クローベン・フーフ、翻訳かけたら偶蹄類、二つに割れている蹄、牛とか鹿とかの動物のことだそうで、サタンの足も割れた蹄を持つことから悪魔の意味もあるらしい。

 

 

CLOVEN HOOF

 

 

後期NWOBHMの名バンドとして有名。

ウルヴァーハンプトン出身、79年結成の4人組。

凝った衣装を身にまといメンバーそれぞれがWATER、FIRE、AIR、EARTHを名乗るなど、NWOBHMの中でもシアトリカル系のバンドだった。

82年にデモ制作、EP発表後、84年NEAT RECORDSからフルアルバムデビュー。

 

CLOVEN HOOF

 

 

イギリス本国以外ではROADRUNNERからも発売され数多く流通、日本にもたくさん入ってきていた。

完全にNWOBHM直系、音質は悪いし全体的に雑で荒々しい、でもその荒さの中にもドラマティックさ、劇的展開を信条としているようでMAIDENに通じるフレーズや凝った曲展開を見せる。シアトリカルというかエピックメタル寄りなのかな?

インストからの “The Gates Of Gehenna” へのドラマティックな流れは昔のJUDASを思わせたりする。

かと思えばB-1、軽薄なノリの “Crack The Whip”(”Living After Midnight” みたいなノリ)、続く “Laying Down The Law” はメロディアスな良曲。ラストは9分の大曲。アルバムの構成も悪くない。

どの曲がどうとかよりアルバム全体の雰囲気を楽しむ感じ。今はもちろん当時であってもB級だから万人に勧められる物ではないが、マイナーメタル好きならこの力のこもった熱さを感じられるはず。クサレメタルマニア限定の名盤。

 

 

VoのWATERことデイヴィッド・ポッターが脱退、フランスのH-BOMBに加入する。

誤情報だったよう、最近調べたらメタルの辞典で別人だと否定されていた。

 

元BUDGIE、元TRAPEZEのG、ロブ・ケンドリックをVoに迎えWATERの座を引き継ぎ、86年に出たライブアルバム。

 

FIGHTING BACK

 

 

ライブレコーディングとはいえ全曲新曲の実質2ndアルバム。1st同様MAIDEN、JUDAS、そしてNWOBHM直系の正統派。スタジオ盤に遜色ない演奏力や歌唱力で聴きごたえは十分。

ただ音が良くない。音質も良くないが全体的に起伏に乏しいような、マイナーバンドだからスタジオでレコーディングされたアルバムであっても音の悪い場合はある、それでもやはりちゃんとプロデュースされたアルバムとして聴きたかったと思う。それぐらい曲がいい。

 

 

BURRNでレビューされ酒井氏に高評価、点数は72点と辛めながら買っても損はないと褒めていた。その通り、ブリティッシュHR/HM好きにお勧めしたい。

 

88年の2ndフルアルバム。

 

DOMINATOR

 

 

早くもロブが脱退、新たに元TREDEGARのラス・ノースが加入。88年という年代でありながらもう完全NWOBHM、今までと変わりない音楽性なのだがラスの声がまた今まで以上にブリティッシュ感の強いVoで、正統派のメタルなのにどこか優しさが、BLITZKRIEGAVENGER、SATANとかと同じ、あのもやっとした息苦しくなるような切ない空気に包まれている。好き者限定ではあるがこれまた傑作。どの曲も良い。

ライブアルバムの "Reach For The Sky"、"The Fugitive" も改めて収録、名曲だからちゃんとレコーディングされて良かった。"Warrior Of The Wasteland" も静から始まり疾走する強力曲。

 

 

歌メロにせよギターにせよ、この手のNWOBHM系ブリティッシュバンドの甘すぎないメロディがたまらない。

メロディアスであってもあくまでもメタル、正統派の。下手に売れ線狙いになるぐらいならメジャー感なんてないほうがいい。これでいい。

この3rdが最高傑作と言っていいかもしれない。

 

89年の最終作。

 

A SULTAN’S RANSOM

 

 

メンバーは前作と同じ、音楽性も変わりない、ブリティッシュ感満点の正統派。ようやくNWOBHMの安っぽさから逃れ音質も良くなって新しめのパワーメタル感がプラスされた感じ、初期SATANやBLITZKRIEGからBLIND FURY、PARIAHへの変化に似てる。そしてもちろん基礎にあるのはMAIDENやJUDASなんかの伝統的な英国メタル。決して今までのCLOVEN HOOFファンを裏切ることはない。"Forgotten Heroes" なんてその手が好きなら思わず天を仰ぎたくなるような名曲。

ブリティッシュメタル好きは必聴。総合的に2ndを上回るほどの強力作。アメリカのバンドにはこれがなかなかできんのだ。この雰囲気を出すことが。

 

 

90年に解散、2001年に再結成、Bのリー・ペインを中心に数多くのアルバムを発表して現在も活動中。

 

 

“Nightstalker”

 

“Laying Down The Law”

 

"Rising Up"

 

"Reach For The Sky"

 

"The Fugitive"

 

"Forgotten Heroes"

 

"Highlander"