【お話】 夜のオフィス2 完結 | 信義(シンイ)二次小説

信義(シンイ)二次小説

りおのシンイParty☆

 
  チェ・ヨン33歳とユ・ウンス29歳の、もう一つのシンイ 「社内LOVEストーリー」

ドラマ最終回のチェ・ヨンが、天門をくぐって現代にやってきた
辿り着いた先は、2008年のソウル
天門にのみこまれたイムジャを探し求め、現代で錯綜するチェ・ヨン
そしてついに二人は再会。しかし、その時のウンスの年齢は29歳
そこにいたのはチェ・ヨンを知らない、まだ若い頃のウンスだった
社内LOVE序章1

*********


*画像の再配布は一切禁じます。それに抵触した場合は、すべての責任は自己責任でお願いします。ご自身のパソコンや携帯等で閲覧のためのみお楽しみください



なに故ここにいる?俺は果たして何のためにこの世界に存在をしている?
そして今、俺が探し求めていた、あのイムジャは何処にいるのだろうか
此の地へと飛ばされ三年。闇が全てを包み込み、光の糸口さえ見つけられない
ただ無駄にもがいているような気分だ
あの方も今、俺と同じような思いを抱え苦しんではいないだろうか
俺はここで一体、何をすべきなのか
そして現実に、俺の目の前にいるウンス
この方を知れば知るほど、抗う事など出来ずに俺は惹かれていってしまう
何処かあどけなさの残る若きウンス
これがイムジャの輪廻転生の果ての姿だと言うのであれば、俺の心はこうも揺さぶられぬのかもしれぬ
だが、イムジャが言っていた歴史と言うのが、一つだと仮定するのならば…
この方は紛れもなく俺の知る、心の底から追い求めていたイムジャそのものだ
それが現実だとすれば、この方に惹かれゆく己の気持ちを、この俺がどうして抑える事など出来ようか
しかし、俺がこの方とこの場所で、再び心を通じ合わせてしまったとしたら…
時空の闇の中を今の俺と同じように、苦しみもがいているかもしれないイムジャ
あの方はどうなってしまうのか
誰も答えなんて教えてくれやしない。すべてが憶測でしかない
その笑顔が、その言動が、すべてが俺の知るイムジャその方なのに…
どうして、それから目を背ける事が出来ようか。出来るわけがないのだ

こんなの酷い…ヨン部長に外された、ベストのボタンを留めなおすウンス
信じられなかった。ヨン部長はさっき、私のベストのボタンを本当に外した
きっと私、遊ばれたんだ
そう思うと悔しくて涙がこみ上げてきた
下唇を強く噛みしめる
ウンスは胸が苦しくなって、やりきれなさに身体中が熱くなった
初めて会ったときから変わった人だった
セクハラまがいの面接をしたかと思えば…
私にスカートは履くな、過度な露出をするなと、顔を合わせる度に小言を言われる
まるであれだわ。頭の固い、年寄りのおじいちゃんみたいな事を言ってすぐ怒る
それにイムジャって
はじめは、一体誰の事を言っているのかと思った。部長は私の事をイムジャと呼ぶ
何で私をそんな古語を使って呼ぶのか。意味が分からない本当に変な人
みんなに相談したら、ヨン部長がチェ・ヨン将軍の代役をやったからって…
だからきっと、からかわれているんじゃないかってそう言われたわ
でも、なぜかそれだけじゃないような…そんな気がしちゃうの
熱い視線を感じたと思って振り向くと、ヨン部長は視線をすっと逸らす
だから不思議と視線が合わない
時々ウンスは、ヨン部長に対して、変な違和感を感じていた
いつも見られている、そう思ってしまうのは、私の自惚れなの?
女の色気ムンムンの、ファスインとか言う、キチョ物産の感じの悪い女
あの人に嫌がらせされ閉じ込められた時も、ヨン部長が私を助けに来てくれた
トクマン君が後で言ってた
ヨン部長が血相を変えて探し回っていたって。あんなとり乱した姿見た事ないって
でも、私に会うとそんな風じゃない…
あの時だって、「なんでこんなに迷惑をかけるのだ」とか何とか言っちゃって
嬉しかったけど…私が頼んだわけじゃないし。だったら助けなければいいじゃない
ヨン部長は、いつもどこか嫌味っぽくて、私に冷たい態度ばかりする
今だって、今だって…酷いわよ
何が、無防備過ぎるよ
尻軽女みたいな、そんな言い方…ひどい…
ウンスは悔しさを噛みしめていた
そして、全て投げ出して、ここまま帰ってしまいたい気持ちを辛うじて耐えていた
怒りでキーボードを叩く指先に力がこもる
静まり返ったオフィスに、ウンスのキーボードを叩く音が響き渡っていた

一時間くらい経過した頃だった。ウンスの様子が気になったヨン
すくっと立ち上がると、ウンスの居る部屋に続く、窓際に足を向けた
そして部長室のブラインドに指をかける
数枚のブラインドを押し下げると、ウンスの姿がぼやりと目に映る
暗闇の中をデスクテーブルの明かりを頼りに、ウンスの様子をじっと窺う
「眠ったのか…」
口の端に笑みが漏れ出た
ウンスは仕事もそっちのけでデスクの上に、倒れ込むように眠りこけていた
ヨンは本部長室から出ていくと眠るウンスを起こさない様に、足音と気配を消し静かにそこに近づいた
なだらかなウンスの体の曲線が、ぼやりとした蛍光灯の明かりに照らされていた
ヨンは目にかかったウンスの髪の束を、そっと人差し指の上に乗せた
そして、その指先をそっと持ち上げていくと、柔らかな髪を耳元にかけてやった
心地良さそうに眠るウンスの顔が晒された
トクンと胸が鼓動する
あの時のイムジャの事が思い返されて、また胸がじんとし苦しくなる
ヨンはもう一度視線を、ウンスの頭の先に向けその上を漂わせた
どこからどう見ても、この目の前の女人は、あの方そのものなのだ
綺麗な形の眉も、伏せた目元の長い睫も…そして重く閉じられた眸
スッと通った鼻、そして赤く潤んだ唇…
視線を巡回させていくと
ヨンの視線がウンスの唇でぴたりと止まる
呼吸がうまくできず、息苦しくなるとともに、口の中の渇きを感じた
「イムジャ許してくれ」
それは誰に対して詫びた言葉だろうか…
自分自身もよく分からなかった
ただその瞬間、許してくれその言葉が、ヨンの口許から自然と零れ出た
再び、唇に視線を移すと、ゆっくりとウンスのそこに顔を近づけていく
す~す~と柔らかな寝息が、静けさの広がるオフィスの部屋の中を包み込んでいた
そしてヨンの長い影が、デスクに伏したウンスの上に覆いかぶさった

窓のブラインドの隙間から差し込めた、朝の陽の光でウンスは目を覚ました
「んっ…あぁん…ん?」
やだ、私寝てしまったの?
慌てて身を起こすと、肩にかかった毛布がパサリと床に落ちた
そこに視線を向けるウンス
それを見てはっとする
悲しい気持ちで、眠りについてしまった、その心が少しだけ和らいだ
もしかして見られた?
顔の涙をいまさら手で拭うも、すっかり乾いて跡形もなくほっとする
きっと部長だわ…
昨日の夜、他の社員の人達は8時頃にはみんな帰ってしまった。このオフィスには、私と部長しかいない
だから、この毛布はきっと…本部長が私に掛けてくれたものだ
ウンスは拾い上げた毛布をぎゅっと掴んで、思わずその中に鼻先を埋めた
本当にあの人は酷い人だ
どうせ冷たくするのなら、こんな事はしなければいいのに
そう思いながら、嬉しさに自然と笑みになってしまう自分
思うようにならず、情けなく緩んでしまうそんな顔を隠したかった
ふふっ。小さく笑う
ウンスは毛布の中で、微笑んだのだった

「イムジャ」
突然頭から降ってきた、ヨン部長の声にハッとして表をあげた
「ぶっ…部長」
あっ、そうだ…寝ちゃう前、ベストのボタンを…現実に引き戻された
先程まで寝ぼけ眼で、頭もぼーっとしていたが、その人の登場で目が覚めた
夜中にあった出来事をはっきりと思いだし、ウンスは恥ずかしさに視線を背けた
「イムジャ。もう帰りましょう」
「あっ」
帰ろうの言葉に、仕事が終わってなかった事を思い出してしまう
どうしようやってしまったわ…
「あぁ…仕事…私…寝ちゃって…」
泣きべそ声で言い訳をすると
肩から大きなため息を落としたヨン部長
背中から紙の束を取り出し、ウンスの頭の上に、ポンと叩くように乗せた
「えっ?」
頭の上の載せられた束を手に取る
「あっ」
それは探していた研究データだった
それも、必要な関連資料も、すべて報告書として見事にまとめられていた…
「部長…」
ウンスは口をつんと尖らせ、上目使いで部長の顔色を窺った
「なんだ?」
表情を崩すことがない部長
「すみません…」
「仕事もそっちのけで眠りこくった、罪の意識はあるようですね」
ヨンは鼻先でふっと笑う
「……すみません…」
穴があったら入りたい気分だ
「コーヒーを」
きっと怒られるそう思っていた、ウンスはヨンの言葉に驚いた
「えっ?」
「コーヒーが飲みたい」
ヨン部長は短くそう言った
「いっ、今入れて」
ウンスは給湯室へ向かおうと、椅子からガタンと立ち上がった
その瞬間ヨン部長の手が、ウンスの手首にかけられ止められた
「外に出よう」
「え?」
「もうすぐ、皆が参る時間です。こんな所でずっと居ったら息が詰まる」
はにかむように笑う
差し込む太陽が照らした、そのヨン部長の笑顔に、私の胸がキュンと高鳴った
そして、ヨン部長は呆気にとられる私の手首を強く掴みなおすと…
その場で硬直する私を、引きづるようにそのまま会社の外へと連れ出したのだった

「はい、どうぞ…」
ウンスが買ってきたコーヒーを手渡すと、ヨンはそれを無言で受け取った
二人はシンイホールディングス本社ビルの真下の、中庭の石段に座っていた


 

(一部 = 1人。手を抜いてませんか、という突っ込みはしないで (笑))
 
空腹にブラックのコーヒーが染み渡った
そのコーヒーにいつもは感じた事のない、ほろ苦さを感じて…
「苦い…」
ウンスは俯いたまま、手に持つコーヒーに視線を落とし、小さく呟いたのだった
そして、それはウンスの横に座るヨンにとっても同じ思いだった



   ブログランキングに参加中。ポチのご協力を何卒宜しくお願いいたします。↓↓↓


にほんブログ村