テノールの友人と『師匠』について話をしていました。
彼のお師匠さんが、不治の病であると聞きました。お師匠さんが入院されている病院で、門下生の有志によるオペラハイライトを上演したというのです。
公演は成功したものの、彼はダウンしていたというのです。
敬愛するお師匠さんは、もうお話もできない状態なのだそう。しかし、公演を観てくれていて、歌いながらお師匠の顔を見たら泣きそうになったというのです。
不治の病という時点でも辛いですが、心から尊敬し、親のように慕うお師匠のおそばでお世話をしたり、お手伝いをしたりできないもどかしさに苦しんでいるとのこと。
その気持ちがよーーーーーく分かります。
今はお元気で、現役で歌える私のお師匠。一時期体調を崩されたこともあり、その時に同じように思いました。私はお師匠のアシスタント的な立場にいますから、何かあると他の門下生に連絡をするので、何かあれば私にご連絡を頂きます。
お師匠は私の音楽の父であり、第二の父親なのです。実際に父と同年代ですし。音楽のこと、歌のこと、一番の理解者であり、親・兄弟以外に絶対の信頼をしている方です。私のプライベートな悩みも大変親身に聞いてくださいます。
もし、お師匠が不治の病などなったらどれだけ私も苦しむことでしょう。厚かましすぎて、奥様に『お手伝いさせてください』なんて言えないし。
だから、友人の気持ちがよく分かるのです。あぁ、彼はどんなに複雑な気持ちでお師匠さんの前で歌ったことか。
師匠という存在の重要さ。それは、その業に限らず、人生にとって重要であるということ。
そんな風に生徒さんが思ってくれるような指導者を目指していこうと思います。
Mao's Voice Salon