「…イノセンスに傷つけねぇようにしよ…」


司令室を後にした廊下を歩きつつ、不意に呟かれた言葉。誰に言うでもない言葉だ。
そして…

いや…いっその事、こんなもの、なくなってしまえばいいのに…

彼…ガブリエルは、自分のイノセンスが嫌いだった…。適合者だと発覚した時も、すぐには信じようとしなかったほどだ。理由を上げるとすれば、やはり、同じ日に適合者とわかった彼女の存在だろう。彼女…ミカエルの事が嫌いな訳ではない…同じ事が多すぎて気持ち悪いだけだ。
同じように、重傷で黒の教団に発見される。記憶もない。幼少の頃から、孤児院育ち…別々の孤児院だったのが、ある意味救いだ…。そして、ガブリエルを1番悩ませているのは、大抵の行動や意見まで一緒ということ。また、適合者とわかった日も一緒だったのも気がかりだが、イノセンスの"形"まで一緒というのが、周りをも驚かせた。
イノセンスは、人それぞれの形になるはずなのだ。なのに、ふたりのイノセンスは、寄生型の翼型をしていた。多少の柄の違いは出たが、同じ背中にある。

自分のイノセンスの事を考えて、仏頂面で廊下を歩いた。それは、相当目立つらしく、目線が注がれる。しかし、彼は気づかないようだ。いや、ここが街や村だったら気づいただろう。教団内では、リラックスをしている証拠だ。
注目されているとは知らずに、もくもくと廊下を歩く。ふと…

腹減ったなぁ…食堂にでも行くか…

そうして、食堂へと足を向けた。


「ところで、食堂に行くんじゃなかったか?」


元の話って、これだったよな(汗)

思い出して、言ってみると、アレンの顔がみるみる笑顔に。
「あっ!そうでした♪(ニコニコ)」

「ホントに、食べ物の話になると嬉しそうさぁ~(笑)」

「い、いいじゃないですか!!/////」

何だかんだと言いつつも、食堂へと足を進めた。

アレンの食べ物好きは、貧乏性だからだと思っていたが、違った。理由は、寄生型イノセンス。実は、僕も相当食べる。しかし、アレンほどではない。

さて、食堂に向かってる最中、ラビが思い出したように、口を開いた。

「そういえば、今の時間て、めっちゃ混む時間さぁ」

「あっ、そうですよね…座れる場所ありますかね…(汗)」

「あるんじゃね?…アイツが居たらだけど…」

「あぁ~ユウの事か(笑)…確かに、今日は任務ないって言ってたさぁ」

「神田の周りは、必ずと言っていいほど、空席ですからね」

「だろ?(にっ)」

「神田と、任務帰りそうそう、顔を合わせるのは気が引けますけど…まぁ、仕方ありませんね…食事の為です」

「ははは…(苦笑)本人の前でゆうなよぉ…食事どころじゃなくなるさぁ」

「わかってますよ」


アレンは、最初の出会いもそうだが、神田とはうまが合わないようだ。お互いに皮肉を言い合い、終いには、派手な喧嘩も少なくない。

確か、ガブリエルもよく喧嘩してたな…アイツとの喧嘩は、意味がわかんないけど…。

まぁ、神田とうまが合う奴なんか、居ないだろうけどな。


「あっ!…ミカエル!…ラビ!!こんなところで何してるんですかぁ?」


自室に向かって、ラビと話ながら歩いていると、前から白髪(はくはつ)の少年が小走りで向かって来るところだった。

「おっ、アレンさぁ…団服ってことは、これから任務かぁ…?」

「いえ、今帰ってきたところです」
この可愛らしい笑顔の彼は、アレン・ウォーカー。僕より半年あとに教団へとやって来た…一緒の任務はまだない…。彼は、クロス・マリアン元帥の弟子なのだが、借金を肩代わりさせられていて、かなり、苦労しているらしい。
「そうなのかぁ…」
アレンの言葉を聞いたラビが、不意に、こちらを盗み見て、にっとする。何が言いたいのか、すぐにわかり、ため息をした。そして…

「「おかえり」」

声を合わせて言う。アレンは、一瞬、驚いた顔をするが、すぐに…
「ただいま!(にこり)」
そう嬉しそうに笑った。彼は、教団を帰って来る場所、ホームとしている。僕も、エクソシストになった日から、帰るべきホームと思うようになった。
「今帰ったってことは、これから部屋に戻って寝るんさ?」
実は、任務は休まる暇がない事もあり、寝ずにという事も多々ある。なので、帰って来たら皆、大抵、疲れで寝てしまうのだ。だから、唯一、気の抜ける休みは、かなり貴重。しかし、今回は違ったらしい。
「いえ、それほど疲れていないので、これから食堂に行こうかと思いまして」
お腹空いちゃいましたっと言って、照れたように苦笑いをした。
「じゃぁ、俺らも行くさ♪…なっ、ミカエル…?(笑)」

「なんで僕まで」

「検査で疲れてるだろぉ?エネルギーを入れないと体に悪いさぁ~」

「あっ、そういえば、ミカエルの最終検査が今日でしたね…同じ寄生型だからよくわかります…任務より検査の方が疲れますよね(苦笑)」
そう、僕はアレンと同じ、寄生型の適合者だ。イノセンスは背中にあり、天使のような翼型をしている。ラビに、お前にはピッタリなイノセンスだなって言われた…僕の名前が、神話とかに出てくる天使と同じだかららしい…。

あれ?話がずれたぜ。

寄生型だから麻酔をして治療するのだが、なんとなく触られた感覚がある。それを思い出し、顔一面で不機嫌さを表した。
「いじくりまわされる感覚がさらに嫌」

「そうですよね。特に、あのドリル…あれだけは、もう勘弁していただきたいです(汗)」

「えっ?…ドリル…?」

「あれ?…ミカエルはドリルでやられた事ないんですか…?」

「ないない!!ドリルとかありえないし!(汗)」

「そのありえないを、ここに来た初日にやられた僕って、どうなんでしょう?(泣)」

「初日!?…あの、神田にやられた傷、ドリルでやられたのかよ!(汗)」

「…はい…」

「ユウも容赦ないけど…コムイもなかなかさぁ…(汗)」

「だな…(汗)」


アレンは、教団に来た日、門番のレントゲン検査で、アクマと誤認された。その時、神田に抜刀され、イノセンスに傷をつけたのだ。

彼曰く、その傷はドリルで直されたらしい…室長、何考えてんだか…(汗)