0cm「愛に行く」(22)
セットされていた携帯電話のタイマーが、キラキラした音を立てながら鳴り響く。
同時に体を上下に伸ばし、ほぐれたところでジョンの顔を見上げた。
「たくさん昼寝して、スッキリしたけどまだまだ寝られそう。」
寝起きのせいも手伝ってか、小さく甘えるように言いながらジョンの体を抱きしめていた。
決して勘違いしているわけではないが、自分の中でかわいいと思われたいという欲を出さずにはいられなかった。
「俺も同じ。そう言えば夜の7時位に、大学院のクラスメイトと学校でのプロジェクトの準備をする約束をしてるんだ。」
「そうなんだ。じゃ、それまでには私もおいとましないとね。」
「まぁ、それでもいんだけど…。黄菜、良かったらこれから俺のアパートに泊まらない?」
「え?いいの?」
「毎回俺のアパートと黄菜のユースホステルを行き来するのもお互い大変だし、前にうるさいとか寒いとか言っていたでしょ?だから日本に帰るまでここに居てもいいよ。」
「じゃぁ、泊まる!」
顔に出た喜びを隠す事も忘れ、今のジョンの言葉が撤回される前に勢いよくそう返事した。
”災い転じて福となす”という言葉があるように、”付き合う事が出来ない”という災いが起きてから、こうした”ジョンとの心も体も親密な時間”という福がどんどんと舞い込んでいるようにしか思えなかった。
”これが本当にジョンと付き合うことになっていたら、どんなにもっと幸せな事か…。”
幾度となく仮想を頭の中で繰り返したが、そこにはとにかく温厚で愛情にあふれた彼の姿しか想像できなかった。
しかしその仮想は仮想で終わるしかない。
そう冷静に感がられる自分が今の私には全く必要はなく、この幸せな時間をできるだけ最大限に味わえるようにするのが賢明な事だと考えた。
私たちはすでに夕闇に向けて支度を始めた空の下、ユースホステルへと向かった。
ユースホステルでは宿泊客以外立ち入り禁止なため、私は急いで地下に行き、もうすでに鍵をかけて閉じてあるスーツケースを引きずり出した。
「すみません。まだ宿泊日数が残っているのですが、このままチェックアウトさせてください。すでに払っている代金もそのままでいいので。」
「わかりました。特に手続きもないので。もう大丈夫ですよ。」
受付の女性が少し不思議そうな顔を覗かせたが、そんな事を気にする暇もなく、寒空の下外で待機しているジョンの下へ向かおうとした。
重圧感のあるフロントドアを開けた瞬間、そこにはニコリと優しく微笑むジョンの姿が。
そんな彼を見た瞬間、私は狭い籠から放たれた鳥のような気持になった。
やっと自由の身となり、自分の求めていた所へ羽ばたいていける。
ジョンはさりげなく私のスーツケースへ手を伸ばし、私は手袋をはめた彼の片手を握りしめ、地下鉄へと歩いて行った。
同時に体を上下に伸ばし、ほぐれたところでジョンの顔を見上げた。
「たくさん昼寝して、スッキリしたけどまだまだ寝られそう。」
寝起きのせいも手伝ってか、小さく甘えるように言いながらジョンの体を抱きしめていた。
決して勘違いしているわけではないが、自分の中でかわいいと思われたいという欲を出さずにはいられなかった。
「俺も同じ。そう言えば夜の7時位に、大学院のクラスメイトと学校でのプロジェクトの準備をする約束をしてるんだ。」
「そうなんだ。じゃ、それまでには私もおいとましないとね。」
「まぁ、それでもいんだけど…。黄菜、良かったらこれから俺のアパートに泊まらない?」
「え?いいの?」
「毎回俺のアパートと黄菜のユースホステルを行き来するのもお互い大変だし、前にうるさいとか寒いとか言っていたでしょ?だから日本に帰るまでここに居てもいいよ。」
「じゃぁ、泊まる!」
顔に出た喜びを隠す事も忘れ、今のジョンの言葉が撤回される前に勢いよくそう返事した。
”災い転じて福となす”という言葉があるように、”付き合う事が出来ない”という災いが起きてから、こうした”ジョンとの心も体も親密な時間”という福がどんどんと舞い込んでいるようにしか思えなかった。
”これが本当にジョンと付き合うことになっていたら、どんなにもっと幸せな事か…。”
幾度となく仮想を頭の中で繰り返したが、そこにはとにかく温厚で愛情にあふれた彼の姿しか想像できなかった。
しかしその仮想は仮想で終わるしかない。
そう冷静に感がられる自分が今の私には全く必要はなく、この幸せな時間をできるだけ最大限に味わえるようにするのが賢明な事だと考えた。
私たちはすでに夕闇に向けて支度を始めた空の下、ユースホステルへと向かった。
ユースホステルでは宿泊客以外立ち入り禁止なため、私は急いで地下に行き、もうすでに鍵をかけて閉じてあるスーツケースを引きずり出した。
「すみません。まだ宿泊日数が残っているのですが、このままチェックアウトさせてください。すでに払っている代金もそのままでいいので。」
「わかりました。特に手続きもないので。もう大丈夫ですよ。」
受付の女性が少し不思議そうな顔を覗かせたが、そんな事を気にする暇もなく、寒空の下外で待機しているジョンの下へ向かおうとした。
重圧感のあるフロントドアを開けた瞬間、そこにはニコリと優しく微笑むジョンの姿が。
そんな彼を見た瞬間、私は狭い籠から放たれた鳥のような気持になった。
やっと自由の身となり、自分の求めていた所へ羽ばたいていける。
ジョンはさりげなく私のスーツケースへ手を伸ばし、私は手袋をはめた彼の片手を握りしめ、地下鉄へと歩いて行った。