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金刀比羅山砦は国道358号が甲府盆地から御坂山地に取り付いて間もなくのピーク、金刀比羅山の山頂に築かれた砦。旧中道往還、現迦葉坂の東を並走する尾根の北端近くで、国道はトンネルで潜っている。

天正壬午の乱終結直後に右左口砦とともに松平家忠が築き、中道往還や麓に設けられた右左口宿を監視していたとのこと。古くからの軍用道路であり駿河方面から甲斐への侵入路となったこともあるこの街道の警護が如何に重要であったか、だろう。

(電子国土webの図上に筆者作図)

 

途中に「迦葉坂」なる案内看板が立っていて、ここが古来の中道往還だった。

もっとも、この道は山の西側の裾をはるか奥まで登ってしまうらしい。

金刀比羅山への取付きも相当な急斜面のようで、ルートにするには危ないだろう。

 

現在位置(Googleマップで)

登り口は、そのひとつ先の橋になる。

橋の袂から沢に沿うように道らしいものが伸びているが、そちらへは入らず右側の尾根へ登ってゆく。

地形図では沢沿いにかなり奥まで入ってから登るようになっているが、実際には深いヤブで道のようなものはすぐに見えなくなった💦

 

登りの経路はこんな感じだろう。GPSログではないので注意。

(電子国土webの図上に筆者作図)

 

尾根に登り詰めると、つづら折れになりながら登ってゆく尾根道を容易に見つけられる。

ヤブもない。


ちなみに下山の時は、道が民家の庭先に出る寸前に森が途切れて明るくなり、下草に覆われるので、そのすぐ上で尾根を右に下降するようにすれば良い。

 

道は落ち葉に埋もれつつ、休憩者の尾根上をジグザグに登ってゆく。

標高490メートルあたりで、いったん傾斜が緩む。


そして、祠が…😭


そのすぐにある、このちょっとした平場、門などだろうか…?

砦まではまだ比高150メートルぐらいあり、ちょっと下すぎるようだが…


その先、ふたたび傾斜がきつくなり始める裾のココ、両側が土橋のように切れ落ちていて、滑落注意。


両側は竪堀のようにも見えるが、傾斜がきつすぎるし自然地形だろう。

 

細くなった尾根をひとしきり登ってR358現道のトンネル真上の平坦地を過ぎると、いよいよ残りの比高100メートル💦💦

標高670メートルあたりで道が尾根から大きく右へ逸れるが、このすぐ上には岩峰があって直登不可。

トレイル通りに登ってゆくのが正解。

 

尾根を離れてしばらく進むと、標高580メートル弱のところで尾根へ戻ってゆく方向にトラロープが張られている。

よく見ると踏跡らしいものが沿っている。ここへ入ってゆく。


岩峰の周りも切り立っていて、ガチ滑落の危険がある。

ここにも小さな祠。


周囲が切り立っていて、掴まるもの無しで逗まっていると怖いので、慎重にサッサと通過してしまいたいところ…

ここをトラロープなどでバランスを取りつつ通過すると、上が平場のようになってくる。


ここで地形図に点線で描かれた経路とぶつかるが、この道はいま登ってきた尾根上の道よりさらにあやふや。

他の情報を見ても、アプローチには使えないらしい。


そしてココ、登る時には気づかなかったが、少し登って俯瞰すると甲府盆地を展望するのにちょうど良い立地の平場なことが分かる。

もしかしたら、ここに物見台か何かを置いていたのかも…?


傍らにはケルンみたいなやつ…

登山者が石を積んで目印などにしたもの


道はまだ尾根上を登ってゆくが、標高は620メートル。

砦は近い。

 

いよいよピーク目前というところに、鐘が据え付けられていた。

火の見櫓にあるような半鐘を流用した熊よけかな?


その前で道は左に折れ、一段登るところに虎口のような掘り込みが🙌

ごく浅いけど…


よく見ると、ここから左右両側に、主郭の裾に沿うように武者走り状が伸びている。

右手の方は、倒木に塞がれて様子が分かりにくいけど…

登ってきた時には気づかず、帰りに確認😅

 

そして…

 

着いたど〜🙌

霧+ちょい雨でけぶってるな〜😂


虎口状の上に、小広い平坦地があった。

東西20メートルに対して、南北は50メートル以上ありそうな、細長い曲輪だった。

南の方に御神体の祀られたが立っている、ここが砦の主郭。

(電子国土webの図上に筆者作図)

 

西側には、1メートルちょっと下がったところに、ごく細い武者走り状が走っている。


反対側はというと、南の方はまっすぐ斜面になって降りている。


しかし北東側のコーナーをぐるりと回り込むように、これまた武者走り状が見える。


この武者走り状、ここから主郭北東の端に向かって、回り込むように登っている。


主郭内から見たほうが分かりやすいか…?

あんまり変わらんか😂

今の道は神社の参道として掘られたもので、往時はここが虎口だったかも知れぬ。

もっとも武者走りも虎口らしきもだいぶ大人しくなっていて、本当に遺構なのかは分からないが…

 

虎口といえば、西側の武者走り状も主郭を南の方まで進んで、神社のすぐ前くらいで主郭に入っている。

ここも掘り込まれていて、虎口のような感じ。

さらに大人しくて、全く分からんな…😂


主郭の南端に立つ、金刀比羅山神社。

屋上には鬼の代わりのような金色の飾りが乗っているが、物置小屋にも見えてしまう…


この社殿の背後に、尾根を横断する高さ2メートルぐらいの立派な土塁が走っている。


倒木などがあって、少々荒れているが…


そして、その背後は短い横堀状になった堀切で守られている。

中央には倒木が被さって、しかも埋まっているようす。

なんか建物の一部だったらしい、ほぞ穴のある材木も打ち捨てられてるし…🥺


だが南の方は、ハッキリと堀の形をとどめている😮


北の方も、それなりに残っている。


その南には、平坦な尾根が伸びている。

自然の尾根にしてはあまりにも真っ平らなので、ここも曲輪だろう。

荒れてるなぁ…🥺

西の端を覗き込んでも、切岸加工されたかは分からないが主郭と同じくらいの急傾斜だし…


そして、その外…

 

立派な堀切あるやん🤯


天端間の幅が5メートルぐらい、城内側からの深さが3メートルぐらいもある、思ってもみなかった立派な堀切で仕切られていた。

外側はもう丸い尾根が下る自然地形だったが、堀切の縁には土が盛られているようす。


ちゃんと両側の斜面に竪堀を落として、寄せ手の下側からの侵入を阻んでいるし。


何しろおびただしい数の倒木に埋もれそうになっているのが残念だが、これは砦というのは立派すぎるぐらいの遺構だろう✨


砦はここまで。

縄張りとかはぜんぜん違うけど、同じ甲府盆地の南西の方にある古城山砦をちょっと連想した。

右左口砦と似たようなものという先入観があったが、思ったより見どころがあったな😊


★金刀比羅山砦(こんぴらやまとりで)

山梨県甲府市右左口町

駐車場は無いが県道113号が広い上に交通が殆ど無いので路駐可。地形図の登道は廃道状態と思われる。

山城

 

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(2024年6月28日 記)