103.雨の高速をメキシコシティへ
photo by Saffanna僕たちは先ずグアダラハラへ向った。
グアダラハラでの滞在中に彼女はアメリカ大使館でのビザ取得手続きを終え、真新しい10年もののビザを手に入れた。これでいつでもフェニックスにいる息子に会いに行ける。メキシコ人にとってアメリカ入国は厳しい。ビザを持っていないと入国出来ない。だからいつ行ってもアメリカ大使館の周りにはアメリカ行きを夢見るメキシコ人でごったがえしている。
グアダラハラのGANDHIというブックストアで『Cesaria Evora』のCDを買いメキシコシティに向け出発した。
夕暮れの空は途中から雲行きが怪しくなり案の定途中から雨が降ってきた。その雨の中を、買ったCDを繰り返し聴きながらひたすらメキシコシティを目指す。雨はトルーカ手前でどしゃぶりとなり、フロントグラスにあたる雨音と音楽の大音量と長旅の疲れでで頭の中は朦朧としていた。気がつくとあれだけおしゃべりだった車内は沈黙が支配し、彼女は前方から叩きつける雨をじっと見つめていた。
夜中の大雨の中車で聴くCesaria Evoraはせつない。自分と彼女が一緒にいた証しを必死に残そうとするかのように車を走らせる。けれど、雨は容赦なくそれを消し去ってしまう。