今回から、コミュニケーションスキルの中でもコーチの必須課題である。ファシリテーションスキルについて述べさせていただきます。
グループ、チームをコーチングするスキルに、ファシリテーション・スキルがあります。
コーチングのみならずカウンセラーやコンサルタントにとっても基本的なコミュニケーションスキルになります。
最近は、このファシリテーション型リーダーシップ、ファシリテーション型会議、ファシリテーション型マネジメントなどファシリテーションの合成語が増えています。ファシリテーション・スキルが多様な領域で開発・実践され成果を上げているという事でしょう。
私が、ファシリテーションを学ぶきっかけは、カウンセラー資格を取得するときに「エンカウンター・グループencounter group」でのファシリテーター演習がきっかけでした。
エンカウンター・グループは、来談者中心療法の創始者カール・ロジャースの下で定着した、グループカウンセリングのことです。
ここでは、なかなか話しにくい事柄や感情を「安心・安全」が構造化されたグループ内で、率直に表明しあい、心理的成長や対人関係の発展と改善を促進するグループカウンセリングのことです。これをベーシック・エンカウンターグループ(非構成的グループ)と言います。また、主題を特定して行うエンカウウンターグループもあり、これを構成的グループと言います。どちらも、おおよそ10名前後のメンバーを1グループとして、二日から一週間の合宿で行われます。メンバ間の心的交流が深まるとともに、内省を伴う深い自己認識・自己洞察がおこり、同時に他者理解がとても深まります。このファシリテータ(促進者)を養成するグループをトレーニング・グループと言います。日本でも1970代に「人間性心理学」の担い手によって広がりました。
近年では、企業・学校・地域社会などでファシリテーション・スキルがグループ活動を促進する原動力になっています。コーチング場面では、構成的なグループワークが中心になります。
コーチに成ろう、あるいはコーチとして活躍される方々にも、是非一度、非構成的なベーシック・エンカウンタグループを体験されてみてはいかがでしょうか?
さて、ファシリテーションFacilitation とは?
さまざまなグループ活動を有意義に進展させるために、グループ内で中立的な立場でメンバー間の相互作用を促進するための支援の手法・技法をファシリテーション・スキルと言います。その支援者、促進者、進行役を担う人をファシリテーターfacilitatorと呼びます。
ファシリテーションのスキルには、
① プロセス設計のスキル(場のプロセスをデザインする)
② コミュニケーションスキル(傾聴、復唱、質問、主張、非言語メッセージの解読等)
③ 構造化のスキル(図解、フレームワークを明確にする)
④ 合意形成のスキル (引用;kotobank)
が知られています。
プロセスとは、ファシリテーターが関与するプロセスのことで、これには「外面的なプロセス」と「内面的なプロセス」があります。
外面的プロセスとは、活動目的を達成するための段取り・進行・プログラムといったグループワークの構造化のことです。
内面的プロセスとは、メンバー一人ひとり心理的なプロセスや思考のプロセスという側面と、メンバー間(グループ内)に生じるプロセスをいいます。
外面的プロセスと、内面的なプロセス相互作用によって、成果や達成感、満足感が生まれます。