つりぼり十番勝負《ニジマス編③》 | human being

つりぼり十番勝負《ニジマス編③》

『マスを取り戻せ』 
by クリスタル映像


ルアー SHOCK
謎で気持ち 落ちてくる



ルアー SHOCK
俺のテンション 落ちてくる


熱い心 テグスでつないでも
今は無駄だよ
邪魔するマスは タモ網ひとつで ソテーさー


ルアー SHOCK
焦りで鼓動 速くなる


ルアー SHOCK
俺の鼓動 速くなる


意味わからん さまよう心今 

軽く萎えてる
すべてバラし 無残に飛び散る マスさー


糸先ルアー守るため お前は竿立ち
魚を 見失った
微笑み忘れた顔など 見たくはないさー
マスをとり戻せぇえー






「咥え煙草の救世主」……。


それは先程受付にいたつりぼりのお兄さんでした。


「どうです?釣れました?」

にこやかな笑顔で私に声をかけるその姿は眩しい日光に照されてまるで


「後光」がさして居る『仏様』の様でした。



「嗚呼………た、助けてください!」

堪えていた「感情のダム」は見事に決壊し、涙ながらにお兄さんに助けを乞うのでした。



「あは(笑)。えーとですね……。」

お兄さんは私の竿を取り、水面にルアーをつけ、巻き方によるその動き、ニジマスの習性などを

丁寧にそして優しく「個人レッスン」してくれました。


お兄さんは初心者の私を気にかけてくれていたのでした。



「一定に、1秒一回転ぐらいが一番ルアーが泳ぎますから。」

感謝の気持ち一杯に、そしてお兄さんのその教えを一言も聞き漏らすまいと必死にうなずきます。


そして先程からの疑問、『三平トラップ』とも言うべきリールの巻く手を質問しようとしたその時でした。






お兄さんの背後を足から砂煙が立ち上ぼる程の爆走を見せる一つの影………。







『釣りキチ・三平師匠』こと『パックン』(「タダのフォー」・好きな女性のタイプは

「緒川たまき」に嫁がれたからには俺には「SHIHO」しか残ってねぇ…と言い切った刹那、『ヌル』に

かっさらわれ「ヌルヌルが好きなのね…」と言う私の言葉によからぬ妄想と下半身を膨ませるスケベ)


が走って来たのです。



「何すかっ!?何すかっ!!??」



突然背後から声を掛けられたお兄さん。驚いて振り返ります。





「は、はい?…いや、釣り方を教え……」

「教えてくださいっ!!

 僕にも教えてくださいっ!!!」







「……………。」









誰だ?

「バス」談義をかましつつ、ルアーは極めているかの様な口を聞いていたのは……?



ルアーなんぞ『投げて巻きゃいい』んじゃなかったのか………?




「あ、……は、…はい………す、すいません!咥え煙草なんぞで!!」


目の色を変え、『三平師匠』……いや「三平野郎」…………『三ペイペイ』のあまりの

がっつきっぷりにお兄さんは気圧され煙草を揉み消しました。


それでもお兄さんは矜持など捨てさり、先程までのビックマウスは幻だったかの様な

『三ペイペイ』の必死の質問に答え、教えを与えてくれました。



あまりの「三ペイペイ」の「しょっぱいぶり」に言葉を無くす私。



お兄さんは昨日アタっていたと言うルアーを無くしても構いませんからと三つ置いていってくれました。





「では、がんばってくださいね!」











「ありがとうございますっ!!!

 ありがとうございますっ!!!」


猛烈な勢いで頭をぺこぺこ下げまくる「三ペイペイ」・・・・・改名『三ペコペコ』







「さて!釣るかっ!」

何事も無かったかのようにキャスティングの体勢に入ります。



「経験者じゃなかったんすか?……ペ、……し、師匠。」



そう問う私に何食わぬ顔で答えます。



「え?俺のやってた頃と今は違うんだよな。」




あんた、戦前生まれか………。






こんなに器がおチョコ程度の男を『三平師匠』と呼ばなくてはならない今の私、「つ・五平」。


何としても勝利し、その座から引きずり降ろすことを強く心に誓うのでした。










                                                            《つづく》





『つりぼり十番勝負』 過去の対戦はこちら


『戦いの口火』・・・・・・・・・《ヘラブナ編》

『戦いの挽歌』・・・・・・・・・《鯉編》




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