Godzilla: King of the Monsters (2019)
監督・脚本:マイケル・ドハティ 製作:メアリー・ペアレント、アレックス・ガルシア、トーマス・タル、ジョン・ジャシュニ、ブライアン・ロジャース 製作総指揮:バリー・H・ウォルドマン、ザック・シールズ、松岡宏泰、大田圭二、ダン・リン、ロイ・リー、坂野義光、奥平謙二 脚本:ザック・シールズ 撮影:ローレンス・シャー 美術:スコット・チャンブリス 編集:ロジャー・バートン 視覚効果監修:ギョーム・ロシェロン 音楽:ベアー・マクレアリー
出演:カイル・チャンドラー、ベラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、ブラッドリー・ウィットフォード、サリー・ホーキンス、チャールズ・ダンス、トーマス・ミドルディッチ、オシェア・ジャクソン・Jr.、渡辺謙、チャン・ツィイー
いやー、良いもの観せてもらいました!
なんか終末観いっぱいの予告編で、どんな話になって行くのか楽しみではあったが、こういうのが観たかった!って言う本気の怪獣バトル、堪能させていただきました!(笑)。
平成ゴジラの極彩色の光線バトルがちょっと苦手だったので、本作の怪獣同士の激突肉弾戦、ぶつかり合い、殴り、掴み、噛む、刺すのガチバトルが観れたのは本当に嬉しかったのだ。
以下ネタバレあるんですんません!
特にキングギドラが良かった!CGならではの3本首の自由な動きが最高。3つ首の性格まで違うかのような描写も好きだし、ゴジラに噛み千切られた首が再生した時点で生物としてもただならない物という雰囲気あるし。
何より悪魔を思わせるシルエットの翼。それを広げた時の巨大さ、その翼からの電流放出の凄さ。作中モンスター・ゼロと呼ばれたり、しっかり宇宙からの生物=地球の王には相応しくないと言う悪役位置付けも説明されて大納得の設定がまずGOOD!
監督、脚本のマイケル・ドハティが、かなりゴジラ好きでオマージュを捧げたと聞いたが、こういうところ嬉しいんだよなあ。
贅沢を言えば三大怪獣の時みたいに火の玉から怪獣形になって行くところを観たかったが今回は氷漬け(笑)。まあ、まさに「遊星からの物体X」ならぬ「モンスターゼロ」だったわけだな(笑)。
初期を除き、昭和ゴジラはだんだん正義の味方になってしまい、平成ゴジラでは毎回ゴジラが恐怖及び殲滅の対象であるのは良いのだが、そうなると対する怪獣の立場がいつも微妙になるのだが、今回は「人類の味方ではないが地球の味方」ゴジラが、「宇宙からの偽りの王」ギドラに挑むってのが無理なくて本当に良かったのだ。
思えばキングギドラ、昭和のゴジラ映画では、前の記事で貼った「三大怪獣 地球最大の決戦」や「怪獣大戦争」「怪獣総進撃」などでも押しも押されぬ超悪役、そのラスボス感いっぱいの造型も禍々しくも美しくて良かったけど、毎回宇宙人に操られていたし(笑)。
平成の時は前述の通り何だか立ち位置が微妙(おまけに未来人の手先&サイボーグ化)だったりしたのだが、今回は自由意思で暴れまわってくれたのが何よりで(笑)。
「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」に至っては、破壊神ゴジラに挑み日本を守る護国聖獣の一匹。しかも最初はゴジラより小さいってな具合に、こいつが悪役だとゴジラは正義の味方、ゴジラが破壊神だとこいつが人類側と、なかなか難しい扱いだったのだが、前述の通り完全悪役立ち位置にしたのが大正解だったと思う。
余談だが「GMK大怪獣総攻撃」は映画としては大好きなんだけど、題名でオミットされたバラゴンに加え、モスラの位置付けがバラン、ギドラの位置付けでアンギラスで企画進行していたのが、集客狙いで変わってしまったのは本当に残念!これで、やるべきだったよなあ。
そんなわけでキングギドラは完全に悪役でスッキリ。今回は一応「ゴジラはまだ敵か味方かわからんが、宇宙からの怪獣よりはマシ」という理由が立って、「倒すべき相手」として充分な理由があるのがゴジラの最大のライバルとして今まで以上に引き立っていたと思うのだ。
そして、ラドン!火山からの登場シーンの格好良さ。劇中唯一と言ってもいいくらいの街中パニック逃げ惑い群衆を襲う役目も良く、文字通りの「火の鳥」の如く燃える火の粉を散らしての飛翔、戦闘機への錐揉み戦術にモスラとの死闘など、尺以上に見せ場がたくさんで良かった!
惜しかったのが「三大怪獣」などと同様に、ゴジラと共闘してキングギドラに挑まなかったこと。そしてラスト、他のと混じってゴジラにへりくだるのは大変残念だったなあ(笑)。
ガキの頃からゴジラがルパン、アンギラスが次元だとラドンは五右衛門的位置付けで観ていたから、俺としては同等であって欲しいんだよな。
モスラと同じく一枚看板の主役も張ったんだから!(笑)
で、モスラだ。白状するとガキの頃から今までモスラだけは好きじゃなかったのだ(笑)。幼虫の時の健気さや、成虫になっての華やかな姿も含め、女子に人気ってのもわかるんだが(でも、蝶じゃなくて蛾なんだぜ)、俺は一度もピンとこなかったのだ。
だが今回で初めて気に入ったのだ(笑)。頭でっかちの愛嬌が後退したのがまずよろしい。それでもラストテロップでも「herself」と表記され、劇中でも「彼女」と呼ばれていたが、見た者は美しさに息を飲む神秘さと優雅さをたたえながら、ゴジラをフォローする姿は、あの音楽とともに本当に良かったのだ。それでいてラドンを半殺しにするシビアな戦いも見せて、初めて「かっこいい!」と思わせてもらったのだ。
そして散った後もゴジラを復活させるシーンも(そう言えばGMKでは同じようにギドラをキングギドラに覚醒させたんだよな)モスラらしくて納得だったのだ。
うん、音楽が良かったなあ。要所要所に伊福部スコアを配してのスコアも良かったし、モスラのテーマもまた東洋的神秘感満載で(元は南洋のインファント島だったがこの際良しとしよう(笑))
それらがアレンジされたメインテーマの「掛け声」も含めほんと良かった。
そう言えばラストクレジットではブルー・オイスター・カルトの「ゴジラ」が、カバーバージョンながらアメリカ版ゴジラで初めて流れたのもGOOD!だったなあ。
もちろん、細かいところで言いたいことはいっぱいある(笑)
でもちょっと長くなったのでそれはまた別の機会としよう。
ああ、それでも怪獣登場&バトルシーンだけでももう一回観たいなあ(笑)