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つりぼり十番勝負《管理釣り場「N」編》⑤

持参したおにぎりを頬張りながら「釣りキチ三平師匠」こと『パックン』

 (持参したクーラーボックスの冷えの悪さに悪態をつくおっさん…チョコがそんなに惜しいのか?)


に「つ・五平」のわたくしは今回は声高らかに釣果を聞くのでした。


「…………7……ご、五平……は?」


ビクビクです。

「釣りキチ三ヴィクヴィク」です。


とうとう溜飲を下げるこの瞬間がやってまいりました。

ここは「ブラック・ジャガー」ではなく「Mr.平常心」で返す方が相手のダメージはデカいはず………

とやはり「ブラック・ジャガー」が唸るのでした。


「じゅう………いち?」





いかん。いかんぜよ。
平常心のつもりが上から的な

「君とは桁が違うんだよ。」

を言い含める「じゅう」からの間と、

「ちょっと頻繁に釣れちゃったから数あってるかな?」

的な疑問風な「?」が入っちゃったよ……ナハナハ(上からのせんだみつお)。











「しかし渋いねえ。」


すかさず話題を変える三平師匠。



「まあ、途中活性上がったっすけどね!」

と畳み掛けました。





黙ったままおにぎりを口に詰め込む師匠。


「ふんがっ……ふふが!」(それじゃ……釣るか!)

詰込んだおにぎりでエンディングテーマ後の「サザエさん」の様な声を上げる師匠。

正味2、3分のランチを終え、再び釣り場へと戻るのでした。




ランチ前の爆釣を見せた「柿太郎27号」(爆釣記念に命名)もその後はたいして釣果を上げなくなりました。

何故か午前中のスプーンにアタリが無くなってその後、また「ルアーローテーション」を繰り返す事になって

しまいました。


一気に釣果総数を上げ「釣りキチ三平」の称号を我が手にと思っていたのですが、そう容易くは

いかないものです。


ここは「Mr.平常心」を復活、そしてある程度の結果に繋るルアーを見つけ出しました。


三平師匠といえばコンスタントに釣果を上げている様子ですが、あまりわたくしに近寄る事を避け始めた

ようです。




しかし趣味の時間とは何と過ぎるのが早いのでしょう。


朝6時からの釣りもそろそろ終了の午後5時を迎えようとしています。


途中で激減した釣果も何とか形になりはじめ、そこそこの結果を出せたと今日の釣行を振り返って、

そろそろ終了と師匠をみます。


「もう一回だけ、もう一回だけ!」


懇願するかのようにこちらにへコヘコする三平師匠。


久し振りの「釣りキチ・三ヘコヘコ」の登場です。


よっぽど釣果が上がっていないのでしょうか?

ニヤリと笑いこちらももう一度だけ投げて彼が終わるのを待つのでした。


何とか釣果に結びつけたかったのでしょうが、最後の一投だからといって魚が食い付く訳もなく終了と

相成りました。



「いやあ……今日は難しかった…。」

でしょうとも、でしょうとも。


わたくしの様な「爆釣タイム」を迎える事もなくしょっぱい釣りを続けていたのでしょうとも………。



「で?………何匹?」


一応聞いてやりましょう。











「にじゅう…………いち?」







!!??



「ノォォォォォォォォォォオーッ!!!!!」



『管理釣場「N」の釣果』

パックン……………………21匹



私    ……………………19

規定により




○『釣りキチ三平』=「パックン」(タイトル防衛成功)

●『つ・五平』=「私」(タイトル挑戦失敗)



午後に入り、確実に釣果の出るルアーを見つけた「釣りキチ三平師匠」。
入れ食いとはならずとも、ポイントを変え、その先々で確実に釣っていたようです。

負けた………そう。
己の心、驕った余裕の心に負けた………「ブラック・ジャガー」のばか………(泣)



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つりぼり十番勝負《管理釣り場「N」編》④



わたくしの頭の中で「ジャガーbyヒデキ西城」がヘビーローテーションでかかり続ける。



確実に「釣る」


そう決めたわたくしはさらに下流へとポイントを進めました。



そして程なく最下流、「流れ出口」に到達しました。



確実に先程より濃い魚影。
先程からこまめに換えたルアーの中から今日アタリ、釣果のあった何個かのルアーをピックアップし


キャスティング(ルアーを投込む事)しました。



何本か上げた後、換えたルアー「柿色」が爆釣の様子を呈し始めました。


投込む、巻く……釣れる!


思わず緩んでしまう顔を、


「まあまあかなあ…」的なポーカーフェースで隠し釣る。




その様子に「釣りキチ三平師匠」こと『パックン』(持参したクーラーボックスに「ウィダーインゼリー」を


 忍ばせ「10秒メシ」を決める都会派のおっさん)


が同じポイントに近寄って来るのでした。



それでも下がらない釣果。



チラリと師匠を見るとたいして釣れていないご様子。


わたくし「五平」の「ジャガーハート」が「ブラック・ジャガー」に変身するのを感じた刹那、わたくしは


「口パク」で師匠に言うのです。



「入れ食い!入れ食い!」



さらに釣り上げる。



確実に師匠の顔が歪んでいます。


今こそ、ボッキリとその心を折ってやるべきと「ブラック・ジャガー」が吠えるのです。


さらにわたくしとの距離を詰める三平師匠。




声が届く距離へと来た時、すかさず言いました。







「教えてやろうかっ!?」






悔しさが思わず声を発せさせたのか、



「クゥゥゥゥゥ~」



と変な空気の漏れる音を出してわたくしから師匠は離れて行ったのです。



                                                                《つづく》



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つりぼり十番勝負《管理釣り場「N」編》③

美味しい「生餌」を

「ギブミー、ギブミーチョコレート!!」

進駐軍のジープにたかる子供の様に待つ「流れ込み」の上流を捨てて、

「釣りキチ三平」こと『パックン』(持参したクーラーボックスにチョコを忍ばせ「遭難」に備える危機管理能力に

 優れたおっさん)

とわたくし「つ・五平」は下流へ向って釣り降る事にしました。

全体的に上流の餌釣りが影響しているのかとも思われましたが、少し離れるとぼちぼちと「アタリ」が

出てきました。


ファースト・フィッシュは我が手に…………


「バシャ!バシャ!」

はっ!と対岸の師匠を見ると早くも上げた様です。

しかしながらその「偏光サングラス」で隠れた顔に喜びは薄いようです。
恐らく、自分なりの「これかっ!」的な釣りが見えていないようです。


わたくし「五平」はここ二戦の大敗で強くなった「アルミのハート」で平常心を保ち、こまめな

「ルアーローテーション(ルアーを換える事)」をし続ける事に徹したのです。

そして師匠が上げたすぐ後に自分の中のファースト・フィッシュを釣り上げる事に成功したのでした。


「ボウズ(一匹も釣れない事)」を免れた安堵感でさらに下流へ向って釣り降る。

一方の「三平師匠」と言えば何やらポイントをクルクルと変え続け、何やら落ち着きがありません。

「ザ・平常心」のわたくし「五平」。

師匠への心配りも忘れません。

程なく近寄って、いかがですかと声を掛けるのです。


「うーん……渋い。」


渋谷哲平っすねっ!」


と「和やかギャグ」を繰出すわたくし。



「………。渋い。」


スルーです。皆様。


もちろんわたくしだって爆笑はとれるとは思っちゃいません。
ニヤリとも、くだらないとも言わずリアクションさえない。


ただただ、魚の活性の悪さを訴えるのです。


しかしながら本日のわたくしは「Mr.平常心」。

聞こえなかったのだとして更なる「和やかギャグパートⅡ」を繰出すのです。


渋井陽子ですね!……声低っ!!」

少しばかりの大きな「ズッコケ」アクションも交えながら…………。





「……………。どうしようかなあ………。」



竿をもってさらにポイント変える為に歩き出す師匠。



無視です。皆様。
こちらを見ようともしません。



過ぎ去る師匠の背中。




わたくしはその背中を見つめて、「Mr.平常心」の装いを静かに脱ぎ、綺麗に畳みつつ、

その首に襲いかかる「ジャガー・ハート」、その炎が燃え上がる音を聞いたんだ…………。


                                                                《つづく》


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