新曲ばかりを集めた通常盤のジャケットでは、バンドの定着した像があるため冒険が出来ずとも、ベスト・アルバムなら思い切った意匠を使えると思わせたのがレインボーのベスト盤。
正確には、「レインボー・グレイテスト・ヒッツ」(1981年)と題された2枚組のヒット集です。
内容は、1975年の「銀嶺の覇者」から1981年の「アイ・サレンダー」まで満遍なく収められています。
ちなみに帯に記された惹句は…『ロック・シーン最高峰、レインボー不滅のベスト集!』
さて、この「グレイテスト・ヒッツ」ですが、まるでウィンダム・ヒルの作品を思わせる風景写真です。
夕陽を背景に、大型の紙飛行機を飛ばそうとしている人の姿を遠方から撮った芸術性の高いもの。
海辺で撮られた写真のようで、右下にボートの先端が写っています。
このスリーヴを選んだのはリッチー・ブラックモアの考えなのでしょうか?
いくつかフロント・カヴァーの候補を提示され、その中からリッチーが選んだのかもしれません。
ジミー・ペイジだと自らどんな写真を欲しているかデザイナーに示し、煮詰めて行きそうに見えます。
その好い例が「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」(1979年)になるでしょう。
米国南部の酒場を再現したセットをスタジオに組んだそうです。
ただ、同じ場面を6つの角度から撮影する考えが最初からあったかどうかは不明です。
いずれにせよ、「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」のような謎めいた雰囲気はレインボーのベスト盤には皆無であり、人物も美しい風景の一部になっている。
A面
オール・ナイト・ロング D ●
銀嶺の覇者 A 〇
ロスト・イン・ハリウッド D ●
ジェラス・ラヴァー ※ ☆
ロング・リヴ・ロックン・ロール C 〇
B面
スター・ゲイザー B 〇
キル・ザ・キング C 〇
ア・ライト・イン・ザ・ブラック B 〇
C面
シンス・ユー・ビーン・ゴーン D ●
16世紀のグリーンスリーヴス A 〇
虹をつかもう A 〇
アイズ・オブ・ザ・ワールド D ●
D面
アイ・サレンダー E ☆
バビロンの城門 C 〇
キャント・ハプン・ヒア E ☆
スターストラック B 〇
A…「銀嶺の覇者」(1975年) ロニー・ジェイムス・ディオ 〇
B…「虹を翔る覇者」(1976年) ロニー・ジェイムス・ディオ 〇
C…「バビロンの城門(アーチ)」(1978年) ロニー・ジェイムス・ディオ 〇
D…「ダウン・トゥ・アース」(1979年) グラハム・ボネット ●
E…「アイ・サレンダー」(1981年) ジョー・リン・ターナー ☆
※…シングル“キャント・ハプン・ヒア”のB面で、アルバム未収録曲 ジョー・リン・ターナー ☆
実に巧くまとめてあると感じます。
3人のヴォーカリストのいずれにも偏らない形になっています。
グラハム・ボネットの歌が4曲入っているのを多いとお感じになる方も居るかもしれませんが、「ダウン・トゥ・アース」がシングル、アルバム共に大ヒットしましたから、これは妥当な選曲と言えるでしょう。
さらに、アルバム未収録シングルの“ジェラス・ラヴァー”を入れたのもファン心理を衝いている。
もっとも、この曲を目当てに「アイ・サレンダー」からの2枚目のシングル“キャント・ハプン・ヒア”を購入したファンには、いわゆるジャケ買いするしか本ベストを手に入れる意味がない?
まあ、その辺は痛しかゆしかな(苦笑)
レインボーがシングルにわざわざ未発表曲を入れてくること自体、従来のファンにも買ってもらえるよう、そこそこのヒットを狙ったと見え、やり方としてはとても良いですね。
また、「レインボー・グレイテスト・ヒッツ」は“入門編”の役割が大きいにしても、少しは“ジャケ買い”してくれる固定ファンを頭に入れた可能性もありそうです。
“ジェラス・ラヴァ―”はミディアム・テンポで覚えやすいメロディである一方、要所でヘヴィなギター・リフとドラムスが聴け、音源を持っておく価値はあります。
録音も「ダウン・トゥ・アース」よりずっと抜けが良く、スタジオでは大きな音で演奏していたのにレコードではそれが再現されていない…ように感じる部分もありません。
この曲を聴くのであれば、LPよりも高出力の45回転シングルをお薦めしますね。
どんな曲でもそうですが、シングルで聴き慣れた曲を33回転のLPで聴けば鮮度が落ちたように感じる。
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