今季の孵化一番乗りは、29℃温度依存性決定(TSD)管理の黒龍血統であった。3匹無事孵化してきたが、もちろん、1匹は、先月開催した雌雄決定個体の販売会で黒龍血統のオスをご購入された方へお譲りする予定である。残り2匹はどうしようか?やはり亜種に拘って繁殖、販売してきたダイヤモンドバックテラピン(DBT)ブリーダーとして、これまで黒龍血統をご購入して頂いた方々に、お詫びをすることに決めた。
唐突な話で申し訳ございませんが、2021年から繁殖に成功し、カロリナコンセントリックとして愛されてきました黒龍血統ですが、亜種が間違っておりました。
正しくは、純血ノーザン亜種のコンセントリックDBTです。
黒龍血統 “ねずこ”
これまで黒龍血統をご購入頂いた方々、本当に申し訳ございませんでした。
既に、黒龍血統とご自身所有のカロリナDBTとの繁殖に成功されている方は(恐らく2021年から2022年までに、黒龍血統オスをご購入された方に限られると思いますが)、ご連絡頂けましたら、確認の上、今回孵化して参りました29℃孵化個体1匹を無償でお譲り致します。
連絡先:greatsaltlake@nifty.com
さて、今回、なぜ亜種を見直す事になったのか、その経緯をお話します。
きっかけは、昨年末、Facebook汽水屋で黒龍血統を紹介したところ、海外のテラピン愛好家の皆様からノーザンだというご意見を頂きました。
そこで、改めて、黒龍血統の種親(オス:KT、メス:くろ)の亜種同定を始めたわけです。
まず、国内外の論文、雑誌等(クリーパーNo.47、48、James Lee著「Diamondback Terrapins」など)を調べなおし、ノーザン亜種とカロリナ亜種の特徴をピックアップしました。
●ノーザンDBT
1.頭部の色彩と模様は、個体により様々。よって、色彩・模様からは、カロリナ亜種との区別は難しい。但し、頭部ならびに甲羅の形状からの亜種判別は可能。
2.背甲は後方で明瞭に幅広くなる楕円形で、比較的甲幅が広い(後方縁甲板はフレアースカートのイメージ)。
3.背甲の幅は、中央部より後方(第8縁甲板の位置)で最大幅となる。
4.背甲が広いため、相対的に頭部が小型に見える。
5.頭部が細く平らでシャープ。
1.背甲は側部がほぼ平行となった俵型。
2.背甲の幅は、中央部ないし中央部よりわずかに後方(第6縁甲板の後方から第7縁甲板の位置)で最大幅となる。
3.背甲が小さいため、相対的に頭部が大型に見える(但し、オスではわかりづらい)。
4.背甲側部の縁甲板は、外側が強く巻き上がる。
それでは、実際に黒龍血統の種親“KT”と“くろ”の甲羅と頭部の形状を見て行きましょう。
まず、オス親KTからです。
KT
背甲の形状は後方で幅広くなっており、頭部も細いのでノーザンDBTに見えますが、正直、カロリナDBTのオスでも同様な形状の個体は存在します。
結局、ノーザンDBTと断定できる決定的な判定ポイントを今まで知らなかったので、購入時、某ショップでヨーロッパブリーダーからのカロリナコンセントリックとして販売されていたので、ここまでカロリナDBTで通してきたわけです。
次に、メス親くろです。
くろ
ご覧の通り、“くろ”の背甲は、側部がほぼ平行となった俵型をしており、カロリナDBTの特徴を呈しています。
この画像からでは、“くろ”の頭部が細くも見えるし、太めといえば太くも見えますので、我が家のカロリナコンセントリックVL血統のメス親“チビ”と比較してみました。
チビ
純血カロリナDBTと比較すると、“くろ”の頭部は、細く、シャープであることがわかりますね。
さらに、“くろ”の頭部を横から見てみましょう。
くろ
明確に、ノーザン亜種の特徴「頭部が細く平らでシャープ」に合致していますので、頭部形状からは、“くろ”はノーザンDBTといえます。
これまでの“くろ”の亜種に関しての結論は、背甲の形状ではカロリナDBT、頭部形状ではノーザンDBTなので、カロリナDBTとノーザンDBTのハイブリットではないかと考えておりました。
以上、KTとくろの亜種に関する見解から、これまで3年にわたって、黒龍血統は、純血とは言えないまでもカロリナ亜種の血が多いと判断し、カロリナコンセントリックとして繁殖、ご提供してきたわけです。
つづく