ON AIR STORY(´・ω・`)ノ ブログ小説 -154ページ目

ON AIR!! 生徒会 ~第四話 「おいしいお茶の入れ方 その1」~

ある冬の日、生徒会室に新たな備品が増えた。その新たな備品を俺はずっと眺めて考えていた。

「電気ポットか。」と呟くと「確かにポットだな。」いつの間にか隣に涼子さんがいた。

「このポットどうしたんだ?」涼子さんは聞いてくる。「生徒会室に来たら置いてあった。」そういって俺はポットから目を離さず黒板を指差す。そこには「我らが生徒会の備品にポットを追加したわ。存分に使いなさい。そして感謝しなさい by 会長。」とある。

「これは生徒会費用から出てるのか?それとも自腹なのか?」俺はまた黒板の別のところを指差す。「会長が自腹で買ったんだぞ~。感謝しないとだめなんだからねっ。 by 生徒会のアイドル みう。」

「なあタクミ、会長は理解できるがなぜ美卯も偉そうなんだ?」「確かにそれは思うけどいつものことだろ。」二人で軽く溜息をつく。

「ところで他の委員長達は来てないのか?」

「うん、みんなそれぞれ委員会だってさ。涼子さんは仕事終わったの?」

「私の基本的な仕事は見回りだからな。後は下校時間近くに一回、見回って終わりだ。」

「なら、それまで暇だよね。」俺はポットを見ながら言う。

「確かに暇だがタクミは仕事ないのか?そもそもお前がまともに仕事しているところをほとんど見たことがないのだが。」涼子さんは怪しむように俺を見る。

「ちゃんと仕事はしてるよ。ただ裏方が多いから目立たないだけさ。それに今日やるべき分は終わってるよ。」

「そうか、それならいいんだが。」まだ何か言いたそうな顔をしていたが諦めたようだ。

「それでさっきの話に戻るけど。」「ああ、何だ?」

「これから買い物行かない?」俺はポットを見つめながら言う。

「買い物?何でまた買い物など。そっそれに私と行く必要があるのか。」顔をチラッと見てみると少し顔が赤い。

「このポットの活用法を考えていたんだけどね。やっぱりこの時期ポットを使うならお茶だと思うんだ。」

「それでなんで私と?」「生徒会というか俺の知り合いで一番お茶に詳しそうだったから。かな?」

「なぜそこで疑問系。」「まあでも俺と買い物行くの嫌なのか?」意地悪かと思ったがあえて使ってみる。

「いやなわけないだろうっ!」大きな声でびっくりした。「そんなに大きな声出さなくても聞こえるよ。」

「くーっ。」涼子さんの顔を見てみるとやっぱり赤い。

「とりあえず買い物行く?」俺は顔が赤いことを指摘しようと思ったがさすがに木刀を持ち出されそうだったのでやめて話を変える。

「そうだな、行こうか。」俺と軽く咳払いをして調子を整えた涼子さんはコートを着て買い物に行くことにした。

「おっと忘れるとこだった。」「どうした?」「書置きしとかないと一応。」俺は黒板の前に立ちチョークを持って「涼子さんとデートしてきます by タクミ。」と冗談半分で書いてみる。

「お前何かいてるんだっ!」ごんっ「いてっ。」涼子さんは俺を殴りすぐに「買い物に行ってきます by 涼子&タクミ。」と書きなおした。その字はとても整ったきれいな字だった。

「ほら、行くぞ。」首根っこをつかまれて俺は涼子さんと生徒会室を後にした。


俺と涼子さんは学校の近くにあるホームセンターに来ていた。

「なあタクミ。」「何?」入り口あたりで涼子さんは尋ねてくる。

「ここで何を買うんだ?」とりあえず先にここへと俺が言ったのだからこの質問は至極当然である。しかし何を買うのかも聞かないでよくもまあ俺の前をすたすた歩いたものだ。

「じゃあ逆に質問、お茶を飲むのに必要なものは?」う~んと軽く涼子さんは考えた後「湯のみ?」

「一つ正解。じゃあ他には?」

「きゅうすか?」「その通りだね。」俺は笑顔で答えてみる。涼子さんは軽く照れて何か気づいたのかこっちを見て、「しかし無断で買うとなると領収書は認められないのではないか?」と言った。

「そうだね。会長のことだからきっと、勝手に買ってきたのだから認められないわって言うかもね。」

「じゃあ先に言っておいたほうがよかったのでは?」

俺は笑顔で答える「いつもみんなにはお世話になってるしプレゼントって事にしておこうかと思ったんだ。ちゃんと涼子さんの分も買うからね。」その言葉を聴いたとたん涼子さんは俺から目を離して「私の分はいらないぞ。みんなの分だけ買うといい。」「そう?」「ああ。」涼子さんの顔は少しだけ寂しそうだった。

「どちらにしろまずはそのものを探さないとね。」「そうだな。」


俺と涼子さんは案内図を見て食器売り場をに行く。

「結構いろいろあるんだね。」「そうだな。」

ホームセンターで偶然おいしいお茶フェアというのがやっていて、いろんな種類の湯飲みときゅうす、お茶っ葉が置いてあった。その周りでは家族連れがいるのか子供が走り回っていた。

「ちょっと危ないね。」「そうだな注意してくるか。」「いや、いいよ。ほら。」そう言って俺は涼子さんを制止するとちょうどその子供達の母親らしき人が連れて行った。

「とりあえず俺とコーディー、タイガに会長。砂畑に荒木君に本多であとは秋西と御堂さんに早苗さん瓶梨さん。と涼子さんで12人分探そうか。」と俺は指を折りながら数える。

「だから私はいいって。」涼子さんは遠慮していた。「そう?」「そうだタクミはみんなの分を買ってあげなさい。」

少し寂しそうな顔をしていた。「そんな顔されたらほっとけないじゃん。」俺は小声で言う。「何か言ったか?」

「いや何も言ってないよ。じゃあ早速選びますか。」「そうだな。」

俺と涼子さんの二人はあーでもないこーでもないといいながら選び始める。

「砂畑はこの子供向けのデザインでいいよな。」俺が手にしたのはキャラクターものの湯のみだった。

「子供っぽすぎないか?」涼子さんはすかさずツッコンで来た。

「いや、この間砂畑の筆記用具を見たらこのキャラクターのものでいっぱいだったよ。」と笑いながら言う。

「そうなのかそれは知らなかった。今度見てみよう。」涼子さんも笑っている。はたから見たらカップルに見えるんじゃないか?と思ったがそれはないな。だって背は涼子さんの方が高いし雰囲気は俺よりもずっと大人っぽい。

制服という点も含めてもいいとこ姉弟だろう。

「コーディーにはこれがいいと思うぞ。」そう言って涼子さんが手にしたのはいかにもゲテモノな絵の書かれた湯のみだった。「確かにそれならいいツッコミしてくれそうだ。でも描かれてるその生き物何なんだろう?たこか、いかかな?」俺は笑いながら答える。「きっとこれは火星人だ。」といって二人で笑う。こういう雰囲気が一番俺は好きだ。

そうして順番に手にとっては湯飲みを選ぶ。秋西にはいかにもかわいいって感じのをタイガには名前つながりでとらの絵が描かれたもの。俺と早苗さんと荒木君のは落ち着いた感じのスタンダードな湯飲み。残りのメンバーの分もそれにぞれ似合いそうな湯飲みを涼子さんと選ぶ。


そして残ったのは「「会長か。」」二人で頭を抱える。


一番選びにくい相手。「会長の好みわかる?」涼子さんに聞いてみる。「いや、わからない。」二人で溜息をつく。

そこでふと俺は涼子さんに聞いてみる。「そういえば涼子さんは自分の分選んだ?」

「いや、まだだけど。」そういって涼子さんは視線をある湯飲みのほうに持っていった。

その目線を追ってみると白基調のかわいらしい鳥が羽ばたくいている絵がかかれた湯飲みがあった。おそらくだけど鳥は鳩だろう。俺は涼子さんにぴったりだと思った。

「私の分は自分で買うから。」といって涼子さんは手を伸ばして湯飲みに手を伸ばす。少しためらった後鳥の書かれたほうではなくその隣の普通の湯飲みを手に取った。

「そっちでいいの?」「ああこれがいいんだ。」そういって涼子さんは笑った。ちょっと無理のある笑顔だった。

「じゃあとりあえず会長の探そうか。」「ああ。」俺達は会長に似合いそうな湯飲みを探す。二人で意見を出し合ってやっと決めることが出来た。

「これで全員分だな。」「そうだね。じゃあ会計してこようか。」と二人で会計を済ます。

そして入り口に向かう途中俺は思い出したように言う。「あっ!」「どうした?」「きゅうすとお茶っ葉買うの忘れてた。」

「じゃあ戻る?」「いや、俺一人で行くよ。買い物誘ったのは俺だしすぐ戻ってくるから。」そういって俺は涼子さんに荷物を預かってもらい走って買いに行く。


「誘ったのなら置いてくな。」涼子さんの声がかすかに聞こえた。


「ただいま。」「おかえり。もう忘れ物はないな。」そういって預かっていた荷物を俺に返してくれる。「うん。ごめんね本当に。」「謝るくらいなら忘れるな。」そういって涼子さんは先を歩く。俺は後を追いかけるように歩いた。






ON AIR!!生徒会 ~番外編「バレンタインは企業の罠、それでも俺は欲しいです」~

みなさん、おはこんばんにちわ(古っ!)ということで再びやってきました番外編。

これを書いているのはTAKUです(注意タクミではありません)。今回もお題小説ということでグルっぽでのスレで心動作語さんが出していました『ピアノ』『甘い』『雪』のお題を勝手に使わせていただきます(*・ω・)*_ _))。つまらないかもしれませんが読んでやってください。ではこの辺で失礼します(´・ω・`)ノシ。


ON AIR!!生徒会 ~番外編「バレンタインは企業の罠、それでも俺は欲しいです」~


クラスメイトの男たちは毎年のようにこの時期になると浮き足立つ。それもそのはず、あの甘酸っぱくもあり、ほろ苦くもあるバレンタインは明日だからだ。

俺もそんな浮き足立つ男の中の一人でもあるが過度な期待は絶対にしない。なぜなら俺は小学校でもらって以来、中学から高校の今現在までもらっていないのだ。

「今年も無理そうかな。」そんな言葉が溜息と共に出ていた。

「なにが~?」俺の席の前に座り見せ付けるようにチョコレートを食べる須野。

「女のお前には関係ないさ。ところでなぜお前はチョコレートを食べている?」

「この時期チョコレートが安くて種類もたくさん出てるんだよ。これはいろいろ食べてみるしかないでしょ。でも何でこの時期になるとそうなんだろう?」須野は無い頭を使って考えていた。

「お前まさかバレンタインを知らないのか?」確認のため聞いてみる。

「ばれんたいん?何かの監督でいたよね、確か。」

「そうだな。野球の監督さんでいたよ。」須野からもらえるのではないかと期待した俺が馬鹿だった。去年、須野がチョコレートをもらって喜んでいる様子を思い出すがそういえばあの時「タクミ~。チョコレートたくさんもらった~。にへへ~、おやつ代浮いたよ~。」と笑顔で言っていた。いやみかとあの時思ったがバレンタインを知らなかったのか。

「野球の監督さんとチョコレート……どういう関係がっ!」真剣に悩んでいた。

俺はかばんを持って立ち上がる。「あれ?どうしたのタクミ。」須野は考える人のポーズで聞いてくる。

「生徒会に行くんだよ。あとチョコレート食べ過ぎると虫歯になるぞ。」

「にへへ~、大丈夫だよ。ちゃんと歯ブラシセット持ってきてるから。」そういって笑いながら俺に歯ブラシセットを見せ付ける。「そうか、じゃあ太らないように気をつけてな。」と言い残して俺は生徒会室に向かった。教室を出るとき自分のお腹の肉を軽くつまんで衝撃を受ける須野が見えたのは内緒だ。

二月ということもあり窓の外は雪で白く染まっていた。「やっぱ寒いな。」軽く身震いし俺は生徒会室へ急ぐ。


俺は生徒会室のドアの前で動きを止めた。そこにあったのは一枚の張り紙。

「本日の生徒会は男子禁制っ!!ということで男子のみなさんはお帰りくださいby会長。」と書いてあった。そしてドアの横を見ると副会長こと砂畑美卯が三角座りをしてかわいくちょこんと座っていたが、首から看板を下げてしくしく泣いていた。看板の文字を見ると「チョコレート食べすぎにて虫歯になりました。むやみにえさを与えないでください。現在反省中by生徒会女子一同。」と書いてあった。

「砂畑。」「なにさ。」目を赤くした砂畑がこっちを見る。

「キシリトール入りのガムだ。これなら歯にいいからな許容範囲だろ。」と俺はポケットからガムを取り出して砂畑に渡す。

「いいの?」砂畑はガムを受け取り、はむっと口に入れる。「はひはほう。」そう言って砂畑はもぐもぐ口を動かしながら三角座りを続けた。「何言ってるかわからねぇよ。でもまあ頑張れ。」そう言って俺は軽く手を振ってその場から離れることにした。


さてとこれからどうしようか。と考えたところで何も思いつかない。「帰るか。」俺は帰ることにした。雪がしんしんと降るなか、寂しさと期待の心が渦巻く俺は好きなクラシックの曲を鼻歌で歌いながら家に向かって歩みを進めた。

「明日はいいことありそうだ。」と期待してはいけないと思いながら俺は空に向かって小さく呟いた。


そんなこんなでバレンタイン当日。俺はいつも通りに登校したのだが他の男子連中は来るのが遅かった。「今日は登校してくるの遅かったな。なんかあったのか?」俺は隣の席のやつに聞いてみた。「何言ってんだよ。今日はバレンタインだぞ。もしかしたら俺に気があるやつが机の中にチョコレート入れるかもしんねぇだろうに。だから邪魔しないように遅めに来たんだよ。」と小声で言ってくる。「で、成果は?」「聞くな。同士。」涙ながらに俺の肩を叩いて言った。俺は少し哀れに思い「大丈夫だ。まだ希望が無くなった訳じゃない。今日はまだ終わってないのだから。」と言うとそいつは涙をぬぐって「そうだな。お互い頑張ろうっ!。」握手をした。

そういやこいつの名前なんだっけと名前を覚えるのが苦手な俺は必至に思い出しながらチョコレートを誰かが渡しに来ないか待っていた。

で、前の須野のほうを見るとちょっとしたチョコレートの山があった。「タクミ~見て見て。今年もなんだか大収穫だよ~。」よだれを軽くたらしながら須野はにへへ~と幸せそうに笑っていた。「今年もたくさんもらったな。それとよだれたれてるぞ。」「おっとこれはいけねぇ。」と言って須野はよだれを拭き取る。「タクミはチョコレートもらったの?」嫌なことを聞いてくるものだが嫌味じゃないのは昨日のことでわかっていた。

「残念ながらな。まあでもいいさ。」と普通に言ったつもりが素っ気無くしてしまった。

「う~ん。」と言って悩む須野。チョコレートと俺を見比べている。「どうした?」あまりに突然うなり出したので聞いてみる。

「これ、あげる。」そういって須野は一枚の市販されている板チョコを差し出してきた。

「もらったやつなら俺は受け取らないぞお前に渡した人に失礼だからな。」

「うん、わかってるよ。でもこれ今日わたしが買ったやつだからいいの。」

幸せのおすそ分け~と言いながら俺に無理やり受け取らせる。バレンタインどうのこうののチョコレートじゃなかったがそれでももらえるというのは嬉しいものだった。

「うまいな。」さっそく包みを開けて食べる。俺と須野は顔を見合わせて笑った。


で男子達が本格的に浮き足立つ中、授業は進み放課後になる。周りを見ると二律背反、喜ぶ男子と悔しがる男子。そして中には燃え尽きて白くなっているやつもいた。

俺は軽く溜息をつき生徒会室に向かった。窓の外を見ると外は軽く吹雪いていた。

「こりゃ止むまで帰りたくないな。」とりあえず俺は生徒会室に急いでみた。

「おつかれさまで~す。」と生徒会室に入る。そこにいたのは会長と砂畑だけだった。

「あら、たっくん遅かったわね。チョコレートたくさんもらったのかしら。」

「ボクが今チョコレート食べれないのに一人でおいしく食べるのか~するいぞ~。」会長は嫌味を砂畑は抗議をしてきたが「あいにく須野から一つしかもらってないよ。」と正直に言う。「あら、本命?」「あいつがバレンタインを知っていると?」逆に聞いてみる。

「ちらっと見たけどあれはバレンタインを全く知らない反応だったわね。受け取った後首をかしげていたし。」会長はくすくすと笑って「じゃあバレンタインのチョコレートはもらってないのね。たっくんどんまい。」「どんまい。どんま~い。」会長に続いて砂畑も笑いながら言ったので軽く頭を小突く。

「いてっ。何すんのさ。」「お前昨日のガムの件忘れたのか。」小さいことだったが言ってみる。「ガムの件?」会長は少し考えて「美卯ちゃん?」「ひっ。」会長は笑顔だったが黒いオーラが出ていた。「ガムの件ってなにかしら?」「なんでもないよ。なんでもっ。ねっタクミ。」俺に振るなよと思いながら今の会長は怖いさすがに危険だ。「ああ、なんでもないよ。昨日の朝にたまたま会ってガムを欲しがったからやっただけだ。」昨日の放課後に砂畑は怒られたはずだから朝方はセーフのはずだ。「うんうん。そうなんだよ。タクミの言うとおり。」砂畑は棒読みだった。そして会長から目をそらす砂畑、嘘だとばればれだ。

だが会長は軽く溜息をつき「そう朝のことなら仕方ないわね。大目に見るけどたっくん、美卯ちゃんにむやみにお菓子を与えちゃ駄目よ。」「気をつけるよ。」

俺と砂畑は安堵の溜息をついた。

「そういや他のみんなは?」気がつかなかったが他の生徒会の面々がいない。

「皆用事があるって言って帰ったわ。私と美卯ちゃんは自分の仕事があるから残ってるけどね。たっくんも仕事がなかったら帰っていいわよ。」「いや、俺も今月の放送の予定考えないといけないからやってくよ。」と言って席に着き仕事を始める。


生徒会室はいつになく静かだった。聞こえる音といえばパソコンのキーボードを打つ音とシャープペンで文字を書く音に時計の針の音。そして外はまだ吹雪いているのか、風と雪が窓を叩く音だった。


どのくらい時間がたったであろうか。外は吹雪いていたから暗さでの時間の確認は出来ない。時計を見てみるともう午後6時を回っていた。

「んーっ。」俺は軽く体を伸ばす。仕事も一段落したし時間も時間だからそろそろ帰ろう。

「会長、俺先に帰りますね。っていないし。」会長と砂畑の姿は生徒会室のどこにもなかった。

ただ、かばんは置いてあったため会長はまだ帰ってないことは確かだ。砂畑は「帰るね~ by生徒会のアイドル 美卯。」と黒板に書いていたので帰ったのだろう。

俺は「先に帰ります タクミ。」と黒板に書き残して荷物をまとめ始める。

「あっやべ。教室に数学の宿題忘れてた。」軽く溜息をついて荷物を持って俺は生徒会室を出る。向かう先は自分の教室だ。とそこで聞こえてきたのはピアノの音色。暗い廊下に響くその音は不気味なように思うが俺にはとても優しく暖かく聞こえた。「パッヘルベルのカノンか。」何回か繰り返され微妙に変わっていく旋律が心地よく耳に入ってくる。俺が一番好きなクラシックだ。引き寄せられるようにピアノの音の元へ向かう。怖さなどなかった。と言うと嘘になるかもしれないがそれでも自然と足はそこに向かっていた。

「音楽室か……。」俺はドアノブに手をかけゆっくりと開ける。


そこにいたのは月の光に照らされてキラキラと光る雪の結晶をバックにただ、ただ、優雅にピアノを弾く会長だった。



ピアノの音が止まる。俺は動くことが出来なかった。動いたらその絵のような光景が終わってしまう気がしたから。でも終わりは会長自身の手で終えられた。

「たっくん?どうしたのこんなところに。」

「音楽が聞こえたから気になって。」

「そんなことで。怖くはなかったの?よくあるでしょ学校の七不思議とかで誰もいないのに音のなるピアノって。」くすくすと会長は笑っていた。

「聞こえたのが俺の好きな曲だったから。」

「そうなの?でも困ったわね。たっくんにここでこっそりピアノ弾いてるのばれちゃった。」悪びれる様子も困った様子もなく会長は笑ってそう言った。

「だからこれ口止め料ね。」と会長は横に置いてある楽譜入れらしきかばんから四角い何かを取り出して投げてくる。俺はあわててキャッチしてそれを見る。

「チョコレート?」

「そう。チョコレート。」ふふふっと会長は笑って言った。

「でもこれ口止め料。だろ。」

「さぁそれはどうかしらね。」と言って会長は席を立ちかばんを持ってこっちに向かってくる。


そして俺の横を通り過ぎ「さ、帰るわよ。」と言った。

「これほんとにもらっていいのか?」俺は聞いてみる。丁寧に包装されていたため誰かに渡す予定だったのだろう。


「言ったでしょ。口止め料って。」会長は唇に人差し指を当て振り返った。




俺は家に帰った後、会長からもらったチョコレートを食べることにした。

もったいないとは思ったが食べない方がもったいない。

包みを開けると長方形の箱で、ふたを開ける。中身は生チョコだった。一つ摘んで口の中に入れる。「あまっ。」軽くむせるほど甘ったるいチョコレートだった。

箱の下の方からひらりと紙が落ち、拾い上げてみてみる。メッセージカードだった。

「たっくんへ 私、甘党なの。だからホワイトデーは駅前の有名なケーキ屋さんでケーキ奢るように  by 神田春美。」

「計画どおりって感じか。」はめられたと思いながらこのチョコレートが俺宛だと知り嬉しかった。

明日は学校行かないほうがいいかもな。


だって顔がにやけたまま戻りそうにないから……。何か忘れてる。

「そういや数学の宿題取りに行ってねぇ。」

翌日、にやけている暇もなく朝から慌ただしい日になってしまい。会長からは「馬鹿ね。」と言われた。

だけどその顔はどこかいつもより優しく見えた。

ON AIR!! 生徒会 ~第三話 短編 「日向ぼっこキャッツ 黒猫と子猫」~

学校祭の終わった次の日の土曜日のことである。生徒会の仕事で生徒会室に来ていたはずなのだが仕事がないという事実。厳密に言うと仕事はあるがお留守番という仕事。ということで俺一人が生徒会室にいた。

「あったけぇな~。」生徒会室の電気を消し俺は陽の当たるところでのんびり日向ぼっこ。ごろごろと寝転がっていた。


本日は快晴。


学校祭が終わった後の余韻に浸りながら俺はぼけーっとしている。

会長と砂畑と涼子さん、それと本多以外のメンバーは学校祭の報告と協力してくれた人達に感謝の手紙やら電話をかけるために職員室やもろもろの場所へ行っている。会長達四名は協力してくれた人たちに集まっていただいて報告と感謝のための集会中。

俺は生徒会に所属していながら放送部は独立機関として機能しているため今回出番は無し。会長曰く、協力者側としての立場に当たるということだそうだ。放送部の部員達には後日挨拶に来るといっていた。

この後、学校祭の反省会をするということで俺はお留守番をしながらみんなの帰りを待つことになっている。


「ふわぁああ~あ。」眠い。何か暇つぶしになる物を持ってくればよかった。「しかし日向ぼっこも捨てがたいな。」俺はお留守番という名の日向ぼっこを続けることにした。

ガチャっとドアの開く音「たっだいま~。」帰ってきたのは砂畑だった。「おかえり~。」日向ぼっこの体制で俺はい続ける。「あれ?他のみんなは?」帰ってきたのは砂畑だけだった。

「集会は終わったんだけど、会長と涼ねぇは集まってくれた人とおしゃべり中。本多ちゃんは涼ねぇと一緒にいるってさ。」「そうか。」集会自体は終わってもそのあとそのまま帰っては失礼にもあたる。とりあえず砂畑にはやることがないから会長に戻されたといったところか。

「日向ぼっこ中?」砂畑はじーっと俺を見ている。

「一緒にやるか?日向ぼっこ。」俺は聞いてみた。「うんっ。」即答だった。

俺の腹の上に頭を乗せ「タクミ枕~。」なんて言いながら日向ぼっこ開始。今日は許してやろう。今日の砂畑は慣れないまじめな仕事をがんばったと……思いたい。あとで会長に聞いておこう。

ぽかぽか陽気の中、俺と砂畑はうとうととまどろむ。

「ぽかぽかだね~。」「ぽかぽかだな。」のんびり二人で日向ぼっこ。こういう日も悪くはない。


「なぁ砂畑。」「なぁに~。」眠そうな声だった。

「学校祭は楽しかったか?」「うん。」

「そうか。」

「タクミはどうだった?」

「俺は放送の仕事で駆けずり回ってたから忙しかったよ。」

「でも楽しかった?」

「そうだな~。楽しかった。」ここで会話が途切れる。


「なぁ砂畑。」「……ス~っ……。」

「寝ちゃったか。」砂畑は気持ちよさそうに俺の腹を枕に寝ていた。

俺もまぶたが落ちてきて眠りに落ちた。



ガチャ。

「ただいま。今戻ったわ。」

「あら?」

「今戻ったぞ。」「ただいま~。」

「しっ静かに。」腕を突き出して涼子さんと晶子を静止させる。

「どうかしたのか?」「どうしました~?」

「あれ見て。」私は指差す。

「かわいいわね。」「二人とも学校祭、頑張っていたから大目に見ようか。」

「会長っカメラ用意しました。」

「準備いいわね。」私は晶子からカメラを受け取り二人に近づき写真を撮る。


「ただいま戻りました。」「戻ったぜ~。」「ただいま帰りやした~。」「疲れた~。」「たっくんただいま~。」「ふぅ。ただいま。」

早苗、タイガ、コーディー、荒木君、優ちゃん、フミちゃんの六人が帰ってくる。

「静かにっすよ。」晶子はみんなにそう言って。涼子さんは唇に人差し指を当て静かにのポーズをとっている。

「どうしたんだ?」タイガはこちらをのぞき込み。

「あらあら。」早苗は頬に手を当て微笑む。

「こいつら気持ちよさそうだな。」コーディーは呆れ。

「俺も寝たい。うらやましいぞこのやろう。」荒木君は席に座ってこっちを見ている。

「私も写真撮る。」優ちゃんは携帯を手に一緒に写真をとるようだ。

「猫の兄妹のようね。」フミちゃんは溜息をつきながら見ていた。

みんなは静かに寝ている二人を見ている、もちろん私も二人を見てこっそり写真を撮る。


とても和やかな雰囲気に包まれていた。こういう日もあっていいと私は心から感じていた。

もちろんここにいる生徒会の皆もそう思っているに違いない。なぜなら皆の顔は落ち着いた微笑を浮かべているのだから。


「ん~っ。」美卯ちゃんが起きた。

「お目覚めかしら。美卯ちゃん。」笑顔で見つめる。

「ほぇ。あっ会長。おはよう~。」美卯ちゃんはまだ眠いのか目をこすっている。

「ふあぁあ。」続いてたっくんも起きてきた。

「みんな帰ってきてたのか。起こしてくれてもよかったのに。」たっくんは目覚めがいいほうなのか、そういうと体を伸ばして席に戻る。「留守番だからってねてんなよ。」「そうだぞ。仕事しとけ。」たっくんはタイガとコーディーに叩かれている。

「美卯ちゃん。とりあえず顔洗ってきなさい。」「うん、そうする。」美卯ちゃんはテトテトと目を軽くこすりながら生徒会室から出て行った。


少したったあと美卯ちゃんが戻ってきた。

「さてと。これより生徒会会議を始めます。本日の議題は。」

「学校祭の反省だよー。」私の言葉に美卯ちゃんが続けて議題を言う。

そうしていつもどおりの生徒会に戻っていった。


私は少しだけ名残惜しく感じていた。