戸切地陣屋は新函館北斗駅から南南西6kmほど、戸切地川の東側に広がる段丘上に築かれた星型要塞。国指定史跡。
幕末の安政二年(1855年)に渡島半島の南西側など一部を残して直轄地に召し上げた江戸幕府が松前藩に築城を命じたもので、同藩士藤原主馬が設計した。かれは佐久間象山のもとで洋式軍学を熱心に学び、藩主松前崇広から西洋流砲術師範・赤松流砲術師範に任ぜられていた。
築城から13年で箱館戦争をむかえたが陣屋での直接戦闘はなく、残っていたわずかな守備兵が自ら焼き払って退去したという。
1855年の築城は、星型要塞として日本初。
夏も終わろうかというのに猛暑が続いていたこの日、さすがに夏バテの気配がしたので涼しい北海道へ遠征することを3日前に決め、夜行バスと新幹線の乗り継ぎという奇策で新函館北斗駅に降り立ち、最初に訪問することにした。
四稜郭と七飯の峠下台場を訪問した昨年七月に取りこぼしていたから、という理由だった😅
県道から案内看板にしたがって駐車場まで行くと、もう陣屋の土塁が向こうに見えてくる😮
せっかくなので、表御門に南から真っすぐ入ってゆく堀底状の道から入ってみるか。
なお、この堀底状の道に入るところは十字路になっているが、その陣屋と反対側に東西に伸びる土塁状がある。
陣屋に入る時には後補と思ってスルーしたのだが、後でそうではないことを教えられた😅
ラストにて。
表御門の前まで来た。
横に藩主松前崇広の写真と説明の入ったポールが立つ。
このポール、ただのモニュメントと思ったら…
裏側に、いろいろな説明が書かれている。
中でも、この「野崎の丘」地形図がとても勉強になった✨
ここから歩いてきた道の周りの空間を振り返る。
さて表御門の左側には、四芒星のうち南西に突き出た方の空堀、そして土塁。
四稜郭のものより土塁が高く堀も深いようで、二段になっている。
表門は、土橋で渡って高麗門をくぐる。
復元なのだろうが、板葺き屋根が少しめくれ上がったりしていて、傷みが見える…
蝶番もそんな感じになっている。
江戸城の田安門とかだと石火大工が刻んだ刻印が残っているが、ここにはさすがに…😂
セミの抜け殻があった💕
中に入る前に、右側の土塁空堀を。
先端に、左側には無かった稜堡が見える。
稜堡に近づいて、真南から見る。
四稜郭と比べて、やっぱり空堀がデカい。
ちょっと宇都宮の飛山城東端の櫓台を思い出した。
稜堡の真ん中あたりに2ヶ所、土塁に凹みが入っているところがある。
この背後に大砲を置き、筒先をここから外に向けて射撃する。
稜堡を先端から見る。
東側と南側の空堀が鋭角で繋がっていて、稜堡の先端も尖っているようすが、よく見える😮
東側へ回り込んでも、同じように土塁と空堀で守られているのが見える。
東側に出入口は無いので、表御門に戻る。
途中の稜堡前から遠望する表御門と空堀、土塁のコンボはやっぱり飛山城を思い起こさせる…
むこうは木橋で渡ってるけど…
表御門から陣屋の中へ入ってゆく。
中が見通せないように土塁で隠している。
蔀(しとみ)土居、あるいは蔀土塁ってやつか。
四稜郭が枡形なのと違いはあるが、同じ設計思想。ただし門の中の空間は格段に広い。
高さ3メートル、基部の厚さが7メートルぐらいあるか。
周囲の土塁と同じぐらい、しっかりと造られている。
陣屋内は野球もできそうな広さ😮
四稜郭よりずっと広い。
調査で建物の跡が確認されたところには位置を示すレプリカが埋め込まれている。
ここは南西の筒入(銃火器の保管庫)で、盛土されているのは湿気から守るためらしいとのこと。
この外側を守る土塁の周囲は、トラロープで規制されていて入ることができない。
土塁の前に一段高くなった空間があり、向こう側の土塁は中間に武者走りみたいな段が入って、二段になっている。
次は南東の稜堡の内側じゃ〜💨
表御門の内側を通って東へ向かうが、陣屋内には建物の跡がたくさんあって、全て盛土されている。
真ん中あたりにあったココは備頭・目付詰所だそうだ。
そして稜堡の付け根へ。
ここから先が陣屋の攻撃力の要か…ドキドキ💓
四稜郭の稜堡は、内側が高くなっていて上に大砲を据えるようになっていたが、ここのは他の場所と同じ高さ。
付け根に大砲の保管庫(大砲入)のレプリカ。
大砲は土塁に凹みを入れて、そこから筒先を外に向けるようになっていた。内側には大砲を載せる台がわずかに盛られているのが…見えるかなぁ💦
南側と東側に、それぞれ3ヶ所。
砲眼はこんな感じ。
向こう側は、ここからは見えなかった…
稜堡の先端内側は、四稜郭ほどではないが一段高くなっていた。
そして外側の土塁天端は櫓台のように広くなっていた。
どうも昨年見に行った四稜郭と比べてしまうが、面積が広いというだけでなく色んな違いがあるな…
次は北御門から出て火薬庫を見に行くじゃ〜💨
(松前藩戸切地陣屋 その2に続く)
(2024年9月12日 記)