アンプはオーディオの心臓 | 愛は限りなく ~DIO, COME TI AMO~

愛は限りなく ~DIO, COME TI AMO~

一粒の雨にさえ心揺れることもある。いつもどんな時も心閉ざさずに…。

先の三連休に学生時代の親友と難波で会食しました。

その中でふとしたことからティアックの話になり、『そう言えば、知り合った時からプリメインアンプはサンスイをお使いでしたね。元々サンスイの愛好家だったのですか?』からオーディオ談義となりました。

いや、実際は『談義』ではなく、N氏のアンプ遍歴を聞かせて頂く形となり、せっかくだから記事にしたいと持ち掛けると、快く承知してくれました。

 

 

私:MDプレーヤー(レコーダー。以下同)は現在ケンウッドを使っていますが、実際は外国語のラジオ講座の録音・再生に使うだけです。あなたは今でもMDを聴きますか。

 

N氏:聴きますよ。難波に相当マニアックなレンタルCD店があって、そこで借りたものをアルバム単位ではなく、曲単位で気に入った楽曲をMDに落とすんです。CD-Rの時もあるが、MDが圧倒的に多い。

 

私:しかしMD自体国産の品が手に入らないのでは?

 

N氏:そんなことはありません。ソニーが責任感からいまだ発売しています。上新に行けば大抵置いていますよ。それより心配なのはMDプレーヤーが壊れた時の場合。ずっとパイオニアを使っているけど、これは主観と違い、MDプレーヤーはパイオニアが一番だった。特に再生機能。日本橋の電気店の人が複数そう言っていた。

 

私:壊れたら大変じゃないですか?

 

N氏:だから最近新品でティアックのMDプレーヤーを買ったの。

 

私:それは気になりますね。実は大量のカセットテープや若干のミュージックテープを所有しており、今新品でカセットデッキが買えるのってティアックだけらしいじゃないですか。そのティアックの製品は国産ですか?

 

N氏:ちゃうちゃう。MDプレーヤーは日本製じゃなかった。だからカセットデッキだって推して知るべしです。MDプレーヤーについて言えば、ダメとは言わへんけど、パイオニアと比べて2ランクは落ちますよ。

 

私:それは問題だな。

 

N氏:ただし、ティアックの場合は純正のMDプレーヤーではなくCDプレーヤーも付いているので、その分性能が削られていてもおかしくないでしょう。

 

私:そう言えば、現在デノンのアンプをお使いだそうですが、サンスイがダメになったからですか?サンスイへの拘りは?

 

N氏:わかりました。最初からお話しましょう。最初はバラコンでは持ってなかった。コロムビアの高級セットでレコードを聴いていました。

 

私:デンオンではなく、その下の入門機ですね(笑)

 

N氏:ただし、おもちゃのようなセットではなく、デッキは別売りで、その別売りデッキを入れるケースまで付いていた。価格は7万円台と安くはなかった。

 

私:つまり、レコードプレーヤーにチューナーとアンプが付いていた、と。

 

N氏:そう。しかし、しばらくしてもう少し高級な音が欲しくなった。何を替えようかと考えた挙句、プリメインアンプだけを単品にしてそれに繋ぐことにした。それがヤマハのA-6aだった。

 

私:レシーバーとは言え、そこに本格的な単品アンプを繋げば劇的に音が変わったでしょう?

 

N氏:勿論!音が変わったことだけは認めます。まさにバロック音楽向きで、倍音がきれいに出ましたね。ユーミンを聴くにはもってこいでした。しかし、明らかに私の好みではない点に気付き、姉に譲った。

 

私:でもコロンビアのレシーバーとの相性はともかく、購入時に試聴はされましたよね?

 

N氏:う~ん、どうだったかな。音質などはさして考えず、見た目のきれいさから買った記憶がある。光るスイッチがカッコよかった。高音はきれいで低音はほどほど。中音域の押出しは弱かった。スピーカーもダイアトーンに替えたが、やはり不満があったので姉に譲った訳。

 

私:それでサンスイを?

 

N氏:いいや、それはまだ。ヤマハの次はデンオン。お店で試聴した時は、サウンドが太くなったと感じた。そやけど家で聴いたら、その太さが濁ったようにしか聴こえなかった。買ったところで相談しメーカーの人にも来てもらった結果、別のデッキに交換してもらえた。当時は景気が良かったのか、普通にそんなことが可能でした。

 

私:本当に不良品?

 

N氏:わかりませんね。大昔の話やし。

 

私:そもそもヤマハからデンオンに変えた理由をもう少し詳しく…。

 

N氏:D/Aコンバーターの存在!要するに余分な回路を通さずにアンプのコンバーターで再生することにより、音がピュアになるという理屈です。でも、デジタルアンプであろうとなかろうと結局はメーカーの音の傾向って一緒ですから。とにかく、デンオンの音では女性ヴォーカルには不向きだったのでソニーに交換してもらった。

 

私:ソニーの機種は何だったか憶えていますか?

 

N氏:TA-F333ESXで定価は¥79,800。86年の話です。ソニーはサンスイから技術者を引き抜き、本気でアンプ部門に参戦。とにかく重量が重く、18.6kg。当時売れ線だった価格帯なので物量投入。薄い高音、中音域はほどほど、こもらない抜ける低音なので量感はない。一方、この頃のサンスイのアンプは抜けはイマイチだが、こもる低音だからヴォリューム感がある。どっちが良い悪いじゃなく、各人の好みだろうな。ソニーは全体的に硬く、寒色系の音質なので結局知人に売却。

 

私:ならば私に譲ってほしかったな(笑)

 

N氏:さあて、気に入るかどうかわからないよ。ソニーのアンプは?

 

私:全然使っていません。最初にビクターのお古を譲ってもらい、その後は1985年にラックスマンのLV-103を購入して、今に至ります。当然修理歴はありますが。それで、ソニーの次がいよいよサンスイですか?

 

N氏:そうです。そこで気になっていたサンスイのAu-α607i(¥79800)を87年に購入しました。JBLスピーカーの代理店だったので、それに合うアンプを製作。繊細というよりはゴツゴツした音質。ところが、私が買った頃には重いが柔らかく暖色系の音質に変更。前面に出るというよりは奥行き重視。リズム楽器が良く響く。ヴォリュームを上げてもやかましくない音。アンプのシェアは約50パーセント。数年前からX-バランスに回路を変更したので。部屋の蛍光灯のスイッチ時にノイズ音を拾うデリケートさが玉に瑕やな。80年代中頃からサンスイのアンプは、グロッシー(艶やか)と表現されるようになりました。

 

私:蛍光灯のスイッチを使った時までノイズに出てしまう?それは店頭で試聴した時にはわからなかったのでしょうか。もしくは『そんなこともあるよ』と店員さんからの説明は?

 

N氏:店員の方から説明はありませんでした。試聴室ではわかりません。スイッチングノイズの件もありますが、ヘッドフォンで聴く時にアンプを通電すると、若干ホワイトノイズがしました。だから気になったのです。サンスイの社員に家に来てもらいましたが、『これぐらいのノイズは普通です。他のメーカーに比べてノイズが気になるでしょうが、その分音の響きが良いです』と言われました。多分、苦情が多かったのでしょう。

 

私:でも、それを除けば気に入っていたのでしょ?私と違ってヘッドフォンで聴く機会も限られているはずだし。それにしてもスイッチングノイズが出るなんて知らなかったです。初耳ですよ。

 

N氏:2年ほど愛用しました。89年になるとAu-α707L(¥14500)22kg、サイドウッド付きを購入。ノイズ音も発生しない。落ち着いた音質、やや地味かな。当然707を買う際には、電気屋さんにその辺を質すと、改良されたとのことで購入に至った訳です。オーディオは当時、花形だったので毎年マイナーチェンジが必要だったのです。だから、少しずつ改良したのです。元々はサンスイのアンプにノイズなんてなかったのですから。

 

私:では知り合ったのもこの頃ですね。

 

N氏:そういうことになります。707はやわらかくて重い音が特徴と言えます。今からすると古くさいかもしれません。それとサンスイの606と707とはちょうどレコードからCD時代への過渡期でもありました。わかりやすく言うと、606ではレコードを、707からはCDをメインに掛けていたことになります。ノイズの件は別にすると、606にはレコードの音が合っていたと思う。しかし、バランス接続に拘った結果、低音が出過ぎてしまった。707は音が重くなっただけ中途半端。確かに音場は深いが、今の音楽を聴くには重たい。逆にケイト・ブッシュの「レッド・シューズ」がやたら良く聴こえます。サウンドがやわらかくて、ヴォリュームを上げてもちっともうるさくならない。

 

私:「レッド・シューズ」(1993年)は私も持っていますが、残念ながらあまり聴いていません。具体的にどの曲を指しているのでしょうか?

 

N氏:“人生、そして愛”です。聴いてみますか?(と言って、タブレットに繋がったヘッドフォンを渡してもらう)

 

私:ああ、このうめき声やそれを煽るリード・ギターがあまりに固くなると、聴きづらくなりますね。

 

N氏:やはりそう思う?逆に現在使っているデノンPMA-1500AEでその曲を聴いたら鬱陶しく聴こえる。

 

私:サンスイのAu-α707Lの次が最新というか、現在ご使用のデノンPMA-1500AEなんですね?

 

N氏:サンスイは10年ほど使っているうちにガリヴォリュームが出るようになったため、デノンに買い替えました。デノンの方がサンスイよりも遥かに音がスリムです。マランツも候補に入れましたが、ヴォーカルが貧弱なので落としました。それにSACDプレーヤーもデンオンだし、組み合わせると音もがっしりと締まりますよ。

 

私:ところで、レコード時代は無理にしても、CD時代になってからオーディオの買い替え時に、お店に持参するアルバムはありましたか?

 

N氏:電気屋さんにCDは持って行きません。あまりに自分の趣味に特化した選択をすると音楽の好みが変わった時に困ると思ったからです。ただし、購入したらすぐにチェックする“リファレンス・ナンバー”はありますよ。「レッド・ツェッペリンⅣ」(1971年)に入っている“レヴィ―・ブレイク”で低音をチェックするようにしています。

 

私:…。

 

N氏:あれっ、あの曲はあまり好きではない?確かブログに…。

 

私:いや、他にも同じことを言っていた人が居て、ちょっと考え込んだだけです。他には?

 

N氏:ヴォーカルでは女性が野田幹子さんの“揺れる~I Miss You~”(1989年)。細く透き通った声と凝ったアレンジが秀逸です。男性はスティングの“イングリッシュマン・イン・ニューヨーク”(1987年)。ちょっとジャズっぽいし、クールで良い曲でしょ?ちなみにスピーカーはダイアトーンの後、ケンウッドに買い替えてから現在まで25年ほど使用しています。まあ、予算と場所が許せば、アンプとスピーカーは2セットあった方がいいですね(笑)

 

 

 

 

 

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Ibaraqui, le 29 septembre 2018