信義(シンイ)二次小説 -9ページ目

信義(シンイ)二次小説

りおのシンイParty☆


  お話

※今回は、ヨンはではなく、チェ・ヨンとしました   チョナとのシーンだと、どうもヨンが、しっくりこず


久方の再会を喜びあった後、王とチェ・ヨンは、卓を挟んで対座していた

王妃をはじめ、内官、尚宮たちも下がり、男同士水入らずの場だった

「医仙に非ずと、チェ・ヨンそなたは、今、そう申したのか?」

広い王宮の一室に王の声が響く

耳を疑った王は、思わずチェ・ヨンの方に、顔を振り、声を張りあげ、聞き返した

「はい、医仙に非ずと、確かに、そう申し上げました」

一語一句違わぬよう答えを返す

王は言葉のまま受け止めきれず、吐き捨てるよう息を吐くと、苦い笑いを浮かべた

「チェ・ヨン、何を申すのだ。医仙が戻ったのだと、チェ尚宮からも報告を受けておる」

困惑から頬が微かに引き攣る

医仙が戻ったと報告があったのに、それが違ったとは、一体、何事か

王は心の用意もなく、動揺を隠す術を、持ち合わせていなかった

続いて真っ直ぐこちらを見据えながら、チェ・ヨンが口にしたのは、あまりに理解に苦しむ言葉だった

「医仙は生涯を閉じたようです」

四年もの長い間、ずっと待ち続けていた女人が戻ったのだと、皆もそう思っていた

「何だと?」

それがこの男は、今、余の目の前で、生涯を閉じたのだと、そう申したのか?

なんだ、これは、なんなのだ…王は、信じ難く、対応に苦慮したが…

動揺しながらも、何とか冷静を取繕い、必死に頭を働かせようとしていた

チェ・ヨンこの男は、此度自ら足を運んだ、では他に考えられるとするならば…

王である余へと、大切な何かを、己の口で伝えるために、ここに参ったはずだ

「聞こう」

チェ・ヨンの思惑は全く読めず、まずは話を聞いてから、判断するしかないと思う

王が目配せをすると話し出す

「四年ほど前になるでしょうか、私はあの女人を無力にも失いました

王妃様の御身のため、天界から此の地へと留めた、医仙あの方です

徳省府院君、奇轍一派との格闘の末、私はあの方を連れ戻しました」

その時のことは、余もよく記憶しておる、叔父が、王位を脅かしたあの時だ

医仙は毒に侵されており、この男の憔悴ぶりは、見るに痛しましかった

「私はあの方に婚姻を誓い、その夜、私たちは一つになりました

毒に打ち勝ったあの方は、私のもとへ、留まって下さるのだと言いました

妻に迎えるつもりでした

翌日、私達は天門へと向かいました

天に御座す、あの方の父上と、母上に、婚姻の御許しを頂くつもりでした

ですが、奇轍の奇襲にあい、あの方は天穴に飲みこまれてしまった

チョナも概ねご存知のことかと」

医仙を失った過程は、以前にチェ・ヨンに聞いたことがあった為

王も「よく知っておる」と頷いて答える

「恐れ多くも、下界の人間ごときが、天人を拐かしたのです

それだけではない、私は、天女の羽衣を奪い、無理やりこの地に留めた

私は、天の怒りをかったのだと思っています。ゆえに失ったのかと」

さらにチェ・ヨンはそう付け加えると、瞼を閉じ、自嘲気味に笑った

目を開き、王に一度視線を向けてから、チェ・ヨンはまた話を続けた

「驚いた事に先月、私は、再びあの方の姿を、この目にしました」

それが四年後の今、現れたとされた女人か

王は頭の中で、理解に苦しむこの状況を、何とかまとめていき、チェ・ヨンは話し続けた

「私の前に現れた女人は、天の門をくぐり、ここまで辿り着いたそうです」

「なんと…」

四年後に現れたとされる、謎の女人もまた、天の門から来たという

やっと少しずつ、落ち着きを取り戻していた王は、また言葉をなくした

チェ・ヨンはさらに驚く事を告げた

「その女人は、姿形は、医仙と同じなれど、失ったあの方ではありませんでした」

「はっ…何を、言う」

姿形は同じだが、医仙に非ずとな…こうなると、息を吐くのがやっとだ

「医仙の姿をした、天門から参ったというその女人は、私にこう伝えました

天人であった医仙は、天に連れ戻され、苦行の日々を送られたそうです

天人が卑しい下界の男と通じたのです、あの方が私の犯した罪を償った

そして、苦行を終えたあの方は、天界で天寿をまっとうされたのだとか」

ここにきて王は少しずつ気づき始めた

最初から、なにか違和感があったが、今迄その訳がわからずにいたが

医仙の命の灯が消えた、その話を、この男は終始笑いを浮かべ話している

チェ・ヨンは決して、冷酷な男ではない、むしろ情の深い男だ

医仙の生死に関わる話を前にして、語りながら、微笑を浮かべておる

王はついに確信するに至った

この男は、今、まさに余を謀っておるのだと、そう伝えておるのか

チェ・ヨンは出来る限り不敵に笑った

それが自分が見せる、王へのせめてもの忠義だと、思ったからだ
 
 
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 おはようございます

一気に進めちゃいました

いつ、尻尾巻いて逃げ出すか分からないので ← 某Rがですね

皆さま、どうでしたか、もうお分かりになった方も多いのでは?

ヨンの思惑、皆様の思惑、あたっていましたか?

でも、最後まで読んでくださいね

まだしばらく続きます(^^)

続きも書いてあるので、日曜日もアップする予定です
   お話

ぽつっ…ぽつ…と、雨が小さな滴となって、天界から落ちてきました

それは天の医員の涙でした

死にかけた男は、その涙に気づいて、死の淵から意識を呼び起こされます

その後も、天からの滴が、一粒、二粒と、男の上へ落ちてきます

天の医員の姿が脳裏に浮かび上がり、男の目じりからは、涙が零れ落ちた

降り始めた、天の医員の涙は、次第に絶え間なく振り続く、雨となりました

それは男の涙を隠してくれました

不思議と雨は温かかった

雨は、以前に男を温めた天の医員の姿を、重ね合わせたかのように、体に付着した氷を溶かしていきます

男は命を吹き返しました

段々意識もはっきりしてきて、辺りを見回せば、一面に黄色い小菊が咲き誇っていた

天の医員の笑顔のように、それはそれは鮮やかに、風に揺れていました


生を取り戻した男は、天の医員が戻ってくるのを、ずっと待ち続けました

その間、大きな戦が起きます

以前の男であれば、失望し、生きる意味を見失っていたかもしれない

しかし、男は変わりました

何故、自分が生きるのか、それを天の医員を失う直前、見つける事が出来ていました

天の医員が男に残したものがあります

それは、何かを護りたいという、強い想いで、民を思い、国を思う気持ちもこれに同じ

男は決意を固めます

天の医員を想う思いが、強い原動力となり、男を突き動かしました

天の医員と触れ合う中で知った、国への忠誠心は、しっかり男の中に根付いてました

男は先導をきって戦に臨みます

そして、男の真っ直ぐな思いは、いつしか、目に見える形となっていきました

戦には大勝利し、天の医員の消息の、唯一の手がかりとなる、天の門も護りぬきました

今でも男は待ち続けています

いつの日か、天の門から、天の医員が戻ってくると、そう信じているのです

「以上です…」

ヨンは話の終わりを告げた

とても長い物語だった

何故なら、この話は、俺とイムジャの、長い時間の流れの物語なのだから

話し終わったヨンは、ふうと、大きくため息をついて、遅れてウンスも肩の力を抜く

「雨…」

ウンスが言いかけると、ヨンは鼻先で笑って、柔かな笑みを見せる

「あの後、雨が降りました」

雨の始まりのように、ぽつり、ぽつりと、ヨンは言葉の切れ端を落とす

「額にあたり、頬に触れ」

今でも、鮮明に覚えている

夢から覚めたような、曖昧な感覚だったが、額に何かが触れ、続けて頬に触れた

今まで気付かなかったが、自分で口にすることで、今更気づいた事だった

男の額に触れ、頬に触れとは、始めの頃驚かされた、イムジャの行動と同じだ

熱を測るために額に触れられ、そして、生きていると、頬に触れられた

戸惑った当時を良く覚えている

イムジャと…雨…か…

「氷攻で動けなくなりました。しかし、雨が…それを、溶かしました」

ウンスはその場にいるような感覚になって、胸が強く締め付けられる思いだった

雨がこの人を助けてくれたんだ

自分が雨が好きと言った言葉が、脳裏に浮かびあがり、心の底から、生きてくれて良かったと思う

ウンスが胸を震わせていると、ヨンはまだ何かを言いたげだった

「物語は一旦終わりをみせます」

物語はと振られ、まだ話が終わってないどころか、本題にも入って無い事を思い出す

もっと色々聞きたいけど…

とりあえず黙って聞いていようと、小さく俯かせた顔をあげ、言葉の続きを待った

「多少の脚色はありますが、実際にあった出来事ばかりです」

ウンスも、本当にそうね、実話ばかりだわと、首をこくこく上下させた

「悔やまれるのは、一点だけ、事実と異なる点がある事です」

ヨンが助かった経緯に話が移り変わり、先程の、違和感をすっかり忘れていたウンス

突然そう振られキョトンとするが

「イムジャと契りは交わしておらず…」

ヨンの悪戯な表情と視線に、ウンスの顔は、一瞬にして真っ赤になった

続けて言った、それが悔やまれるという言葉は、もう耳に入って来ないほど

ウンスは赤面したのだった

 

**************


ヨンの戦略はこうだった

ウンスが天人であることを世に知らしめ、そして、戦の勝利の裏側に

少なからず、天人であるウンスの寄与があったと、民衆にそう思わせる

つまりは、イムジャを大勝の、もう一人の立役者に仕立て上げる

この戦へと、俺を動かしたのは、イムジャへの想いがあったからだ

ゆえに、それもまた事実であり、偽りのない真なのだから容易い事

そして、もう一つは・・・

天人であるイムジャと、俺が、四年前に、事実上、婚姻関係を結んだ

そう思わせたかった

たった一つの嘘が、これとは、皮肉にも思えるが仕方あるまい

宿屋の一室での出来事なんて、俺たち以外、誰も知る事は出来ぬ

それこそ天のみぞ知ると言ったところだ

 

ヨンの思惑は確かだった

噂話が広がるうちに、男と天の医員の虚像が、少しずつ変化していった

いつしか男と天の医員から、実在の大護軍とウンスの話かのように、まことしやかに、語り継がれ始める

民たちは、男と天の医員を思い描くのと同時に、実際の二人を重ねはじめたのだ

スリバンが軌道修正に一役買いながら、物語の中で意図的に作り上げた心情が…

民衆たちに自然にはめ込まれていく…ヨンは、すり込み効果を、上手く利用した

ヨンは心の中で思っていた

この物語のほぼ全てが、真実なのだから、そうなるのは、むしろ必然なのだと

そして満足げに薄笑いを浮かべた



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おはようございます 

刷り込み効果は、繊細であればある程、効果があるそうですよ

刷り込み効果とは:

動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象の一種

「誘導されているのかな」とか、ちょっとでも思われた時点でアウトだそうです

ヨンとウンスの、小さな真実の積み重ねは、きっと大きな効果をもたらすはず

それぞれに目撃者や、証人もいますから、真実は強固な盾になると思われます

さて、この後、ヨンはどうするのでしょうか   頑張って失速せず完成させますね
  お話

難を逃れたかのように思えた、男と、天の医員の二人でしたが…

実のところ天の医員は、蛇のような男の邪術によって、躰を蝕まれていました

天界に戻れば治るのだといいます、その為、男は何度も帰るよう医員に言います

ですが、天の医員は、頑なにそれを拒み、男の元に残ろうとしていました

帰したいはずがない、男の本心は、ずっと傍に居て欲しい、それだけです

だが、此の地に留める事は、日々、命を削る事になってしまう

男が心の内の葛藤と戦っている間も、状態は悪化し、医員は衰弱していきます

ある時、天の医員は決意を固めます、命を懸け、邪術に立ち向かおうと

失敗すれば助かる見込みはない

そして軌跡は起きました、邪術を振り払い、天の医員はそれに打ち勝ったのです

しかし、喜ぶ間も与えられないまま、再び次の敵が、遅いかかってきます

天の医員が此の地へ来た頃より、執拗に着け狙っていた男でした

天の医員はそいつに攫われ、男は死ぬ物狂いで、天の医員を探し、見つけ出します

死闘の末、男はついに、敵側の主犯格らを蹴散らし、奪い返しました

その晩、二人は、町はずれの、小さな宿屋で暖をとることにしました

二人には輝かしい未来が待っているはずでした、そう信じてました

「そして宿屋で、医員と男は、夫婦の誓いを立て・・・」

ヨンは途中まで言いかけると、一瞬の間を置いてから、話を続けた

「契りを交わしました」

えっ?

ウンスはヨンの言葉に驚いた

驚きから、小さく目を見張り、思わず、何度か、瞬きを繰り返した

今、この人…契りって言ったわよね?契りを交わしたって、どういう…意味?

あの晩、私たちは、一つの寝台で体を寄せ合い、眠りを取った

この時代だと、契りを交わすって、そういう…意味じゃないのかしら?

おまけに、その部分を語る時、躊躇いからか、ほんの少しだが不自然な、間があった風に感じてた

あの時、毒に侵され回復もしてない私を、この人はとても気遣っているようだった

だから、ただ寄り添いあって寝た

話の全部が実話と思っていたウンスは、違和感を感じながらも、問うのも躊躇われた

その話には触れられなかった

ウンスが何か言いたげな目をしてはいたが、押し黙ったため、まずは最後まで話を進めようと思った

ヨンは話を続けた

翌朝、天の医員と男は、肩を寄せ合って、天の門のある場所を目指しました

天界に居られる天の医員の父上と、母上に、婚姻をお許し頂くつもりでした

門に辿り着くと、二人を待っていたように、青い光を放ち、道は開かれました

ところが天は男を許しませんでした

王妃の命を助けるためと、男は天の医員を、天界から無理矢理連れ去りました

その上、王妃が助かってからも、医員を帰さず、その地に留めた

さらには有ろう事か、天人である医員が、卑しき人間の男と、情を通じてしまった

天は男に怒りの鉄槌を与えました

天の医員は青い光の中に飲みこまれ、男の体は再び凍りついてしまいます

天の医員の姿は跡形もなく、まるで最初からいなかったように、消えてなくなりました


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おはようございます

語りべヨンもそろそろ終わりかな


私信:レイさん、いつも応援ありがとうございました。メッセ読みました


 お話

天の医員からは笑顔が消えました

幼き子が殺められる光景を、目の前で見てしまったのです、天の医員の表情には、再び恐怖が舞い戻りました

まるで突然、目の前にあった光を失ったように、男は困惑を感じます

元より無かったものです、なのに、なぜか男の胸は、心乱れるのです

今思い返してみれば、忘れられなかったのでしょう、あの日見た、天の医員の笑顔を

だが一度失った笑顔は、もう戻りそうにありませんでした

せめて無事に帰す事だけが、自分に出来るせめてもの償いだと男は思っていました

影から天の医員を見守り続けます

しかし悪い事は続くものです、ついに天の医員は、男の元を去ってしまいます

男は、決意をしました

天の医員を、元居た世界に、無事に帰す事だけが、使命でしたから

それを妨害する者たちを、死す覚悟を持ってして、取り除こうと考えたのです

ここから運命は大きく動き出します

打ち入った男が死を覚悟したその時

去ったはずの天の医員が、小刀を首にあてがい、自らの命を懸け、男を助けんと戻って来たのです

ヨンは語りながら当時の事を思い出す

目の前のウンスを、まっすぐに見据え、無茶な人だと思いながら目を細めて見つめる

ヨンの心情を読み取ってか、無茶な人はどっちよと、ウンスも笑いを返す

天の医員は、ならず者の攻撃で凍った、男の手を包み込みました

柔らかな、温かい、医員の手が、硬くなった男の手を解きほぐしていきます

医員の涙にも触れ、それは同時に、動かなくなっていた心も、とかした

そこからは男は抗う事を諦めました

姿を目にすれば視線が奪われ、共に過ごせば心が奪われてしまう

抗う事が無駄だと分かったのです

穏やかな日はありませんでした

天の医員は人を惹きつける

欲にまみれた者たちが、天の医員を我が物にせんと、次々と、襲いかかってきます

男は立ち向かい、二人の想いは高まり、次第に強い物となっていきます


ある時また大きな問題が発生します

天の医員の存在を、脅威と感じた支配国側の使者が、命を脅かし始めます

二人は必死に抵抗をしますが、此度の敵は、従属関係がある支配国です

簡単ではありません

もう、逃げるしかないと、二人は、国を捨てる覚悟を決めていました

そんな中、王妃が敵の策略にはまってしまい、命の危機に見舞われます

王妃は支配国の王の娘です

もしその身に何かあれば、支配国は決して黙ってはいなかったでしょう、戦へとなる

天の世界に戻るか、それとも、戻って王妃を救うのか、選び難い選択でした

王妃を救いに戻れば、支配国の使者の命により、処刑されてしまう可能性もあります

天の医員は、我が身の危険も顧みず、王妃の命を救う道を選びました

それは自らの命を投げ打つも同然でした

それでも天の医員はこの国にとどまり、助けに戻る道を選んだのです

男の国の王も二人を見守ってくれていました、そして、王は機転を働かせました

天の医員は天人ではないと言います

天人であるというのは、自分が作った作り話であると、支配国の使者に突き付け、天の医員は難を逃れる事ができました

天の医員の選択は、王妃を救い、王の心を救った、ひいては、その国の民を救ったと言えるでしょう


 ****************


「イムジャは天人である」

その事実を国全体に広める事が、まず俺が立てた策略の、第一の鍵になる

実際のところイムジャは、この時代の人間ではないが、言い換えれば、イムジャは真の天人であるという事

王妃を救うため、自らの命を天秤にかけて、イムジャがこの国にとどまった事

さらに元の断事官に対し、王が天人でないと告げた、これらは全て紛れもない事実

まずは、それらを周知の事とする

そして、もう一つの鍵は、天人の戻りを待ち続けている、俺の存在だ

国が大勝を期した今

少なからず自身が英雄的な、国の一つの象徴となっている事もヨンは肌で感じていた

元の支配を免れた、高麗の民たちは、ヨンを国の誇りだと称えている

その男が恋仲だった女人を、今も純真に、待ち続けているという

それも、相手は人ではない天人、そのひとの戻りを、待ち続けているのだ

これほど心情に働きかける話があるのか

「国の英雄が、人ならぬ天人と恋仲であった」「今も一心に想い続け、その戻りを待っている」

国の英雄を称える思いも、人をおもう思いも、民だけにあらず、誰にでもあるもの

人に備わった本能とも言えるだろう

そして、微塵も偽りのない真実は、人の真心に強く、訴えかけるものだ

そしてヨンは此度の策略を、根本であるここから、全て始めたのだった



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こんにちは

なんとか、書けました

ヨンの語りも、細かい事書きたかったのですが、書いたら、シンイ24話 全巻みたいになっちゃうので(笑)

本題に入るために、だいぶ端折ってしまいました、すみません・・・

でも、たんなる、あらすじじゃなくて

一応、ヨンが語ってるとしたら、という感じで、ヨンぽい言い回しを考えて書いたので結構大変でした

いよいよ、本題がスタートです

ウンスが天人と広める← ここから、スタートします  

え?広めちゃっていいの? というのは、続きで書いていきたいと思っています









  お話

天の医員が、ならず者たちに捕われたと聞いた男は、身が引き裂かれる思いでした

生きていてくれ、どうか…それだけを思い、馬を走らせました

幸いにも天の医員は無事でした

そして、天の医員は、助けに来た男へと、あたたかな笑顔を差し向けました

さらに驚いた事に、帰すという約束を破り、この地へ留めた男が、生きている事を喜んだのです

信じられぬ思いでした、天の医員は罵るどころか、笑顔をみせ、頬に触れた

男は戸惑いました

そして戸惑った男は、名分を立てるためとは言え、迂闊な言葉を口にしてしまいます

天の医員を、「慕っているゆえ助けに参った」と、ならず者達に向かって、言い放ってしまいます

「この方を恋慕っている」と…そう、男は、口にしてしまったのです

この時は男は知りませんでした

己が口にしたこの言葉が、これから先、男の運命を、大きく変えていく事になる事を


今、当時の出来事を、思い返してみても可笑しくて、 くすくすとウンスが小さく笑うと、ヨンもつられて笑う

もしかしたら、私にとっても、あの言葉から、何かが始まったのかもしれない

ウンスはそう思うのだった

”恋慕う”という言葉を耳にした事で…

異常者としか見てなかったこの人も、感情を持った普通の男性なんだって

どこかほっとした

私はあの時の言葉で、張り詰めた気持ちが少し楽になったんだわ…

と、ウンスがしんみりと浸っていると、笑いを噛みしめたヨンが悪戯に言う

「それから先は、男にとって、苦悩の日々が続く事になります」

「やだ、何よそれ!」

不満気な声を立てたウンスに、ヨンは一度視線を送るが、お構いなしに話を続けた

天の医員はそれは、それは、破天荒な方で、天のお人ゆえ、弁えを知らず、上下も尊びません

「あなたったら意地が悪いわ」

浮かれ気分で、すっかり夢見ごこちだったのにと、意地悪なその人を睨み付けた

「本当の事です」

ヨンはまた笑いに耐えながら、口を小さく尖らせたウンスの目の前に、ポンと顔を突き出して言う

「いいわ、続けて」

どこか、嬉しそうな様子の、ヨンの物言いが可笑し思えて、睨むのも続かず、ウンスは先を促す

その後、不幸な出来事が起こります

敵の策略にはまり毒で苦しむ、幼きかつての主君を、男は天の医員の目の前で、殺めてしまいました

天の医員は再び恐怖に慄きます


***************

男の女の恋物語は、あっという間に、高麗全土へと広まっていった

そして、ある時、酒場で、赤い顔したひとりの男が、こう言いだした
 
「なぁ、まさかとは思うが、この話って・・・大護軍様の事じゃねーか?」

恰幅のいい小さな女が相づちを打つ

「わたしもそう思ってたんだ、ちげぇねぇや、こりゃ、大護軍様の話だろ」

さらには、民衆たちの話が、あーでもねぇ、こーでもねぇと…

おまけに、ある事ない事、尾ひれをつけながら、物語と同時に広がっていく

「もう、何年前になるか、恋仲だった方がおられただろ?」

「死にかけた王妃を助けたって、当時大騒ぎになったよな」
  
 「山の向こうの、サトンの息子も、医仙さまに助けられたって」
  
「華佗の使いだったって話もあらぁ」
  
「わたしゃ、見た事あるんだよ、赤い髪のそりゃ、綺麗な天人さんをさ」
  
「テホのやつ戦で死んじまったが、死ぬ間際に、天から下るところを、見たんだと話たそうだ」
  
「以前も、死にかけた、大護軍を、天の医員がお助けになったそうだ」

「じゃぁ本当に天のお人だったんか?」 

そして民たちは、見たや、聞いたやと、好き勝手に、囁きあっていた



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おはようございます

なんとか連日アップ継続中・・・一度休んだら書けなくなりそうで・・・

お話がほぼ完結するまでの間、コメント欄を閉じさせて頂きますね、申し訳ありません



  お話

再会後、とある日の王宮にて

王と王妃が、ゆるりと茶を楽しむ中

「恐れながらお耳に入れたい事が」

只ならぬ様子でチェ尚宮が、二人居る部屋の中へと、音を立てるよう駆け込んだ

「なんだ、そなたにしては珍しい」

それは、女官の礼儀作法には人一倍煩い、チェ尚宮らしからぬ様子

一目で見て大事と伝わる

しかし王が見て、表情から窺う限り、危険性を伴う話ではなさそうだった

では、何事があったかと、王は苦笑いを浮かべ、驚きを隠せないでいると

「話すがよい」

王妃が先にチェ尚宮に話を促した

王を驚かせた事に加え、我を忘れた自分へと、呆れ笑顔で取り繕うように、チェ尚宮は頭を垂れた

「なにやら、おかしな話が、街に出回っているようで…」

そう話を持ち掛けながらも、既に、チェ尚宮は話の出所について

かなりの心当りに、行き当たって、どうにもきまりが悪い

意図的な何かを感じていた

有り得ぬ事だ

その話(物語)が、私の耳に初めて入ってから、この広がりの早さ

自然派生した情報が、人から人へと伝わるには、それなりに時間がかかる

この速さ・・・

不自然すぎるのだ

そうして考えるならば、『情報操作』が行われていると、安易に予測がつく

もし、この高麗に置いて、誰が情報操作に、介入してるとするならば…

現代であれば、国家情報局とも言えるだろうスリバンしか浮かばない

チェ尚宮は、あやつらが介入している、そう判断せざる負えなかった

「調べあげましたところ、医仙が戻ったとの報告が、こちらに向かっているそうでございます」

チェ尚宮も先ほどそれを知ったばかりで、まだ、驚きの最中にあった

おかしな話との前置きに続き、口から出てきた言葉は、大層強い衝撃を、王と王妃に与えた

「本当か!」

「なんと…」

チェ尚宮の口から発せられるや否や、王と王妃は、同時に席から立ち上がるほどの驚き様だった

「真に…」

「何ということだ」

王と王妃は喜びを隠せない

それに対しチェ尚宮は

我が甥が何を企んでいるやら、と素直には喜びきれないでいる

チェ尚宮の気鬱を余所にして、しばらくの間、王と王妃の二人は

「良かった、誠に良かった」

「ほんに、喜ばしく」

と、ひととき、喜びを分かち合った

そして、ある程度、衝撃も和らいで来たところで、王妃は思い出す

チェ尚宮が、先程、いいかけた話が、まだ残っていた事を

「そういえば先ほど、おかしな話と申しておったのは、なんだ?」

王妃がチェ尚宮に問いかけ

一番、触れられたくない話題が、自分の元へと、舞い戻って来たと知る

詫びの気持ちもあってか、反射的に、チェ尚宮は恐縮したように、さらに深々と頭を落とした

「それが…男の女の恋物語らしく…」

「ほぉ、男と女の…とな?」

「それが…なんと、申し上げればよいのか…」と言葉を、濁し続ける

男と女の恋物語?

冗談じゃない

これは、ヨン彼奴と、医仙の、実際にあった出来事に過ぎぬ

チェ尚宮はうっ気が晴れない

それが、瞬く間に、山々を駆け巡り、都中に広がりを見せている

女たちは心躍らせ、男達はまるで夢物語のように語らい、熱気を帯びてるという

「続きを話すがよい。聞こう」

医仙が絡んでいると聞けば、どこまでも馬鹿に成り下がる、ヨンの姿が目に見える

となれば、チェ尚宮の、嫌な予感は、さらに募るばかりだった

「それでは…」

なんの馬鹿をしでかすつもりだ?

スリバンから、こちらに直接報告が来てないと言う事は、お前は王と王妃も巻き込むつもりか?

考えられる懸念ばかりだ

ヨンめ、ろくでもない事をしでかせば、後で覚えておれ

内心、不服に思いながら、チェ尚宮は、しぶしぶ話し出したのだった



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おはようございます

一度、さぼれば書けなくなりそうで、一気に頑張ろうと思っています

応援してねー
  お話

見ず知らずの場所へ、突然連れてこられた天の医員は、大層戸惑っているようでした

ウンスはわざと眉間に皺を寄せると、「そうよ、そうよ」と、縦に首を振ってみせて、囃し立てた

おかしなウンスの表情を見れば、ヨンからは、思わず、笑みが零れる

治療が終われば、必ず元居た世界に帰すと、男は約束をしました

それは、男の名にかけた約束です

天の医員は仕方なしに、それを信じ、王妃の治療にあたる事にしました

そして、見事なまでの医術をもって、死にかけた王妃を蘇らせました


恐怖に慄く、天の医員の表情が、ずっと頭から離れませんでした

帰してやれると思っていました

男もそう信じていたのです

しかし予期しない出来事が起きます

王妃の命が懸かった国の大事に、その上見事までの医術、欲が出たのでしょう

有ろう事か、天の医員を帰さぬようにと、王命が下ってしまったのでした

ウンスはじっと黙って聞いていたが、もうすぐ、胸が痛むシーンが訪れるはずだ

男はそれに従ってしまいます

ウンスは息も飲まず話の続きを待つ

男の名を穢したものは、他でもない、誓いを破ったのは自分自身でした

天の医員は、剣を握りしめると、怒りをあらわにします

王妃を助ければ、元居た、天の世界に帰すという、約束が守られなかったのです

天の医員は、刃を向けました

そして、男は、自ら、誓いを破った者を、処罰せんとしたのです

せめて、死を持って償おうと

あの時の事を、今、思い返しても、涙が浮かび上がってくる

ウンスの眸がじんわりと濡れる

気づいたヨンはウンスの手を一つすくい取ると、包むよう、握りしめた

互いに口にする言葉が思いつかず、視線を交わし合い微笑みあった


そのままヨンは話続ける

ところが、天の医員は自ら刺そうとした、男を助けようとしました

本当に斬るつもりはなかったのでしょう

何とか天の医術で持ちこたえます

しかし、男はあの時、死す事を、本心では、望んでいたのかもしれません

そうよ、あんなに酷い状態なのに、頼むから捨てて行けと…

この人は私に言ったんだ

思い返せば光景ごと鮮明に湧き上る

本当に、無茶な人なんだから

あれこれ、突っ込みたいところだらけだわ、とウンスは思いながらも…

話の腰を折っちゃ悪いと、自分にいい聞かせて、出来るだけ耐えていた

だが、生きようとしていなかったのでしょう、一度助かった、男の命でしたが

悪化の一途をたどっていきます

そして、ある時、ついに男の、心の臓が止まってしまいます

心も体も凍りついたまま、この世に別れを告げようとしていました

そこで、あろう事か、天の医員は、驚いた行動を取ります

男の心の臓に揺さぶりをかけ、天の医員の頬からは、涙が降り注ぎました

そして、自らの唇を合わせると、男の中に、命を吹き込んだのです


人工呼吸ね、とウンスは微笑む

「命を吹き込むか…」

続けて、ポツリとつぶやいた

現代からしてみれば、医療行為も、この時代の人からは、そうは映らない

こうして他の人の口から聞くと、未知なる世界の行為のようにさえ思える

ウンスはある点に気づく

「ねぇ、よく知ってたわね?」

心臓マッサージもしたのも、人工呼吸をしたのも、この人は死の淵を漂っていた時の事だったのに…

ん?と、小首を傾げたヨンに対し

少し照れくさく思えたので、言葉にはせず、”きす”と口パクで暗に口づけを伝えた

ウンスの唇に視線を向けると

ふくりと赤く潤んだ唇に、思わず吸い寄せられそうになる

この方と再会して以来というもの、これでは、全く、己の欲との戦いだ

そう、思いながらヨンは、ウンスが傍にいる事を、強く実感していた

ただ、そんな事を考えられる事が叶う、この現状が心から有りがたく思える

何故なら、イムジャの存在、なくしては決して、叶わぬ事なのだから

名残惜しげにウンスの輪郭をたどってから、そこから視線を外した

んっと喉を強く鳴らし、一度場を濁すと、気を取り直すよう努める

ヨンは、「あぁ、その事ですか…」、と、笑った目をして、首を小刻みに上下させた

「随分と騒ぎになりましたから」

一度、死んだはずの俺が、天女の口づけで、再び命を吹き込まれたのだと

テマンの説明不足も相まって、ある事、無い事、尾ひれをつけ、広がったのだから

そりゃそうね、心臓マッサージも、人工呼吸も、ただの医療行為だけど

現代医術は、もっと、何か違った、神がかり的なものに、見えるのだろう

ウンスは感慨深く思った

ヨンも当時の出来事を、思い返してみると、不意に頭の中にぽんと

ちいさな疑念が、ふって沸いた

「してはおりませんね?」

「えっ?」

突然、ヨンにじぃ~と、意味深な目をして、真っ直ぐ見つめられる

ウンスは、すぐにその、行動の意を解せず、キョトンとしてみせた

何が言いたいか心当たりは…?あっ、やだ、そういう…ことね?

慌てて両手を振り否定する

「やっ、やだ、してないわよ」

溺れた子供の患者以外にはね・・・と、心の中で悪びれて、苦笑いをし誤魔化す

馬鹿な事を聞きましたと、半分、自分に呆れながらヨンは、納得し頷いてみせる

こんなやり取りが出来るなんて

何度、胸が張り裂けそうなほど

何千回と、何万回と願っても、もう、帰ってこれないのではと…

そう思っていた場所だ

「ほら、次は?」

思わずしんみりした自分を隠すよう、今度はウンスが、先を急かした

次のシーンも、悪くない

キチョル、あいつの屋敷に、この人が乗り込んでくるシーンなのだから


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こんにちは、何とか本編に戻ってこれました ふぅ、危ない危ない   

ところで、あの再会の木の下から、開京まで早馬で何日かかりますか?

また、普通に女性連れで帰還するとしたら、どのくらい時間かかりますか??

ご存知の方いたら教えて下さい


おまけ。

昨日の深~い、お話ですが、つまり最終的にヨンは、『地に居ながらにして、天にのぼらせる男』ってところまで、汲み取ってくれた方はいたかしら?

下(した)と下(しも)に詠みも色々なように、天にのぼるにも色々ねえ( 〃▽〃)

もう、のぼりすぎて意識が←とか

コメント欄楽しみしてたんですが、そこに行きついてはいなそうだったので?

ちょび、ネタバレ解説でした。
  お話

(副題:漁夫の利)

喧嘩はひとまず、終わりを見せたが、どうにもむかっ腹を抑えきれない

そもそも夫君は口煩い

ふんっ、なによ…

私だって、子供じゃないんだから、と、ウンスは常々思っていた

多少納得のいかない事であっても、自分の為を思ってくれている

そう思い受け入れられる事もあれば、受け入れられない事もある

何かやり返してやりたいと、ヨンが嫌がりそうな事を考えた

だが、目の前でやれば、また先程の続きが始まる事は間違いなかった

そこは大人になる事とする

ちっさな腹いせを熱心に考え、ウンスは、あるいい事を思いついた

ウンスは、まず最初に、人気のない事を確認しようと考えた

窓から庭先へと、顔をちょこんと向け、首を回しあたりを見回した

よし、誰も居そうにない

一度たりとでも、屋敷の主人と、妻の激しい大喧嘩が始まりだせば

お互い落ち着くまで、ほって置くのが一番だと、屋敷の皆は分かっていた

たいてい、次の朝になってみれば、二人とも何食わぬ顔でいる

どちらかが言い過ぎたと謝り、片方も言い過ぎたと折れ、折り合いがつく

そのため既に、チェ家の住人達は、各々の離れへと引っ込んでいた

今この母屋にはヨンしかない

結婚してから、ヨンがあんなことを言ったのは、初めての事だった

「天界から(私の事を)、連れてこなければ良かった」

余程、頭にきていたんだろう、さっき、あの人はそう言いかけたんだ

それ程滅入る言葉はない

思い出すだけで、怒りが舞い戻ってきそうで、ウンスは頭を振ってかき消した

はぁ、と大きく息をついて、何とか、冷静さを取り戻そうと懸命に努める

小さな口げんか程度であれば、体を合わせあい仲直りを、との定番も…

ここまで大喧嘩に至ると、冷静になるのには、それなりに時間を要した

だから、あの人とは、きっと今晩は、別々に寝る事になるだろう

ウンスはそう思っていた

まだ陽は沈んでおらず、先程、ヒートアップした事で、体の火照りを感じていた

「脱いじゃえ!!」

隠れた腹いせもあって、ウンスは、ぱぱっと、上下の衣を脱ぎ捨てる

衣を脱ぐことで、肌に冷たい外気が触れ、晴れ晴れしい、気分にもなってくる

常日頃から、重ね着は重く、軽やかに思える事が、心をも軽くしてくれる

そして、寝台の上に体を横たえた

この時代だったら、きちがいでもやらない、おかしな恰好だろう

形から見れば、胸当てだって、チューブトップと、なんら変わりがないし

そして、ウンスお手製の、お気に入りの布で作った、高麗式ショーツ

現代で言えれば、チューブトップに、マイクロミニのショートパンツといったところ

非常に快適だった

寝具に体重をかけ力を抜いた

熱を帯びた体は、さらに外気で冷やされ、鎮められていくのを、肌が先に知る

何より、ヨンが不服と思う事を、隠れてしている、自分に気分が良かった

ふふふと、小さく零れ笑いを漏らし、したり顔で、にんまりと笑みを作った


ところが突然、コンコンと、木を叩くような音がして、驚いたウンスは肩を竦めた

慌てて音の方を向くと、ヨンが入口の扉に寄りかかり、淵を拳の背で叩いていた

「随分と楽しそうですね」

望まぬ訪問者の到来に、驚いたウンスは目を一回り大きする

普段であれば、このまま別にと思っていたが、しかし今回は、いつもと違う点がある

禁断の言葉を言いかけた、自分を深く後悔し、ヨンは謝りに来たのだった

あれは決して言ってはならぬ言葉だ

だが言ってしまった物は取り返しはつかず、ならば、心から詫びるしかないと

ウンスの元を訪れたのだった

しかし、そこで、見かけたのは

胸当て一枚に、下穿き、肌全体が晒され、目も当てられない妻の姿

それが自分へのあてつけで、憂さ晴らしをしていたのだと、ありありと感じ取れる

いつもなら、ここから始まる喧嘩も、この日ばかりは、ヨンは堪えた

丹田に力を入れ気を整える

ここで、俺がまた、小言を言い出せば、元の木阿弥になってしまう

ヨンは、薄ら笑みを宿した表情を崩さぬまま、つかつかと歩み寄った

先ほどウンスがやったよう、見せつけるように、態と勢いよく上衣を脱いだ

やだ、なに??

怒りもしないどころか、不敵とも思える、薄ら笑いが気味悪い

相手の感情が読み取れず、緊張から、ウンスの表情が小さく強張る

ヨンはウンスの上へと、獣が四つ脚で這い上がるよう、近づいていった

「イムジャ…」

ウンスは表情に、精一杯の虚勢を作りあげ、何よという顔をして見せる

なんて恰好をしているのかと怒られれば、返す言葉もあれこれ思いつくが

何を考えているのか、予測もつかない顔で、それも薄笑いを浮かべられては

口にする言葉が見つからなかった



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続きはCMの後で

3分後に

アメ限でお届けします

  お話

(副題:天女の微笑み)

あの計画は、イムジャの戻りを待つ、四年の歳月かけ、練りに練られた策略

あらゆる可能性をも否定出来る、一点の狂いもない、完璧な物のはずだった

だが現実は違っていた

この方を見事に手中に収めた

かのように見え、俺はすっかりのぼせ、自惚れていたんだ

あの計画は完璧なんかじゃない、むしろ欠陥だらけだろう

言い換えれば、俺の弱みをすべて、敵に見せたようなもんだ

勝ち目はない

「ある男と女の恋物語」

生涯、苦しみ、苦行の日々を送る、愚かな男の生涯が綴られた物語となるだろう


****************


チェ家の外まで漏れ聞こえそうな、男女の怒鳴り声が響き渡っていた

だいぶ大人になったとはいえ、ウンスの気性は元来備わっていたもの

理不尽だと思えば、はい、それと、従うような、女にはなる事が出来ない

「なんで、そうなんです!」

「何よ!この石頭!」

激しい罵声が飛び交う

「石頭は、どちらですか?分かってはいましたが、ここまで分からず屋だとは!」

互いに胸と顔を、ふんと、突き合わせ、痴話げんかの、真っただ中だった

夫婦喧嘩は、犬も食わぬと言うもんだから、慣れたチェ家の屋敷の面々は、止めに入ろうとはしない

「誰が分からず屋ですって!」

髪を振り乱し、体を左右に大きく揺らして、妻ウンスは、猛抗議をしていた

それに応戦するのが夫ヨン

「こんな方だと分かっておったら!」

黙って素直に従う方ではないと分かってはいても、歯に衣を着せもせずに

人に言い負かされるのに慣れてない男だ、こう真っ向から来られると、腹立たしい事この上ない

その上、口が立って怯みもしない

くそ・・・・

「なに?なに?なによー!何なのよ!分かってたら、なんだって言うの?」

アッタマに来た!!

何が言いたいのか、あらかた予想がつき、ウンスの苛立ちはさらに増す

「こんな方だと、分かっておったら、あの時、天界からっ」

あまりに頭に血が上り過ぎ、思わず、言ってはならない言葉が出かけた

途中まで、出かけて、我に返ったヨンは、慌てて言葉を閉じる

しかし、堪えたヨンに対し、すっかりヒートアップしたウンスは

やらなきゃいいのに、また、そこで、追い打ちをかけた

「ははーん、何?こんな女だって分かってたら、天界から連れてこなかったって、そう言いたいわけ?」

せっかく寸前のところで堪えたのに、抑える事をしなかったウンスに対し、また怒りが再燃する

二人の大喧嘩のパターンは、大概が、そんな繰り返しだった

「ああ、そうするべきだった!」

しまった、言ってしまった…一度口から出てしまった言葉は、取り返しがつかない

だが、後悔する時間も与えられずに、また次の攻撃を食らえば、反射的に反撃に出るものだ

ついには、思ってもいない事まで、次から、次へと出てくる

売り言葉に買い言葉になる

止めなければと分かっていても、相手が謝罪の意でも見せない限り、止められそうもなかった

これでは、いつまでも、埒が明かないかに見えた…が…

そこで俺は知る事となる

この方は、手も足も出ない、天下の宝刀を兼ね備えている事を

一太刀で意図も簡単に、心の音を止める事ができる、世にも恐ろしい最強兵器だ

ウンスは、ついに、それを振りかざした


「一目ぼれだったくせに!」←


****************


武官:「なっ…」← 硬直

天女:「何だったかしら?」

ウンスは態と、顎に丸くした手を当てて、右へ傾げ、左に傾げを繰り返す

うーん、何だったかしら、思い出せないわと、考える素振りをしてみせる

天女:「あっ、そうそう。思い出したわ」

閃いたぽい演技もキムヒソンばり

武官:「……」← 断続的心音

天女:「そうそう   男はひとめ天の医員を見た途端、目が離せなくなってしまいます。だったわね

武官:「……」← ピーーーー心停止

敗者決定・・・

天女:「ほらっ、ほら、何とか言ってみなさいよ、ねぇ、ちょっと!!」

すっかり息の根が止まっている武官に対し、天女は卑怯にも追撃をした

武官は死の間際知った

武官:「妖魔だ…」

天女:「はっ?」

武官:(この方は、天女なんかではない)

天女:「今なんて、言ったの?」

武官:(天女の姿を借りた、妖魔め)

たちが悪いのは、妖魔の妖術は、一度かかれば、簡単には抜け出せ無い事だ

その点についての、己の非力は、己が最もよく知っている

ぐうの音も出ない程、やられたら、やり返さねば気が済まない

しかし、真っ向勝負では、太刀打ちできない事を、武官はこの瞬間悟った

そして、息を引き取る瞬間、残した最後の言葉はこれだった

武官:(覚えておれ闇討ちだ)

正面突破の信条はどこぞやら・・・という御話でした

めでたし、めでたし←



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おはようございます

久しぶりに軽いタッチのパロディを

後篇に続きます

こちらは、アメ限定になる予定です