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black kairitu

デス師匠のweb連載Season3。毎月1日更新。コラム、レビュー、レポート、詩、ショートショート、日記など。増刊号、号外、休刊あり。

 有名な心霊スポットを見た後、3人は近くにあるという「カウボーイ料理の店」に行くことにした。
 恐怖の香り。
 何せ、「カウボーイ料理」だ。看板に書かれた矢印の方へ街灯の全くない道を進む。
 「この先にあるの?」
と、ミユが言った。
 「ないよ」と、サワサキ。
 「ないんかい」
 予定調和すぎるやりとり。だが、皆顔がひきつっていた。だが、着実にクボが車を進めていくにつれ、見えてきた1軒の家。「カウボーイ料理の店」と書かれた看板。傍らには、サボテンが。今日の会の名前は、ここで「サボテン・ブラザーズ」になることが決定した。
 土と石で出来た階段をのぼり、ドアの前へ。店内の様子を伺ったが、暗く人影もない。
 「休みじゃねえ?」
 サワサキの言葉を無視し、扉を開けるクボ。
 「こんばんは」
 返事なし。
 物音なし。
 しばらして、奥からカウボーイが現れた。それはまさに、想像どおりの見紛うことなきカウボーイ。テンガロンハトにウェスタンブーツ、上から下までぎゅぎゅっと、しぼった100パーセントのカウボーイなのである。
 ただ、一つ疑問点があった。それは、これだ。
 「顔が無表情」
 カウボーイってそうなの?
 ボーっとつったってしまっていた3人に、カウボーイが言う。
 「何処でも好きなところに座ってください」
 「あ、はい」とクボが答えるも、どこに座るかまごまごしていると。
 「立って食べる訳にもいかないでしょう」
 店のおじさんにありがちなギャグ。
 だって、カウボーイだから。と、わけのわからぬ納得をした後、急いで座る3人。そしてメニューが登場した。そこには大きく。「アメリカン・ステーキセット」の文字。
 「じゃ、どうしようかアメリカン・ステーキセットでいい?」
 クボに聞かれて、うなずく2人。ただ、そこはうなずくしかなかった。         
 「すみません、アメリカン・ステーキセット3つ」
 「はい」
 返事は普通だが、無表情。
 「おい、クボ、なんであいつは無表情なんだよ」
 
 「え...だってカウボーイだから」
 「え...そういうものなの?」
 「見て、あそこ」
 ミユに言われて2人が階段の上を見ると、壁に大きな毛皮がかかっている。
 毛皮をじっくり見ていたサワサキが言った。
 「あの毛皮は、牛じゃないんじゃねえ?」
 
 「え...だってカウボーイだから」
 「いや、それは違うだろ。カウじゃねえんだから、その返しは使わさねえぞ」
 そのとき
 「ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!」
 「なんだ、この音は」と、厨房に駆け寄ったサワサキが見たものは。
 「チェーンソー」

 助けて。
 
 殺される。
 
 「おまたせしました」

 カウボーイが料理を持ってきた。チェーンソーで肉を切っていたのだった。 カウボーイがもってきた料理は、ばっちりアメリカンなジューシー・ステーキ。味は濃かったが、上々であった。
 
 「だって、カウボーイだから」 
 
 ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!

 切られていく肉。

 ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!

 切られていく肉。

 肉。

 肉。

 助けて。

 ぶあああああああああああ。

 ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!ヴィーンヴヴヴイイイーン!!!!

 肉。

 「〇〇にまつわる思考の遍歴」シリーズを、今回からはタイトルをその都度、変えていこうと思う。
 なぜならば、そういう気分だったからだ。
 気分というものは大切である。ただ、気分が面に出ることはない。顔の筋肉が全て死んでいるという筋金入りの無表情だからである。戦友のK本氏と今回のコラムに出てくる「ズー宏(ひろし)」とプリクラをとったときも、氷の面構えであった。また、弟子の中でもプリクラに精通しているチームと精通していないチームにわかれ、精通していないチームでプリクラをとったときも氷の面構えであった(その模様は、アート集団「NOW KOW」の映像作品でお楽しみいただきたい)。そんな私であるため、所謂「顔芸」と呼ばれるものは素晴らしいなと思う。それは、「リアクション芸」につながる重要な芸である。リアクション芸を得手とする芸人ではない私のリアクションは一つしかないのだ。
 
 ノーリアクション。
 
 色々な芸風があってこその「芸ごと」である。
 のっけから話が反れた。笑いに関してのコラムは、現在時間をかけてまとめ中である。今回のテーマはこれだ。
 
 ファミリーレストラン。

 主にファミリー客層を想定したレストランの一種であり、英語では家族が行くのにふさわしいレストランのことだそうだが、所謂ファミリー・レストランで、家族で来ている人たちを、あまり見たことはない。ファミリーがマフィア的な意味のファミリー・レストランだったら、面白いのになと思考。内装・外装、全てモノトーン。そうだ、コント、作ろう(JR東海キャンペーン風)。
 
 本題に入ろう。 

 宣誓!私は、ファミリー・レストランにおける注文時において、注文したいメニューの名前を決して口に出すことなく、「これ、下さい」とか「じゃ、これを」といったように注文したいメニューを指差すことによって注文をすることを誓います!

 なぜならば、単純に「さむい」からだ。注文の名前を読むことによって、ファミリー・レストランでの注文という作業は、私をすべらせていく。それが、「ファミリー・レストランの注文」という行為なのだ。

 ここからは、講義形式でおとどけしよう。

 「さあ、まずは、例題を出します。注文時に注文したメニューの名前を読む際、どこまで読むと『サムい』でしょうか」
 
 <例題>
 若鶏のグリル&海老フライ

 <解説>
 よくありがちな「若鶏のグリル&海老フライ」を検証・解説していこう。この場合、若鶏ですでにもう怪しい。さらに、グリル。これも、きついぞ。そして、&でアウト!完全なるアウト。純然たるゲーム・セットである。「&」を「と」と発音した場合もそうだが、「アンド」と発音した日には、発熱性消耗性疾患で寝込んでしまう可能性が高い。 
 
 恐るべし、「若鶏のグリル&海老フライ」。 

 「はい、例題と解説により、コツは掴んだかな。次は、練習問題にチャレンジしてみよう。どこからが、『サムい』かな」

 <練習問題>
 鶏と豆腐の健康ハンバーグ和膳

 <解答>
 「鶏と」の「と」。ここで既に臭う。すべり臭いぞ。次に、「豆腐の」の「の」。この「の」でもうすべりの沼に片足がはまっている。それも、確実にはまっている。確実にだ。さらに、「健康」!うわあ、これは、違う意味できつい。だって、ハンバーグは健康じゃないもの。矛盾だもの。韓非だもの。そして、極めつけは、「和膳」。決して「御膳」ではない。あくまで「和膳」だ。もう「和膳」だけで、生けとし生ける全ての者たちをすべらせることができる。「和膳」とは、すべり界のシアー・ハート・アタックだ。吉良吉影だ。
 
 「世界には、面白いことが隠されている」と私はよく言う。「そのため、目を凝らすのだ」と。しかし、その反面、常にすべらされる危険にさらされているのだ。
 二元論。
 そこで、「いかにしてそのような危険を回避していくのか」といったことが問題となる。災害対策の指南書『征寒論~あるいは、どこからがスベるのか“スベ学問題集”~』を早急に書き上げなければならない。
 
 だがしかし、ファミリー・レストランにおいて、スベることがわかっていながらも敢えて注文したいメニューをフルで読み上げる男がいた!(千葉繁・北斗の拳ナレーション風)
 
 その名は、「ズー宏」!

 彼とは、以前勤務していた職場で知り合った。職場で初めて出会う、同じ養成所の出身者であった。ズー氏が言うには、スベっているところをがっぷりよつで店員に見てもらうことによって高揚感を得るとのことだ。

 恐るべし、ズー宏!

 彼に何度も、一緒に「M-1グランプリ」に出ようと誘われたが、中高生や大人の前で2度ほど漫才をするに留めた。当時、色々と思うことがあったためだ。だが、その後もズー氏の私への勧誘は続いた。

 恐るべし、ズー宏!

 ただ、その後、私はべしゃりの魔術師・S原監督と出場することになるのであるが、その悲劇はまたいずれ。

 くわばら、くわばら。
 3月6日
 
 私立女子高校に通う女子生徒が2人。一緒に首吊り自殺。遺書にはこうあった。
 「生活に何の不満もない。身勝手を許してください」
 二人とも成績がよく、クラブ活動もしていて、1年生のとき学校を 一日も休まなかった。イジメなどの 問題は抱えて いなかった。自殺した日も普段通りに登校した。両親はこう言う。
 「死に対する興味があったようで、そういうものに憑り付かれ、持って行かれた」
 女子高生問題にくわしいコメンテーターが言う。
 「もちろん自殺には複合的要因があるのですが、不満が無いのが不満という理由もあるんです。トップクラスの高校に入て、入ったら輝かしい未来が開 けると思っていたら、平坦な道が広がっているだけ。優秀とされる男子校、女子校は特に、異性との交流も無く、ただつまらないだけと退学する生徒も多い。一 方で、不満が無く平坦であるがゆえに悲劇のヒロインに憧れる。自殺したらヒロインのごとく生きた証をのこせるのではないか、と自殺に走る。大人は不満が無 いから自殺、というと理解できないようですが、実際にこういうことがあるんです」

 
 3月7日 
 
 マンション前の路上で、「女性2人が倒れている」と、1階の飲食店の店長(52)から近くの交番に届け出があった。若い女性2人が血を流して倒れており、全身打撲で間もなく死亡した。現場には「理由はない」などと書かれた遺書が残されていた。
 死亡したのは、市立高校2年の女子生徒(16)と県立高校2年の女子生徒(17)。 東京水上署の調べでは、店長が「ドンドン」という音を聞いて外に出たところ、9階建てマンションの前で2人が倒れていた。マンションの8階と9階の間の踊 り場(高さ約20メートル)には、2人のものとみられるリュック2個とバッグ2つが置かれており、財布や衣類が入っていたという。
 バッグとリュックの上にはルーズリーフの用紙11枚が入った封筒があった。用紙には2人が交互に書いたとみられる筆跡で、「理由がない」「強い て言えば疲れたから」「死ぬ理由もないけど、生きている理由もない」などとあった。「ありがとう」「お世話になりました」という友達らに送る言葉も記されていた。
 死亡した2人は、高校は別々だが、共通の趣味の アニメを通じて知り合ったという。
 
 理由はない。

 興味はある。