機動戦士ガンダムSEED & SEED DESTINY スペシャルエディション | 羊飼いの戯言

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作品の感想や雑感をつらつらと述べたblog

 劇場公開されている『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』を鑑賞に行く前の復習として『機動戦士ガンダムSEED & SEED DESTINY スペシャルエディション』を一気見。バンダイチャンネルだけかと思っていたら、実はAmazon Primeで視聴可能になっていたので無料で見ることができました。

 どちらも約20年前の放映時にリアルタイムで毎週見てはいたのですが、特にSEED DESTINYの方が記憶が曖昧になっていたため意外と楽しんで観ることができました。

 作品のテーマとして、SEEDは「何のために戦うのか、その目的を見据えないままに感情や展開に流されて行動するのではなく、自分が何をしたいのかを真摯に考えることが肝要」という主題が明確でした。ベタな展開ではありましたが、キラとアスランという親友同士が敵味方に分かれて殺し合い、しかしカガリというよき理解者であり仲介者を得てお互いが話し合い、目的を分かち合って共闘していくという流れは往時のジャンプ作品ばりの王道展開ながら楽しめました。

 一方でSEED DESTINYは、「自分が何をできるのかをを模索し続ける」アスランの苦悩ぶりが分かりづらかったのと、それ以上に主人公であるはずのシンも力があるのに「自分が何をしたいか」という主体的な軸がぶれているため、作品の主人公が誰なのか、どこにメインの視点を置いて物語を追っていけばよいのかが掴みにくかったですね。ではキラやカガリが分かりやすいかというと、これまた終盤まで行動の大義が見えず「何がしたいんだ、あんた達は」とシンにまで罵倒される始末でした。そんなシンも結局はキラを再び主人公として輝かせるための当て馬としての位置に落とされてしまい、結局は不死鳥のごとくよみがえったキラとフリーダムガンダムが無双するという展開になってしまいました。常々言われることですが脚本家が私情に走り過ぎると作品のバランスが崩れる見本みたいなものですね。そのあおりを食ったのがデュランダル議長で、戦争を陰で操って儲けをたくらむ死の商人が戦争を引き起こす元凶である、と説いたところまでは良かったのですが、その後デスティニープランを大した伏線もなく持ち出さざるを得なかったのはいかにもとってつけた感じが否めず、ラスボスとしての説得力が弱かったです。

 ともあれ、これで復習は済みましたので、ようやくSEED FREEDOMを鑑賞に行けそうです。評判を聞く限りでは『機動戦士ガンダムSEED & SEED DESTINY』を視聴したファン向けのムービーとしてはとても良く出来ているという話でしたので、楽しみです。それにが『機動戦士ガンダム第08MS小隊 ラスト・リゾート』以来久しぶりにガンダム作品に出演するというのも、やはり王国民としては見逃せません。