96.スパのフロント

受付はスパの表玄関だ。彼女達が一番最初にお客さんに接する。そして受付にある色々なテラピーが紹介されたカタログを見てお客さんはその場で予約する。だから、彼女達を味方につけ、指圧についてお客さんに勧めてもらえるようにすることがとても大事だった。
自分のテラピーについて知ってもらえるようにするため、時間があいたときにフロントの彼女達に順番に簡単なテラピーをやってあげた。もともとマッサージなど受けたことのないような生活レベルの女の子ばかりだったので、普通にやってあげても印象に残らないし、指圧の特殊性ゆえ逆効果な印象を持たれても困るなと考えた。だから先ず、調子の悪いところはないか聞いて、それを軽くするという触れ込みで行った。
するとやはり自分が実際受けたものは人に勧めやすいので、「何か面白いもの、もしくは具体的にこの痛みを取れるものはないかしら」とお客さんに聞かれたときに僕のテラピーを勧めてくれるようになる。また、スパで働いている他のスタッフが『体のどこそこが痛い』というのを聞くと、「どれどれちょっと見せて」という具合に診てあげた。すると、ちょっとの施術で痛みが取れたりすることが何度かあり、スタッフの間でも名声が上がることになった。やがてホテルの他のセクションのスタッフもやってきて体の悩みの相談を受けることになっていった。