つりぼり十番勝負《ニジマス編②》 | human being

つりぼり十番勝負《ニジマス編②》

「♪い~と~まきまき い~と~まきまき 

 ひい~て ひい~て ぴょんぴょんぴょん

 ………パクっ!(繰り返し)」


「リール」を使った「ルアー釣り」初心者のわたくし『つ・五平』がイメージ出来る事と言えば

上記の様な恐ろしく歪んだ妄想歌でしかありませんでした。


何とかルアーを付ける事を「三平師匠」こと『パックン』(「ジャス・フォー」・好きな女性のタイプは

「永遠の独身貴族・緒川たまき」と公言していたにもかかわらず、「ケラリーノ・サンドロビッチ」にかっさらわれ、

車の中で「ツッペリン」の「Heartbreaker」をリピートしっぱなしの「哀愁王子」)


の見よう見まねで取り付けたものの、投げれば何処に行っちゃったか分からない上に、

巻いても何処から帰って来るか分からないルアーに、全くと言って良い程釣れる気がしませんでした。


右手で投げ、そして竿を左手に持ち替えて、右手でリールを巻く。

何とも面倒くさい、しかも全く釣れる兆候など見えない不毛の動作に私の不安はマックスが

「トラ!トラ!トラ!」を激しい踊り付で歌い出す程に膨んでいました。



「三平師匠」と言えばさすがに経験者なのでしょうか、投げ方も何気に堂にいった感があります。



その所作もバタバタとせずに面倒くさそうでも…………









はっ!!!




とんでもない事に私は気付きました。





バタバタしないのはそれもそのはず。


「右手で投げ、左手に持ち替えて右手で巻く」


その動作を「三平師匠」はしないからなのです。





何故なら、



奴は











『左利き』


だからに他なりません。






や、やられたっ!!!



咄嗟に喰ってかかろうかとも思いましたが、


「はぁ?自分で選んだんじゃん!!やだねぇ………「釣り」は心で釣るんだぜ!五平。」

と言い放たれるのが関の山。





冷静を装い、周りの釣人を観察しました。


やはり皆右手で投げ、左手で巻く澱みない動作を繰り返しています。




怒りで爆発しそうな感情を押さえ「三平師匠」に問い掛けてみました。


「師匠、僕は左手で巻くほうが良いんですかね?」


「ん?普通はそうなんだけどねえ。俺は面倒だから逆だけど。」



「それをさっき言わんかいっ!!」と猛烈なツッコミをかぶせようと思いましたが、

私も大人、「ちんちん」に毛が生えて幾年月と自分を律し


「でも周りの人みんな左手で巻いてますよ。」

と震える言葉を繋ぎました。



「じゃあ、そうなのかな?何だか俺がやってた頃と違うなあ。」


などと「ボンクラ」な台詞を吐きました。



「うーん。俺のやってた釣りと違うのかな?釣れる気がしない。」


「三平師匠」はそうのたまいました。






   三平トラップ
「  」か?



先程まで経験者を公言しつつ「バス談義」までつりぼりのお兄さんと交わしていたのに………。





「俺、トイレ行ってこよ。」



確かに勝負はまだ始まったばかり。


しかし何たる余裕。


私の初心者っぷりに勝利を確信したのか、私が釣り上げる事など無いと踏んだのか……。

「三平師匠」は驚愕のトイレ休憩を取りました。


私は釣れる気が全くしませんでしたが、何とか形に、「ボウズ(全く魚が釣れない事)」だけは避けようと

周りの釣人の動作を真似し、奇跡が起きるのを待つ事にしました。



そんな絶望の果て、対岸を『救世主(メシア)』とも言うべき人物が咥え煙草でこちらに

向って来るのでした。






                                                          《つづく》



『つりぼり十番勝負』 過去の対戦はこちら


『戦いの火種』・・・・・・・・・《ヘラブナ編》

『戦いの業火』・・・・・・・・・《鯉編》




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