今回は、「人間力」について、少しばかり考えてみましょう。
何故か?といえば、ビジネスマンである前に、私たちは等しく「人間」だからです。
人間をどのように捉えるか?
また人間の能力をどのように考えるか?
宗教・哲学のみならず学問の全領域が、人間理解に接近する試みでもあると言えます。
人財育成は、活動領域を区別する前に、全ての人間を対象にした人類の願いでもあると考えます。コンサルティングの場面でも、同じで社員・職員である前に「人間」として尊厳を持ち、誰からも尊重されるべき存在であるという信頼なくして、ヒトを人間として育むことはできない。私は、そのように考えます。このことは、カウンセリングでもコーチングでも強調してきたことでした。
私が「人間力」という場合、相互の信頼関係を育むための人間観が土台になると考えるからです。もし、経営者が、従業員をいつでも取り替え可能な機械的なモノ的人間と理解するならば、人財という考え方も、人材育成にも関心をもたないことでしょう。
集団組織に貢献できる人間(私)になる、社会・国家・世界に貢献できる人間(私)になる。
いつでも、どこでも、みんなに貢献できる人間(私)になる、
という一人称で自らの思考・情動・行動を自己規制できるような人間集団を構築できなければ、その集団・組織は持続的に活動することはできなくなると私は考えています。
だからこそ「人間力」について、まず経営者が、リーダーが理解すべきなのです。
さて、前書きはこのくらいにして、さっそく本題に入りましょう。
一般的な「人間力」の定義には、以下の定義があります。
ⅰ.「人間力とは、人間が有している力のことである。」(辞書的理解)
(広義においては、人間が有している「体力」「学力」など、「○○力」と表現できる「個別的な力」が「人間力」であるという考え方がある。狭義においては、行政の諮問会議などで用いられている「総合的な力」が「人間力」であるという考え方がある。)
ⅱ.内閣府の定義
「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」(内閣府;人間力戦略研究会報告書の「II.人間力の定義」2003)
内閣府「人間力戦略研究会」がとりまとめた「人間力」は、以下の三要素である。
*「基礎学力(主に学校教育を通じて修得される基礎的な知的能力)」、「専門的な知識・ノウハウ」を持ち、自らそれを継続的に高めていく力。また、それらの上に応用力として構築される「論理的思考力」、「創造力」などの知的能力的要素。
*「コミュニケーションスキル」、「リーダーシップ」、「公共心」、「規範意識」や「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高め合う力」などの社会・対人関係力的要素。
*「知的能力的要素」および「社会・対人関係力的要素」を十分に発揮するための「意欲」、「忍耐力」や「自分らしい生き方や成功を追求する力」などの自己制御的要素。
これらの三要素を総合的にバランス良く高めることが、人間力を高めることと理解されている。
(以上、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E9%96%93%E5%8A%9B 参照のこと)
ⅲ.広島大学の「人間力」の定義について
「本学では、「人間力」を、「知力」、「実践力」、「気力」、「体力」及び「コミュニケーション力」の5つの構成要素から成り立つ総合的かつ人格的能力として定義する。」
(http://glc.office.tottori-u.ac.jp/Syllabus/Ningenryoku/kangaekata.htm )
この定義の解説には、
「「人間」は「精神」と「身体」から成り立っている、という冷厳な事実から、知の実践を具現化するには、精神の力である「気力」と身体の力である「体力」が、「気力」のより高度な発展形態である「知力」を、「体力」のより高度な発展形態である「実践力」を、それぞれ、下支えする形をとる。同時に、最も基本的な、人間の相互理解を成立させる「コミュニケーション力」が、「気力」と「体力」を根底で繋いでいる。」
という相補的関連による総合理解を促していることが特徴である。
人間=精神+身体
「気力」のより高度な発展携帯が「知力」である
「知力」=「気力」+「体力」
「体力」のより高度な発展形態が「実践力」である
人間の相互理解を成立する「コミュニケーション力」=「気力」+「体力」
という、解釈である。
ⅳ.「松下村塾」の吉田松陰が、奨励した「人間力」の三要素は、以下のとおりである。
・ 志を立てること(立志=心を奮い立たせるような志を持ち)
・ 書物を読むこと(読書=人間力を高めるような本を読み)
・ 友を選ぶこと(択友=おたがいの人間性を磨き合える仲間と付き合う。)
私は、上記の中から、広島大学が定義した「人間力」が、総合的なバランスを高めるという意味で有効であると考えました。