ON AIR!! 生徒会 ~第ニ話「寝落ちするなら先に断りを入れてから寝ろ」~
さてみなさん元気かい?放送部長のタクミです。
最近長い話が続いていたのでちょっと休憩。いつもより短編でお送りする。
ところで寝落ちという言葉がわからないという人がいるかどうかわからないのでちょっと説明。
知っている人はここはスルーしてくれていいからな。
「寝落ち」とは基本的にネットゲーム(オンラインゲーム)においてプレイ中接続したままプレイヤーが寝てしまうという現象もとい事故で特に夜から夜中にかけてやっている人もしくは徹夜でがんばっている人に多く見られる。
そんなにやるなよと言う人もいるがやりたいんだから仕方がない。一度寝落ちをすると後日、頻繁にしてしまうようになるちょっと依存性のある事故。
寝落ちは他のプレイヤーの迷惑になることもあるので注意するように。
ちなみに俺も一時期はまっていたオンラインゲームでギルドマスターというのをやっていたが「寝落ちマスター」という称号をつけられ、ギルドメンバーの話によるとたまに解読不能の言語をチャットで打っていたそうだ。
ということで本日の生徒会の話がいくらつまらないからといって寝落ちしないように。 以上。
ON AIR!! 生徒会 ~第ニ話「寝落ちするなら先に断りを入れてから寝ろ」~
最近俺のクラスではオンラインゲームがはやっている。ちなみに俺もはまっているがクラスメイト達がやっているのとは違うもののようだ。
「ねぇタクミ。オンラインゲームって面白いの?」「人によると思うけど面白いぞ。」「そうなんだ~。」
須野は少し何かを考えた後「タクミはどんなのやってるの?」と考え中をアピールするようなポーズで聞いてくる。
「俺がやっているのはアクションRPG系のやつだな。2Dのでキャラがかわいいやつ。」言っても理解できないと思うが一応教える。
「アクションRPGかぁ。私にもできるかな?」「基本操作はマウスだから簡単だぞ。」
う~んと少しうなって「わたしもタクミと同じのやってみたいっ。」とキラキラしながらの宣言。
現実の友達とオンラインゲームをしたことがなかった俺はちょっとだけ嬉しくなった。
「そうかそうか。ならアドレス送っておいてやるからわからないことあったら電話しろよ。」いつになく俺は笑顔になる。「うおっ、タクミの笑顔久々に見た。」須野は攻撃の構えを軽く取る。
「そんなに驚くことないだろ。」嬉しいのを隠そうとするがどうも隠し切れなかった。
その日の放課後、帰るまで俺達は終始ご機嫌だった。
須野は早速帰って準備しとくね~と言っていたが俺は須野と違って生徒会があるので仕事がなくても一応一度は顔を見せにいかないといけない。
「ちわ~っす。お疲れさんで~す。」上機嫌なまま俺は生徒会室に入る。
「たっくん。丁度いいところに来たわ。」「タクミちょっと来て~。」と会長と砂畑。
「今日は二人だけか?」会長と砂畑は並んでイヤホンマイクをつけて、パソコンの前に陣取っている。近づいてみるとオンラインゲームをしていた。「何してんの?生徒会室で。」俺は普通にツッコミを入れる。
「他の役員はそれぞれの仕事をしに行ったわ。あと私と美卯ちゃんはちゃんと仕事終わらせているわよ。」
「それにこれは一応仕事なんだぞーっ。」砂畑はほほを膨らませながら抗議。
「仕事ってどういうこと?」
「簡単に言えば生徒達が何に興味を持ち、どういうことをしているかという調査ね。今、私達の学校ではオンラインゲームというのが流行っているそうなんだけど、私はそのものをよくは知らない。だから生徒達のことを理解するためにもこうやって時間をとって挑戦しているの。」
「そうだぞ~。実地調査なんだぞ~。」砂畑が実地調査というそれなりに難しい言葉を使ったことに驚きとりあえず頭を撫でることにする。
「俺はてっきり、みんなが話しているからやってみようと思い。やってみたらついはまっちゃって生徒会室でもやろうと考えたのかと思った。」
「それもあるわね。」「うんうん。」二人して偉そうだった。
軽く溜息をつき「で、なんかあったのか?」生徒会室に入ってきたときのことを思い出し聞いてみる。
「そうそう。このクエストなんだけどどうやればいいのかわかるかしら?この間始めたときにいろいろと教えてくれたON+AIRさんがいたらよかったんだけど、まだ来てないみたいで困ってたのよ。」おんえあーさん?どこかで聞いた名前だな。と、そんなことで悩んでる場合じゃなかった。とりあえず会長の隣に立ちゲーム画面を見る。
「これ、俺がやってるのと同じゲームだな。これなら俺にもわかるぞ。」
「ほんと?。よかったこれで先に進めるよ~。」「教えてくれると助かるわ。」会長と砂畑は嬉しそうだった。
「え~っと?会長のキャラクターは……。」俺は目を疑った。そこにいたのは俺がここ一週間、よくレベル上げや装備などを整えたりと手伝いをしてあげていたキャラクターだった。
「会長。」「なにかしら?」「最近会長の手伝いをしてくれていたキャラクターの名前ってO・N・+・A・I・Rってかいてオンエアーって名前ですか?」
「あら、よくスペルまでわかったわね。その通りよ。もしかしてあなたの知り合い?」「タクミってもしかしてエスパーなのか~。」会長と砂畑はちょっと驚いていた。
「今の時間いないのは当たり前だね~。」
「「どうして?」」と二人は声をそろえて言う。
「だってそのキャラのプレイヤー。ここにいるから……。」
「「……。」」
「たっくん。」「何ですか会長。」「今すぐ家に帰って、ゲームにつないで頂戴。」「了解しました。」
会長と俺は最低限の会話をして「美卯ちゃん、ちょっと休憩してましょう。」「っへ?なんで?」砂畑は理解し切れていないようだった。
急いで帰ってパソコンの電源を入れる。と丁度いいタイミングで須野から電話がかかってきたため、もろもろの説明をしてパソコンにずっと前に渡していたイヤホンマイクをつけさせ待機させる。ついでに会長達に須野が始めた事とその手伝いからしたいという経緯をメールで報告、許可をもらう。
俺達がやっているオンラインゲームはコミュニティ機能が充実していて、プレイヤー同士マイクを使って会話できるのだ。
ゲームを起動させログインし、会長達とパーティーを組みマイクによる通信をつなげる。
「もしもし~こちらタクミです聞こえますか~。」
「ばっちり聞こえてるよ~。」
「通信状況良好。問題ないわ。」
「何でタクミがいるの~っ?」
砂畑はまだ現状を理解していなかった。
「じゃあ始めますか。」須野のペースにあわせてちゃんと順番にゲームを進めることにする。オンラインゲームのいいところはこうやって手伝いができたり、みんなで家にいながらゆっくりできたりするところであると俺は思う。
みんなで協力していることもあり順調にゲームは進んでいく、時間を見るとそれなりにおそい時間になっていた。
すると突然ゲームのBGMが変わる。「ありゃっなんか出てきた。」「そういえば公式ホームページにこんなのが書いてあったわね。よくわからないからスルーしたけど。たっくんこのモンスターは何なのかしら?」
「俺も見るのは初めてだけど期間限定イベント用のボスモンスターだな。それなりに強かったはずだ。」
「ボス?どうしよ~。」「勝ったら何かもらえるのかしら。」
「とりあえず落ち着け須野。こいつに勝ったらレアアイテムがもらえるはずだ。とりあえずレベルの高い俺と砂畑で連携して攻撃するぞ。須野は死なないように距離をとること。会長は補助を頼む。」
「うっうん。わわわわかった。距離をとる距離をと……。」
「了解したわ。とりあえず須野ちゃんの援護しとくわね。」
「そうしてくれ。じゃあ砂畑一気に行くぞ。」
「……。」
「砂畑?」「……。」「寝てるわね。」
「会長砂畑を起こしてくれ~。俺一人じゃきついぞ~。」「美卯ちゃ~ん。起きなさ~い。風邪引くわよ。」
「……ムニャムニャ…もう食べられないよ~。」ベタな寝言だ。まさかこんな時に聞くとは……。
「無理ね。起きないわ。私と須野ちゃんで美卯ちゃんのキャラクターの援護するから。たっくん、GOっ!」
「あ~もう。わかったよやるよ。一人でがんばるよ。」
「え?私どうすればいいの~。」須野は混乱していた。
「「大人しく下がってて。」」会長と同時に言う。
「はい。」
「よし、行くぞ。」気合を入れて攻撃開始。「そうそう。たっくん負けたら黒猫写真のベストショットブログに上げるからね。」「へ?」一瞬会長の発言に気を取られボスの攻撃を受ける。「やばっ。」すぐに回復アイテムを使い紙一重で距離をとる。
「会長いきなり変なこと言わないで。」「たっくんがんばってね~。」スルーかよ。俺は紙一重の攻防を続け、何とかボスを倒した。
「よくやったわ。たっくん。」「タクミすご~い。」「……ボクがさいきょうだ~…ムニャムニャ。」
「死ぬかと思った……。」ものすごく疲れた。砂畑、今はお前の子供っぽさが羨ましいよ。
「じゃあ次行くわよ。次~。」「お~。タクミがいれば怖くないぞ~。」
「ちょっと休まして……。」
会長はすっかりゲームにはまってしまい、その日から会長と須野と砂畑との四人で放課後のオンラインゲームは続けられた。砂畑の寝落ち率は高く、しかも重要な場面で寝るという。会長がいるため俺は寝落ちできず寝不足の日々は続く。
「もう勘弁してくれ。」会長が飽きるまでこの日々は続いた。
ON AIR!! 生徒会 ~第一話「本編突入? 悲劇と喜劇の違いは何だその2」~
懇切丁寧な説明を終えた。「じゃあたっくん。ちょっとだけくすぐったいけど我慢してね。」会長は何かを取り出して俺の首に何かつける。カチャンという音がした。
「これであなたは私のペットよ。」ジャラッという音と共に会長は俺に鎖を見せ付けて「ねっ。」笑顔が素敵だった。
これ首輪かっ。しまった油断した。だが首輪を外すにしてもそのまま逃げるにしてもロープで体を縛られている限り何もできない。
「ロープほどいてもらえないのか?」とりあえず聞いてみる。
「私のペットということを認めたらいいわよ。」鬼だ、悪魔だ、酷すぎるよ。と思っていたら何かに引っ張られ黒い影が横を通り過ぎる。
「あっ。」会長は声をあげ「タクミの所有権取ったぞ~っ。」タイガが生徒会室入り口付近で咆えた。
「これでタクミは俺のっ。」ガチャッという音に続いてゴンッという音がした。
「痛そうね。」「痛そうだ。」「うわ~痛そ~。」「おいしいなそのネタ。」生徒会室にいた一同(タイガを除く)はそれぞれ感想を述べる。
「遅くなりました~ってどしたの?みんなこっち見て。」生徒会室に入ってきたのは赤い金属フレームのメガネと長い髪を後ろで束ねた髪型が特徴の編集委員長 瓶梨 文香(かめなし ふみか)だった。
俺はロープで縛られているためできなかったが残りの三人が倒れているタイガの方を指差す。
「変な音したと思ったらこいつかぁ。」眉間に中指を当て手のひらで顔を隠すようにして溜息をつく。
「フミちゃんどうしたの?入らないの?」後ろから覗き込んできたのは保健委員長の秋西優と「何時まで入り口にいる気だ早く入れよ。」と体育委員長の荒木 雄介だった。
とりあえず入り口の惨状をみて「「南無。」」と二人で声を合わせて合掌。
続いて入り口三人の目が行ったのは鎖でその先をたどって起き上がれずにロープで縛られ首輪に鎖という特殊な俺と目が合う。「ちわ~っす。」
「「「……。」」」
「「「失礼しました。」」」と三人同時に生徒会室のドアを閉める。
「違うからっ!!なんか勘違いしてるから~。」俺の悲痛な叫びが届いたのか。再びドアが開き
「何だ違うのか。」「そりゃそうだよね~。」「もうびっくりさせないでよ。」三者三様の答えで生徒会室に入ってくる。
秋西は鎖が気になったらしく手に持って見ている。するとコーディーが「その鎖がタクミの所有権らしいぞ。」余計なことを言った。
すると秋西と瓶梨、それとなぜか荒木まで目の色を変えて鎖を見つめる。なんとなく考えていることはわかった。
秋西の場合「奴隷。」
瓶梨の場合「同人活動または新聞編集等の雑用全般。」
荒木の場合「体育館及び体育倉庫の掃除と整理。」
そんなとこだろう。「隙ありっ!」と秋西が妄想にふけってにやけている(多分)隙に砂畑が鎖をゲットした。
が、鎖が引っ張られ首が軽く絞まる。「気をつけろっ!首が絞まるから~。」そんな俺の叫びは届いていなかった。「がんばれ、タクミ。」コーディーの方を見ると白い歯を輝かせた笑顔で親指を立てグッとやっている。
他の連中はというと「美卯ちゃんその鎖を返しなさい。」と秋西。「そぉ~と。」と近づこうとしているのが荒木。
「チャンスはきっとそのうち来る。」と成り行きを見守り漁夫の利を狙う瓶梨。「美卯ちゃん。いい子だからその鎖渡しなさい。」と強気な会長こと神田。
「いくら会長のお願いだからって今回は聞けないよ。タクミはボクのおもちゃにするんだっ!」と砂畑。
「生物の枠を超えたか。」「コーディーは黙ってろ。」ついに人であることを否定された。
「そうはいくかぁあああ。」タイガが目を覚まし立ち上がる。が、ガチャッごんっとまたいい音
「「「「「「あっ。」」」」」」タイガ以外全員で合掌。
「すまない遅れた。ってどうしたんだみんな?」入ってきたのは風紀委員長 高峰 涼子(たかみね りょうこ)上からの許可をもらい木刀片手に歩き回る怖い姉御肌な人。アニメに出てそうともっぱらの噂の人である。
「涼ねぇどうしたっすか。なんかありました?」後ろから出てきたのは会計 本多 晶子(ほんだ あきこ)涼子さんのことを涼ねぇと慕いあっちにこっちについていこうとする。ある意味で学校の名物。一言で言うとばかである。
「すまない。タイガ大丈夫か?」「あちゃ~。涼ねぇやっちまいましたねぇ。」二人はタイガの心配をしていたが無事だとわかると「ところでたっくん何してるんすか?」「タクミお前はまともなやつだと信じていたのに。」と案の定な発言。
「その鎖あるだろ。」とコーディー「あぁ。」「あるっすね。それが?」
「その鎖を手にした者がタクミの所有権を得る。そうだ。」
「なにっ。」「まじすか~。」また余計なことを言いやがって。というか絶対変なこと二人して考えてるな、あれ。
涼子の場合「弟子一号もしくは技練習台。」
本多の場合「パシリもしくは都合のよい弟分。」といったところだろう。若干二人してにやけてやがる。
「はっ。何を考えていたんだ私は。」「ちっ正気に戻ったか。」と砂畑。「でもこの鎖は渡さないよ~だ。」
あっかんべ~と実に子供っぽいなぁ砂畑は。しかしまだ本多は妄想から帰ってこない。
「鎖などどうでもいいさ。」と涼子さんは言い、こっちに向かって木刀を構える。
「ちょっ何する気だよ。」「大人しくしてろよ。てやぁっ!」涼子さんは目に見えないくらいの速さで木刀を振るった。
ブチッガシャンッという音がしたかと思うと鎖とロープが切れた。
「「「「「「何なんですかあなたは。」」」」」」という感じの顔をみんなしていた。
「やった~。開放された~。ありがとう、涼子さん本当にありがとう。」俺は涼子さんの手を握りお礼を言う。
「そうかそんなに嬉しかったか。じゃあ私に恩返ししないとな。」
「「「「「「・・・・・・。」」」」」」沈黙が走る。
「「「「「「そういう魂胆かぁ~っ!!」」」」」」全員でツッコミを入れる。俺は脱力した。すると涼子さんは俺を片手で拾い上げ「じゃあこれは私のもんだから。」と一言。本多の方を見るまだ妄想に浸っていた。
全員が涼子さん相手ならと諦めムード会長も「次の機会にしましょう。」と言って席に着く。
「面白かったからいいや~。」「今回は譲るけど次はきっと。」「私のおもちゃ~。」「高峰さん相手だと無理ね。」と荒木、秋西、砂畑、瓶梨はそれぞれの席に着く。
涼子さんは自分の席に着き、その隣に俺を座らせた。
「「「「「「「はぁああ~。」」」」」」」
全員(本多を除く)で溜息をつきタイガの方を見る。「タイガの犠牲は無駄だったな。」とコーディ。
ガバっとタイガが起きて「鎖はわたさなっ。」バンッ、ごんっとドアが勢いよく開く。
「すみません。先生に呼ばれてて遅刻しました~。」と半泣きしながら入ってきたのは生徒会書記の御堂 真由里(みどう まゆり)と「あら~。皆さんをそろいでどうしたんですか~。」環境美化委員長の五十嵐 早苗(いがらし さなえ)だった。
本多以外全員でタイガの方を指差して「みんなせーのっでいくわよ。」と会長。
「「「「「「「せーのっ。」」」」」」」
「「「「「「「合掌。」」」」」」」
「あらあら。」「ごめんなさ~い。」
その日、御堂の謝る声が学校中に響いたという。
ON AIR!! 生徒会 ~番外編「とある冬の日のブログ騒動その2」~
家に帰った後、俺は早速パソコンを立ち上げると同時にノートとペンを持つ。
「さてやるか~。」引き受けたからには半端にはやりたくないということでまじめにデザインし始める。
あ~とかう~とか唸りながらない頭をひねって順調にノートにデザインしながらパソコンで実際に作っていく。途中で飯を食って風呂に入りながらデザインを考えの繰り返し、そうこうしているうちに深夜になった。
「できた~。」といってもまだ放送部の分だけ、生徒会のほうは同時進行でやっていたためあとはアップロードして調整するだけだ。
「さてと、会長に一応報告しとくか。」俺は携帯でメールを会長に送る。
すると寝てると思っていたがすぐに返信が来た。文面はこうだ。
「お疲れ様。アップロードが終わって確認が済んだら後は私のほうでやっておくわ。明日から日記楽しみにしててね。」
「まだ続きがあるな。」
「P.S.放送部のブログとリンクは繋いでおくことこれは絶対よ。」
「はいはいわかりましたよっと。」俺は手早く画像などをアップロードして調整し、リンクを繋いでおいた。それでも気づけばすでに夜明け。
「眠い……。」俺の意識はここで途切れた。
親が起こしてくれたため遅刻はせずにすんだがものすごく眠かった。
「ふぁああ~あ~あ。」大きなあくびが出る。
「タクミ大きなあくびだね。なに、寝不足?」須野が話しかけてくる。
「お前のせいでな。」「それほどでもないよ~。」須野は照れ始めた。「ほめてねぇよ。」
そしてまたあくびが出る。「ブログの準備できたから必要なデータ後で送っとくな。くれぐれも無駄にすんじゃねぇぞ。」
「あれ?もうできたの。早いね~、さすがタクミだ。」須野は満面の笑みで俺の背中をバチバチと叩く。とても痛い。
「あ~もう、わかったから叩くな。俺は寝るから邪魔すんじゃねぇぞ。」俺は須野をほったらかして授業の隙をつきながら仮眠をとることにした。そんなこんなでいつの間にか放課後。
「全然寝れなかった。寝むっ。」あくびを軽くかみ殺して生徒会室に向かおうとした。
「ちょっと待った~。」須野が俺の前に立ちはだかる。
「何だよ。」眠い、とりあえずこの低いテンションでこいつの相手なんかしてられるか。
「早くアドレス教えてよ。」須野はむくれていた。「生徒会室行ったらメールで送っとくからおとなしく待ってろ。」手をひらひらと振り、俺は改めて生徒会室に向かった。
窓の外を見ると軽く吹雪いている。どおりでいい感じに暗いわけだ。
「やっぱ寒っ、さっさと行くか。」寒くても全然目は覚めなかった。むしろ眠たくて……。ってやばっ早く生徒会室で温まろう。
生徒会室のドアを開け「今日もまた遅れました~。」と軽く挨拶。しかし中にいたのは会長だけだった。
とりあえずストーブの前にて三角座り。とっても暖かい。ぬくぬくだ。
「昨日はお疲れ様ね。といっても今日、かしら?」珍しく会長が優しく声をかけてくるが思考回路が半停止中の俺「そうだね~。」と適当に返してぬくぬくする。ついでに須野にメールをする。会長はパソコンで何かやっていた、たぶん仕事だろう。
「今日もみんな仕事?」停止していない残りの頭でもぼーっとしながら聞いてみる。
「そうみたいね。みんな忙しいみたい、たっくんと私以外は。でも今日はすぐ戻ってくるって優が言っていたわ。」「保健委員会は基本的に健康面の指導関係だから冬休み中活動することもないしね。秋西はそれなりに仕事早いから~。」秋西 優、保健委員長。俺とは小学校が同じで中学が別々、小学校のとき軽く因縁?があったが今は解消、普通の友人、仕事仲間って感じである。「説明終わった?」「人の頭の中まで覗かないで。」
「だってたっくんってわかりやすいんだもの。あとブログのことはみんなにもう伝えてあるから。ちなみに今私はブログを書いてるわ。」今日もまた会長は仕事じゃない発言をする。
「さっそくだね。」ぬくぬくとして幸せだ。会長がちらりとこっちを見る。「そうね。たっくんの観察日記だから私自身も書いてて楽しいわ。」俺はこのときすでに半寝状態でこの発言を聞き逃し「そっか~。」と答え、その後眠りに落ちた。
カシャッと電子的な音がして目を覚ます。というか熟睡してたのか。
「あっ起きた。」「撤収するわよ。」ドタバタと音がする。なんか人増えてるなぁ。まだぼーっとしてるのか少々からだの感じが変だ。とりあえず起き上がり頭を掻こうと手を頭の後ろにやる。ぽふっ。
「……。」
「…。」
手を見てみた。そこにあったのは猫の手だった。そうか俺は猫になったのかぁ。
夢の途中か?いやそんなわけはない。首をかしげてみる。ちりんっと鈴の音。気づけば首輪がついている。やっぱり俺は夢の中にいるのか。
するとくすくすと笑う声、声のするほうに目を向けるとそこにはデジカメと携帯を持った二人の少女。会長と保健委員長。手を見る。会長達の方を見る。それを数回繰り返す。
「……。」
くすくす笑う二人。
「犯人はおまえらかぁ~。」保健委員長もとい秋西は爆笑、会長は必至に笑いをこらえている。「優ちゃんグッジョブよ。いいものもってたわね。」会長は秋西に親指を立てた拳をぐっと突き出し秋西も会長に同じ動作をする。いい笑顔だった。
「さてと早速お仕事お仕事~。」鼻歌を歌いながら会長はデジカメをパソコンにつなぐ。
「ってちょっと待った~。」俺は急いでデジカメを取り上げようと走る。
が、「ぐはっ。」首が突然絞まり尻餅をつき、それと同時にカシャンという金属の音。
後ろを見ると鎖がしっかりとつないである。
「ごめんね。起きたらそういう反応すると思ってつないじゃった。」かわいく舌を出し詫びる秋西。「ちなみにその鎖、生徒会室においてあった南京錠で閉じてあるから逃げられないよ。」顔をつやつやさせてそう言い放つ。
「ならばせめて。」と俺は装備させられた黒猫グッズを取ろうとする。「あまいっ!」
ゴンッと重量感のある音と共に俺の意識は飛びかけ、頭に激痛が走る。
「いった~。」「駄目だよたっくん。それはずそうとしたらまた殴るからね。」といい笑顔で言う。笑顔と手に持つ角材の組み合わせがとても怖かった。
「そっちは落ち着いた?」会長が秋西に尋ねる。「落ち着いたよ~。」秋西は会長のほうへ向かう。その隙に俺はカギを探そうとするが近くには見当たらない。
「カギならここにあるわよ。残念ながら。」会長は俺の思考をまた読み、カギをちらつかせる。「お願いだから俺の思考読まないで。」なす術がないとはこのことなのか。
「さてとたっくんも大人しくなったし、優ちゃんどの写真ブログに上げる?」
「そうだね~。これとこれ、あとはこれもいいね。」二人は楽しげにというかキラキラしながら写真選び。いいさどうせ後で俺が消せばいいんだから。
「そうそう。たっくんに消されたら元も子もないからパスワード変えないとね。」会長はこっちを見て笑顔でそう言った。そして俺終了のお知らせ。
「もう学校これねぇ。」「そのときは私が飼ってあげるから安心して、もちろんペットとして。」
「すみませんでした。ちゃんと学校に来ます。」俺弱っ。
なす術もなく進んでいく俺の恥ずかしい写真のアップロード。俺はきっと明日から笑われる生活が待っているだろう。
「これでよしっと。」「会長やったね。」残虐な二人はハイタッチをしてとても上機嫌だった。
「残念だけどこのままじゃかわいそうだから開放してあげるわね。」会長は秋西にカギを渡す。「いい。カギあけたら暴走とかしないでね。もししたら寝てる間に撮った私用のベストショットをブログに上げるから覚悟すること。」そんなものまであったのか。俺は頭を縦に振り大人しくすることにした。この二人には一生勝てないだろう。
秋西は南京錠を開け、俺は解放された。と同時につけてある猫パーツを全て外してかばんを持って逃走。
「おつかれさまでした~。」半泣きだった。
「たっくん泣かせちゃった。」
「滅多に見れないわよ泣き顔。」
「それもそうだね。」去り際にそんな会話がかすかに聞こえた。
俺は家に着いたと同時にパソコンを立ち上げ生徒会のブログを確認。
「……俺もうお嫁にいけない。」間違った言葉を使うほど衝撃的、いや恥ずかしい黒猫な俺の写真がアップされていた。そしてさらには「この黒猫な彼は中学の頃、私に堂々と告白するという経歴をもち現在は放送部長として私のそばでペットとして活躍しています。by生徒会会長 神田春美。」
「ずっと似合うと思ってたんだぁ~。だから寝ている間にこっそり装着してみました。ちなみに彼は小学校の頃、私に告白してきました。だから会長のは何かの間違い……のはず。だから私のかわいいペットだよ。by保健委員長 秋西 優。」
「俺がいない間に面白いことやりやがって、その写真の元データ全部コピーしてくれ。それとタクミは誰かのペットじゃねぇ生徒会のペットだ!!by生徒会書記 深山 大河。」
「次はトナカイだ。クリスマス近いしね。俺はもちろんサンタやるから。by図書局長 山口 康太。」
「コーディー、何言ってるの。ボクがサンタをやるんだ。絶対だよ、絶対なんだからね。目立つのはボクだ~。ちなみにタクミはボクのペット。by生徒会のかわいいサンタ 砂畑 美卯。」
「おれはペットじゃねぇ~。」俺の悲痛な叫びは寒空に響いた。
次の日、俺は学校を休もうかと思ったが会長からメールが来たので登校することに。
「明日から不登校になったら、あの時撮った写真のなかで一番すごいのブログにアップ&学校新聞の一面にするわよ(はぁと)。」言葉が出なかった。
机に伏せてできる限り誰とも目を合わせないようにする。ちょっとだけ挙動不審だがこの際どうでもいい。俺は地味に強く生きるんだ
「挙動不審だよタクミ。すっごい怪しい。」一番言われたくないやつに言われた。
「普段のお前よりましだ。」俺は周りを気にしながら答える。
「黒猫とっても似合ってたよ。今度はトナカイになるんだって?そのときはわたしにも写真取らせてね。」須野の顔を見る。キラキラしたいい笑顔だ。
「そうそう、ブログのことなんだけど。写真どうやって。」ブログ、写真……。
「ブログの話はもうするなぁ~っ!!。」