ソングス?
いやいや、シングスでしょ!
そんな突っこみがどこからか聞こえて来そうだが、「ソングス」でいいんです。
実は、40年以上も前にMFSなどというタイトルで、好きな曲をカセット・テープに録音して楽しんでいた。
結婚して子どもができるとしばらく中断した時期もあったが、なんだかんだ言いながら2009年頃まで続けていた。
いつの頃からか、カセットからCDに変わっていたが・・。
歌謡曲もあり、ニューミュージックもある。
今では赤面してしまうようなアイドルの曲も入っている。
「歌は世につれ世は歌につれ」という言葉があるが、歌の世界は世の中の姿を映し出し、世の中も歌の移り変わりのように変動する。
想い出も当時の「流行歌」とリンクして、曲を聴けば当時の出来事や感情が甦る。
あの頃、あんな曲が流行っていたなとか、その頃あんなことがあったななどと、あれこれ思い出されて懐かしい。
そんなことで、今では、ほとんど聴かなくなったカセット・テープもCDも、未だに捨てきれずにいる。
音楽って、時には悲しみを増幅させ、時には楽しさも倍増させ、時には勇気づけられ、時には憂鬱な気分を跳ね除け、疲れた心を癒してくれる力がある。
これからも音楽のない生活なんて考えられないのだ。
さて、今聴いているアルバムは、スザンヌ・ヴェガの『SOLITUDE STANDING』(1987年)である。
80年代から90年の前半あたりは、自分にとって、結婚、子育てという時期であり、ゆっくりと音楽を楽しむ余裕もなく、当時流行った曲やアーティストはよく知らない。
スザンヌ・ヴェガもそのうちの一人だったかもしれず、リアルタイムでは聴いていない。
ただ、いつ頃だったか、アカペラで歌う1曲目の「Tom’s Diner」は、何かのCMで聴き覚えがあった。
2曲目の「Luka」もどこかで聴いていたに違いない。
この曲は、児童虐待をテーマにした曲というのは今や誰しも知るところであろうが、歌詞の意味が分からずともいい曲だと感じる。
日本では、まだ問題視されていないテーマだったのかもしれないが、いつの時代にせよ、どんな事情であれ、自分の産んだ子を虐待するなんて信じられないし、子どもに限らず簡単に他人を傷つけたり殺してしまったりする行為、戦争もそうであるが人間の持つ「狂気」がいつ暴発してしまうのか、そのような「狂気」が日常のそこここに潜んでいるかと思うと恐ろしい。
そのようなメッセージ性のある曲もあれば、自分の経験や古い書物からインスパイアされたものなど多様であるが、アルバム全体を通して一人の女性の等身大の姿が素直に映し出されている気がする。
どちらかというと淡々と語るように歌うボーカル・スタイルは、声質も含めて、彼女の個性であり、魅力の一つでもある。