葛城の迷宮 -19ページ目

『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』

監督:テイト・テイラー
出演:エマ・ストーン
    ヴィオラ・デイヴィス
    オクタヴィア・スペンサー
    ブライス・ダラス・ハワード
    ジェシカ・チャステイン
    シシー・スペイセク
    メアリー・スティンバージェン

$葛城の迷宮-01

1960年代初頭、黒人差別が色濃く残るアメリカ合衆国南部ミシシッピ州ジャクソン。
ユージニア・“スキーター”・フェラン(エマ・ストーン)は、裕福な家庭で黒人メイドのコンスタンティンに育てられた。
ライター志望の彼女は、大学を卒業した後ニューヨークの出版社への就職を希望していたが、女性編集者(メアリー・スティーンバーゲン)からもっと経験を積むように、というアドバイスを受ける。
とりあえず故郷に帰って来た彼女は、地元のローカル新聞社と契約。
そこで担当を任されたのは、新聞の家庭欄に連載されている家事の相談コラムだった。


$葛城の迷宮-02

久しぶりに出会った地元の仲間4人組は、スキーター以外みんな結婚や出産を済ませており、子供の世話は黒人メイドに任せきり。
気楽な生活を送る友人たちの話に、彼女は何かしら違和感を感じていた。
その友人の一人であるエリザベスに、彼女の家で働く黒人メイドのエイブリーン(ヴィオラ・デイヴィス)にコラムのアドバイスをしてもらうことを頼み込む。


$葛城の迷宮-03

エイブリーンはこれまで数多くの白人家庭で掃除や子どもの世話をしてきた。
エリザベスの娘で、2歳になるメイ・モブリーを育てているのは実質的に彼女。
育児を放棄しているエリザベスの態度に憤慨しているエイブリーンだが、表面上は素直に従っている。
黒人メイドに育てられた子供は、成長して大人になると育て親のメイドと再契約するのが、この街の慣習。
スキーターは彼女と話をするうちに、黒人メイドたちの現状と雇い人である白人家庭のエピソードを本にまとめることを思いつく。


$葛城の迷宮-04

ミニー(オクタヴィア・スペンサー)はエイブリーンの親友で、料理の腕前は街でも一番との噂もある。
しかし口を開けば悪口ばかりの彼女は、いつも雇い主とトラブルを起こしていた。
今はウォルターズ夫人(シシー・スペイセク)とその娘ヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)に仕えている。
ヒリーはアフリカの子供たちを救済するためのチャリティバザーを計画する一方、黒人メイドのトイレを白人とは別に作ることを推進していた。
我慢することができずに屋敷内のトイレを使用しようとしたミニーをヒリーは解雇し、
まわりには「彼女は屋敷内の物を窃盗しようとした」と言い触らす。


葛城の迷宮-000

この街の現状を変えたいエイブリーンと、悪口が大好きなミニーの二人から、様々なエピソードを聞かされたスキーター。
そのうち他の黒人メイドたちも集まって来て、人物名を仮名に置き換えるという条件で本の執筆を終えた。
そしてスキーターは、実家にいたはずの育ての親コンスタンティンが突然辞めた理由にも踏み込む。
やがて出版されることになる『the Help』が、この街、そして全米中にセンセーションを巻き起こすとは知らずに・・・



『the Help』というタイトルは、家事をするメイド、そして助けてほしい、という二つの理由から。
公民権運動には興味があったものの、こんな雰囲気の作品は、少し前なら興味が無くてスルーしてしまう作品だったと思う。
だけど去年の秋頃に予告を観て、妙に気になっていた。
どの女優が好き、というわけじゃなくて、好きな作品に出ていた女優たちが一堂に出演していたのがその理由。
彼女たちが出演しているなら、きっと面白い物語に違いない、と。
そして大きく膨らんだ期待をはるかに上回る、素晴らしい完成度の作品だった。
華やかな衣装、豪華な邸宅、そして毒気たっぷりの物語!

$葛城の迷宮-05

スキーター役のエマ・ストーンは、傑作『ゾンビランド』で男を手玉に取るヘヴィメタ女だった。
今回全くイメージの違う彼女を見て、改めて役作りの上手さに脱帽。
主役だけど、いちばん地味で、いちばん普通で、いちばん共感できるキャラクター。
しかしこの街では、その普通が全てタブーとなっている。
黒人メイドの問題に関わることは、全てを失う覚悟をしないといけないことを、やがて知ることになる。


$葛城の迷宮-06

ヴィオラ・デイヴィス演じるエイブリーンは、もうひとりの主役。
真面目で慎ましやかだが芯の強い彼女は、信念を持ってエリザベスの代わりにメイ・モブリーを育てている。
スキーターから相談に乗って欲しいと頼まれるが、白人の雇い主の話をするということは、
この街では命の危険に関わることを彼女は知っている。
協力したい気持ちはあれど、スキーターになかなか心を開くことができない。


$葛城の迷宮-08

オクタヴィア・スペンサーは、この作品でアカデミー助演女優賞を受賞。
愛嬌のある風貌のミニーは料理の腕前も確かで、彼女の作るチョコレートパイは絶品。
しかしその見た目とは裏腹に、口を開けば毒を吐く。
他の従順なメイドたちとは違って、あえて雇い主を怒らせるような行為をしてみせたりすることで、彼女はいつもトラブルを起こすらしい。
今回もクビを言い渡されたミニーは、雇い主だったヒリーにとんでもない方法で復讐を果たす。


$葛城の迷宮-07

スキーター、エイブリーン、ミニーの三人を相手に立ちはだかる、ヒリー役のブライス・ダラス・ハワード。
『ヴィレッジ』で本格女優デビューしたロン・ハワード監督の娘。
親の七光りなんかあっという間に抜け出して、作品選び、存在感も抜群の彼女。
エイブリーンから、”悪魔”とまで言われるほどの意地悪さ!
イヤ、意地悪なんてモンじゃない。
彼女の言う事には街全体が従うのだ。
ミニーの復讐だけは少し堪えたものの、それでもめげず徹底的に黒人メイドたちを打ち据える。


$葛城の迷宮-09

街の女性たちから完全に無視状態のシーリア。
その理由は、ヒリーが未だに未練を引き摺っている元彼氏と結婚したため。
黒人メイドを雇ったことのない彼女が、ミニーを雇うことで他の白人女性との関係がさらに関係が悪化。
でもシーリアは単純に家事が苦手で、ミニーに手伝って欲しかっただけ。
ミニーは、フレンドリーに接してくれる彼女の行動にどうしても戸惑ってしまう。


$葛城の迷宮-11

俳優出身で脚本も担当したテイト・テイラー監督は、原作者のキャスリン・ストケットとは就学前からの幼馴染み。
それゆえに物語の表現やエピソードの繋ぎ方など、原作が意図するものを上手くすくい取ることができたのだろう。
エピソードがテンコ盛りで、主要な登場キャラクターも非常に多い。
なのに全く複雑じゃなく、とびきり観やすい作品。
悪口が飛び交う場面も微笑ましく、ドン引きするようなエピソードも痛快に、そして悲しい場面でさえも美しく魅せるその手腕は見事です。
処女小説と監督二作目のコンビとはとても思えない、奥が深く完成度の高い物語。
少し甘く、刺激的で、ホロ苦いチョコレートのような作品。
難しそうだからとか、地味そうだな、なんて第一印象で観ないのはもったいない!


葛城の迷宮-12

あまり日本では縁の無い人種問題だけど、学校や職場でも同じような問題が起こってるのかも・・・
な~んて思って観てみたら、国境を超えて妙にリアリティを感じる。

女性同士でこんなテーマを演じたら、さぞかしギクシャクするんじゃないかって思ったけど、みんな仲良さそうで良かった!
しかし黒人女優は、見た目では年齢がさっぱりわかんないや・・・