信義(シンイ)二次小説 -40ページ目

信義(シンイ)二次小説

りおのシンイParty☆

 
  チェ・ヨン33歳とユ・ウンス29歳の、もう一つのシンイ 「社内LOVEストーリー」

ドラマ最終回のチェ・ヨンが、天門をくぐって現代にやってきた
辿り着いた先は、2008年のソウル
天門にのみこまれたイムジャを探し求め、現代で錯綜するチェ・ヨン
そしてついに二人は再会。しかし、その時のウンスの年齢は29歳
そこにいたのはチェ・ヨンを知らない、まだ若い頃のウンスだった
社内LOVE序章1

*********


*画像の再配布は一切禁じます。それに抵触した場合は、すべての責任は自己責任でお願いします。ご自身のパソコンや携帯等で閲覧のためのみお楽しみください



なに故ここにいる?俺は果たして何のためにこの世界に存在をしている?
そして今、俺が探し求めていた、あのイムジャは何処にいるのだろうか
此の地へと飛ばされ三年。闇が全てを包み込み、光の糸口さえ見つけられない
ただ無駄にもがいているような気分だ
あの方も今、俺と同じような思いを抱え苦しんではいないだろうか
俺はここで一体、何をすべきなのか
そして現実に、俺の目の前にいるウンス
この方を知れば知るほど、抗う事など出来ずに俺は惹かれていってしまう
何処かあどけなさの残る若きウンス
これがイムジャの輪廻転生の果ての姿だと言うのであれば、俺の心はこうも揺さぶられぬのかもしれぬ
だが、イムジャが言っていた歴史と言うのが、一つだと仮定するのならば…
この方は紛れもなく俺の知る、心の底から追い求めていたイムジャそのものだ
それが現実だとすれば、この方に惹かれゆく己の気持ちを、この俺がどうして抑える事など出来ようか
しかし、俺がこの方とこの場所で、再び心を通じ合わせてしまったとしたら…
時空の闇の中を今の俺と同じように、苦しみもがいているかもしれないイムジャ
あの方はどうなってしまうのか
誰も答えなんて教えてくれやしない。すべてが憶測でしかない
その笑顔が、その言動が、すべてが俺の知るイムジャその方なのに…
どうして、それから目を背ける事が出来ようか。出来るわけがないのだ

こんなの酷い…ヨン部長に外された、ベストのボタンを留めなおすウンス
信じられなかった。ヨン部長はさっき、私のベストのボタンを本当に外した
きっと私、遊ばれたんだ
そう思うと悔しくて涙がこみ上げてきた
下唇を強く噛みしめる
ウンスは胸が苦しくなって、やりきれなさに身体中が熱くなった
初めて会ったときから変わった人だった
セクハラまがいの面接をしたかと思えば…
私にスカートは履くな、過度な露出をするなと、顔を合わせる度に小言を言われる
まるであれだわ。頭の固い、年寄りのおじいちゃんみたいな事を言ってすぐ怒る
それにイムジャって
はじめは、一体誰の事を言っているのかと思った。部長は私の事をイムジャと呼ぶ
何で私をそんな古語を使って呼ぶのか。意味が分からない本当に変な人
みんなに相談したら、ヨン部長がチェ・ヨン将軍の代役をやったからって…
だからきっと、からかわれているんじゃないかってそう言われたわ
でも、なぜかそれだけじゃないような…そんな気がしちゃうの
熱い視線を感じたと思って振り向くと、ヨン部長は視線をすっと逸らす
だから不思議と視線が合わない
時々ウンスは、ヨン部長に対して、変な違和感を感じていた
いつも見られている、そう思ってしまうのは、私の自惚れなの?
女の色気ムンムンの、ファスインとか言う、キチョ物産の感じの悪い女
あの人に嫌がらせされ閉じ込められた時も、ヨン部長が私を助けに来てくれた
トクマン君が後で言ってた
ヨン部長が血相を変えて探し回っていたって。あんなとり乱した姿見た事ないって
でも、私に会うとそんな風じゃない…
あの時だって、「なんでこんなに迷惑をかけるのだ」とか何とか言っちゃって
嬉しかったけど…私が頼んだわけじゃないし。だったら助けなければいいじゃない
ヨン部長は、いつもどこか嫌味っぽくて、私に冷たい態度ばかりする
今だって、今だって…酷いわよ
何が、無防備過ぎるよ
尻軽女みたいな、そんな言い方…ひどい…
ウンスは悔しさを噛みしめていた
そして、全て投げ出して、ここまま帰ってしまいたい気持ちを辛うじて耐えていた
怒りでキーボードを叩く指先に力がこもる
静まり返ったオフィスに、ウンスのキーボードを叩く音が響き渡っていた

一時間くらい経過した頃だった。ウンスの様子が気になったヨン
すくっと立ち上がると、ウンスの居る部屋に続く、窓際に足を向けた
そして部長室のブラインドに指をかける
数枚のブラインドを押し下げると、ウンスの姿がぼやりと目に映る
暗闇の中をデスクテーブルの明かりを頼りに、ウンスの様子をじっと窺う
「眠ったのか…」
口の端に笑みが漏れ出た
ウンスは仕事もそっちのけでデスクの上に、倒れ込むように眠りこけていた
ヨンは本部長室から出ていくと眠るウンスを起こさない様に、足音と気配を消し静かにそこに近づいた
なだらかなウンスの体の曲線が、ぼやりとした蛍光灯の明かりに照らされていた
ヨンは目にかかったウンスの髪の束を、そっと人差し指の上に乗せた
そして、その指先をそっと持ち上げていくと、柔らかな髪を耳元にかけてやった
心地良さそうに眠るウンスの顔が晒された
トクンと胸が鼓動する
あの時のイムジャの事が思い返されて、また胸がじんとし苦しくなる
ヨンはもう一度視線を、ウンスの頭の先に向けその上を漂わせた
どこからどう見ても、この目の前の女人は、あの方そのものなのだ
綺麗な形の眉も、伏せた目元の長い睫も…そして重く閉じられた眸
スッと通った鼻、そして赤く潤んだ唇…
視線を巡回させていくと
ヨンの視線がウンスの唇でぴたりと止まる
呼吸がうまくできず、息苦しくなるとともに、口の中の渇きを感じた
「イムジャ許してくれ」
それは誰に対して詫びた言葉だろうか…
自分自身もよく分からなかった
ただその瞬間、許してくれその言葉が、ヨンの口許から自然と零れ出た
再び、唇に視線を移すと、ゆっくりとウンスのそこに顔を近づけていく
す~す~と柔らかな寝息が、静けさの広がるオフィスの部屋の中を包み込んでいた
そしてヨンの長い影が、デスクに伏したウンスの上に覆いかぶさった

窓のブラインドの隙間から差し込めた、朝の陽の光でウンスは目を覚ました
「んっ…あぁん…ん?」
やだ、私寝てしまったの?
慌てて身を起こすと、肩にかかった毛布がパサリと床に落ちた
そこに視線を向けるウンス
それを見てはっとする
悲しい気持ちで、眠りについてしまった、その心が少しだけ和らいだ
もしかして見られた?
顔の涙をいまさら手で拭うも、すっかり乾いて跡形もなくほっとする
きっと部長だわ…
昨日の夜、他の社員の人達は8時頃にはみんな帰ってしまった。このオフィスには、私と部長しかいない
だから、この毛布はきっと…本部長が私に掛けてくれたものだ
ウンスは拾い上げた毛布をぎゅっと掴んで、思わずその中に鼻先を埋めた
本当にあの人は酷い人だ
どうせ冷たくするのなら、こんな事はしなければいいのに
そう思いながら、嬉しさに自然と笑みになってしまう自分
思うようにならず、情けなく緩んでしまうそんな顔を隠したかった
ふふっ。小さく笑う
ウンスは毛布の中で、微笑んだのだった

「イムジャ」
突然頭から降ってきた、ヨン部長の声にハッとして表をあげた
「ぶっ…部長」
あっ、そうだ…寝ちゃう前、ベストのボタンを…現実に引き戻された
先程まで寝ぼけ眼で、頭もぼーっとしていたが、その人の登場で目が覚めた
夜中にあった出来事をはっきりと思いだし、ウンスは恥ずかしさに視線を背けた
「イムジャ。もう帰りましょう」
「あっ」
帰ろうの言葉に、仕事が終わってなかった事を思い出してしまう
どうしようやってしまったわ…
「あぁ…仕事…私…寝ちゃって…」
泣きべそ声で言い訳をすると
肩から大きなため息を落としたヨン部長
背中から紙の束を取り出し、ウンスの頭の上に、ポンと叩くように乗せた
「えっ?」
頭の上の載せられた束を手に取る
「あっ」
それは探していた研究データだった
それも、必要な関連資料も、すべて報告書として見事にまとめられていた…
「部長…」
ウンスは口をつんと尖らせ、上目使いで部長の顔色を窺った
「なんだ?」
表情を崩すことがない部長
「すみません…」
「仕事もそっちのけで眠りこくった、罪の意識はあるようですね」
ヨンは鼻先でふっと笑う
「……すみません…」
穴があったら入りたい気分だ
「コーヒーを」
きっと怒られるそう思っていた、ウンスはヨンの言葉に驚いた
「えっ?」
「コーヒーが飲みたい」
ヨン部長は短くそう言った
「いっ、今入れて」
ウンスは給湯室へ向かおうと、椅子からガタンと立ち上がった
その瞬間ヨン部長の手が、ウンスの手首にかけられ止められた
「外に出よう」
「え?」
「もうすぐ、皆が参る時間です。こんな所でずっと居ったら息が詰まる」
はにかむように笑う
差し込む太陽が照らした、そのヨン部長の笑顔に、私の胸がキュンと高鳴った
そして、ヨン部長は呆気にとられる私の手首を強く掴みなおすと…
その場で硬直する私を、引きづるようにそのまま会社の外へと連れ出したのだった

「はい、どうぞ…」
ウンスが買ってきたコーヒーを手渡すと、ヨンはそれを無言で受け取った
二人はシンイホールディングス本社ビルの真下の、中庭の石段に座っていた


 

(一部 = 1人。手を抜いてませんか、という突っ込みはしないで (笑))
 
空腹にブラックのコーヒーが染み渡った
そのコーヒーにいつもは感じた事のない、ほろ苦さを感じて…
「苦い…」
ウンスは俯いたまま、手に持つコーヒーに視線を落とし、小さく呟いたのだった
そして、それはウンスの横に座るヨンにとっても同じ思いだった



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  チェ・ヨン33歳とユ・ウンス29歳の、もう一つのシンイ 「社内LOVEストーリー」

ドラマ最終回のチェ・ヨンが、天門をくぐって現代にやってきた
辿り着いた先は、2008年のソウル
天門にのみこまれたイムジャを探し求め、現代で錯綜するチェ・ヨン
そしてついに二人は再会。しかし、その時のウンスの年齢は29歳
そこにいたのはチェ・ヨンを知らない、まだ若い頃のウンスだった
社内LOVE序章1

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*コメ欄のみんなの話を、1つにしました~ちょっとつながりを修正しちゃってます


みんなが勝手に作ったストーリーです。台詞とかも、皆さんの投稿をところどころ、そのまま使っています
ゆえに、このストーリーの内容は、私の所為ではありません(笑)←責任逃れ


  お話  

真夜中のオフィスでウンスは残業をしてた
「まだ帰らぬのですか?」
今日はきっと徹夜だ。0時を過ぎた頃に、ヨン部長が私に声を掛けてきた
私は今夜中に関連データをまとめ、報告書にしないといけなかった
それはシンイホールディングスが、裏で手掛けている新薬に関する書類だった
「本部長…去年の研究データに関する資料が、なかなか見つからなくて…」
ヨン部長は多分、相当な切れ者だ
入社後、総務の女の子達から、ヨン部長がある日突然この会社に現れた事
その後、僅か3年足らずで、この若さにして社長を始め役員の方々に実力が認められ本部長になったと聞いた
会社に入るまでの間、どこにいたのか。家族はいるのか。どこに住んでいるのか。全てが謎のベールに包まれた男
医療関係の知識があるわけではないが、私が困っている事を説明すると、的確にアドバイスをしてくれた
出来る男ってこういう事を言うのだろう
「だから、こちらのデータを引用し」
パソコンに向かうウンス
その背後にヨン部長は立っていた
ヨン部長は、最初はその位置から、共にパソコンのモニターを見ていたが…
いつしか、ヨン部長がマウスを握り
私は、ヨン部長が動かすマウスの先を、ただ目で追っている状態となった

うわぁ、顔が近いってば
先程まで、距離があったはずの…ヨン部長の顔が私の耳の真横にある
重低音で少しこもったような声が、私の耳元から聞こえてくる
耳元で囁かれているような錯覚をうけて、緊張が全身を包み込んだ
時々、ヨン部長の温かな息が、私の首元をふわりと掠めていく
こんな状態で、データの説明なんて、耳に入る訳がないじゃない
ウンスは恥ずかしさと、極度の緊張から心を震わせていた

ん?急にどうした?
ふと視線を落とせば、イムジャは何か考え事をしているようだった
気付かせようとゴホンと小さく咳払いをしてみるもの、イムジャは微動だにしない
さらにイムジャをじっくり観察する
背後から不躾に眺めまわすと、心なしか耳の先が、紅色に染まっているように思えた
まさか、緊張しておるのか?馬鹿な、そんな訳があるものか
だが、いつも口煩いくらいのこの方が、先ほどから押し黙ったようにしている
何故だ?何故黙っておる?俺は試しにイムジャに、こう声をかけてみる事にした
「イムジャ、暑いですか…?」
ヨンはウンスの耳元から、下向いた顔を覗き込むように囁きかけた

緊張してすっかり気を張って、意識が完全にそちらに飛んでた
突然、ヨン部長の心地良い声と共に、吐息が耳にかかった
びっくりして身を硬くする
「なっ、なんで…そんな事を言うんですか…あっ、暑くなんか…」
質問の意味が分からず動揺をする
真横にヨンの顔がある事も忘れて、ぱっと横向きながら振り返った
思いのほか近い距離に、部長の顔があった
向き合わせたヨンの顔が余りに近かった驚きから、ウンスは目を大きくさせた
「そうですか?顔が…赤いようなので…」
そう言いながら、小首をかしげると、ヨン部長は薄笑いを浮かべる
「やっ、やだ…そんな訳が…」
ウンスがそう言いかけた瞬間、さらにヨン部長の顔が目と鼻の先に突き出された
「ほら、また赤くなったようです」
目をまあるくして驚くウンスをからかう様に、ヨン部長が微笑みかけた

嘘、顔が赤い?
やだ…私…
赤面を隠しきれなかった事に、恥ずかしさでこの場から逃げ出したい気分になる
この場を何とか取り繕わないと…
「そ、そうですね。少し暑いかも。」
ウンスは、わざとらしく手で上気した頬を、ぱたぱたと扇ぐ振りをする
どこか誤魔化すような、わざとらしい程の、ウンスの姿が可笑しかった
ちょっとからかってやろう。ヨンはそんな風に考えていた
「ふっ、ならば、我慢せずに、ベストを脱いだらどうです。イムジャ?」
視線をベストにふいと向ける
「えっ、だ、だいじょうぶだから。」
予想しなかったヨン部長の言葉に、ウンスは敬語も忘れてどもった
「自分では脱げないのか、イムジャ。さあ手伝いましょう」
くすくすと鼻先で笑うと、後ろから手を回してベストのボタンに触れる
指先はボタンホールにかかり、そのまま外しだしたヨン部長
ウンスは慌ててヨン部長の腕を、思わず押えると、うわずった声で、
「あの、じ、自分で外せますから」
そう、ヨン部長に言ってしまったのだった

私は、赤くなった本当の理由を知られたくなかった。咄嗟の言い訳で
「暑いかも」と言ってしまった…
そんな言い訳をした私を見て、ヨン部長は口の端を少しあげて笑った
ヨン部長に笑われた事に、胸がギュッと摘ままれるようだった
顔に火がつくほど恥ずかしかった
そして、後は、先ほどの台詞
「自分で外せると…」
あぁ…何を私は…なんて、なんて馬鹿な事をいってしまったの?
外の薄明りの差し込めるオフィス
消灯時間をとっくに過ぎた室内は、デスクテーブルの明かりだけが、ぼやりと辺りを包み込んでいる
うわぁ…どうしよう。ドツボにはまったとは、まさにこの事だわ
顔を合わせず背後のヨン部長を様子を窺うと、ヨン部長の強い視線を感じる
やだ、ごまかしきれない…
こうなったら開き直りよ。私は、覚悟を決めて、ベストのボタンを外し始めた

ボタンを外しながら自分の胸もとを見ると、ウンスはある事に気づく
まずいわ。今日のブラは黒だし…ベストを脱いだらきっと透けちゃう…
「どうしました。イムジャ」
ヨン部長の急かせる声が耳元で囁かれる
耳に吐息がかかる
それだけで身体のどこかに、疼くような感覚が湧き上がってきた。
ちょっと、どうしたのよ。
わたし~
ここは、し、職場よ
しっかりしないと!
ウンスは自分が置かれた今の状況に、泣きだしたいような気分だった

なんか悔しい…
絶対、部長モテそうだもん…きっと後ろでこんな私の事を笑っているんだわ
ベストのボタンにかけたウンスの手が、小さく小刻みに震えていた
ウンスは一人で動揺をしてるようで、居た堪れないような気持ちになる
夜のオフィスに、ヨン部長と二人きり
心臓が大きく鼓動し、その音が聞こえてしないかと心配になるほどだった

ウンスの後ろでヨンは、生唾を飲み込んだ
ほんの少し、イムジャをからかうつもりだったが、何だこの展開は?
これではまるで俺が、この方を追い詰めているようではないか
ここで止めろと思う気持ちと、そのまま流れに身を任せたい気持ちが錯綜する
上がってくる息を小さく吐いてやり逃がす
ヨンはもう一度、喉を鳴らした
やっぱりこのまま脱ぐなんて嫌。ウンスは覚悟を決めて、ヨン部長を振り返った
そして顔を凛とあげ、ヨン部長に言い放つ
「部長、これってセクハラですよ…」
あの部長から受けた、セクハラ面接の時の事が、ウンスの脳裏に浮かぶ
しかしあれから、ヨン部長と過ごすにつれ、その人の人となりを知る
ヨン部長を知れば知るほど、あの時の印象がまるで嘘だったかのように、ヨン部長にどんどん惹かれていく自分
だけど、馬鹿みたいじゃないの。舞い上がっているのは私だけでしょ…
きっと、ヨン部長は、余裕な顔をして、馬鹿にしているんだわ
ウンスは悲しくなって、セクハラ。思わずそう言ってしまった
「イムジャ…?せく…はら?ですか?」
ヨンは驚いた
せくはら…その言葉は、確かあの時の…
あの面接の後、その意味を調べ、俺は自嘲の笑みを浮かべたものだ
ヨンはあの面接の時の事を思い出す
「そっ…そうよ…私の事…そうやって、からかって楽しいですか?」
ウンスは遣りどころのない恥ずかしさを隠すため、強い口調でヨンに言った
しかし、すぐそんな自分を後悔する
「俺は…俺は…そんなつもりでは…」
ヨンの黒い瞳がゆらゆらと揺らいだ
ウンスはヨン部長のその眸に驚いた
今自分の目の前で、顔を真っ赤にして怒っているのは、天界ウンスの姿
その姿が、俺が探し求めていたイムジャと重なり、色々な想いが込み上げて言葉を見失ってしまった
二人は視線を絡ませたまま、互いに何も言えないで、ただ無言の時が過ぎた
しーんとしたオフィスに沈黙が続くが、暫くするとウンスが口火を切った
「本部長…これがセクハラじゃないなら、どういうつもりなんです…?」
「イムジャ…その…すまなった」
そういうのが精一杯だった
ヨンはウンスの肩を両手で支えると、押し戻すように再び椅子に座らせた
ベストの釦に掛けられたイムジャの指に、ヨンは後ろからそっと手を重ねた
だが、その瞬間、すまなかった…そう言った、自分の言葉を後悔した
触れた柔らかなイムジャの指
指先から伝わるその感覚に、頭にかっと血がのぼり、俺の肌が粟立った
先程、謝った事が頭からぶっ飛んだ

どこかで私は期待していたのかもしれない
部長に席に押し戻された時、やっぱり悪い冗談だったのだと悟った
だから、がっかりする自分がいた事に、ウンスは気づいてしまった
しかし、その後、ヨン部長はウンスが思っていない行動をとった
「こういうつもりだ」
そう言うと、部長は私のベストの釦をひとつ、外した
えっ?うそ…
本当に外したの?
どくん。どくんどくん。
ヨン部長の長く細い指先が、私のベストの次のボタンにかけられた
きっと私の心臓の音、部長に聞こえてるわ…やだ、恥ずかしい
そう思うとウンスは動けず、抗うことが出来なかった

私は目をギュっと強く瞑って、両手を拳を作り握りしめた
何で?何で?どうしよう、どうしようと、頭の中でぐるぐると考える
どうなっちゃうの?
でも、もう何も考えられない。そう思いながら、唇を強く噛みしめた

イムジャ…震えておるのか?ヨンはウンスが微かに震えている事に気づく
その瞬間、再びもう一人のイムジャ…
いや、それはつまりこの方だ…
高麗で共に過ごしたイムジャの姿が、また脳裏に浮かびあがる
胸が締め付けられるように苦しくなり、この場に居る事が耐えかねてしまう
「ウンスssi。このような夜に、あなたは無防備過ぎます。俺は部屋で少し仮眠をしてくる。後は任せました」
そう押し殺すように告げると、後ろを振り返らずその場を後にした

イムジャ…
そして、天界のウンス…
天(ハヌル)は何故、天界のウンスと俺を引き合わせたのだろうか
俺は、俺は、一体、この場所で、どうしたらいいのですか?
ヨンは顔を両手で覆い隠した
そして、その中で、チェ・ヨンは一人、切なげに顔を歪めたのだった



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   二週間後の事

ヨンァが今日帰ってくる
あの日私はオンニをはじめとした、スリバンのみんなの手助けもあり、追手のヨンァを上手く巻くことができた
でも帰ってきた早々、スリバンの子たちを訓練と称して、ぼこぼこにしたって噂
覚悟はしてたけど…びびっている私
逃げ出す?逃げ出そうか?どこに?
本気であの人から逃げ出す事が出来る場所なんて、きっとこの高麗全土ならず他国を探してもある訳がない
ヨンァ見逃してくれない?

やっとこの日を迎えた
俺が遠征先でどれほど腹立たしい思いで、この日を待ち望んでいたか
あの日俺はすぐにイムジャを追ったが、彼奴らがイムジャに加担していた
さすがにあの短時間で、スリバンが手を貸したイムジャを見つけ出すのは困難だった
覚えておれ。俺を謀ったらどうなるか…まぁよい。どう足掻こうが最後に泣きを見るのはイムジャだ。分かっておるのか?
やられたことは、倍返しにして…いや、何倍にもして返してやる
イムジャしかと覚悟せよ!


   二人屋敷にて

どれだけ小言を言ってやろうかと思い、あれだけ覚悟を決め帰ってきたものの…
この方の笑顔を見た瞬間、俺は何も考えられなくなってしまった
くそっ、腹が立つ
イムジャはきっと、それすら計画のうちだったんだろう
そう思ったら途轍もなく悔しく思えて、憎らしくて仕方なかった
二週間もイムジャと離ればなれとなり、俺が…堪えられぬ事も分かっておるのだ
腹立たしい事この上がないが、それに抗えぬのは他でもない弱き己
薄々、自分でも感づいていたが、俺は部屋でイムジャを目にした瞬間それを悟る
ならば、己の欲望に抗っても仕方あるまい
俺には俺のやり方で…
寝台に押し倒すと、小言の代わりに嵐のように口づけ、また衣を剥ぎ取ってやった
覚悟はしておったのだろう
イムジャは今日は文句ひとつ言わず、めずらしくにそれに応えた
もしやこれすら計画のうちなのか?
全てこの方の思うようになったと思うと、腹の虫がおさまる訳がない
可愛さ余って憎さ百倍とは、まさにこの此の事を言うのだろう
その上、このまま素直に遣り込めれるのも耐えがたいものがある
せめてイムジャに何かし返してやりたくて、偉そうにツン主張したそれに、悔し紛れに何度も歯をたててやった
そして、怒り狂った矛先をイムジャの中へと…俺は力の限り突き立てた

「あっ、んっんっ、ヨ…ヨンァ…私が悪かったわ…本当に謝るから…ね?だっ、だから、もうお願いお終いにして寝ましょ」
「まだです」
「ん…んっあっ…だから反省したってば」
「イムジャの反省などと言う言葉は口先だけ。ならばこの身に、あのような事をすればどうなるか、覚えさせるより他ない」
「だから、もう嫌ってほど身に染みたって。んっ…んん」
「今、俺に嫌だといいましたか?」
「あんっ。んっ…ヨンァ、馬鹿ね、久しぶりに会えたのよ。嫌な訳がないでしょ」
「ふっ。嫌ではないと?」
ヨンァったら誘導尋問だ
「あっっ、あなた、酷いわよ。そういう意味じゃ…も~意地が悪いわ」
「嫌でないというならば、大人しくこの続きに集中してください」
「なりませぬ…」←ウンス
「なりませぬなど、なりませぬ」←ヨン
「ヨボ。もう、ゆ・る・し・て」
「プイン。ゆ・る・し・ま・せ・ぬ」
「あ~ん。ねぇ、ヨンァ~ 騙して本当に悪かったってば。今度の反省は本当よ」
「先ほどまでが俺を謀った分。これからが二週間ぶりにイムジャを抱く分です」
「もう、本当に無理だってば」
「俺の此処も、このまま引き下がれぬ」
チェヨンは動かしていた手を止めると、下を俯いてウンスの視線をそこに向けさせた
「ちょっと、やだ。またそんなにして…あなた、どんだけ体力あるのよ」
そこで、しっかりと存在感を誇示しているそれにぎょっと驚くウンス
「どれだけでも」
ふっと鼻先で笑う
「冗談じゃないわ、私がもう持たない」
全く。もう何度目だと思っているのよ
「…ならば…イムジャが…してください」
じろりと睨み付けるように窺う
「……えっ…」
「…それなら良かろう?もう一度、イムジャの中に?それとも?」
チェヨンはそう言うと、にやけ顔でウンスの両方の口を、交互に見比べたのだった
「……」

ぱくりっ
がぶがぶがぶ
ゲコ、ゲコッ

「イムジャ、大丈夫ですか?」
「大丈夫。むせただけよ

蛇と蛙の対決
最終的には「蛇」が「蛙」に飲み込まれる事で、穏便に収束したのだった


  そのまた2週間後の事

ウンスの天女姿の美しさを賛美する噂は、瞬く間に開京中へと広まりを見せた
重臣だけでなく宮殿内で勤める者たちが、みなその姿を一目見たいと騒ぎ始めた
断固として断りを見せていたチェヨンであったが、チョナまでもが興味を持ち始めた
天女に現を抜かすなど風紀が乱れる。等の名分を立て、チェヨンは聞く耳をまったく持たず拒否をし続けていた
しかし勿論チェヨンの本音は、ウンスの美しい姿を誰にも見せたくない
ただ、それだけだった
あのようなイムジャの姿は、俺以外の者等に見せてなるものか
一人の男としての独占欲
しかし、噂話に尾ひれがついて皆の期待が膨らみ続け、予想以上に大事になる
そのため残念ながら、チェヨンの思う様に事は運ばなかった
「我が国に天女が舞い降りた」
そうまことしやかに囁かれる事は、国にとっての強みになるとチョナの鶴の一声
重臣達がそれに口々に賛同する
さすがの大護軍と言えど、それに対抗する名分を作りあげるのは困難だった
一週間後の桜を愛でる宴席で、ウンスの天女姿を披露することになってしまった



  市の衣装屋にて

チェヨンとウンスは、叔母チェ尚宮を伴って、市で衣装選びをしていた
「嫌よこんな服、変よ」
せめて天女の衣をもっと”ましな物に変える” と言う条件をチェヨンが出して、ウンスと折り合いがついた
「何が嫌なのです」
これならば全てが隠され、最も適した衣ではないか。これの何が不服だというのだ
「だって、こんなのカラス見たいじゃない。ウダルチの衣装と一緒よ」
チェヨンがウンスのために散々比較、熟慮した上で選び出した一枚の衣
それは全身黒ずくめで、手首足首までしっかりと覆われていた
「ヨン。御前は馬鹿か」
どれだけ女の衣に悩んでいたかと思えば、出てきた衣がこれか?
これが私の知る甥か?呆れて物も言えぬ、あいた口が塞がらぬとはこの事だ
市に同行していたチェ尚宮が、チェヨンの後頭部をぱしりと叩き叱咤する
「このような衣を身に纏わせれば、御前の嫁が妖魔だと悪しき噂が立つ。御前はそんな事も分からぬのか」
チェヨンは叔母チェ尚宮にそう指摘され、立つ瀬がなくなり不満げに横向く
「では、こちらで」
チェヨンは鬱陶しそうに顔を歪め、もう一枚の衣を指さす
「ちょっと、何で今度は茶色なの?春なのよ、もっと可愛い色がいいじゃない」
そんな地味なの絶対嫌よとウンスが、ぶんぶんと首を振って抗議をする
チェヨンは諦め交じりに、腹の底から大きく息を吐きだした
「…分かりました。胸元の…谷間が露出せぬ事…手首、足首まで衣で覆われておる事。それらの条件を満たせば…その他の事は黙認する。イムジャの好きにするがいい」
叔母の手前もあり言いづらいのか、もごもごと口ごもるように言った
「えっ、本当?私が選んでいいの?」
両手を合わせ目を輝かせる
横向けた顔を顰めたまま、あぁと短く言い、しぶしぶと頷くチェヨン
「嬉しい!ヨンァありがと」
ウンスは喜びに沸き踊る
首元に飛び飛びかかるように、ぴょんと跳ねて抱きつきそうになるのを、チェ尚宮が慌てて押さえつけた
アハハ、つい嬉しくて。こんな所でまずいわねと、ぺろりと舌を出す
災い転じて福となす。もう1枚着れるのね。そうと決まれば、楽しまなくっちゃ♪
「叔母様。こっちはどう思います?」
ウンスは目の前にある衣の山を、あれでもないこれでもないと吟味を始めたのだった
チェヨンは腕を組んで、不満げな顔でその二人の姿を見眺めていた
「綺麗な色だ。悪くない」
チェ尚宮が微笑み頷く
「あっ、これも可愛い。パステルか。ピンクだと桜ぽくていいかしら?」
「だが、桜と同じ色だと同化してしまうのでは?こちらはどうか?」
「そうね。叔母様いい事を言うわ。本当に、すごい綺麗な色。これにしようかな」
くるくると表情を変えるウンス
チェヨンはそんなウンスの姿を可愛らしく思ってしまう自分が大層悔しかった
俺の気持ちも考えずこの方は…
まったく冗談じゃない
イムジャは俺の事も忘れ、そのように嬉しそうに目を輝かせ…くそっ、気に入らぬ
はしゃぎ回るウンスの姿を、目を細めながら、憎々しげに見つめていた
「装飾品も選ばねばな」
チェ尚宮が言うと、ウンスがチェ尚宮の衣の袖を掴み手繰り寄せる
「ねぇ、叔母様。どうせだったら、叔母様も一緒に着ましょうよ」
女子会の時は王妃様の手前、遠慮されて叔母様は着飾らなかったもの
「私がか?」
「そうよ。またファッションショーって言うか、その日くらい尚宮さんや、ムガクシの皆さんも着飾ってもいいんじゃない?」
女たちが皆、着飾るだと?はっ、何をまたイムジャは、余計な事を言い出したのか
チェヨンが呆れ顔で睨み付ける
「私も着てみても良いのか?」
「当たり前じゃない叔母様。私がきれいに、叔母様をお化粧をしてあげるわ。きっと素敵になると思います」
「では…そうしよう」
照れくさそうに頬を染めた
「叔母上!!」
チェヨンが叔母チェ尚宮を窘めるように、強く声を張り上げると共に、ならぬと首を左右に大きく振った
「ヨン。宮殿の女たちが美しく着飾れば、華やかになり男達も喜ぶだろう。たまの宴席だ悪くなかろう」
「悪くないだと?冗談じゃない」
「ふふっ…ヨンァは本当に堅物よね?」
「ウンスや。此奴は堅物なのか、はたまた腑抜けた男か分からぬものだぞ」
チェ尚宮は意味ありげに、そのチェヨンと、妻ウンスを交互にチロリと見遣った
「誰が堅物だ?腑抜けだ?」
叔母に痛いところを指摘され、やましさもあってか激しく動揺するチェヨン
高らかに笑うチェ尚宮とウンス
そしてそこには、再びぶっすりと膨れた、男の姿があったとさ


  花見の宴席にて

(イメージ画像:アメ限定)

前回のとは、また雰囲気が違います。どっちがお好みかしら

下手に事前に見せては、また邪魔をされる
ウンスの決死の抵抗にあい、チェヨンは事前に衣装を見せてもらえてなかった
そのため、今日初めて選んだ天女の衣を目にする事となっていた
花見の会がはじまり、チョナの挨拶の後、杯が酌み交わされた
その日は幸い天候にも恵まれ、暖かく花見に適した日だった
風が花の香りを運び、美味しい食事と酒
そして、宮廷の女たちが、ウンスの頼みを聞いた王妃の計らいもあって、皆いつになく美しく着飾り男たちを喜ばせていた
宴もたけなわになった頃、本日の主役ウンス天女のお披露目がはじまった
会場が静まり返り、天女ウンスの登場に、胸に期待を躍らせた
幻想的な音楽が流れた後、 チェヨンの出した条件を満たした衣を身に纏う、天界から来たウンス天女が高麗の宮廷に降り立った
それは誰しも、息を飲むような美しさ
本当に宮殿に天女が舞い降りたと、目にした者たちは口々に賛美をした
此度の衣は、選びに選び抜いて、肌が露出しておらぬはずだった
だが、あまりに美しすぎる…
チェヨンはウンスの天女姿を一目見た瞬間から、また胸の中がざわめいて穏やかでいられなくなってしまった
そして、ウンスの披露が始まって僅か四半時足らずで事件は起こる
首根っこを掴まれチェヨンに会場から連行されていく、可哀想なウンスの姿があった


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