスのみ。このシーンが良かっただけに、もっと欲しかった!
容赦ない阿鼻叫喚具合を描写しろとは言わないが、パニック描写が控えめなのはいただけないぞ。
予告編が纏っていた「絶望的終末感」がすごく良かったのに、本編ではそれほどでもなかったのも不満。
暗ぼったい青の色調はいいんだが、もっと怪獣たちの街ぶっ壊しシーンと前述の群衆の逃げ惑いシーンがあったらより良かったのになあ。
そもそもストーリーとしては、はっきり言って「シン・ゴジラ」、「パシフィック・リム」など我が家のお気に入り両横綱映画ほど「何度でも観たい」という「作劇」ではないのだ。
怪獣バトルの素晴らしさに比べると落差が激しく、これが物凄く残念なところなのだ。
え?え?ここで退場?という、パシリム2の菊池凛子退場以上に、その後のストーリーに意味のない、サリー・ホーキンズの科学者の無駄遣いはガッカリだったよ。
怪獣に畏怖を感じる姿が、モスラに呼応するかのようなチャン・ツィイーと被っちゃうからかな。サリー・ホーキンズ好きなのになあ。まあ、チャン・ツィイーも好きだからいいけど。しかも双子だし(笑)。
レジェンダリー映画の前作コング髑髏島の時もそうだが、このところのハリウッド映画への中国資本の参加で、内容やキャストにやたら中国が絡むのが正直気に入らないのだが、今回もその変な目配せの影響でなければいいのだが。
これで前作ゴジラからの引き続きの人がいなくなっちゃったから、彼女が次は小栗旬と共演になるのかなあ。
と、必要な人が退場しちゃったのに、鬱陶しいのが、「結局お前がそんなことしたからこうなったんじゃねーか!」のすべての元凶の母親をはじめ「ちょろちょろしてんじゃねえ」というその娘、「みんな犠牲になってるのに、わがままで子供探してるんじゃねえ!」という主人公一家(笑)。
これが描写も物理的な存在も邪魔で(笑)、まったく気持ちが寄り添えないという、ドラマとしては致命的な欠点が、俺の中で本作が「全体として傑作」になれなかったのは確か。
「パシフィック・リム」も「シン・ゴジラ」もツッコミどころはあるけど、少なくとも主役の気持ちや行動、台詞には納得できたのに。
ああ、そうか、親父はともかく、母娘は「怪獣目覚めさせる状態」にすることが目的で、怪獣一体一体には別に気持ち向いてないからなあ。
変な家族出さずに、エコテロリストだけが元凶にしておいても充分話は成立するし、中途半端なドラマ挟み込む必要も無く良かったのに。
変な家族出さなかったシン・ゴジラはその辺潔くて良かったな。
そしてラスト。テロリストの連中、アレをどうするんだろう?
オルカに反応なかったコングはじめ髑髏島の面々は17体に含まれているのだろうが、何してたんだろう?
ゴジラの元に集う蜘蛛みたいのはやはりクモンガのリブートで、髑髏島の竹林にいいた奴とは別になのか誰か教えて欲しいぞ(笑))
…と、まあすでに心は次に向かってますが、バトルはこのままの迫力で是非お願いしたいものだ。
以上、描きたかったであろう怪獣バトルシーンだけは満点ながら、人間側ドラマというか、主人公的家族が映画の出来にはかなり脚を引っ張ってしまったこの映画、誰かあの一家を出さずに怪獣バトルと、科学者と軍とエコテロリストだけのリミックスバージョン出してくれないかなと切に願うのであります(笑)。
Godzilla: King of the Monsters (2019)
監督・脚本:マイケル・ドハティ 製作:メアリー・ペアレント、アレックス・ガルシア、トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ、ブライアン・ロジャース 製作総指揮:バリー・H・ウォルドマン、ザック・シールズ、松岡宏泰、大田圭二、ダン・リン、ロイ・リー、坂野義光、奥平謙二 脚本:ザック・シールズ 撮影:ローレンス・シャー 美術:スコット・チャンブリス 編集:ロジャー・バートン 視覚効果監修:ギョーム・ロシェロン 音楽:ベアー・マクレアリー
出演:カイル・チャンドラー、ベラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、ブラッドリー・ウィットフォード、サリー・ホーキンス、チャールズ・ダンス、トーマス・ミドルディッチ、オシェア・ジャクソン・Jr.、渡辺謙、チャン・ツィイー
いやー、良いもの観せてもらいました!
なんか終末観いっぱいの予告編で、どんな話になって行くのか楽しみではあったが、こういうのが観たかった!って言う本気の怪獣バトル、堪能させていただきました!(笑)。
平成ゴジラの極彩色の光線バトルがちょっと苦手だったので、本作の怪獣同士の激突肉弾戦、ぶつかり合い、殴り、掴み、噛む、刺すのガチバトルが観れたのは本当に嬉しかったのだ。
以下ネタバレあるんですんません!
特にキングギドラが良かった!CGならではの3本首の自由な動きが最高。3つ首の性格まで違うかのような描写も好きだし、ゴジラに噛み千切られた首が再生した時点で生物としてもただならない物という雰囲気あるし。
何より悪魔を思わせるシルエットの翼。それを広げた時の巨大さ、その翼からの電流放出の凄さ。作中モンスター・ゼロと呼ばれたり、しっかり宇宙からの生物=地球の王には相応しくないと言う悪役位置付けも説明されて大納得の設定がまずGOOD!
監督、脚本のマイケル・ドハティが、かなりゴジラ好きでオマージュを捧げたと聞いたが、こういうところ嬉しいんだよなあ。
贅沢を言えば三大怪獣の時みたいに火の玉から怪獣形になって行くところを観たかったが今回は氷漬け(笑)。まあ、まさに「遊星からの物体X」ならぬ「モンスターゼロ」だったわけだな(笑)。
初期を除き、昭和ゴジラはだんだん正義の味方になってしまい、平成ゴジラでは毎回ゴジラが恐怖及び殲滅の対象であるのは良いのだが、そうなると対する怪獣の立場がいつも微妙になるのだが、今回は「人類の味方ではないが地球の味方」ゴジラが、「宇宙からの偽りの王」ギドラに挑むってのが無理なくて本当に良かったのだ。
思えばキングギドラ、昭和のゴジラ映画では、前の記事で貼った「三大怪獣 地球最大の決戦」や「怪獣大戦争」「怪獣総進撃」などでも押しも押されぬ超悪役、そのラスボス感いっぱいの造型も禍々しくも美しくて良かったけど、毎回宇宙人に操られていたし(笑)。
平成の時は前述の通り何だか立ち位置が微妙(おまけに未来人の手先&サイボーグ化)だったりしたのだが、今回は自由意思で暴れまわってくれたのが何よりで(笑)。
「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」に至っては、破壊神ゴジラに挑み日本を守る護国聖獣の一匹。しかも最初はゴジラより小さいってな具合に、こいつが悪役だとゴジラは正義の味方、ゴジラが破壊神だとこいつが人類側と、なかなか難しい扱いだったのだが、前述の通り完全悪役立ち位置にしたのが大正解だったと思う。
余談だが「GMK大怪獣総攻撃」は映画としては大好きなんだけど、題名でオミットされたバラゴンに加え、モスラの位置付けがバラン、ギドラの位置付けでアンギラスで企画進行していたのが、集客狙いで変わってしまったのは本当に残念!これで、やるべきだったよなあ。
そんなわけでキングギドラは完全に悪役でスッキリ。今回は一応「ゴジラはまだ敵か味方かわからんが、宇宙からの怪獣よりはマシ」という理由が立って、「倒すべき相手」として充分な理由があるのがゴジラの最大のライバルとして今まで以上に引き立っていたと思うのだ。
そして、ラドン!火山からの登場シーンの格好良さ。劇中唯一と言ってもいいくらいの街中パニック逃げ惑い群衆を襲う役目も良く、文字通りの「火の鳥」の如く燃える火の粉を散らしての飛翔、戦闘機への錐揉み戦術にモスラとの死闘など、尺以上に見せ場がたくさんで良かった!
惜しかったのが「三大怪獣」などと同様に、ゴジラと共闘してキングギドラに挑まなかったこと。そしてラスト、他のと混じってゴジラにへりくだるのは大変残念だったなあ(笑)。
ガキの頃からゴジラがルパン、アンギラスが次元だとラドンは五右衛門的位置付けで観ていたから、俺としては同等であって欲しいんだよな。
モスラと同じく一枚看板の主役も張ったんだから!(笑)
で、モスラだ。白状するとガキの頃から今までモスラだけは好きじゃなかったのだ(笑)。幼虫の時の健気さや、成虫になっての華やかな姿も含め、女子に人気ってのもわかるんだが(でも、蝶じゃなくて蛾なんだぜ)、俺は一度もピンとこなかったのだ。
だが今回で初めて気に入ったのだ(笑)。頭でっかちの愛嬌が後退したのがまずよろしい。それでもラストテロップでも「herself」と表記され、劇中でも「彼女」と呼ばれていたが、見た者は美しさに息を飲む神秘さと優雅さをたたえながら、ゴジラをフォローする姿は、あの音楽とともに本当に良かったのだ。それでいてラドンを半殺しにするシビアな戦いも見せて、初めて「かっこいい!」と思わせてもらったのだ。
そして散った後もゴジラを復活させるシーンも(そう言えばGMKでは同じようにギドラをキングギドラに覚醒させたんだよな)モスラらしくて納得だったのだ。
うん、音楽が良かったなあ。要所要所に伊福部スコアを配してのスコアも良かったし、モスラのテーマもまた東洋的神秘感満載で(元は南洋のインファント島だったがこの際良しとしよう(笑))
それらがアレンジされたメインテーマの「掛け声」も含めほんと良かった。
そう言えばラストクレジットではブルー・オイスター・カルトの「ゴジラ」が、カバーバージョンながらアメリカ版ゴジラで初めて流れたのもGOOD!だったなあ。
もちろん、細かいところで言いたいことはいっぱいある(笑)
でもちょっと長くなったのでそれはまた別の機会としよう。
ああ、それでも怪獣登場&バトルシーンだけでももう一回観たいなあ(笑)