平原綾香さんの｢Dear Music｣(2018年)はベスト･アルバムと呼べるのでしょうか？
副題には『15th Anniversary album』と記されており､単純にデビュー15周年記念アルバムなのか､この15年を俯瞰したような作品集なのか､題名だけではわかりにくい｡
もっとも､途中レコード会社を移籍しているので､昔の曲が入っていても別音源になるでしょう｡
曲目を確認すると､やはりドリーミュージック時代の曲が入っていました｡
ただし､“Night in Tunisia”は『Concert Tour Version』と記され､既存の音源でないのがわかります｡
いわゆる『ライヴ･ヴァージョン』を指します｡
他は､過去に出演したミュージカルで歌った楽曲が入っており､これは演劇を見に行けなかった人や歌だけを聴きたい人には願ったり叶ったりでしょう｡
以前歌った作品の新録はあまり歓迎できませんが､ミュージカルの楽曲をまとめてスタジオ録音するのにまさか反対する声はないと思う｡
実を言えば､詳細は先日7月16日(月･祝)の神戸公演で手渡されたCDのチラシに書かれてありました！
ネットではわからない情報でしょ？
ミュージカル関連曲は先述の通り､全て新録です｡
また､ミュージカルとは何の関係もない“I'm Begining To See The Light”も勿論新録です｡
ジャズのスタンダード曲として取り上げたようで､そもそも過去のアルバムには入っていません｡
とは言え､紛らわしい曲も入っています｡
“Love Never Dies～愛は死なず～”はドリーミュージック時代の｢my Classics 2｣(2010年)で取り上げていましたね｡
これはそちらの版ではなく､2014年の｢Winter Songbook｣からの採用です｡
一方､アルバムの最後に入っている“Jupiter”は最初に出たヴァージョンでした｡
先に私は､『途中レコード会社を移籍しているので､昔の曲が入っていても別音源になるでしょう』と述べました｡
でも今や『オール･タイム･ベスト･アルバム』と銘打たずとも､使用料さえ払えば数曲別会社の音源を入れるのはそう難しくはないようです｡
ライヴ音源はどうか？
私はDVDを数枚所有している程度ですが､全ての映像作品をお持ちの方は前出の“Night in Tunisia”と“Time To Say Goodbye”がその映像落としだったら､ガッカリなさるかもしれません｡
そんなこともないですか…｡
『サウンド･オブ･ミュージック』から2曲あり､これはDVDで吹き替えを担当した歌をそのまま収録｡
チラシにそう明示されています｡
無論､最新版『サウンド･オブ･ミュージック』のDVD､Blu-rayをお持ちでない方にとっては､非常に新鮮に響くのは間違いないです｡
だから､ライヴ音源の“Night in Tunisia”と“Time To Say Goodbye”が既発DVDから採られたとして､少なくとも全15曲中9曲が新録なので､オリジナル･アルバムと同様に愉しめると思います｡
しかし､残念な面もあります｡
ライヴ音源の話はよいとして､ミュージカル『ラブ･ネバー･ダイ』から“Look With Your Heart～こころでみつめて～”を新しくレコーディングしたなら､“Love Never Dies”も新録してよかったのでは？
また､新曲として収められた水野良樹さんによる“これから”が素晴らしい出来だったので､水野さんの曲をもっと入れるか､もしくは平原さんと共作してほしかった気もします｡
もうひとつの新曲“Smile Song”が平原さんの作曲だから､3分の1を平原さん､水野さんが各々書き､残りの3分の1を共作すれば面白かったと思います｡
“準ベスト･アルバム”的性格の作品集に入れるだけでは勿体ない｡
1. これから ☆
2. Smile Song ☆
3. Beautiful ☆
4. You've Got A Friend ☆
5. （You Make Me Feel Like）A Natural Woman ☆
6. Chim Chim Cher-ee ☆
7. Supercalifragilisticexpialidocious ☆
8. Night in Tunisia（Concert Tour Version）
9. I'm Begining To See The Light ☆
10. Look With Your Heart～こころでみつめて～ ☆
11. Love Never Dies～愛は死なず～
12. The Sound of Music～サウンド･オブ･ミュージック～
13. The Lonely Goatherd～ひとりぼっちの羊飼い～
14. Time To Say Goodbye（Concert Tour Version）
15. Jupiter
☆新曲もしくは新録
最後にジャケットについてですが､これは文句なし！
本当は曲の構成よりも音源云々よりも､ジャケット写真が一番です｡
それは言い過ぎでも､とにかく｢LOVE 2｣(2017年)の姉妹編みたいな写真で､平原さんの帽子とスリーヴレス･シャツの色が背景色と上手く溶け込んでいます｡
派手過ぎず､地味過ぎずといった感じで｡
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