どうも。移動は徒歩から自動車や飛行機に、計算は暗算や筆算から電子計算機に。手間や苦労を減らすことは人類の進歩に寄与します。それならば自分がしてきた苦労を若者にも経験させ、人生の貴重な時間を浪費させようとする年寄りは人類の敵です。
それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚』です。
妻に去られた画家が下水道で人魚を見つけて保護する。しかし人魚の身体は腐っていく。1988年公開のオリジナルビデオ作品。監督は日野日出志で、出演は斉木しげる、利重剛、久本雅美、染井真理。
1988年から1989年にかけて発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件で話題になったスプラッターホラーシリーズの第5作です。劇場用映画ではなく、オリジナルビデオ作品ですが、鑑賞する機会を得たので観てみました(現在は廃盤)。
本作からタイトルが「ギニーピッグ」から「ザ・ギニーピッグ」に変わりました。本作からストーリーのあるシリアスドラマ仕立てになったからでしょう(第3作『ギニーピッグ3 戦慄!死なない男』もストーリーはありますが、コメディ仕立てです)。
監督も原作も脚本も怪奇漫画家の日野日出志です。第2作『ギニーピッグ2 血肉の華』で監督デビューしたので、本作が監督2作目でしょうか。スナッフフィルム調の『ギニーピッグ2』と異なり、本作は日野のセルフ漫画実写化作品で、彼の世界観やセンスが色濃く出ています。人魚(染井真理)の体にできた腫瘍から出る血や膿で絵を描くのは、日野の代表作『蔵六の奇病』と同じネタです。
画家(斉木しげる)が病に苦しむ人魚をバラバラにする、終盤の人体破壊描写はグロテスクで気持ち悪いです。その前にある人魚の体中に腫瘍が広がり、そこから血や膿が噴き出したり、腐って虫が湧いてきたりするのも気持ち悪いです。多種多彩なグロを集めた本作は、もれなく観た者を不快にさせます。
しかし、ただ不快にさせるだけではありません。実は受け入れ難い現実から逃避するために画家が見た妄想であるという悲しい寓話として解釈できます。シリーズ全作中、最もエンターテインメント性の高い作品なのです。
★★★☆☆(2024年9月12日(木)インターネット配信動画で鑑賞)

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