幸谷城は東武野田線増尾駅から北東2km弱、住宅街に残る森の中に、かすかながら遺構をとどめる土の城。谷戸を挟んですぐ北東に増尾城があり、何らかの関連があったのだろうか。
来歴などは不明なようだが、2018年に行われた発掘調査で折れを伴う空堀が見つかったという。
城のある土地を所有されている方の好意により公開され、空き家などの活用を促進する地元の制度により、これまた地元の有志が整備しているとのこと。
以前は外から垣間見るだけであったのが、このようにして誰でも見学できるようになっている✨
登城中に子ども会らしい集団がいくつか訪れているのを見かけた。城趾として見てはいなさそうだったが、身近な自然の残る場所としても貴重なようす。
この日は1日だけの休日だったので、お気楽に電車で駅チカ物件を回ることにし、最初に行ったのがこの城だった。
増尾の駅の北口へ降りて、住宅地の中を北東へ進む。
県道51号に出てしばらく道なり、小学校の横から直進方向の枝道に入れば、もうすぐ。
入口は…
え…?
ココ…?
どう見ても、ひとの家の門構えじゃん…
これは、知らなければとても入れないだろう…💦
ワタシも最初、ここからは入れまいと別の入口を探した😅
入るとすぐ、右の方へ道が分かれている。
直進は持ち主の方のお宅に行くのだろう。
右手の、立て札が二つ並んでいる方へ入ってゆく。
左の立て札は…
「カシニワ標示板」
この城趾を整備している地元有志の会、そして活用している制度の紹介。
隣は、画家高島野十郎終焉の地という案内。
なるほど、そんな雰囲気だ…
では、城へと入ってみるか。
畑のような場所の西側を進む。
この左側の小さな盛り上がりは土塁の跡か?😮
この土塁のようなの奥に、城の説明板が立っている。
縄張図と、今は住宅地となっている部分の発掘調査中の空撮写真が掲げられている。
ここから見渡す城址…
主郭の外側、北西端の空堀の外から郭内を眺めている。
土塁は残っているが、空堀はほとんど見えないようす…
道はここで左右二手に分かれてゆく。
どちらも空堀の跡をトレースしていそう。
まずは左へ💨
この道は、主郭北辺の空堀の底を進んでいる。
なかなかに遺構として見るのは難しいところだが、トレイルが堀底の中央やや左寄り、右側の高くなっているのが主郭の土塁になる。
少し入ったココなんかは、空堀の面影が残ってるな😮
中央あたりの主郭に道が入ってゆくあたり、空堀が分岐しているようにも見えるが、違うらしい…
この中は最後に…
東の末端の方は幅が広がって、二重っぽくなっている。
それにしても深さがほとんど無いけど、相当な量の土砂に埋まってるらしいな…😮
この堀を渡る道は、「狐乃嫁入橋」というらしい。
橋はおろか土橋さえも見えず堀をまんま横切っているだけだが、道端には標柱とキツネが…😮
堀を渡った先、右側が土塁のように盛り上がっている。
主郭の東側はこの土塁までで、道はすぐ外を通っている。
その先には、主郭の南東側に開口した虎口がある。
が、土塁がだいぶ崩れてしまって、よく分からない…
説明板の背後が土塁の切れ目になっている。
この先、園地として残されているのは主郭の南辺を守る土塁までのようだ。
虎口の先で道が分岐し、左に進むとそのまま園地を出てしまう。
右へ折れると、主郭の土塁を越えて池の跡のような凹みを横断し、そのまま主郭の南端を進んでゆく。
南側の土塁は大部分が削られてなくなっているようだが、中央付近のココだけはハッキリ残っている😮
高さ2メートルぐらいあって、この城趾では最大らしい。
すぐ奥には虎口が…
城内で最も立派なものだろうが、すぐ外が住宅地で写真撮りづらいのなんのって…💦
この先、主郭西側の土塁も部分的に残っているが、園路は土塁の崩れて低くなったところを乗り越えているようだ。
その外側の空堀も残っているのは南側のこの辺りだけのようだが、ちゃんと見えるじゃん🙌
さて城内の園路は主郭の外側や縁などをぐるりと回っていて、中央部に入るには南北から横断する道に入る。
人の土地でもあり豊かな自然も残っている場所なので、やたらと園路から外れて草地に踏み込むのはやめておいた方が良いだろう。
主郭の中にも細かい凹凸があって、1枚の平面ではない。
空堀のように長く伸びているような感じでもないみたいだし、池だったにしてはあちこちにあるし…
一体何のための凸凹だろう…
中心部にはコレ…
模擬天守と思って良いかな?🙄
今残っているところだけを見ると方形単郭の館のようにも見えてしまいそうだが、往時は増尾城とともに手賀沼につながる河川を扼する重要な拠点で、主郭の周囲に複数の曲輪を並べ、折れを伴った空堀も取り入れた本格的な中世城郭だったらしい。
遺構がおとなし目なので、締め固められた土むき出しの土塁が威容を示す往時の姿も見てみたくなる…
★幸谷城
千葉県柏市増尾
駐車場は無い。増尾駅から徒歩15分なので電車での訪問が良い。
平城
(2023年11月9日 記)