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つりぼり十番勝負《ニジマス編④》

神の悪戯とはこのことか………。

ほぼ初心者と露呈してしまった『三平師匠』こと「パックン」(四十路・好きな女性のタイプは

「緒川たまき」と「SHIHO」に嫁がれた心の穴を「BOOK・OFF」で買った「ドリカム・バラードベスト」で埋めようと

して「LOVE LOVE LOVE」に合わせて愛を叫ぶ、ろまんちすと)


でしたがアドバイスが利いたのか、はたまた過去の経験がもの言ったのか、序盤の一時間で2匹を釣り上げる

快挙を見せたのです。


「ダメ??巻きゃあいいのさっ!五平っ!!ぷぷっ!」



「あんた、さっきの『三ペコペコ』は何処いった………」

口に出して言い放ってやろうかとも思いましたが、現時点で完敗なのは歴然。

恨み節を心で唱えて耐える私こと『つ・五平』


しかしまだまだ逆転のチャンスはある。



何故なら、あの『三ペコペコ』を見た今、スタートラインは一緒なのですから。

そう自分を鼓舞し、幾度となくルアーを池に投げ続けたのです。


最初こそ自称経験者の『三平師匠』からテクニックを盗もうとその一挙手一頭足をチラチラと観察

していましたが、「三ペコペコ」を目の当たりにした今、私は他の釣人を観察することでそのテクニックを

吸収することにし、「三平師匠」から盗む事は何も無いと確信するに至ったのでした。




そしてその確信は現実へと実を結んだのです。



何とか本日一匹目を釣り上げる事に成功しました。


しかしながら何かを掴めた感覚が全く無く、まぐれ当たりのような気持ちが否めません。


「おっ!上げたなっ!!俺の釣り、盗んだかっ!?ケケケっ!」



「あんたなんか見ちゃいねえ!」と吐き捨てようかとも思いましたが、

それでも現時点では『三平師匠』。



「あ、ありがとうございます……。」

とそれだけを口に出しました。


「良く見て盗めよっ!」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」







何とか並ばなければ………。



私はここはいち早く変革を、そう「CHANGE」だ!とばかりにつりぼりのお兄さんの貸してくれたルアーに

取り替えてみる事にしました。


「Yes we can!」……「Yes!高須クリニック!」です。



ルアーを取り替える細かい作業に入っていると、「三平師匠」からバシャバシャと音がするではありませんか!


「ほほう。釣ったそばからルアー変えるとは奇策に出たねぇ……。」

満面の笑みでニジマスをタモに取込む「三平師匠」。


「12匹くらいいくかもな……。」





何たる「どんぶり勘定」!
何たる
「捕らぬ狸の皮算用」!







「なあ?おい!!なあ、五平っ!?」


同意を強要してきます。


先程の「三ペコペコ」の弱ったまなざしは今は無く、自信に漲った目付です。


「そ、そうっすね………。」

屈辱に溢れるそうになる涙を堪えて「お兄さんルアー」に希望を乗せてキャスティングする私。

しかしながらそのルアーはアタリを感じる事が無く、釣れる気がしなくなって来ていました。



「何だか集中力が落ちてきちゃったのぉ…。」


リードする者の余裕か、「三平師匠」は「縁側の爺さん」のようなセリフを吐きます。


私はここで初志貫徹とばかりに最初のルアーに戻す事にしました。


「ダメ?そのルアー?」


「三平師匠」が問い掛けます。


「自分には難しいっす。」



謙虚を持って言ったこの台詞が「三平師匠」に火を付けたようです。


「どれどれ。俺クラスなら使えちゃうかもな!」



「どんなクラスやねんっ!」とも思いましたがアタッていないのは事実。


しかしながらその事実は伏せました。勝利の為に………。



元のルアーに戻し釣り場に戻ると、そのすぐ横を「魚神さん」ともいうべき…いや

「一平じいちゃん」並の人物が準備をしていたのをその瞬間は分からない自分が居たのでした。








                                                    《誰も居なくなったって・・・・つづく》






『つりぼり十番勝負』 過去の対戦はこちら


『戦いのホップ』・・・・・・・・・《ヘラブナ編》

『戦いのステップ』・・・・・・・・・《鯉編》



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つりぼり十番勝負《ニジマス編③》

『マスを取り戻せ』 
by クリスタル映像


ルアー SHOCK
謎で気持ち 落ちてくる



ルアー SHOCK
俺のテンション 落ちてくる


熱い心 テグスでつないでも
今は無駄だよ
邪魔するマスは タモ網ひとつで ソテーさー


ルアー SHOCK
焦りで鼓動 速くなる


ルアー SHOCK
俺の鼓動 速くなる


意味わからん さまよう心今 

軽く萎えてる
すべてバラし 無残に飛び散る マスさー


糸先ルアー守るため お前は竿立ち
魚を 見失った
微笑み忘れた顔など 見たくはないさー
マスをとり戻せぇえー






「咥え煙草の救世主」……。


それは先程受付にいたつりぼりのお兄さんでした。


「どうです?釣れました?」

にこやかな笑顔で私に声をかけるその姿は眩しい日光に照されてまるで


「後光」がさして居る『仏様』の様でした。



「嗚呼………た、助けてください!」

堪えていた「感情のダム」は見事に決壊し、涙ながらにお兄さんに助けを乞うのでした。



「あは(笑)。えーとですね……。」

お兄さんは私の竿を取り、水面にルアーをつけ、巻き方によるその動き、ニジマスの習性などを

丁寧にそして優しく「個人レッスン」してくれました。


お兄さんは初心者の私を気にかけてくれていたのでした。



「一定に、1秒一回転ぐらいが一番ルアーが泳ぎますから。」

感謝の気持ち一杯に、そしてお兄さんのその教えを一言も聞き漏らすまいと必死にうなずきます。


そして先程からの疑問、『三平トラップ』とも言うべきリールの巻く手を質問しようとしたその時でした。






お兄さんの背後を足から砂煙が立ち上ぼる程の爆走を見せる一つの影………。







『釣りキチ・三平師匠』こと『パックン』(「タダのフォー」・好きな女性のタイプは

「緒川たまき」に嫁がれたからには俺には「SHIHO」しか残ってねぇ…と言い切った刹那、『ヌル』に

かっさらわれ「ヌルヌルが好きなのね…」と言う私の言葉によからぬ妄想と下半身を膨ませるスケベ)


が走って来たのです。



「何すかっ!?何すかっ!!??」



突然背後から声を掛けられたお兄さん。驚いて振り返ります。





「は、はい?…いや、釣り方を教え……」

「教えてくださいっ!!

 僕にも教えてくださいっ!!!」







「……………。」









誰だ?

「バス」談義をかましつつ、ルアーは極めているかの様な口を聞いていたのは……?



ルアーなんぞ『投げて巻きゃいい』んじゃなかったのか………?




「あ、……は、…はい………す、すいません!咥え煙草なんぞで!!」


目の色を変え、『三平師匠』……いや「三平野郎」…………『三ペイペイ』のあまりの

がっつきっぷりにお兄さんは気圧され煙草を揉み消しました。


それでもお兄さんは矜持など捨てさり、先程までのビックマウスは幻だったかの様な

『三ペイペイ』の必死の質問に答え、教えを与えてくれました。



あまりの「三ペイペイ」の「しょっぱいぶり」に言葉を無くす私。



お兄さんは昨日アタっていたと言うルアーを無くしても構いませんからと三つ置いていってくれました。





「では、がんばってくださいね!」











「ありがとうございますっ!!!

 ありがとうございますっ!!!」


猛烈な勢いで頭をぺこぺこ下げまくる「三ペイペイ」・・・・・改名『三ペコペコ』







「さて!釣るかっ!」

何事も無かったかのようにキャスティングの体勢に入ります。



「経験者じゃなかったんすか?……ペ、……し、師匠。」



そう問う私に何食わぬ顔で答えます。



「え?俺のやってた頃と今は違うんだよな。」




あんた、戦前生まれか………。






こんなに器がおチョコ程度の男を『三平師匠』と呼ばなくてはならない今の私、「つ・五平」。


何としても勝利し、その座から引きずり降ろすことを強く心に誓うのでした。










                                                            《つづく》





『つりぼり十番勝負』 過去の対戦はこちら


『戦いの口火』・・・・・・・・・《ヘラブナ編》

『戦いの挽歌』・・・・・・・・・《鯉編》




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つりぼり十番勝負《ニジマス編②》

「♪い~と~まきまき い~と~まきまき 

 ひい~て ひい~て ぴょんぴょんぴょん

 ………パクっ!(繰り返し)」


「リール」を使った「ルアー釣り」初心者のわたくし『つ・五平』がイメージ出来る事と言えば

上記の様な恐ろしく歪んだ妄想歌でしかありませんでした。


何とかルアーを付ける事を「三平師匠」こと『パックン』(「ジャス・フォー」・好きな女性のタイプは

「永遠の独身貴族・緒川たまき」と公言していたにもかかわらず、「ケラリーノ・サンドロビッチ」にかっさらわれ、

車の中で「ツッペリン」の「Heartbreaker」をリピートしっぱなしの「哀愁王子」)


の見よう見まねで取り付けたものの、投げれば何処に行っちゃったか分からない上に、

巻いても何処から帰って来るか分からないルアーに、全くと言って良い程釣れる気がしませんでした。


右手で投げ、そして竿を左手に持ち替えて、右手でリールを巻く。

何とも面倒くさい、しかも全く釣れる兆候など見えない不毛の動作に私の不安はマックスが

「トラ!トラ!トラ!」を激しい踊り付で歌い出す程に膨んでいました。



「三平師匠」と言えばさすがに経験者なのでしょうか、投げ方も何気に堂にいった感があります。



その所作もバタバタとせずに面倒くさそうでも…………









はっ!!!




とんでもない事に私は気付きました。





バタバタしないのはそれもそのはず。


「右手で投げ、左手に持ち替えて右手で巻く」


その動作を「三平師匠」はしないからなのです。





何故なら、



奴は











『左利き』


だからに他なりません。






や、やられたっ!!!



咄嗟に喰ってかかろうかとも思いましたが、


「はぁ?自分で選んだんじゃん!!やだねぇ………「釣り」は心で釣るんだぜ!五平。」

と言い放たれるのが関の山。





冷静を装い、周りの釣人を観察しました。


やはり皆右手で投げ、左手で巻く澱みない動作を繰り返しています。




怒りで爆発しそうな感情を押さえ「三平師匠」に問い掛けてみました。


「師匠、僕は左手で巻くほうが良いんですかね?」


「ん?普通はそうなんだけどねえ。俺は面倒だから逆だけど。」



「それをさっき言わんかいっ!!」と猛烈なツッコミをかぶせようと思いましたが、

私も大人、「ちんちん」に毛が生えて幾年月と自分を律し


「でも周りの人みんな左手で巻いてますよ。」

と震える言葉を繋ぎました。



「じゃあ、そうなのかな?何だか俺がやってた頃と違うなあ。」


などと「ボンクラ」な台詞を吐きました。



「うーん。俺のやってた釣りと違うのかな?釣れる気がしない。」


「三平師匠」はそうのたまいました。






   三平トラップ
「  」か?



先程まで経験者を公言しつつ「バス談義」までつりぼりのお兄さんと交わしていたのに………。





「俺、トイレ行ってこよ。」



確かに勝負はまだ始まったばかり。


しかし何たる余裕。


私の初心者っぷりに勝利を確信したのか、私が釣り上げる事など無いと踏んだのか……。

「三平師匠」は驚愕のトイレ休憩を取りました。


私は釣れる気が全くしませんでしたが、何とか形に、「ボウズ(全く魚が釣れない事)」だけは避けようと

周りの釣人の動作を真似し、奇跡が起きるのを待つ事にしました。



そんな絶望の果て、対岸を『救世主(メシア)』とも言うべき人物が咥え煙草でこちらに

向って来るのでした。






                                                          《つづく》



『つりぼり十番勝負』 過去の対戦はこちら


『戦いの火種』・・・・・・・・・《ヘラブナ編》

『戦いの業火』・・・・・・・・・《鯉編》




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