スタジアム巡礼 阪神甲子園球場編
全国高等学校野球選手権大会いわゆる「夏の甲子園」の前身、全国中等学校優勝野球大会の会場として大正13(1924)年に開場した。
それまで同大会が行われていた鳴尾球場の客席が人気の高まりに対応できなくなり、その所有者である阪神電気鉄道が沿線に「甲子園大運動場」として新設した。その後、昭和10(1935)年に阪神電気鉄道が大阪タイガースを設立し、この球場を本拠地とした。
大運動場の名のとおり元来、多様な種目の競技を開催、観戦できるように作られたフィールドとスタンドなので、その後、野球むけに改修されたものの上席以外では心地よく観戦できるようになっていない。
両翼95m、中堅118mという数値だけ見るとフェアグラウンドが狭いように思えるがバックスクリーンと平行に外野フェンスが伸び、それが緩い丸みのまま両翼へ続いて、ポール際で急激にファウル域のフェンスへと向きを変えている。ゆえにバックスクリーンやポール際への本塁打は出やすい(フェンスの高さも2.6mとドーム球場よりは低い)が、右中間、左中間は深くて全体としては本塁打の出にくい球場とされている。
またファウル域が異様に広く、換言すれば客席がフェアグラウンドから遠く、スタンドも一層式で(銀傘の下には二層目とも言える特別席はある)傾斜も緩いので位置が高い席ほど、さらに遠ざかる。また内野席も、一般指定席であるアルプススタンドで顕著なように、席が二塁後方を向いていてバッテリー間の攻防も体を捻って観ることになる。そして他球場ならスタンドに入るようなファウル球でもフライで捕られることがあり投手有利な球場として知られている。
よって野球を観るためのスタジアムというよりはタイガースを観る、または高校野球を観るための球場だと言われている。プロの人気球団の本拠地として、また高校野球の聖地として国内最多である47,508人もの観客を収容するために観やすさよりも大きさを維持して改修されてきたとも考えられる。
また一日に数試合が行われ、それが数週間つづく高校野球を開催するため、外野は天然芝なのに内野は土という現在のプロ野球の本拠地としては他に見ない組み合わせになっている(過去にはこの組み合わせのプロ本拠地球場も多かった)。現在もプロ本拠地となっていない地方球場の大半が、この組み合わせになっているのは甲子園球場を参考にしているからかもしれない。
古い球場の特徴として内野と外野のスタンドが独立していることも挙げられる。写真は球場外からレフトスタンドと三塁側アルプスを撮ったものであるが、外野席(左)より内野席(右)が手前つまり外側へ出っ張っている。スタンド下の通路で行き来できるらしいが客席からはできない構造になっている。
バックスクリーンとスコアボードを含めた映像装置は一体化されており全体で凸型になっているが、照明灯の広告板も同じ形で統一されている。球場の外観も、この球場の象徴である蔦が美しかったが、改修時に外されたものを再生しているが、まだ十分でなく一面には広がってはいない。
最寄り駅は阪神甲子園駅。特急以下ほとんどの種別が停まり、また試合後の臨時便を増発できる構造になっていることで知られるが近年プラットフォームが拡張され、大屋根が架けられて使い勝手が良くなった。
阪神なんば線の全通により、乗り入れる近鉄で奈良方面からのアクセスが向上した。また京阪は大阪のターミナルが淀屋橋駅なので神戸方面への連絡が悪いが、京橋駅からJR東西線で海老江駅まで行くと阪神野田駅に連絡するので短絡できる。
アーチ状に統一された入口など外観にも伝統を感じる球場ではあるが、利便性との板挟みで「時代が止まっている」とも言える。高校野球の真夏開催の是非が問われている中、事実上この球場以外での開催は考えられないので大胆な改修が長期的に実施されることを期待する。
スタジアム巡礼 京セラドーム大阪編
大阪ドームとして開業し、1997シーズンから大阪近鉄バファローズの本拠地となる。球界再編を経てオリックス・バファローズの本拠地の一つ(もう一つは神戸)となり2006年シーズン途中から命名権を売り、この名に。
大阪市を主体とする第3セクターが建設、大阪市の経営で始まったが、大阪近鉄バファローズと同じく2004年に、わずか8シーズンで破綻。以降はオリックス不動産の所有、管理運営となった。その後2007シーズン以降は事実上バファローズの本拠地として一本化されて(2006シーズンはドーム買収の進捗に左右されるため神戸を専用球場とし、2008シーズン以降は神戸を準本拠地に)34試合前後で大阪と神戸がほぼ同数開催だったのが50試合前後の開催までに増やして(逆に神戸は20前後に減らして)固定された。
両翼100m、中堅122mの国際規格で左・右中間は116mという綺麗な弧を描いた外野フェンス。その高さは4.2mで、もちろん打球が越えたらホームランになるが、そこはレストランシート。その庇になるように外野下段席の、さらにその庇になるように外野上段席の最前列が配されている。
つまり同じ前後位置に本来のフェンスと、外野席の小さいフェンスが上下に三つ並んでおり、打球がそこに当たってフィールドへ跳ね戻る「スタンド・インしないホームラン」が量産される無粋さも持ち合わす。
また外野席については上段席はもちろん下段席であっても、フェンス際のプレイが起こっている場所と、席の位置が近いほど見にくい(死角に入る)。スコアボードを含めた大型映像装置も外野下段席からは見えないので一塁と三塁方向に増設されたほど。
席数は2010シーズンにフィールドシートが増築されて36,146となったが先行ドームの東京、福岡、「同期」のナゴヤと較べて少ない。これらの4ドームはそれぞれ天井に異なる特徴を持ち、東京は空気圧で膨らませている「実はテント」、福岡は回転式に開閉する屋根、ナゴヤは透光パネルと遮光パネルの組み合わせで採光できる屋根、そして大阪は催しの内容に合わせて高さを変えられる屋根…のはずであった。
このドームへ移転するまでの近鉄バファローズは近鉄藤井寺球場を本拠地とし、また球界再編による合併までは2軍の本拠地ともしていた。近鉄藤井寺球場は両翼91m、中堅120mと特に両翼が短く(同様に一時期、実質的な本拠地だった日本生命球場は両翼90.4m、中堅116mと更に狭い)バファローズは野球の質を変えることを強いられた。
多目的スタジアムは野球を観るのに向かないという好例ではあるが、その分スタジアムとチームが一体となりイベントなどで観客の心を掴もうとしている点は、人気にアグラかく他球団に見習ってほしい。
雨天中止がない点の他、大阪環状線の内側にありアクセス至便である点は球場として絶対的なアドバンテージである。現状、集客に困っているバファローズ主催試合ではソフト面に伸び代がまだある。大正駅からは徒歩10分、長堀鶴見緑地線ドーム前千代崎駅と阪神なんば線ドーム前駅からは徒歩すぐ。その他、中央線九条駅からも徒歩圏内であり乗り入れる近鉄で生駒方面からも便利。
また岸里玉出駅以南の南海沿線からは汐見橋線・汐見橋駅で下車しても徒歩で10分ほどであるが、本数が少ないので物好きな方にオススメ。大阪駅からは地下鉄の利用が一般的だが、混雑することと心斎橋駅での乗り換えが遠いことからシティバスの利用(一律210円)の方が便利。
天保山ゆき88系で30分弱、境川バス停で下車すると、消防署と商業施設の間にある大階段の前に着く。それを3階まで登ると11ゲート前、一塁やライト側のチケットを持っている場合に便利。
オリックスに買収されるまでは、たぶんバファローズにとっても使い勝手の悪い、結果きっと多くの観客にとっても居心地の悪いスタジアムだっただろう。その後CI戦略でユニフォームが一新された頃から、周囲も巻き込み観客の視線で改善が重ねられてきた。開場から20年を過ぎて遅きに失した印象はあるが今後も良くなり続けるスタジアムであることを信じている。
スタジアム巡礼 ほっともっとフィールド神戸編
正式名称は神戸総合運動公園野球場。当初の愛称はグリーンスタジアム神戸で、その後、日本の野球場としては初めて命名権を売りYahoo! BBスタジアム、スカイマークスタジアムの呼称を経て現在に至る。
開場は1988年、そのシーズンを最後に阪急はオリックスに球団を譲渡し、翌年からオリックス・ブレーブスがこの球場を準本拠地とした。そして1991年、ブルーウェーブへ改称するとともに本拠地を阪急西宮球場から移転した。
内野スタンドは2層構造で、内外野を一周するコンコースから下段席へ向かうが、ここが東京ドーム同様フィールド向けにオープンになっている点が良い。
ドーム球場を含め円形スタジアムの多くはスタンドの下(フィールドを向いて背面)が飲食やグッズの売店またはトイレになっており、その外周がコンコースとなっている。つまりスタンドの切れ間が、売店などの切れ間とつながって通路となっておりコンコースからは直接フィールドを臨めない球場が多い。写真のようにクレープの売店の黄色いサインが見えるとおりコンコースからフィールドを臨める この球場は立ち見もできる。なおスコアボードになる映像装置とバックスクリーンの間には、ライトとレフトのスタンドをつなぐ通路があり、映像装置を支えているのは実はトイレで、バックスクリーンはその目隠しになっている。
そして、このスタジアムの素晴らしい特徴の一つは内外野総天然芝であること。近年、各チームが後追いしているボールパーク構想にオリックスは いち早く取り組み、スタンドのフェンスを低くする改修などを終えて迎えた2000年、その翌シーズンからメジャー・リーガーとなるイチローの置き土産のように披露した。
もう一つの特徴はフィールドシート。これも近年、他のスタジアムでも取り入れられるようになったが、その嚆矢となったのがこの球場。ファウル域にベンチ、カメラ席、ブルペンが両翼のポール脇に向けた直線上に並んでいたものを、ブルペンの位置をポール側へ寄せて、ファウル域が狭くなるように角度をつけた線上に低いフェンスを建ててスタンドより内側にも席が設けられた。1枚目の写真ではスタンドとブルペンに囲まれた席として、4枚目の写真では三塁走者コーチの奥にフィールドシートが写っている。
ユニバー記念競技場との間には、駅の他に立体駐車場があり500円で とめられる。高低差の大きい谷にかかっているので駐車場の入り口は1F、総合運動公園は6Fと逆転しており地下鉄の地上区間を見下ろせて、さらにその下を山陽新幹線が走るのを見ることもできる。
2004年、球界再編の波が、文字通り直撃したブルーウェーブ。その本拠地スタジアムだったため翌シーズンからは合併チームが主催する試合は半減し、さらに球団事務所を大阪へ移して迎えた2007年からは数試合の開催に縮小された。
布施畑ICインターチェンジからは約1.2km、布施畑西ランプからは約2.5km、白川南ランプからは約2.7km。週末、家族づれなら絶対にドームより楽しめる球場。今後、梅雨の時期以外は週末開催を増やしてほしい。






































