MARIA9 | Commentarii de AKB Ameba版

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 「MARIA」その9まで来ちゃった。

 「MARIA」の中に赦罪と再生の意味を読み取り、解雇されカムバックした菊地のことを取り上げ、劇場支配人の言葉を引用して「せめてAKBは寛容であり続けて欲しいなあ」って書いたのがはるか昔のような気がします。

 その後に起こったことと言えば…。
 何とも皮肉な成り行きでありました。
 
 「MARIA」を支えた1人である大堀恵も、この3月にSDNを「卒業」することになってしまいます。

 MARIAさま、あなたの赦罪と再生はどこへ行っちゃったの?
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 大堀恵の「MARIA」。
 その姿を今に伝えるよすがはほとんどない。2008年のAX、梅田はまだ公演に復帰しておらず、Team Kの全体曲はほとんど欠席だったのだが、「MARIA」と「ふしだらな夏」だけは出演した。

 唯一僕が目にすることが出来たのは、2007年に行われた厚生年金会館でのコンサートのライブDVDの「MARIA」だけである。

 後に「セクシー」路線を強調していく大堀恵だが、この時の彼女は清楚で気品のある美しさの中に、哀しみを湛えたような表情であり、磔から降ろされたイエス様を抱きしめるマリア様、すなわちピエタのようでもある。

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 残念なことにこれは、コンサートということもあって第2スタンザが略されている。だから大堀恵の演じたフルコーラスの「MARIA」を聞くことはできない。

 ところで、梅田のピンチヒッターはなぜ大堀だったのだろう。
 いろいろな理由があったのだろうが、想像するにその一つには梅田と大堀の「声質」が似ていた、というのもあったのではないだろうか。
 大堀恵が歌う厚生年金会館のライブ音源と、他の「MARIA」を聞き比べてそんな風に考えた。声量と音程は梅田の方が安定しているけどね、とか思いながら。

 うん。よく似てる。特にK3の公演DVDの梅田の歌声は、厚生年金会館のライブの大堀の声とそっくりだ。
 
 ん? そっくり?

 そっくりどころか、これってひょっとして、完全に一致

 厚生年金会館の大堀の歌をたっぷり聞いた後でK3の公演DVDを、目をつぶってきいてみると、そこには大堀の姿しか浮かばない。歌っている姿は確かに梅田なのだが、声は大堀に聞こえて仕方ない。

 僕の耳がおかしいのだろうか?

 もう少しわかりやすく比較してみよう。

 比較のための「MARIA」のソースは3種類。
 K3の公演DVD(以下「DVD」)。歌う姿は梅田だが、声は大堀のもののように僕には聞こえる音源。
 K3のCD(以下「CD」)。間違いなく梅田の声。
 そして厚生年金会館のライブDVD(以下「厚生年金」)。大堀が歌う「MARIA」が見られる唯一の音源。

 これらを用いて、「DVD」の歌声が「CD」に近いか「厚生年金」に近いかを検証してみよう。

 最初は、各ソースの声紋(スペクトログラフの特徴)を視覚化して比べるのが一番いいと思ってやってみたのだが、どれ伴奏や声援などのヴォーカル以外の音が大きくてデータにならなかった。
 音源からヴォーカルだけを抽出しようと試みたのだけれどこれもうまくいかなかった。

 次に考えたのは、もっと直感的な方法。ヘッドフォンの右と左から二つのソースの声を流して耳で聞き比べてみた。

 まず「DVD」と「厚生年金」からオーディオデータのみ抽出した。「CD」の音はそのまま。
 どのデータも、いったんステレオからモノラルに変換した。その後「DVD」の音を左トラック(レファレンス)に、「CD」または「厚生年金」の音を右トラック(サンプル)に配置してミックスダウン。
 で、どちらのサンプルがよりレファレンスに近いかを聞いて判断する。いわゆる官能検査である。

 使用したのは、歌い始めの最初のソロパート、「悪い夢からさめ」の部分。
 なおレファレンスは検証可能なようにサンプルよりわずかに長くしてある(この部分に小さく「ゆか」という観客の声が入っている。「梅ちゃん」もしくは「めーたん」と叫ぶべきところであるが、なぜか「ゆかちゃん」を声を掛けてしまっているのを「DVD」で確認されたい)。
 
 で、出来たのがMARIA1MARIA2

 どちらも左音声はレファレンスの「DVD」。MARIA1の右音声は梅田のサンプルで、MARIA2の右音声は大堀恵のサンプル。

 で、聞いてみた。

 僕の耳には、MARIA1(サンプル:梅田)では左右から明らかに別の声が響いているのに対し、MARIA2(サンプル:大堀)は左右から同じ声が響いているように聞こえる。
 いかがだろう。

 もし僕の耳が正しかったとしたら、K3の公演DVDの「MARIA」は、歌っている姿は梅田だが、その声は大堀恵、ということになる。

 どうしてこんなことが起きたのだろう?

 いろいろな説明があるのだろう。
 
 でも僕がはそれを「奇跡」と名付けたい。

 前から何度か書いたけれど、シアターには妖精の粉が充満している。
 その粉のおかげで、マイクに口を近づけなくても、メンバーの歌声はシアターの隅々まで届く。たとえ体調が悪くて声が全く出なくても、激しいダンスで息が上がっていても、「お客さんに声を聴かせたい」という思いが強ければ、妖精の振りまく魔法の粉のおかげで、やはりお客さんは歌声を聴くことが出来る。

 それがシアター名物妖精の粉。

 大堀恵。
 人呼んでめーたん。

 梅ちゃんのいないK3の舞台でずっと「MARIA」を守り続けていた、めーたん。
 めーたんにとっても忘れることの出来ない曲となった「MARIA」。
 でもめーたんは千秋楽のステージで、それを潔く梅ちゃんに返した。

 そんな健気な彼女のことを、シアターの妖精はじっと見ていたのだろう。
 その歌声を、失われることのないカタチで、でもあんまり目立たないようにそっと残しておいてあげようと、妖精は最後に決めた。
 おかげで僕は、リアルタイムで僕が巡り会うことは出来なかったけれど、目をつぶれば素敵なめーたんが歌う「MARIA」をフルコーラス聞くことができる。

 ね、奇跡でしょ?

 だってシアターは夢のその入り口、時間のない国なんだもん。
 奇跡くらい起きたっていいじゃん。

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 だよねえ? めーたん。